二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 白ノ娘
- 日時: 2010/02/12 18:10
- 名前: リリアン (ID: B6N9vk9k)
こんにちは! 初投稿のリリアンです。
小説とかそういうのが大好きで、投稿しちゃいました♪
まだまだ未熟者ですが、良かったら除いてみて下さい。
基本的には、「ボーカルアンドロイド」略して「ボカロ」の小説を書いていきます。
特に、鏡音リンレンが大好きなので、そっち系が多いかも・・・
まあ、とりあえず読んでくれたら嬉しいです。
コメントもどしどし下さい!
登場人物・・・>>2
第一章:白イ娘・・・>>1
第二章:緑ノ娘ノ決断・・・>>5
Page:1
- Re: 白ノ娘 ( No.1 )
- 日時: 2010/02/12 17:55
- 名前: リリアン (ID: B6N9vk9k)
白イ娘 パート1
その大陸の中で、一番美しいと言えば、何と言っても緑の国だ。
広大な土地と、生い茂る緑。
そして、その緑に合わせるかのように、緑の国の民達は皆、青緑色の髪をしていた。
そんな緑の国の小さな女学校に、皆とは少し違った風変わりな少女が通っていた。
ハク・ヨワネ
それが彼女の名前。
弱々しそうな表情であったが、顔立ちはよく、美しい少女だった。
だが、彼女とすれ違うたびに、聞こえるのは、非難の声であった。
『何?あの子。』
『髪が真っ白じゃない。』
『緑の国の恥だわ。』
そう、彼女の髪は、皆と違う白い髪。
そのせいで、彼女の周りには、人が寄ってこなかった。
ちょっと陰口を囁くだけならまだしも、よって集っては、ののしるような生徒もいた。
「ちょっと、そこのあんた!」
ハクが、呼び止められた先を見る。
そこでは、五人ほどの生徒が、獲物を見るような目でハクを睨んでいた。
彼女らは、生徒会のメンバーだ。
「えっ、・・・はい・・・。」
「あんた、生徒会ブラックリストナンバー1の、ハク・ヨワネね。」
「ブラックリスト?!私、そんな悪い事なんて・・・。」
ハクは、おどおどとしゃべった。
生徒会のメンバーの中から、一番偉そうな少女が前に進み出る。
「私は、生徒会長のメグ・リョクイです。」
「メグさん。私は何故、ブラックリストなんかに・・・・?」
と、その瞬間、メグは、ハクの白い髪をつかんで言った。
「じゃあ、あんた、何でこんな白い髪してるのよ?。」
「えっと、これは、生まれつきで・・・・・・。」
「生まれつきですって?緑の国の民は、青緑の髪のはず。少なくとも、緑なはずよ。」
「緑の国の恥よ!」
「そうよ!謝りなさいよ!」
後ろの少女達も、声を上げた。
メグは、にやりと不気味な笑顔をこぼし、そして、白の耳元でささやいた。
「そうね。謝りなさい。『生きていてごめんなさい』って。」
「えっ!?」
生徒会の少女達が、白に襲い掛かる。
「さあ、言いなさいよ。土下座して、『生きていてごめんなさい』ってね。」
ハクには、どうする事も出来なかった。
言うしかなかった。
それ以外、逃れる術は無かった。
「生きていて・・・・・・ごめんなさい。」
一気に、周りから笑いがこぼれた。
その時、皆の集っている後ろから、透き通った声が通った。
「何の騒ぎ?」
「その声は、ミク様?!。」
野次馬をよけて、仲裁にやってきたのは、ミク・ハツネ。
この学校の理事長の娘だった。
外見や要旨も完璧で、皆の憧れの存在だった。
「皆して、何をやっているの?」
「この女は、白い髪。国の恥です。」
ミクは、そこに倒れこむ白い少女を見た。
頭のいいミクには、その娘が、本当に悪い人では無いと分かった。
ミクは、少し考えてそして言った。
「確かに、村では風変わりかもしれませんが、町には異国の人などたくさんいますよ。」
「で、でも・・・。」
「貴方達のやりたい事が済んだなら、逃がしておやりなさい。」
「ミク様・・・・・・・。」
「いつまでも集っている必要はありません。見苦しいですよ。」
周りの生徒は、少しざわめくと、次第に立ち去っていった。
生徒会のメンバーも、逃げるように帰って行った。
「もう、帰って平気ですよ。」
床で震える少女に、そう声をかけて、ミクは立ち去った。
次のページ(白イ娘 パート2)>>3
- Re: 白ノ娘 ( No.2 )
- 日時: 2010/02/12 17:46
- 名前: リリアン (ID: B6N9vk9k)
【登場人物】
☆ハク・ヨワネ
〈年齢〉16歳
〈性格〉気弱。だが、本当は正義感が強く、誰にでも優しい。
〈生まれた国〉白の国
〈その他〉白い髪が、緑の国に来てからのコンプレックス。
☆ミク・ハツネ
〈年齢〉16歳
〈性格〉表・・・冷静。裏・・・甘えんぼ。つまり、二重人格。
〈生まれた国〉緑の国
〈その他〉学園長の娘。かなりもてるが、運命の人はまだ現れない。
☆リン・カガミネ
〈年齢〉14歳
〈性格〉わがままで、残酷。通称『悪の娘』。
〈生まれた国〉黄の国
〈その他〉召使だけには、ものすごく優しい。
- Re: 白ノ娘 ( No.3 )
- 日時: 2010/02/12 18:05
- 名前: リリアン (ID: B6N9vk9k)
白イ娘 パート2
ハクは、学校帰りに、ある場所に寄った。
それは、自分だけの特別な場所だ。
自分を軽蔑する人もいなければ、批判する人もいない。
そこには、大きな千年樹が立っていた。
「ミク様は、何故私を助けてくれたんだろう。」
さっきの出来事に、ハクは、感動を覚えた。
自分を助けてくれた人がいるという事の嬉しさを覚えた。
「ミク様には、お礼を言わなくては。」
そう思って立ち上がったその時、千年樹の後ろから、何かが倒れるような音がした。
ハクが、そっと裏に回ると、何とそこには、さっき自分を助けてくれたミクが倒れているではなか。」
(ミ、ミク様?!)
急いで、ミクを持ち上げる。
ミクは、女のハクにでも持ち上げられるくらい軽い。
ハクは、千年樹の裏の道からつながる自分の家へ、ミクをつれて向かった。
ハクは、一人暮らし。
父親は、四年前に戦死。
母親は、ハクが物心がつく前に亡くなっていた。
今の生活は、父親の残した遺産に頼っていた。
「よいしょっと。」
ミクをベッドに乗せる。
古く、薄汚れたベッドだが、無いよりはマシであろう。
ハクは、キッチンに向かい、スープ作りを始める。
何しろ外は、寒い冬の空気で立ちこもっている。
ミクも、体が冷えている事だろう。
スープを作りながら、そっと、ミクの顔をのぞいた。
ミクは、まるで眠り姫ような美しい顔をしていた。
その時、ミクは、むくっと起き上がった。
「ここは・・・・。」
「あ、ミク様、目が覚めましたか?あなた、千年樹の裏で倒れていたんですよ。」
「あなたは、もしかして・・・さっきの・・・。」
「あっ、申し訳ありません。私、ハク・ヨワネといいます。先ほどは、どうもありがとうございます。」
「えぇ。私は、ミク・ハツネ。貧血で倒れたみたいなの。これで、お互い様ね。」
「そうですね。」
「後、これスープです。良かったら飲んでください。」
「うん。・・・・・・あ!これおいしい。」
「そうですか?」
ミクは、学校で見るよりフレンドリーな優しい少女だった。
人と違うハクでも、普通に接してくれた。
そんなミクに、はくが好意を寄せても、おかしくは無いだろう。
「あ、あのっ、よければ、私とお友達になってくれませんか?」
「うふふ、もちろんよ。」
ミクは、優しく微笑んだ。
ハクから、久しぶりに笑顔が出た。
「笑ったら可愛いじゃない。学校でも笑っていればいいのに。」
「でも、私は皆とは違うんです。」
ハクは、片手で自分の髪をクルクルといじった。
「嫌ならいいわ。でも、良かったら教えてくれない?貴方の白い髪の理由。」
「・・・話したことありませんけど、ミク様になら・・・。」
「『ミク』でいいわよ。」
「あっ、でも、やっぱり『ミクさん』でお願いします。」
「分かったわ。じゃあ、話して。」
「はい。私の両親は、白の国の民だったんです。」
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- Re: 白ノ娘 ( No.4 )
- 日時: 2010/02/12 18:04
- 名前: リリアン (ID: B6N9vk9k)
白イ娘 パート3
ハクの家は、白の国の王族。
白の国は、平和で、水晶の生産に優れた国で有名だった。
血のつながりはあったが、政治の頂点に立つほど近い親類ではなかった。
だが、ハクの家には、優秀な人材が揃っており、中でもハクの父は、騎士隊長まで出世していた。
一人娘だったハク。
母親は、元々体が弱く、ハクの記憶に無いうちに亡くなった。
その分父親は、ハクをとても可愛がった。
時には厳しく、時には優しく。
ハクは、そんな父が大好きだった。
「お父様、お父様!」
「どうしたんだい?ハク。」
「今日ね、町ですごい人を見たのよ。髪の毛が、綺麗な青色をしていたわ。」
「そうかい。きっと、それは、青の国の人だね。」
「青の・・・・・国・・・?その人は、白の国の人ではないの?」
「たぶんね。国によって、髪の色は違うから。」
「うん・・・・。」
「どうした?ハク。」
「いいな、って思ったわ。」
ハクは、黒いリボンで結んだ自分の白い髪を見て言った。
「青色・・・素敵だなって。だって、白は、無色ですもの。輝きが無いわ。」
幼いハクには、まだ、自分の輝きを見つける事ができなかった。
だが、そんなハクに、父は、優しくこう言った。
「白にだって、輝きがある。」
「えっ?」
「白は、他の色に混ぜる事によって、美しい色を作り出す。白は、どんな色とでも仲良く出来るんだ。」
「そうなの?!」
「あぁ。見てごらん。」
父は、大陸の国の色の絵の具を用意した。
緑の国の『緑』
青の国の『青』
黄の国の『黄色』
紫の国の『紫』
桃の国の『桃色』
そして、白の国の『白』
筆に取り、それぞれを白と混ぜる。
するとどうだろうか。
黄緑、水色、レモン色。
藤紫色に、パール色。
さまざまな美しい色が誕生した。
どんな色とでも、美しい色彩を見せる白。
そんな白のよさが、ハクにも少し分かったような気がした。
だが、その幸せは、長く続かなかった。
真夜中、突然サイレンがなった。
豊富な鉱石を狙って、黄の国が攻め込んできたのだ。
「ハク!起きなさい!」
「お、お父様?!何なの?」
「黄の国が攻め込んできた。お前は逃げなさい。」
父は、ハクにフードをかぶせた。
「お父様は?!」
「私は、誇り高き白の国の騎士団隊長だ。命がある限り、この国を守る。」
「でも、お父様!私は、お父様がいなと・・・・・」
「お前は、大丈夫。これを持っていきなさい。」
手渡された袋の中には、札束が、これでもかと言うくらい入っていた。
ハクにでも分かった。
お父様ハ、死ヌカモシレナイカラ、私ニコヲ手渡シタ。
「お父様!嫌ぁ・・・一緒に逃げようよ。」
「いや、私はこの国を守る。」
「死なないでよぉ・・。お父様ぁ・・。」
「死なない。お前は、一時的に非難するだけだ。安全になったら戻って来い。待っているから。」
ハクの返事を待たずして、父は、戦火の中へと飛び込んでいった。
無防備な夜間、あっという間に白の国は燃え上がった。
ハクは、町から外れた小さな丘の上。
そこに立つ大樹には、子供なら入れる小さな穴があった。
そこで、ハクは震えていた。
目をつぶって。
父の功績とも言える、莫大な財産をしっかり抱えて。
炎の燃える音に混じって、声が聞こえた。
「さぁ、跪きなさい!」
その高い声が響いた後、父親と愛する白の国が帰って来る事は無かった。
次の日に、ハクが丘から見た風景は、悲惨なものだった。
昨日まであった、白い都が跡形もなく無くなっていた。
いるのは、黄色い兵士に黄色いトラック。
水晶の原石を取っては積んで、運んでいく。
白の国は、黄色に紅と黄色に染まった。
——————————
「白の国は、今は黄の国になってしまったのね。」
「そうです。私の居場所は無くなってしまいました。」
—生きていてごめんなさい—
それは、彼女の口癖。
千年樹を見ると、思い出す。
隠れていることしか出来なかった、愚かな自分。
そんな自分だけが生きている。
私の変わりに、国民が生きていればよかった。
王様方が生きていればよかった。
お父様が生きていればよかった。
なのに、私が生きている。
あぁ、生きていてごめんなさい。
あぁ、白の国よ。
「大丈夫。貴方には、緑の国がある。」
「でも、私のこの髪は、軽蔑される理由にもなります。」
「大丈夫。少なくとも私がいる。明日も遊びに来るわ。」
「・・・・・・待ってますね。」
ハクは、少し勇気付けられたような気がした。
次の日も、また次の日も、ミクは、ハクの家に来た。
そのたびに、哀しい事や嬉しい事を分かち合った。
いつの間にか二人は、とても仲良くなった。
だが、ハクは、いつも思っていた。
(私と彼女、何もかもが違う。)
村の誰よりも長く、綺麗な緑の髪。
その優しげな声と笑顔。
この数日の中で、彼女への告白を何回見た事だろうか。
男女問わず、誰からも愛された。
だけど、ハクは違う。
人と違う白い髪。
人間が、この世に住み着いている限り、格差は必ず生まれ、逃れる事は出来ない。
もしかしたら、彼女は、自分より劣る女を哀れんでるだけなのかもしれない。
そう思うと、怖くて仕方なかった。
- Re: 白ノ娘 ( No.5 )
- 日時: 2010/02/13 16:15
- 名前: リリアン (ID: glXVlHlM)
緑ノ娘ノ決断 パート1
「失礼します。」
「入りなさい。」
理事長室に入ってきたのは、ミクだった。
理事長は、自分の娘を見て、満足そうに微笑んだ。
ここに来るのを待っていたかのように。
「どうしたの?ミク。」
「お母様・・・いえ、理事長。お願いがあります。」
「ん?」
「ハク・ヨワネをいじめから保護してください。」
「あの・・・白い髪の?」
理事長は、よほど大切な事なのだと察知し、キーボードを打つ手を止めた。
「はい。私が、毎日あの子の家に行っているのはご存知でしょう。」
「まぁ、本当?」
「私は、理事長としてはともかく、お母様として、噓を申し上げた事はありません。」
「そうだったわね。」
「そして、あの子は、『白い髪』と言うだけで、いじめを受けています。」
ミクが差し出したのは、そのいじめの証拠。
生徒会のメンバーが面白半分で取ったものを、徴収してきたのだ。
「あの子は、居たくてここに居る訳ではないのです。肉親も、母国も無くした彼女が。」
「ミク・・・ここは、私立の学校よ。公立じゃないの。」
「どういう事ですか?」
「公立は、全てを教育委員会に任す。だけど、私立は違う。全て学校が作っていくの。」
「つまり・・・・・・・。」
「そう。貴方達生徒がね。」
「しかし、あの子には、もう味方がいないのです!」
ミクは、すがるように言った。
理事長は、優しく笑うと、『生徒』ではなく、『娘』という視点で囁いた。
「いるじゃない。ミク、貴方という味方が。」
「えっ?」
「貴方が助けてあげればいいのよ。あの少女を。母さんは、貴方を信じるわ。」
「『お母様』・・・・。」
「考えるだけじゃだめ。実行しなきゃ。私は、止めませんよ。」
「ありがとうございます。決心がつきましたわ。理事長。」
「良かったわ。貴方も、生徒の一員ですもの。」
ミクは、一礼すると、言った。
「二人分の、退学許可書をいただけませんか?」
「よろしい。」
理事長は、退学許可書を渡した。
そこには、ミク・ハツネとハク・ヨワネの二つの名前と、理事長の印が押してあった。
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