二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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薄桜鬼 Loyal —誠— 第十章 〜もう一つの新撰組〜
日時: 2011/04/25 22:09
名前: mk (ID: PMHGkQdB)

「遅せぇよ」

広間に入ったとたん左之さんが文句を言った

それに永倉さんが続く

「おまえら遅いんだよ。この俺の腹の高鳴りどうしてくれるんだ?」

すると、平助君が呆れ顔で言った

「・・・新八っつぁん、それってただ腹がなってるだけだろ?困るよねぇこういう単純な人」

「おまえらが来るまで食い始めるのを待ってやってたおれ様の寛大な腹に感謝しやがれ!」

「新八・・・それ寛大な心だろ」

左之さんが永倉さんにつっこみを入れた

「すみません、私のせいで・・・」

千鶴ちゃんが二人の前で申し訳なさそうに頭を下げた

「いや、私のせいなんですよ」

私も2人に謝る

「なんでそいつが居るんだ?てゆーか、美波どこに居るんだ?」

「失礼な!ちゃんとここに居ますよ!」

私は斎藤さんの後ろから顔を出した

「なんだよ、居ちゃ悪い?」

平助君の言葉を聞いた永倉さんは慌てたように言った

「んなこたねぇが・・・。まぁ飯はみんなで食ったほうが旨いに決まってる」

「おい、そんなとこ突っ立ってないで、座れ」

左之さんはそう言うと横にずれた

「はいよ」

そこに平助君は千鶴ちゃんのお膳を置いた

「あ、ありがとうございます。藤堂さん」

「あのさー、その藤堂さんってやめない?みんな平助って呼ぶから」

「で、でも・・・いいの?」

「年も近そうだからそのほうがしっくりくるし。俺も千鶴って呼ぶから」

「あ、じゃあ・・・平助君で」

千鶴ちゃんが小さい声で言う

それに平助君が満足そうな顔して頷いた

「そう、それでいいよ!美波はここでいいか?」

そう言って平助君の横を指した

「うん!」

私は平助君の隣に座った

座ると平助君が私にお膳を渡してくれた

「ありがと!」

「おうよ!」

そうして、食事が始まった

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Re: 薄桜鬼 Loyal —誠— 第十章 〜もう一つの新撰組〜 ( No.1 )
日時: 2011/04/25 22:09
名前: mk (ID: PMHGkQdB)

それと同時におかず争奪戦が始まった

「今日も相変わらずせこい夕食だよなあ・・・。と、言うわけで・・・」

永倉さんが言葉を区切った後に大声で叫んだ

「隣の晩御飯、突撃だ!」

永倉さんが平助君のおかずに手を出そうとするのを平助君は守ろうとする

「ちょっと、新八っつぁん!なんで俺のおかずばっか狙うなぁ!!」

「ふはははは!!それは体の大きさだぁ!大きいやつはそれなりに食う量が必要なんだよー!」

「じゃぁ、育ち盛りの俺はもっともっと食わないとねー!」

二人のおかず争奪戦がさらに激しくなってく

たぶんこのおかず争奪戦で永倉さんは平助君しか狙ってないのだと思う

なんだか平助君がかわいそうな気がする・・・

そう思っていた・・・私の認識が甘かったようだ・・・・・・

「美波のおかずにも突撃だぁ!!」

なんと永倉さんは平助君を越えて私のおかずにまで手を出し始めた

「やめて〜!!」

私はお膳を抱えると平助君から少し離れたところに移動した

そして、再び私は平助君の隣に戻った

私が何をするのかが見当もつかなかったのだろう

2人とも不思議そうな顔をしている

その隙を突いて私は永倉さんのおかずをすばやく取った

「永倉さんのおかず取ったぞー!!」

私が永倉さんのところからとったおかずを高々と上げた

すると、我に返った永倉さんが大声を上げた

「ああっ!!このやろー!俺のおかずを返せー」

「へっへーん!いっただっきまーす!!」

バクリ

いっきに口の中へと放り込んだ

「美波けっこーやるじゃん!」

「まぁね!」

「俺のおかず〜!!」

平助君の隣で永倉さんが悔しそうな顔をした

「まぁまぁ、永倉さん私のおかずあげますから」

そうして私はじぶんのお膳にあったほうれん草のおひたしのかたまりを永倉さんのところに置いた

「ただ単に美波が食いたくないやつじゃねぇか!!」

そして、おかず争奪戦がさらに激しいものとなっていった・・・・・・

食事も終わりに近づいてきた頃、広間の戸が開き井上さんが入ってきた

「ちょっといいかい、皆・・・」

声はいつもどおり穏やかなのだが、顔は深刻そうな表情だった

和やかな雰囲気が緊張感漂う空気に変わった

「大阪に居る土方さんから手紙が届いたんだが・・・山南さんが重傷を負ったらしい」

井上さんがいい辛そうに言った

みんながその言葉に息を呑んだ・・・

「それで・・・山南さんは!?」

「相当の深手だと手紙には書いてあるけど傷は左腕とのことだ・・・。剣を握るのは難しいが、命に別状はないらしい」

「良かった・・・」

千鶴ちゃんは安心したように言った

山南さんが新選組の人でなければ良かったことなのかもしれない・・・

だが、山南さんは新選組の総長だ

「数日中には屯所に帰り着くんじゃないかな・・・それじゃ、私は近藤さんと話があるから・・・・・・」

そういい残し井上さんは広間を後にした・・・

「刀は片腕で容易に扱えるものではない。最悪、山南さんは二度と真剣を振るえまい・・・」

それを言われた千鶴ちゃんは暗い顔をした

「片腕で扱えば刀の威力は損なわれる・・・。そして、鍔迫り合いになれば確実に負ける」

「・・・・・・はい」

千鶴ちゃんはさっきの自分の言葉を後悔したようだ・・・・・・

「薬でも何でも使ってもらうしかないですね・・・。山南さんも納得してくれるんじゃないかなあ?」

沖田さんの言った【薬】・・・それはつまり変若水を表している・・・・・・

「総司。めったなことを言うもんじゃねぇ・・・。幹部が【新撰組】入りしてどうするんだよ」

永倉さんの言った言葉に千鶴ちゃんが不思議そうな顔をした

「新選組は新選組ですよね・・・?」

千鶴ちゃんは自分の疑問を言葉に出した

そして、そこに平助君が答えを与えようとしてしまう。

「違う違う。普通の新選組はこう書くだろ?【新撰組】はせんの字を手偏にして・・・・・・」

「平助!!」

左之さんが勢いよく立ち上がり平助君に殴りかかる

「やめて!」

自然に体が平助君を庇う体制になった

その瞬間私の体に強い衝撃が走った

「美波ちゃん!!」

そのまま勢いに負けて私のからだが後方に飛ばされる

そして壁にぶつかって止まった

 げほっ

手を見ると赤い色の液体がついていた

あまりの痛さにうっすら涙が浮かんできた

「だ、大丈夫か!?」

左之さんが近寄ってきた

「ええ、このくらい・・・平気です」

「だけど・・・お前、血を吐いてるじゃねぇか!!」

「大丈夫ですって!それよりも、平助君・・・だめだよ、もっと千鶴ちゃんのこと考えてあげて?」

「ご、ごめん・・・・・・」

「ちょっと・・・水汲んでくる」

そう言って私は広間を出た・・・・・・

井戸に行き水を汲む

口の中にまだ残ってる血の味が消えるまで水で口をすすいだ

『大丈夫か?』

「あー、うん・・・まぁこのくらいなら別になんともない」

『そうか・・・・・・。それよりあの山南という男はお前の忠告を聞き入れなかったみたいだな』

「聞いたけど、とっさのことで他の方法が思いうかばなかったかもしれないよ?」

『まぁ、帰ってきたときに分かるか』

黎はそういうと喋らなくなった

2・3分くらい休んだ後にまた広間へと向かった

すると広間のほうから斎藤さんの声が聞こえた

「忘れろ。深く踏み込めば、お前の生き死ににも関わりかねん」

声がとても冷たい・・・

いつもの感情に乏しい声ではない・・・

今までより冷たい声音だった・・・・・・


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