二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 『イナGO』-アドニス〜リベロ永久欠番〜 ( No.68 )
- 日時: 2012/11/26 15:50
- 名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)
第24話 『雷門、動く』 (天馬side)
〈破竹の勢いで準決勝へ駒を進めたのは、新雲学園だぁ!!!〉
「これが準決勝の相手、新雲学園だ。情報に寄れば、全てを兼ね備えたパーフェクトプレイヤー。
戦術、個人技、共に優れたチームと評価されている」
キャプテンがみんなに向かって話している。
新雲学園……尊姉がいるチームだ。
おれにはそれくらいの認識しかない。
「ちゅーか、結局ここも、フィフスセクターに支配されてるわけだよね?」
「残念ながらそうだ」
「んなこと分かり切ってることだろ。行く道は行くしかねぇっての」
倉間先輩いいこと言う!!
行く道は行くしかない。
「倉間の言うとおりだな。ここまで来た以上、行く道は行くしかない。新雲学園の脅威は二つある。
一つは"10年に一人の天才"と称されるプレイヤーがいることだ」
「それって、誰なんですか?」
信助がキャプテンに聞いた。
キャプテンは首を横に振った。
「分からない。今のところ、"10年に一人の天才プレイヤー"については情報が少ないんだ。二つ目は1年生でリベロの和藁尊だ」
「尊姉……!」
「何だ、天馬知ってるのか?」
「知ってるも何も…和藁尊はおれの姉です」
シーンとした空気になった。
おれ、何かすごいこと言っちゃった?
「「「「「「はぁああああああああああ!!!?」」」」」」
速水先輩がひっくり返る。
霧野先輩が石化。
狩屋が目玉をそのまま飛び出させた。
剣城まで仰天して叫ぶ。
「き、聞いてねぇぞ!?お前姉貴がいたのかよ!?」
倉間先輩がおれの胸ぐらを掴んで揺さぶってきた。
「聞いて、無い、と言われても、そもそも、言ったこと、無いん、ですけど……?」
「ちゅーか、その和藁尊の何が恐ろしいの?」
変なところで常識人な浜野先輩が話を戻した。
一端、みんな落ち着いた。
「聞いたことあるんですけど、和藁選手は強くないんですよね?」
「え?そーなの?」
「そうだ。和藁は化身使いでなければ、必殺技も少ない。ディフェンス、オフェンス、両方の力が欠如している」
「なのに新雲—強豪校—でレギュラーを獲得してるということは、それなりのものがあるということか……」
剣城が漠然と言った。
おれにはさっぱり分からなかった。
尊姉とは双子の姉弟だけど、一緒に過ごした時間はそう長くない。
「あぁ。彼女の武器はパスカットだ。パサーとして今大会最高成績を出している。
ボールをカットすれば、試合の流れが少しだけ変わる。つまり、和藁のパスカットは試合を牛耳っていると言っても言い過ぎじゃない」
「それと、一番恐ろしいのは神出鬼没のスピードを生み出している人智を越えた脚力ですよ」
ラファエルが難しい顔をしている。
「気がつけばそこにいる、ちょっと目を離すといない。ミコトにはどこにいるのか分からなくさせるほど速いスピードがあって、相手が気づく前にカットして、前線にパスを出すんです。カットしてからパスを出すまでの時間が極端に短い。
追いつけない……。それだけでミコトは尊い」
「そうか……。また厄介だな」
「ミコトは天才じゃないし、強くない。ですが、神—天才—と組むことで獰猛になる鬼です。弱いなどと思っていは、足下から食らいつくされます」
「よし…」
キャプテンが一人一人の顔を見た。
全員、腹はくくっている。
「今日から練習メニューを対新雲学園に組み直す」
やることは、決まった。
雷門サッカー部—桃太郎—の“鬼退治”だ。