二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 言の葉 〜BASARA短編〜
- 日時: 2010/10/30 20:30
- 名前: 銀狼 (ID: 90mHMWes)
はじめまして。
銀狼です。
ここでは、戦国BASARAの短編を書いていきます。
まだ、じゅくじゅくの未熟者なので、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
Page:1
- Re: 言の葉 〜BASARA短編〜 ( No.1 )
- 日時: 2010/10/30 20:36
- 名前: 銀狼 (ID: 90mHMWes)
幸村のお話です。
ヒロインの名前は、水月です。
『君の泣き顔なんて見たくない』
「水月殿っ!!」
屋敷に、幸村の声が響いた。
「旦那…」
佐助はその姿を、ただ見ていることしかできなかった。
「水月殿っ!!目をあけられよっ!!!」
幸村の目の前には、血で体を汚した水月が横たわっていた。
彼女は弱く息をしていた。
幸村がこうして、彼女に呼び掛けている間にも、彼女の体からは血が出ている。
「某は、どうしたら…」
力なく、幸村がつぶやいた時
「幸‥む…ら‥様……」
血を流し続けている彼女のか細い声が聞こえた。
その声に、顔を上げると、薄く眼を開いている彼女の姿が目に入った。
「水月殿っ!」
幸村は、握っていた彼女の手に力を込めた。
「ど、して‥泣いて…いるの、ですか?」
「泣いてなどおらぬっ!それを言うなら、水月殿でござる…」
2人の目には、涙が浮かび、瞳から零れ落ちている。
「ゅ、き‥むら…様……」
「何もっ、言わないで下され…。死んでしまう……」
水月は、悲しそうな顔で幸村を見つめていた。
「なんで、俺の、某の傍から離れていくのだ…!」
幸村のその言葉は、酷く悲しかった。
「某を、置いて逝かないで下されっ……」
「真田の旦那…」
「どうしてっ!!」
叫び声は、悲しく屋敷内に響く。
誰も、何も言えないほどに。辛そうに、悲しそうに、苦しそうに。
幸村の叫びは響いた。
「笑って……くだ、さい…」
「笑うなどっ、出来ぬっ……」
「あな‥た、の…泣き顔‥なん、て‥見たくない……」
水月は、薄く笑いながら言った。
幸村には、彼女の流す涙が、異様に輝いて見えた。
辛そうな顔をしながらも、不器用に彼は笑顔を彼女に見せた。
彼女は、その笑顔を見ると、とても優しい微笑みを彼に送った。
それは、彼女が彼に送る最後の微笑み。
「っ!!水月殿っ!!!」
幸村の握っていた、水月の手が冷たくなっていった。
彼は、涙を流し彼女の手を力いっぱい握った。
佐助は、幸村に歩み寄り彼の肩に手を置いた。
顔を上げると、佐助は幸村にうなづいた。
幸村は奥歯をぐっと、噛んだ。
視線を彼女に戻すと、涙で濡れた笑顔で言った。
「ありがとう……」
END
- Re: 言の葉 〜BASARA短編〜 ( No.2 )
- 日時: 2010/10/30 21:05
- 名前: 銀狼 (ID: 90mHMWes)
政宗のお話です。
ヒロインは忍びです。
死ネタです。
『アオとアカの混じる視界』
「——!!政宗様っ!!!」
その瞬間だけ、すべての時がゆっくりと流れた。
雨で視界がかなり悪いはずなのに。
それなのに、なぜ雨は嫌な物をくっきりと映し出すのか?
貴方から飛び散った赤が、空のように青い衣を染め上げる。
ジワリと赤がにじみ広がる。
青い衣はみるみるうちに、赤で染め上げられる。
私はただ、呆然とその様子を見ていた。
次の瞬間、私の体を真っ黒い影が覆った。
底知れぬ恐怖に、唇は震え、足に力を入れていることさえもできない。
その場にへなへなと、座り込む。
「まさ・・・む・・ね・・・・様・・・・・」
自分のモノとは思えない、震えるか細い声で貴方の名前を呼んでいた。
「どっしてっ・・・・・」
頬を雨か涙かわからないものが伝う。
胸が苦しく、まともに息ができない。
視界は歪み、貴方の姿が見えない。
すぐ目の前にいるはずなのに。
貴方の姿を見ることができない。
今すぐにでも駆け寄って、貴方の名を叫びたかった。
なのに、体が動かない。
その場に、縫いつけられてしまったかのように。
私は立つことのできない人形のように、力なくその場に座り込んだままだった。
目にしている、この光景を壊してしまいたい。
ぐちゃぐちゃにして、2度と見ることのできないように。
すべてを・・・
貴方の青い衣。
もう、見ることはできない。
だって、赤く染まってしまったから・・・・・
いつの間にかやんだ雨。
やむことのない雨を心に降らせたまま、私は空を見上げた。
空は、嫌なほど青くて。
それは、貴方の青い衣を思い出させる。
視線を目の前の貴方に戻す。
地は、貴方の赤で染まっていた。
青かった衣も、青い部分がないほどに、染まってしまっていた。
空は青く、地は赤く。
私の視界に映るのは、空の青と地の赤の悲しき色。
その色は、貴方との別れを告げる色。
END
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。