二次創作小説（紙ほか）※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました！使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例）鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- レッドレイヴン 孤独にして悲哀なる銀狼
- 日時： 2012/09/26 18:39
- 名前： 御砂垣 赤 （ID: WjAAkDuu）
嗚呼、最悪だ。
何でこんな目に？
態々こんな異国まで来たって言うのに。
今更またこいつらと会わなくちゃいけないんだ。
…分かってるよ。お前はこう言いたいんでしょ？
自業自得って。
やけに喧しいノックの音で目が覚めた。最早ドアを壊して仕舞いそうな勢いだ。断絶的に名前を呼ぶ声がする。
「おーい！起きろアンディ！いつまでも寝てるとここにドクター連れてくるぞ！」
五月蝿い。ここにいるのは一人しかいないのに名前を呼ぶ必要が有るのだろうか。等と思いながら取り敢えず枕を投げてみる。行き先を確かめるまでもなく、投擲物はドアが開いていたら人の頭がある場所に当たる。
プチッ
良くマンガに出てくる効果音。
(こんな非現実的な事ホントにあったんだ…。)
なんてどうでもいい事に感動していたら、とうとう扉が開けられた。
「何度も何度も何度も何度も呼んだだろ！返事くらいしろ！」
大層ご立腹にあらせられる騒音の元凶が入ってきた。赤い髪のいつも棺を背負ってるヤツ。
「朝から五月蝿いよ、ウォルター。」
「頭に血筋が浮いてるぞー。」
部屋の主、アンディとそれに続くカラスのシャルル。軽く扱われたウォルターは目を吊り上げて言った。
「仕事だ仕事！早く準備してこい！」
それだけ叫ぶとさっさと行ってしまった。
久し振りに帰ってきた自分の部屋でゆっくり寝ていたのに、いきなり起こされて叫ぶだけ叫ばれたアンディは、眠い目を擦りながらのんびりと自己解析に取り組んだ。
「なんか、今日のウォルター元気だよね。」
「いつもならダルイとしか言わないのにな。」
「微妙にキレてた気もする。」
取り敢えず行動した方が無難だろう。
シャルルに促されつつ嫌々支度を進めていった。
今日は快晴だ。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
- Re: レッドレイヴン 孤独にして悲哀なる銀狼 ( No.33 )
- 日時： 2012/10/03 22:39
- 名前： 御砂垣 赤 （ID: GFkqvq5s）
翌日。まだ息が白い時間に、アンディはウエスと歩いていた。と言うのも、昨日の話し合いの結果、成り行きで色狼の長の捜索を断り切れなかったからだ。
長の情報としては、名前はフェル、髪と目は銀のイルマに似た男の子だと言う。似ていると言っても、それは後ろ姿の話だ。実際に対面した時に誰だかわかりませんでは話にならない。よって、アンディとウォルターに一人ずつ色狼が付くことになった。
人探しは人数が多い方がいい。イルマはそう言うが、本当の所は違うようだ。それはウエスと歩いて見てわかった。
「2日前、未来予知をしたんだ。その時に『赤い服の訪問者が状況をひっくり返す』ってでて。多分それを考えてんじゃないかな、イルマは。」
「その未来予知って、必ず当たるの？」
何気なく聞いた事だったが、その問いはウエスの心の奥に入ったらしい。飄々とした表情が消えて、神妙なものになった。
「必ず……じゃあない。一度だけ外れた事があるんだ。」
一度言葉を切ると、今度は昔を懐かしむ様な顔になった。
「未来予知の条約文の一説に、先一週間内に当たるってのがある。その時は、あんまり深く考えなかったんだけど、それって一週間内に実現させろって事なんだ。で、俺は条約文を破った。」
意味ありげな沈黙。アンディが問うた。
「破って……何があったの？」
「……実は、その時の事はよく覚えてない。その未来予知を見た時間から、ぴったり７日たった時に目の前が真っ白になって……。それから俺は、喜怒哀楽の哀の字をなくした。」
感情の欠落。それが条約文を破った場合の、罰。しかし、ウエスはそれを受け入れているように見えた。そしてそれはアンディが見たがえた訳ではなかった。
「それまで俺は、哀しみが怖かった。哀しくなれば………。」
アンディにはその続きは聞き取れなかったが、それは不要だ。何故なら、ウエスが何かを乗り越えた雰囲気だったからだ。
「アンディ。俺は失ってよかったと思ってるが、イルマや二人はそう思わないかも知れない。いつか条約文を破らないとになったら、止めてくれ。」
ウエスの最初の頼み。断る必要は特に無い。
「……わかった。」
短い言葉を最後に、フェル探しを再開することになった。少しでもはやく、見つけるために。
哀しくなれば、あれを思い出すから。
- Re: レッドレイヴン 孤独にして悲哀なる銀狼 ( No.34 )
- 日時： 2012/10/04 19:26
- 名前： 未竹紫哀 （ID: 4DIIvUjQ）
『それを人は捜し求めている・・・
虚しくなるほどに・・・
惨めになるほどに・・・』
っていうのは、どうでしょうか?
- Re: レッドレイヴン 孤独にして悲哀なる銀狼 ( No.35 )
- 日時： 2012/10/04 20:09
- 名前： 御砂垣 赤 （ID: VnoP1T29）
ありがとーしあ。
使わせて頂きます！
- Re: レッドレイヴン 孤独にして悲哀なる銀狼 ( No.36 )
- 日時： 2012/10/06 11:44
- 名前： 御砂垣 赤 （ID: P747iv5N）
同時刻、ウォルターとログは、アンディ達とは別方向を歩いていた。理由は勿論フェルを探す為だが、方法が少々違う。他が地道に探すのに対して、二人はログの特異を使う為にある場所へ向かっていた。そのある場所とは、
「………公園？」
着いた場所は、矢鱈と緑が多い公園だった。まだ時間が早いことも手伝って、ここには誰もいない。
「こんな所で何するんだ？」
ウォルターは適当に聞いてみた。答えは、
「最初の話聞いてたのか？特異を使いに来たんだ。」
ムカつくやつ。会話をするだけで人を苛立たせる才能と云うものを、垣間見た気がした。
「意思疏通の条約文の一節に、対象の言語能力の有無は問わないと書いてある。つまり、例えばここにある草木であっても構わないと言うこと。加えて、木は地に根を張る。土から栄養を貰ってる訳だから、一定範囲に限られるけど情報収集としての手段に使える。理解した？」
まるでこちらの方が年上だとでも言いたげな態度に、ウォルターは額に青筋が立つ予感がした。
「………そんな方法があるんなら、アンディ達を走り回す必要も無いんじゃねーか？」
嫌みを込めたつもりだったが、一蹴された。
「『一定範囲に限られるけど』って聞いてた？」
「………だとしても、ここに俺を連れてくる意味は無いだろ。」
沈黙。珍しくログが黙った。暫く静かにしていると、渋々と言った感じで話始めた。
「………フェルがいなくなったのは誰かのせいかもしれない……。」
「……それで？」
「………木とリンクするには時間がかかる。」
「……ふーん？」
「………リンクを始めれば、外界に構っている余裕は無い。」
「……だから何だよ？」
…………………………………。
暫くの後。
「俺に自分の身を守る術がないっ！だから仕方なく誰かに頼むしかない！非力で悪かったな！以上！」
笑いたくば笑えとでも言いそうな勢いだ。どうやら、他人に助けを求めるのは嫌だというタイプの人間らしい。だが、ウォルターは笑わなかった。
「じゃ、守ってやるから速く終わらせろよ。」
「！」
「フェルを、探すんだろ？」
その言葉に一瞬呆け、またいつもの仏頂面に戻った。
「…分かってるならいい。」
ログはそう言うと、フェルト仕様の帽子をかぶり直し、その公園で一番大きな木に向かった。
「……。」
手を当てて数秒。腕輪が薄緑に発光し始めた。ログのクリーム系の緑が風に遊ばれる。
その姿を見てウォルターは思った。幾ら大人になりたくても、今のログはまだ子供だと。大人で有りたいだけの、只の子供だと。
(まだ守られるべきだって言うのに。)
その年に似合わず強く、年相応に小さい背中は、誰かが護るべきなんだと、もう一度思った。
- Re: レッドレイヴン 孤独にして悲哀なる銀狼 ( No.37 )
- 日時： 2012/10/04 22:09
- 名前： 紅 聖夜 （ID: pUqzJmkp）
赤、見に来たよ。
僕も歌詞考えたんだけど、
『 なにも見えない暗闇の中・・・
己を縛る黒い鎖
それが解き放たれた今
その先に一体何がある・・・？ 』
っていうのはどうだろう？
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23