二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 『イナGO』-アドニス〜リベロ永久欠番〜 ( No.51 )
日時: 2012/11/24 16:53
名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)

第二十一話 『別れ—タイムアップ—』

2年が経った。
おれ、ラファエル、レティシア、パトリスはコレージュ—日本の教育機関でいう中学校—に進学。
日本と違って、海外の学校は部活に力を入れない。
そのため、今もおれ達は"ラ・ピュセル"の選手としてサッカーを続けている。

「ミコト、練習によく出るようになったね」

練習中、レティシアに言われた。

「そうか?前と変わんねぇきがするけど」
「変わったよ!今まで打っても入らないからって、シュート練習したこと無かったのにやり始めたり、苦手なドリブルも鍛えてるじゃない」

自覚はないが、どうもレティシアには変わったように見えていたらしい。

「ん〜……ま、そういうことにしといてやんよ!!」
「何それ……。あ!変わったって言ったら、ラファエルとケンカしなくなったよね!何かあった?」
「はぁ?」

今のおれの顔は世紀に一度の間抜け面だろう。

「何もねぇよ。ケンカするのがアホらしくなっただけだ」

『今日のことは、2人だけの秘密にしよう。レティシアやパトリスに知られたくない』
ラファエルが出した言葉を、おれは受け入れた。
正直、2年前の"ラ・ピュセル"のスタジアムでの誓いは、誰にも知られてはいけない聖域のように思っていた。
レティシアやパトリスにも知られたくなかった。

「そう?私にはミコトがラファエルのこと好きみたいに見えるよ」
「んなこと言うくらいなら、練習しろバカ」
「バカって何よ!!ミコトの方がバカじゃない!!」
「よっしゃてめぇ腹くくれ!!樹海に投げ込むぞオラァ!!!」

おれがオリビアさんに見初められて、日本に戻ったのはこのケンカの数日後だった。

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「パトリス、レティシア、ラファエル、おれは日本に戻る」
「「「え……!?!」」」

3人の顔は、今までにないほど驚いていて、悲しみが影を落としていた。

「な、何で!?何で日本に戻るの!?」
「さっき、"愛媛の三戦強"の一人にあったんだ。知ってんだろ?優樹菜・オリビア・プリンスってDF」
「そりゃ、誰もが一度は聞く名前だ!9年前のFFIでイナズマジャパンが二連覇した時、守備の要だったって言うじゃないか!!」

伝説のイレブンの一人となると、流石にバカの—おれの方がバカだが—パトリスも知っていたようだ。

「オリビアさんに会って、日本のサッカーが知りたくなった。フランスは世界の内の一国に過ぎない。おれは世界に出て、もっと高みに行きたい!!」

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2年前の誓いの時、おれが履いていたスパイクが、今、自分の部屋の隅に飾ってある。
というか、ただ置いている。
それは、ラファエルがおれにくれたあの赤いスパイクだ。