二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【ハリポタ】呪術少女と魔法学校【感想募集です;】
- 日時: 2012/07/06 22:19
- 名前: 更紗蓮華 ◆huAZHxao6. (ID: 9uhgIwvd)
二次小説板でははじめまして? 更紗蓮華です。
今まで利用していた二次創作用の投稿サイトが、運営を終了してしまうらしいので、
慣れ親しんだこちらに引っ越すことにしました。
といっても、向こうではまだ書き途中だったため、公開はしていなかったのですが……
遅々とした進みでお送りしていきますが、よろしくお願いします。
※注意※
1.オリキャラが主人公です。
2.独自解釈・設定のオンパレードです。
3.原作崩壊の恐れがあります。
4.シリアス予定です。
5.一部原作キャラのアンチがあります。
以上のことを不快に思いましたら、今すぐ戻るボタン推奨です。
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- Re: 【ハリポタ】呪術少女と魔法学校 ( No.1 )
- 日時: 2012/07/04 17:32
- 名前: 更紗蓮華 ◆huAZHxao6. (ID: 9uhgIwvd)
「う〜……」
毎日のようにセミが鳴き、太陽はギラギラと照っている。季節は夏真っ盛り。
町外れにある大きな日本家屋の一室で、一人の少女が分厚い本とにらめっこをしていた。
肩口でバッサリと切り揃えられた、艶のある黒髪。
黒曜の瞳は明るい光を宿し、歳相応のあどけなさの中にどこか怜悧さが見て取れる。
年は小学校高学年くらいだろうか?
まだまだ幼い子供の印象が抜け切らないが、将来は間違いなく美人になる、そんな優雅さと気品のある少女だった。
しかし、そんな大和撫子の原石のような少女だが、解いているのは夏休みの宿題ではない。
9月に入るまでにこなさなければならないという点では、ある意味宿題なのかもしれないが。
「な、なんでこんなに家名とか覚えなきゃなんないの?」
古めかしく豪華な装丁の本には、英文がびっしりと書き込まれている。
明らかに小学生の理解できる範囲を超えているが、この少女にはだいたい読めているようだ。
その脇で様子を見守っていた中学生くらいの少年が、苦笑を浮かべた。
「姫様、姫様はあくまで大使として出向くわけですから。
先方の文化や歴史を学ぶのも、大使の役目の一つですよ?」
「これは絶対に文化や歴史の範囲を超えてるでしょ……」
疲れ果てた声でそう呟くが、反論する気力はないようだ。
大きくため息を付いた姫君に、少年は優しく言った。
「そう言わないでください。長だって、姫様ならできると思ってお任せしたわけですから。
英語だって、全く話せないところから、わずか三ヶ月で習得なされたでしょう?」
「それは、そうだけど……」
少年の言葉に、少女はくちびるを尖らせてうつむく。
「大丈夫ですよ。現に、今までの目標は全て達成されているではありませんか」
少年が思い浮かべるのは、ここ五ヶ月ほど、毎日のように机に向かって唸る姫君のこと。
できない、無理だなどと弱音を吐きながらも、最後には完璧に自分のものにして、自分や兄姉に向かって胸を張る無邪気な姿。
少年は、自分の主がどんな苦行も乗り越えられると信じていたし、確信していた。
「さあ姫様、後二週間ですよ。頑張りましょう!」
「はーい……」
少年に励まされて、少女はのろのろと本のページをめくり始めた。
- Re: 【ハリポタ】呪術少女と魔法学校 ( No.2 )
- 日時: 2012/07/04 17:34
- 名前: 更紗蓮華 ◆huAZHxao6. (ID: 9uhgIwvd)
そして、二週間後。長期旅行用のトランクを持って、少女と少年は空港に降り立った。
ここはイギリス。初めての異国に、少女はなんとなく落ち着かない雰囲気だ。
「ね、ねえ晶。ここで合ってるんだよね……?」
不安そうに見上げてくる少女に、少年は微笑む。
「ええ、姫様。もうじき、迎えの方がいらっしゃるはずですよ」
優しくそう言った少年に、少女は少し緊張がほぐれたのか、頬をふくらませる。
「もうっ! 外では『姫様』って呼ばないでって言ったでしょ?」
「すみません、そうでしたね。鈴様」
時折覗くその子供っぽい仕草に、少し癒される晶。
そんなことは露知らず、鈴はスッと背筋を伸ばすと、凛とした態度で前を見据えた。
さて、一体なぜこの二人はイギリスに来ているのか。
それは、鈴が石動家の末娘にして『裏』の次期当主であることから始まった。
そもそも、石動家とはなんなのか。
鎌倉時代から続く名家にして、各分野に支社を持つ石動財閥のトップ、というのが、一般的に知られている立ち位置だ。
確かに、それも正しいだろう。
しかしその正体は、世間ではオカルトとされている神秘の技、呪術を操る呪術師の名門。
西洋世界で言うところの、魔法族だった。
日本における魔法族は、欧米諸国のそれとは全く異なる文化・能力を持つ。
さらに家門によって様々な特色を持つ呪術は、ヨーロッパ語圏のものに比べて、格段に多いバリエーションがあった。
しかし、扱う呪術が違えば、その思想も異なることが多い。
意識の違いからぶつかることの多い各家をまとめているのが、呪術連盟だ。
家門同士で争いがあった時の平定や、難しい仕事の分配などを行なっている。
日本政府に付属しているわけでもない、全くの独立した組織だ。
当然、石動一門もその中に名を連ねている。
その日本の呪術連盟とイギリスの魔法省が、江戸時代の鎖国、昭和の大戦の影響で
長い期間絶たれていた交流を復活させようという動きが出ていた。
その取り組みの一環が、親善大使を兼ねた交換留学生。
そんなわけで少女、石動 鈴はホグワーツ魔法魔術学校に留学するよう、任じられたわけだ。
- Re: 【ハリポタ】呪術少女と魔法学校 ( No.3 )
- 日時: 2012/07/04 17:37
- 名前: 更紗蓮華 ◆huAZHxao6. (ID: 9uhgIwvd)
二人が空港で待ち始めて、十分後。
「御二方、ようこそイギリスへ。おまたせしましたか?」
「いえ、そんなことはありません。わざわざご足労いただき、恐縮です」
ひょろっとした西洋人の男性が、悠々と、というか陽気に現れた。
髪は明るい茶髪で、綺麗な淡褐色の瞳をしている。
顔には明るい笑みを浮かべ、それでいて大人の落ち着きを見せていた。
「私、シャロン・ラシュビーと申します。
リン・イスルギ様と、アキラ・コンドウ様ですね?」
名前の部分で若干噛みそうになりながらも、にこやかな笑みを絶やさない。
それに答えるように、鈴と晶も笑顔で頷く。
「では、どうぞこちらへ。ご案内します」
そう言って、空港の出口に向かって歩き出す一行。
どこへ? とは聞かない。行き先は魔法関係の場所だし、ここには一般人が多すぎる。
(それにしてもこの人……すごい妖力)
そんなラシュビーの背中を見て、鈴は感心したように呟く。
妖力、とは西洋世界で言うところの魔力のことだ。
鈴の目には、彼の体から溢れ出る淡い赤色の気が映っていた。
他の流派と比べても、一際個性的な特徴を持つ石動の呪術師は、その呪術の特性と家の歴史上、他のどの流派よりも妖力に敏感なことで知られていた。
他の家門の一般的な呪術師が、かろうじて自分の妖力を感じ取ることができる程度なのに対し、
石動の呪術師は、たとえ末端に位置するものでも、他人の妖力の流れを感じ取ることができる。
その場に残った妖力の残滓から術師を追尾するなどはお手の物。
高位の者になると、その人特有の妖力の色を見分け、その揺らぎから感情を読み取ることすらできる。
鈴も、まだ年は若いが、次期当主に任命されるほどの実力は持っている。
その穏やかな妖力をじっと見つめて、歩きながらしばし考え込んだ。
(晶よりも多いんじゃないかな? これ。綺麗な色……
それに、すごく穏やか。全然揺らぎがないよ)
見た目によらず、かなりの実力の持ち主。
そう結論づけた鈴は、不意にふっと笑った。
(でもまあ、才蔵お祖父様ほどじゃないけどね!)
祖父の穏やかな双眸と、湖面のように静かな藍色の気を思い浮かべ、少し得意げになる。
目の前に立つだけで、しんと体の芯が醒めていくような、痛みを伴わない威圧感。
深海に沈んでいくようなその感覚を思い出すと、鈴はいい意味で肌が粟立った。
(私も、ああなりたい!)
静謐さと熾烈さを併せ持つ、歴代の誰よりも洗練された祖父の術。
その領域を目指して、少女は日々鍛錬に励むのであった。
- Re: 【ハリポタ】呪術少女と魔法学校 ( No.4 )
- 日時: 2012/07/06 22:16
- 名前: 更紗蓮華 ◆huAZHxao6. (ID: 9uhgIwvd)
そうして面倒くさい外交の挨拶などを終え、鈴たちは漏れ鍋の一室で、ほっと一息つく。
新学期が始まるまで、2週間。その間に教科書などを揃える必要がある。
入学届けの手紙(当然英語)を読みながら、鈴は興味深そうに呟いた。
「やっぱ、あっちとはだいぶ違うんだね……」
必修科目の教科書一覧を眺めて……そもそも、このあたりからして日本とは異なっている。
日本における呪術は、家柄や流派によって全く異なるものだ。
それぞれの家の中で必ず教わる基本などはあっても、全員が共通して習うものなど、あるはずがない。
画一化された技術。ほとんど全世界に広がった『魔法』という概念に、少なからず興味をそそられたようだ。
「というか、他の国からすると、日本の呪術の方が変なんだよね」
——世界中で貨幣による経済が発展してる中で、物々交換してるみたいな?
鈴は、その聡明な瞳に冷たい光を宿して、ひとりごとのように囁いた。
彼女にしては珍しく、その声色には微かに皮肉な響きが混じっている。
「まあ姫様、そう言わずに」
それをなだめる晶の言葉も、失望の色を隠せない。
自分でもそのことに気づいたのか、晶は薄く口元を歪めた。
自分たちとは、まるで違う力。
様々な流派が入り混じった文化は、外から見ると全く系統立っていないのだろう。
なおかつ、全体的に古きを重んじるその風潮は、いささか保守的に過ぎるように映っているようで。
……要するに、明らかに下に見られていた。
「あーもう、やってらんないよ!」
ぽぉん、と枕を放り投げながら、鈴は苛立たしげに声を荒げた。
それでも周りの耳を気にして抑えているのは、さすがというべきか。
そのままの勢いでベッドに倒れ込み、唇を噛む。
それを見ていた晶も、苦々しい表情を浮かべた。
別に、直接見下すようなことを言われたわけではない。
一応表向きは対等な立場ということになっているのだから、そんなことをしたら国際問題た。
態度だって、確かに丁寧。普通の人が傍から見ただけでは、敬意を払っているようにしか見えなかっただろう。
……ただ、相対していたのは仮にも一家門の次期当主だ。
「明らかに軽視されてた。しかも隠す気ゼロだし……
……いや、こちらを侮ってたんだから、気付かれないとでも思ってたのかな?
どっちにしろ、むかつく! ご丁寧にも助言なんてくれちゃってさ、なんだよあの態度!
『出る杭は打たれる』だって? 自分たちと違う文化を見下して、ただ悦に入ってるだけじゃない!」
その時の会話を思い出したのか、ギリ、と奥歯を鳴らす。
ますますヒートアップしていきそうな勢いに、さすがにまずいと思ったのか、晶は止めに入った。
「姫様、姫様。いくら結界を張っているとはいえ、それ以上はさすがに……」
めったに見られない姫君のご乱心に、焦りを隠せない。
その声に我に返ったのか、鈴は目を閉じ、長く息を吐いた。
心を落ち着ける呼吸法で平静を取り戻した鈴は、静かに言った。
「確かに、西洋では日本の呪術は馴染めないとは聞いたけどさ……さすがに、ね。
ここまでは、ちょっと予想外だったかな」
——悔しいよ。
聞こえるか聞こえないかの、微かな声。
誰よりも家を、家族を愛する姫君の傷つく様を、晶は見たくはなかったが、
自分ではどうにもできないことに歯がゆく、胸が苦しくなった。
いきなりのドシリアスです。その上若干の魔法省アンチです。
でも、純血主義のコーネリウス・ファッジが大臣をやってるんだから、
自分たちよりも遅れているように見える文化を軽視するぐらい、しそうですよね。
でも、私は原作は大好きです。
- Re: 【ハリポタ】呪術少女と魔法学校【感想募集です;】 ( No.5 )
- 日時: 2012/07/13 07:18
- 名前: 更紗蓮華 ◆huAZHxao6. (ID: 9uhgIwvd)
しばらく沈黙が続いたが、やがて吹っ切るように体を起こしながら、鈴が言った。
「まあでも、来ちゃったものはしょうがないよ。
教科書とか買いに行こ、晶」
ベッドの脇においてあった小さなカバンを取って、鈴は部屋から出る。
「ほら、行こ?」
廊下から部屋に顔を出して、そう晶に促すと、晶も少し大きめのカバンを背負って、すぐにあとに続いた。
いちほ。
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