二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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東方先導者 東方×ヴァンガード
日時: 2011/07/06 21:42
名前: いざゆう (ID: 3M9YBG03)

ストーリー:宇宙のどこかにある地球によく似た惑星・クレイと我らの住まう星・地球が何らかの原因によって衝突することが判明。異変に気付いた両星の一部の者たちは行動を開始する…。




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第一話「二つの星の異変」 ( No.1 )
日時: 2011/07/06 21:47
名前: いざゆう (ID: 3M9YBG03)

 この宇宙には、未だ我々の知らない惑星が数多く存在している。『惑星クレイ』もそのひとつである。

この惑星は地球と同じように数多くの生命体、そして国家が存在しており、それぞれがそれぞれの文化を育んでいるのである。

そして、そのクレイの地に存在する神聖国家、『ユナイテッド・サンクチュアリ』にていち早く異変に気がついた者がいた。

「アマテラス社長! 大変です!」

惑星クレイでは知らぬ者はいないと言っていいほど有名かつ巨大な企業、『オラクルシンクタンク』の社長室のドアを一人の少女が荒々しく開けた。

彼女の名は『ロゼンジ・メイガス』。同社が誇る天才占い師であり、若年者ながら社への貢献は大きい。

「これ、ロゼンジ。他人の部屋に入るときはノックをしなくてはいけないではないか。新人研修のときにも言ったであろう」

豪奢な着物に身を包んだ才色兼備のカリスマ経営者、『CEO アマテラス』がロゼンジを叱った。しかし、口調は穏やかだった。

「申し訳ありません…」

「それで、どうしたと言うのじゃ?」

「それが、先ほどの予言業務の最中にとんでもない予言が頭に浮かんだのです…」

「なん…じゃと…」


 彼女たちがそのようなやりとりをしているのとほぼ、時を同じくして地球にはヴァンガードファイトに興じる二人の少女の姿があった。

少女たちがいる場所は地球上に存在する土地の中でも極めて異質とされる里、『幻想郷』である。

「いくぜ! メテオブレイク・ウィザードでアタックだ!」

「エレインとリアンで防御よ!」

攻撃側の少女は普通の黒魔術師こと『霧雨魔理沙』である。蒐集癖のある魔法使いで、よくここ『博麗神社』へ遊びに来る。

そして、防御側の紅白の少女こそが幻想郷とそれの外の世界を隔てる結界を護る巫女、『博麗霊夢』である。

「トリガーチェック。—オラクルガーディアン・ニケ、サイキック・バード」

「クリティカルトリガー二枚引き!? そんなの防げるわけないじゃない! ああ、私の負けか…」

不運な紅白の少女は意気消沈した様子で畳の上に並べてあるカードを一枚ずつ回収し始めた。魔理沙も同じく自分のカードを片付け始めた。しかし、霊夢と違って満足げな顔である。

「やっぱり面白いよな、このゲーム」

「そうよね。一週間くらい前に紫の奴が『外の世界でハマったのはいいけど幻想郷では対戦相手がいないから』とか言って幻想郷中に『騎士王降臨』と『竜魂乱舞』を一カートンずつ、おまけにトライアルデッキまで配って回ったのよね。不覚にもハマったわ」

表の世界の品物が『八雲紫』という妖怪によって幻想郷に持ち込まれることがある。言うまでもなく、霊夢たちがヴァンガードを楽しんでいるのは紫がカードを幻想郷に持ち込んだからである。

ヴァンガードにふけているのは霊夢たちだけではない。人間、亡霊、妖精、吸血鬼、神、月人、その他の妖怪すべてが例外なくカードに没頭しているのだ。

その夜は月が最も丸く見える日だった。

ヴァンガードファイトを流布させた張本人、八雲紫は自身の式神『八雲藍』とヴァンガードを楽しんでいた。ほぼ誰も知らない彼女の隠れ家の縁側に腰かけ、二人はカードを並べていた。

「紫さま、ヴァンガード大流行りですね。かくいう私もハマってますけど」

藍が照れた様子で手札で顔を隠した。

「そうね。ここまでとは予想外だったわ。いっそスペルカードを廃止して争いはヴァンガードで解決するようにしたらいいかもしれないわね」

「そんな馬鹿な…。あっ、紫さま、ソウルチャージ忘れていますよ」

「あら、ごめんなさ…」

ミスを訂正しようとした紫だが、なぜか放心状態になっていた。藍が主の顔を心配そうに覗き込んだ。

「紫…さま?」

「聞こえる」

「え? 何がですか?」

「彼の…声が」

ぽつりと小声でこぼす紫だが藍は彼女がどうしてしまったのかさっぱりわからないようすであった。

第二話「満月の夜に」 ( No.2 )
日時: 2011/08/13 09:41
名前: いざゆう (ID: 3M9YBG03)

 太陽がまだ顔を出さない時間帯の暗くて静かな博麗神社に一人の訪問者がいた。気味の悪い「スキマ」と呼ばれる空間から出てきたのは紫である。何もない空間から突如現れるその姿を見た者は初めのうちは例外なく驚くことであろう。

「今夜は綺麗な満月ね、霊夢」

「ちょっ…なんなの? こんな夜中に…」

明らかに不機嫌そうに霊夢が身を起こした。さらに、目を半開にしてあくびを連発した。

「ごめんなさいね、あいにく私の主な活動時間は夜間なものだから」

まだ布団の上に座った状態の霊夢の隣に紫が腰をおろしながら紫が言った。真夜中に図々しく訪問したことについて全く悪びれた様子は見せない。

「未知との遭遇に興味はないかしら?」

「宇宙人ならこの幻想郷でときどき会う」

あからさまに興味なさそうに答えた霊夢に紫は静かに笑いをこぼした。

「ふふ。今から私が言う二つのことを聞いたら興味を持つと思うわ。一つ目、あなたに会わせたいのは、あなたのイメージの中にも存在する者。二つ目、今この幻想郷にかつてないほどの大異変が起きようとしている」

「え? それってどういう…」

露骨に興味を持ち始めて詰め寄ってきた霊夢を紫が左手で制止した。その顔に意地悪そうな笑みを浮かべて。

「異変解決はあなたの役目のはずよ? 自分で調査しなさいな。じゃあね」

「ちょっ…。待ちなさいよ!」

霊夢は紫の腕を掴もうとしたが、掴んだものはただの空気だった。彼女はさっさとスキマ空間へと逃げてしまったのだ。未知との遭遇に興味がないかと聞くだけ聞いて。妖怪とは人間にとって理解しがたい行動を取る者たちなのだ。

 夜が明けて図々しくも朝早くから博麗神社に例の魔理沙がやってきた。他人の都合など微塵も考えていないようだ。

「よう、霊夢。何を難しそうな顔しているんだ?」

縁側にどんと腰掛け、ふうと一息ついた。

「昨日の晩…っていうか正確には今日のことなんだけど、また紫の奴が不可解なことを企んでいるみたいなのよ」

「へー。まあ、いいじゃないか。いつものことだし。それより新しいデッキを組んできたんだがファイトしないか?」

結局、紫のことなど忘れて彼女たちは昨日と同じようにカードゲームに現を抜かすのであった。


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