二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ナイラーザのある二日間
- 日時: 2010/04/05 08:58
- 名前: 刹那雪 (ID: L1jL6eOs)
◆前書き
はじめまして、刹那雪と申します。
今後ともよろしくお願いいたします。
さて、
この小説は『シルフェイド見聞録』
というフリーゲームの二次創作小説と
なっております。
ジャンルとしては『インテリ系ツンデレ』、
略して『インデレ』ですね。
同盟もすでにできております。
少しでも
この作品に興味を持っていただけたのなら、
感想や批評をお寄せ頂くと嬉しいです。
それでは本編へどうぞ!
◆◆◆◆◆◆
1;
「大した努力などせずに結果を得る。」
こんな事を今まで当然と捉えてきた俺、
何の違和感も持たなかった。
俺は「辛い努力をして報われない者」を
「クズ」と侮蔑する。
今となっては言えやしない。
どんなに頑張りたくとも結果に限界の
ある奴を知ってしまったのだから……。
ここはノーマ学園、医学部。
校内でもトップクラスの者が集まる
クラス。
いつもと変わりない空を
見上げつつ日常を演じる。
そんな時担任の声が教室に響く。
「先週行った小テストを返そうと思う。」
感嘆の声、歓喜の声、
各々が感情を声へと移す。
担任の方針でテストを返却するとき
皆に点数を公表するのだ。
「○○、67点。○○、89点。○○……」
点数が公表される度、
微笑を浮かべてしまう俺の悪い癖。
正直あのレベルのテストであいつらの
点数ときたら………
順調にテストの返却は進み、
俺の順番が来る。
「ナイラーザ、100点。
今回も優秀だな。」
半ば風習の様に歓喜の声を
上げるクラスメート。
もうその感覚には慣れてしまった。
順調に事が進む、大方の結果が出そろう。
だが急に静寂がよぎる。
それはある女子生徒の答案だった。
「レシア……、20点だな。」
「おい、あのテストで20点だってよ!」
「ハッ……、聞いてあきれるぜ。」
急に教室が沸き返る。腹を抱えて笑う者、
クスクスと微笑を浮かべる者……
思い思いにその滑稽な結果を
楽しんでいる。
俯き加減に席へと避難してくる女。
実は俺の席の隣がそいつの席なのだ。
ただでさえ小さく、
華奢な体を縮こまらせ席で震えている。
クラスメートの陰湿な歓迎が
鳴り止む様子はない。
だが俺だけは違った、
この女の不可解な部分を知っているから。
わざわざ声をかけて詮索
したわけではない、
無意識の内に知ってしまったのだ。
それは俺の日常と大きく関係
していた……。
;2
「よし……、着いたな。」
医療系の雑誌と昼飯の
サンドイッチの袋を抱えながら
階段を駆け上がる。
行き着いた先は学院の屋上、
俺はここで昼飯をとることに
しているのだ。
気だるい授業の後は
清々しい風の吹きぬける屋上で昼食。
こうして気持ちを
リフレッシュさせ
午後からの授業に備えている。
慣れ親しんだ情景が俺の目に映る。
3mほど前方にちょこんと
座っている小さな人影。
隣の席の女、
確か名前はレシアといった。
俺と同じで
昼休みには屋上に来るのが日課の様だ。
別段気にする事でも無いので
購買部で買ったサンドイッチを
頬張りつつ雑誌をペラペラとめくる。
と……、
俺を突き抜ける視線がそこにはあった。
「じ~………」
まぁ、この状況で突き刺さる
視線なんて一つしかないのだが。
3mほど前方にちょこんと
座っている小さな人影。
雨の中に捨てられた
子犬以上に純粋な瞳、
視線の先には俺が食べている
途中のサンドイッチ。
なんて物欲しそうな目で
見つめてくるんだ……。
もしかして昼食を
用意していないのだろうか?
と思い女の周辺を見回してみる。
どうやらその様。
弁当箱やパンの袋は
見当たらない。
こちらが視線を合わせている事に
気付くと女は視線を外す。
そして女は手元に視線を落とした。
俺もつられて視線を送ると
大量の教科書とノート。
こんな所にまで来て勉強を
しているというのか……。
そんなことを思った瞬間、
女はノートを広げ勉強を始めた。
ずいぶんと距離が離れていても
伝わってくる気迫、必死さ。
ものすごいスピードで
ノートに文字を書いてゆく。
その直向きな姿勢に目を奪われていった。
その合間合間に
送られるサンドイッチへの
熱視線は絶える事無く……。
もしかして……
この女は昼休み以外にもここに
来ているのかもしれない。
いつも授業が終わるや否や
忽然と姿を消す、
そして始
業時間ギリギリになって
教室へと戻ってくるのだ。
殆どの
場合教科書やらノートを
抱えている。
「フッ……」
ひらりと身を翻し
階段の方へと向かう。
目的はすでに決まっているが……。
数分して戻って来る、
手にはチョコパン一つと
クリームパン一つ。
最早何も言うまい。
そして叫んでやった、
劇団員顔負けの声量で
「ついつい、
パンを買いすぎて
しまった!!」
「持って帰るのも
かったるいから
置いていこう!」
別に変人と呼んでもらってもかまわない。
「あまりに物欲しそうな目で
見てくるから根負けした。」
何て事は
無様すぎて言葉に
できないからな……。
だがふと振り返った
時の女の笑顔に
少しばかり心が揺れた。
だが一つの疑問符が俺の中で灯る。
「何故アイツの努力は報われて
いないのだろうかと…」
いろいろと普段と違う行動を
した気がするが、気にせず教室へと戻る。
俺の机の上に鎮座する
チョコパンの袋。
「………?」
出所はすぐに分かったのだが、
隣の席で笑いをこらえ切れていない
奴がいる。
「この……アマ……」
そんな中、
担任が教室へと入って来る。
全員の出席を取り軽く口を開いた。
「急で済まないが『精神医学』を
教えているザイル先生の都合で
明日本試験を行うこととなった。
皆勉強をしてくるように。」
Page:1