二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【銀魂】 短編・番外編集
- 日時: 2012/08/17 15:41
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
銀魂の短編・番外編集です。
(泡)は「泡沫の花」、(π)は「π《パイ》」、(神)は「千紫万紅」表記なしは普通の短編です。
攘夷多め。八割の確率でオリキャラが出てくるので、「泡花」を読んでから見た方がいいと思います。
短編・番外編の例
・キャラの誕生日小説
・長編番外編
・オリキャラ過去話 etc……。
モットーは、『書きたいものを書きたいときに』!
目次
和菓子への情熱(泡) >>01 神隠し >>02
若気の至り 壱(泡・・・?) >>03 いつか書きたい話 >>04
じょうい妄想(という名のメモ)>>05
桂小太郎誕生日小説 胡蝶と青花 【壱】>>06 桂小太郎誕生日小説 胡蝶と青花【弐】 >>07
せんそう >>08
弥太郎過去編 逢魔ヶ時の愚者
壱 宵の口 >>09 弐 昼八ツ >>10
- せんそう ( No.8 )
- 日時: 2012/07/14 23:15
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
・攘夷時代
・佐柳と緒方
・シリアス
・銀魂内の日本の歴史捏造
———せーんそっ
「へ?」
拠点のとある一室。医学書の整理をしていた緒方の口から間抜けな声が漏れた。
彼の視線の先にいるのは一人の青年。最近攘夷軍に入隊してきた佐柳高雪だ。
佐柳は本来黒柱隊の所属なのだが、新入りということもあり様々な隊の雑用を挨拶がてらに行ってる。
今日の挨拶(手伝い)は緒方の医学書整理なのだ。
「あ、すいません。変なこと言って。」
佐柳は、どこか遠くを見つめていた目を手元に戻す。
灰白色の髪がパサリと流れ、彼の顔を隠した。
「……さっきのどういう意味?ああ、言いたくないなら言わなくていいんだけど。」
しばしの間を置いて緒方が尋ねる。
彼としてはなるべくさりげなく言ったつもりなのだが、佐柳の顔が強張るのを見て最後の一言を付け加えた。
佐柳とは別段仲がいいわけでも、悪いわけでもない。しかし、右も左も分からぬ新人を困らせるのは不本意だ。
そう思っての一言だったのだが、佐柳は強張った顔を少し緩めるとまた遠い目をして口を開いた。
「ウチの故郷———讃岐(さぬき)には『せんそう』っちゅうじゃんけん遊びがあるんですよ。」
自身の右手に視線を落とすと、佐柳は握り拳を固めた。
「『グー』は『ぐんかん』。」
続いて、握り拳の人差し指と中指だけを立てる。
「『チョキ』は『ちょうせん』。」
そして拳が完全に解かれ、彼の長く白い指がのびた。
「『パー』は『はわい』。」
佐柳は苦笑しつつ、開かれた掌(てのひら)をまた閉じた。
「小さい頃は無邪気に遊んどりましたが、今思えばひどい遊びですよね。」
今から二十年前まで、日本は朝鮮・米国と外交上の問題から小競り合いを繰り広げていた。
そんな状態が長く続いていれば、『いずれ戦が起こる』という人々の不安が高まるも必然である。
戦いを恐れる国民の戦意を鼓舞するため、幕府は様々な政策を打ち出していた。
しかし、それから間もなく天人の襲来により攘夷戦争が始まり、日本とその二国との小競り合いどころではなくなってしまったのだ。
佐柳の言うじゃんけん遊びも、かつて幕府が奨励した遊びのひとつなのだろう。
緒方はわずかに眉根を寄せ、彼の手を見つめた。
———讃岐の子は今でもこんな遊びを……。
意味を知らないとはいえ、あまりにもむごい。
幕府は無邪気な子供たちに、幼い頃から戦に肯定的な教育を行ってきたのだ。
「ウチの母の代では、『はわい』が『はれつ』だったそうです。」
そう言う佐柳の目は相変わらず遠いところを見ている。
そのままどこかへ消えてしまいそうなほど、彼のまとう空気は儚かった。
———ああ、そうか……。
緒方は唐突に悟った。
佐柳が儚く見えるのは、彼が『過去』を見ているからだ。
彼が見ているのは、血と硝煙にまみれた汚れた大地ではなく、己(おのれ)の育った讃岐の国。
その心は戦場にない。
「……『せんそう』なんてなければいいのに。」
思わず漏れた言葉がさすのはどちらの『せんそう』なのか。
それは言葉を口にした緒方自身にもわからない。
「何、言ってるんですか。」
佐柳は少しだけ微笑(ほほえ)む。その笑顔は今まで緒方が見た中で、最も悲しい笑顔だった。
「もう存在してるじゃないですか、『せんそう』。」
それがどちらの意味なのか。
答えられる者は、いない。
『せんそう』
(それは、無邪気な童《わらべ》の遊び唄)
- 後書き ( No.9 )
- 日時: 2012/07/14 22:28
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
私の地元にほんとにあります、『せんそう』。
地域によって微妙に違うらしい。
私のお母さんの代では「はわい」は「はれつ」だそうです。
どっちにしてもひどいですよね。
これを思い出した時に戦争っていう共通点を(無理矢理)見出しました。
- 壱 宵の口 ( No.10 )
- 日時: 2012/08/15 16:13
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
何で君はこんなところにいるの?
——ここ、こいつ、いた。だから。
じゃあ、何でそんなに汚れているの?
——おれ、*した。だから。
それなら何でそんなに悲しそうなの?
——かなしい。しらない。
そう。……君はこれからどうするつもり?
——おまえ、*すつもり。
「ひと、きらいだ。」
赤く、紅く、朱い液体が足元に広がるのもいとわず、彼は肉塊に向かってそう吐き捨てた。
- 弐 昼八ツ ( No.11 )
- 日時: 2012/08/17 15:42
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
それは近くに住む農民達の間で囁かれている噂だった。
「何でもあそこには鬼が住んでいるらしい。」
「あの寺で死んだ者達の怨霊が、鬼に化けたらしいよ。」
「おお、怖い。近づかんほうが身のためだねぇ。」
そんな会話をしているのは、山のふもとに住む娘たちだ。毎朝恒例の井戸端会議には、時折このような話題がのぼる。
「男どもは何してるんだい。鬼退治は男の仕事だろう?」
「鬼退治なんて仕事はないよ。」
「放っておくのが一番。さわらぬ神になんとやらだ。」
娘の一人が井戸の桶を引き上げ、洗濯物の山に水をぶちまけた。透明な塊が重力に従って下へと向かい、布に落ちる。
……と思いきや、突如洗濯物と水の間に茶色いものが出現した。
その茶色いものはそのまま洗濯物の中に突っ込み、ごろごろと音を立てながら転がっていく。
何が起きたのか分からず、ポカンとしていた娘達が我に返ったのは、それから三十秒が経過してからだった。
「あ、あんた大丈夫かい!?」
「びしょ濡れじゃない!大丈夫?生きてる?」
「洗濯物が……。」
どうやら突っ込んできたのは人だったらしい。
口々に呼びかけていると、茶色い何か——一人の男がもぞもぞと動き出した。
とりあえず生きていたことに安心しつつも、まだ体が半分(洗濯物に)埋まっている彼を急いで救出する。
「ぷはっ。し、死ぬかと思ったぜよ……。」
救助された男はそう言いつつ身を起こした。
癖の強い茶髪に青い目。一重まぶたの奥にあるそれは大きめで、背丈の割に顔立ちは幼く見える。所轄童顔というやつだろう。裾のほつれた着物は、先程かかった水のせいで所々色が濃くなっていた。
「ご、ごめんなさい!」
一人の娘が頭を下げる。
男は数秒間その動作を呆けた表情で見ていたが、やがてにこ、と微笑んだ。
「別にええ。それに本はと言えば儂が転んだんが悪い。」
「でも……。」
男の言葉とは裏腹に娘はまだ何か言いたげだ。
「——ほいたら、」
突然男が娘の手を掴んだ。
驚く三人に構わず、彼はそのまま歩き出した。
「おまん、この辺の『秋小屋』っちゅう店知っとるか?」
「え?あ、はい。一応知ってはいますけど。」
「ちょお案内してくれぇ。」
「は?ちょっ!」
「行っちまったね……。」
「そうだね……。」
取り残された二人は針の孔ほどの大きさになった二人の背を見つめ、互いにそう言いあった。
それは、神無月のある日の出来事。
- 佐柳高雪の讃岐弁講座 ( No.12 )
- 日時: 2012/12/02 14:44
- 名前: 無雲 (ID: wLfxow.y)
雪「……なんじゃこのふざけたタイトルは。しかも数か月ぶりの更新やのにオール会話文て、読者のみなさんを馬鹿にしとるんか作者」
紅「おいおいゆっちゃん、冒頭からそんな怖い顔するなって。皆さんお久しぶり〜今回ゆっちゃんの助手を務める新岡紅葉で〜す。今日は久々に頑張りますよ!」
雪「テンション高いチャラ男は死ね」
紅「ヒドッ!」
雪「【佐柳高雪の讃岐弁講座】は、その名の通りウチと助手とが讃岐方言を解説する講座らしい。因みに助手は毎回変わるらしいぞ」
紅「無視か!つーかなんでそんな『らしい』ばっかなんだ?これお前が主役の講座だよな?」
雪「だってこの講座の存在知ったのさっきやし」
紅「さっき!?」
雪「具体的に言うと七分と四十二秒前よ」
紅「超具体的!しかも秒単位かよ!」
雪「まあ、そんなことはどうでもいい。さっさと本題に入るぞ。おい助手!」
紅「え、俺?」
雪「お前以外に誰がいる状況を読め馬鹿めが。して、ウチの方言についてどう思う」
紅「なんか今、ノンブレスですごい辛辣なこと言われたような…………。えっと、ゆっちゃんの方言?やっぱ慣れた人じゃないと意味理解するの難しいだろ。俺も最初は何言ってるか全然分からなかったし」
雪「そうか。やっぱり昔の方が訛りがきつかったから何言いよるか分からんかったか」
紅「え、昔の方がきつかったって今は少しましになったてっこと?」
雪「ああ。例えばさっきのウチの台詞。訛りをきつくするとこうなる」
『そうか。やっぱし昔の方が訛りきつかったけん何ようるか分からなんだか』
紅「ごめん、もう一回言って?」
『そうか。やっぱし昔の方が訛りきつかったけん何ようるか分からなんだか』
紅「……えーと、『やっぱし』っていうのが標準語で言う『やっぱり』
でいいのか?」
雪「正解。因みに『けん』は標準語で言う『〜から』っていう意味で、『ようる』は『言っている』って意味や」
紅「『言っている』→『言いよる』→『ようる』みたいな感じか」
雪「ウチもよく知らんが、多分そんな感じやろ」
紅「はー、何かややこしいな」
雪「まあな。讃岐は東と西で方言にも差があるし、さっきの例も地域によって変わってくる」
紅「ますますややこしいな」
雪「……さて、讃岐方言の奥深さが分かったところでそろそろ締めるぞ」
紅「もう!?泡花一話分の半分にも届いてねぇぞ!」
雪「もともと三か月近く文章を書いていない作者のリハビリ文だからな。あまり長引くとボロが出る」
紅「さらっと生々しいこと言うなよ!」
雪「さて、このような駄文に付き合ってくれた読者という名の神よ。ここまで読んでくれてありがとう。次回がいつになるかは未定だが、その時には助手も変わって少しは静かになっとるやろう」
紅「俺は騒音元凶ってか!」
雪「今日はなんやら蠅が多い。……ぶんぶんうるさい害虫の駆除といくかの」
紅「え、ちょっ、何それ。何で矢持ってんの。何で鏃(やじり)こっち向いてんの。ちょっ」
雪「ではな」
紅「お、おいやめっ……ちょっ」
テスト地獄から生還!だが今度は模試とテスト返しが……
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