二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【ボカロ】clock lock works
- 日時: 2012/05/13 11:39
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
これで二作品目になりました、ユーシェです!
実は一作品目なんですが、まだ完結してないにも関わらず二作品目を書いてしまいました…orz
同時進行で進めていこうと思うので、宜しくお願いします!!
※更新スピードは亀です
※ハチさんが作曲された“clock lock works”という曲を、自己解釈で書いていきます。
他の解釈などはいっさい見てないので、完全にユーシェワールドになってます。
※多少歌詞の台詞が入ることがあります
※短編予定。とか言いながら、今まで長編になってます…w
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- Re: 【ボカロ】clock lock works ( No.2 )
- 日時: 2012/05/13 22:25
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
【第1話 軽音部】
「ミクー、もうちょっと音合わせられない?」
窓から日差しが入り、ぽかぽかしている音楽室。そこには先輩方を含め、高校2年生の私達、軽音部がいつものように活動していた。
声をかけてきたのは、私と組んでるルカちゃん。キーボードを担当している。
「だってー、しょうがないじゃーん」
私が頬を膨らせ、ふてくされながら言う。ついでに私はギター担当。
「俺もそう思う。やっぱりじゃっかん音ずれてるんだよなぁ…」
「カイトまで!?」
わざとおおげさに驚いた表情をする。
ルカに同情して言ったのはカイト。いつも暢気で気まま。ドラム担当。
「もー早くやろうよ!!分かったから!!」
苛々した口調で私が急かすと、2人は目を合わせ、イントロを奏で始めた。
…ほんと、部活って楽しくない。中学校も。
心の隅で、そう愚痴った。
- Re: 【ボカロ】clock lock works ( No.3 )
- 日時: 2012/05/13 12:25
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
【第2話 突然の転入生】
眠い眠い朝。
夏だろうが冬だろうが、どんな季節だって布団は恋しい。私はとびっきり朝が弱く、週に1回ぐらいは寝坊し、遅れて来る。
そんなこともあってか、よく先生には目をつけられていて、いちいち五月蝿い。
その苛々が溜まりに溜まって、たまに他の子に強い口調で喋っちゃうこともある。
完全に悪循環だ。
今日もギリギリに学校につき、急いで着席する。そしていつものように朝のHRが始まる…と思っていた。
「それから、今日転入生がこのクラスに来ることになった」
おじさん年代の若林先生がそう言った。すると、ガラガラっと扉が開き、その転入生がクラスに入ってきた。その瞬間、男子は息を呑み、女子は目を輝かせる。
黒板に、白いチョークで書かれた文字をゆっくり読んでいく。
「『緑音(りょくね)グミ』か…」
カツカツ。音がクラスに響く。
その音が止むと、グミっていう子は前を向いて明るい口調で自己紹介をし始めた。
「緑音グミです!お父さんの転勤の関係で引っ越してきました!
部活は軽音部に入るつもりです。宜しくお願いします!!」
一礼すると、盛大な拍手がグミに送られた。仏頂面でいるのは私だけ。
「それじゃあ緑音さんは、そこのあいてる席に座ってくれ」
先生が指をさしたのは、私の机の列の一番後ろだった。
微笑みながら、グミはとことことはや歩きで席に座った。
「それでは、今日の連絡から——」
グミ…か。
しかも軽音部に入ると聞いて、なんだかうきうきしてきた。もし入ったとしたら、私達のバンドに加わるのだろうか。それとも他のバンドかなぁー…
今日は、ちょっと特別な朝だった。
- Re: 【ボカロ】clock lock works ( No.4 )
- 日時: 2012/05/13 22:31
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
【第3話 やっぱり入ってきた】
あのグミという子は、やっぱり軽音部に入ってきた。
「緑音グミです!前の学校でも軽音部に入っていて——」
そしてさらりと慣れた口調で自己紹介を終え、皆が見ている前でペコリとお辞儀をする。その瞬間、周りから拍手がどっと聞こえてきた。
なんだよ、このぶりっこ。
そう心で愚痴りながら、皆がぞろぞろと練習し始めた。
よりにもよって、グミは私達のバンドに加わることになった。
「私、前の軽音部でギター弾いてたんだ!」
笑顔でグミが話す。
「へぇ〜…それじゃあミクと同じだね!」
ルカが明るい声で言った。すると、2人の様子を見ていたカイトが「それじゃあ」と提案してくる。
「ミクとグミ、どっちが上手いか対決しないか?」
馬鹿!!絶対グミの方が上手いに決まって——
「うん、分かった!でも私下手だからなぁ…宜しくね、ミクちゃん!」
何も気にしてない、純粋な笑顔でグミが言った。
「うん、宜しくー!」
一方私は、笑顔を顔に無理矢理貼り付けて言う。
物凄い嫌な予感がした。
- Re: 【ボカロ】clock lock works ( No.5 )
- 日時: 2012/05/14 00:15
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
【第4話 1年生の頃の】
グミちゃんが早速、ギターを肩にさげてマイクを正面に設置した。弾きながら歌うらしい。
曲名は分からないけど、穏やかな音色だった。まるで音符1つ1つに綿がついてるような、そんな感じ。柔らかくて、自然と眠たくなってきた。
あっという間に曲が終わると、私達は微笑みながら拍手をした。遠くで練習していた人達も振り向いて拍手するほどだ。
あぁあ、なんで順番先じゃないんだろう。
私はそう悔やんだ。
「それじゃあ次、ミクな!」
カイトが満面の笑みで言う。その笑みがどういう意味か分からないが、とりあえず弾くしかない。マイクの前に今度は私が立った。
弾きながら歌うっていうのは久しぶりだ。
1年生の夏ぐらいまでは弾きながら歌うという形で活動していた。その時は調子が良く、よく先輩方にも褒められたり、カイトやルカに感心されてた。
それが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
だけど。
バンドを組み、ギターだけ弾き始めた。そこから私のペースはどんどん落ちていき、最近では周りの音と合ってないなどの初歩的なことを指摘されるようになった。
悔しかった。
たくさん練習した。
それでも……どうしても成果がでなかった。
時々布団の中で隠れて泣いた時もあって…
たぶん弾きながら歌うことも下手になっているのだろう。どうせ笑われるだけだ。
最初からショックになることを想定して構え、大きく深呼吸した。
そして、イントロから優しく、優しく奏で始める。
その曲は、“clock lock works”だった。
入り始めの頃。何を弾くか迷い、やっと見つけたのがこの曲だった。
弾いて歌っていると、どんなに苛ついている時も穏やかでいられた。楽しく弾けて歌えた。
懐かしい、埋まっていた思い出が次々と浮かんできた。その都度、私の顔に絡まった糸がどんどん解けていくような気がしてならなかった。
弾き終わると、なぜか歓声が起こった。私が首を傾げていると、グミが声をかけてきた。
「凄かったよミクちゃん!!声とかギターの音とか、力強いんだけど…なんていうか…
包み込まれたって感じ♪」
言っている意味がよく分からなかったが、とりあえず「グミちゃんも良かったよ」と返しておいた。
こんな気持ち、久しぶりだ。
- Re: 【ボカロ】clock lock works ( No.6 )
- 日時: 2012/05/14 00:58
- 名前: ユーシェ (ID: DOGZrvXb)
【第5話 裏切られたような】
後日。
これからの私は変わる、そう思っていた。
周りから褒められて、称えられて、いつかは有名なバンドになる…そんな夢をいつしか抱いていた。
だけど、やっぱり何も変わらなかった——
「グミちゃんボーカル上手いね!!」
ルカが感激する。一方の私は、隅でグミを見据えながらギターを持っていた。
今さっき、グミがギターを弾きながら歌い、後の皆はいつも通りのポジションで曲を奏でていた。
またギターだけに戻った私は、なぜか前日とは比べ物にならないほど下手っぴで、グミが弾いているギターと全く音が合っていなかった。
強さだって、完全にかき消されている。
なぜだろう。そんな考えが頭をよぎる。でも、何も解決策が思いつかない…
「おーいミクー。しっかりしてくれよー」
「ちっ……分かってるってば!!!」
つい舌打ちをし、大きな声で叫んでしまった。これじゃあ自己中なだけだ。
気まずい沈黙が流れた。
「…悪かったな」
カイトが目線をそらしながらそう言った。だけど、私は何も言う事ができなかった。
もう嫌だよ。
もう。
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