二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ティルズオブヴェスペリア
- 日時: 2011/06/06 16:08
- 名前: ナミ (ID: KhKffjC.)
はじめまして!ナミです!
見てくれてありがとうございます^^
この小説はティルズオブヴェスペリアのエステル中心の小説です。
コメント沢山書いてくれると嬉しさ2倍です!
※注意事項※
・更新は遅いです。
・変換ミス等あるかもしれません。
・荒らしはやめてください。
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- Re: ティルズオブヴェスペリア ( No.1 )
- 日時: 2011/06/06 17:46
- 名前: ナミ (ID: KhKffjC.)
プロローグ
帝都ザーフィアスの夜は、濃い闇に覆われていた。
(いつもこんなふうだったかしら……)
以前の夜の景色をうまく頭に描くことができない。思いかけず旅が長引いたせいなのか、それとも—
久しぶりに自分の部屋に戻ったというのに、エステル——エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン——は、晴れぬ心を抱いたまま、窓辺からそっと離れた。
小鳥のレミリアは籠の中で浅い夢に浸っているようだが、床にうずくまっていたラピードは、その空気の波に鼻をひくつかせ、右目を開ける。
「クゥ……ン」
いつもなら、エステルの動きに反応する事などまずないと行っていい。彼女が仲良くしたいと努力すればするほど、そっけない振る舞いを貫いてきた犬だ。それだけに、飼い主であるユーリ・ローウェルの不在がこたえているように、エステルには思える。
「ラピード、寒くないです?」
彼女はそっと部屋を横切ると、ラピードに近づきすぎないように気をつけながら、傍らのソファーに腰をかけた。
「……」
ラピードは逃げもしないかわりに再び目を閉じてしまった。エステルは軽いため息お着きながら、大きな犬が装備している見慣れた武醒魔導器に目を落とす。
「少しお話いていいです?」
楽な夜着に着替え、早く眠るべきだと思いながらも、エステルは尋ねるともなく聞いてみた。ときおりこの犬は人語を解しているとしか思えない行動をとるのだ。
「……」
ラピードがくわえたままのキセルが、微かに動いた。エステルの唇に微笑が浮かぶ。
「……もう、あれから五日……」
ザウデ不落宮からユーリが姿を消した日から、すでに五日が経過していた。
巨大魔核の落下によってエステルと仲間たち——ラピード、カロル、リタ・モルディオ、レイヴン、ジュディスそしてフレン・シーフォ——はユーリをしばし見失ってしまったのだ。ようやく巨大魔核に分断された不落宮の上を探すことがきたとき、彼の姿はどこにもなかった。
おそらく衝撃で海に墜落したのだろうと必死に探してみたが、手がかりすら見つから見つからない。フレンにいたっては船を使って何度も何度も沖合いまで捜索してみたが、それもすべて無駄に終わった。
「ねぇ、ユーリがいなくても……」
フレンがユーリを見つけられないまま任務にもどったのち、最初におずおずと言い出したのはカロルだった。
「ユーリがいなくても、さ。ボクたち、自分にやれることをしようよ。」
エステルたちはしばし無言で顔を見合わせた。
(自分にやれること……)
ユーリなしでそんなことできるのだろうか、とエステルは悲しみの中で思った。
これまでいつも、仲間たちの先頭にはユーリがいた。彼がいてくれたから、踏み出す足に力を入れることができたのだ。
今はまだユーリが消えたことに呆然としていて、彼なしでうまく歩き出すことすら考えられそうにない。
「……そうね。じゃ、あたしはザウデに戻るわ。」
気が進まぬ口調で、リタが応える。
「もう一度ユーリを探すんです?」
違うわよ、とリタはため息まじりに肩をすくめ、
「あの古代遺跡は調査しがいがあるわ。エステルの役に立つことがあるかもしれないし……。」
と、最後は自分を励ますかのように言う。
“リタ・モルディオの名にかけて、絶対何とかしてみせる——”
エステルはザウデ不落宮に向かう前の晩の、リタの言葉を思い出した。
“エステルを捕らわれの身逆戻りなんてさせない。二度と物扱いになんか”
「一緒に行くわ」
ジュディスが申し出た。
「あ……ありがと。」
リタはぎこちなく、それでもほっとしたように礼を言う。
「で?少年はどうすんのよ。」
レイヴンが腕組みをしながら、言いだしっぺの顔を覗き込んだ。
「……ボクは……ダングレストに戻るよ。」
「んだね。ヘアクレスに続いてザウデとくりゃ、ギルドの連中もさぞ警戒してるだろうねえ。」
レイヴンは応え、
「んじゃ、俺もこっち行くとすっかね。」
とカロルの方を顎をしゃくってみせた。
「エステルはどうするの?」
カロルが尋ねる。
「あ、わたしは……ザーフィアスに戻ります。」
意を決めたように、エステルは告げた。
「そう……。戻ってどうするの?」
ジュディスが問いかける。
「そうですね。あそこにはケガしている人がたくさんいるでしょう?わたしも自分にできる限りのことをしょうと思います。」
「ちょっ、あんた自分の体にことわかってんの?治癒術使ったら、どれだけ負荷がかかるか……。」
とんでもない、という口調でリタが言った。カロルも心配そうにエステルを見つめている。
「心配しないでください、無理はしませんから。それにラピードをここに置いておくわけにもいきませんし。」
エステルはラピードをちらりと見たが、彼はそっぽを向いたままじっと動かない。
ラピードも心配しているんだわ、とエステルの胸は痛んだ——
「自分たちにやれることを……。」
エステルはつぶやいた。
ユーリがいなくても、わたしにできることを……いいえ。」
彼女はかぶりを振り、きゅっと眉を寄せる。
(わたしがやるべきことをやらなくては!そうですよね、ユーリ……)
エステルはゆっくりと振り向き、窓の向こうに広がる夜の内を、探るように見つめた
- Re: ティルズオブヴェスペリア ( No.2 )
- 日時: 2011/06/08 17:43
- 名前: ナミ (ID: KhKffjC.)
第1話
「おはようございます、レミレア。ようやくお目覚め?」
彼女はソファのわきの鳥籠を覗き込む。華奢なボールに吊るされた籠の中から、ようやくまだ眠たそうな囀りが聞こえた。先刻エステリーゼが食堂に出て行くときには、まだやわらかな羽根に顔を埋め、眠っていたのだ。
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