二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.115 )
- 日時: 2013/03/09 22:06
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
第5話「〜転校生は吸血鬼!?〜」
「ふぇっくし!」
朝っぱらから盛大なくしゃみで雷夢は目が覚めた。時計を見るとまだ五時前だ。
「……二度寝するか」
そう言って掛け布団を被ろうとしたが、なぜかそれが見当たらない。暗がりの中手探りで探すと、自分の隣にその塊があった。
「すー……。すー……」
この寝息、間違いない。しかし念のためその物体の頭にあたる部分を触ってみる。
猫のような耳がある。
「こいつはぁ……っ!」
ここまでくると、雷夢は確信した。ここに寝てるのはテトだ。
恐らく先程のくしゃみの原因は、テトが雷夢の掛け布団を全て占領したからだろう。
「なんでお前がここにいるんだテト! あと布団返せ!」
「あ、雷夢殿……。おふぁ……すー……すー……」
布団を剥ぎ取って起こしたのに、テトはまた眠っている。
仕方ないので、そのまま雷夢は布団を取られないようにしっかり握り、テトにも掛けて眠った。
『いってきまーす!』
雷夢達は朝食を済ませると、学校に向かった。ギューリット曰く午後から雨が降るとのことで三人とも傘を持っている。しかし今は青空に白い雲が浮かぶ晴天だ。本当に雨など降るのだろうか。
「まぁ、備えあれば憂いなしっていうじゃないですか。たとえ雨が降らなくても問題ないですって」
「ただ帰りの荷物がかさばるけどな」
「それくらい大丈夫じゃ」
そんな会話をしているうちに、いつの間にか学校に着いた。しかし、教室に入ると何故だか騒がしい。皆、あちらこちらで話し合っている。
「麗奈、いったいなんかあったの?」
「何? 久しぶりに話しかけておいて、いきなり質問? それくらい自分で察しなさいよ!」
「ご、ごめん……」
久しぶりに話しかけて怒られるとは、とことん雷夢はついていないようだ。すると、麗奈は俯きかげんで雷夢の方を向いた。
「で、でもどうしてもって言うなら教えたげる。今日このクラスに転校生が来るらしいの。それでみんな騒いでるのよ」
「へぇ、そうなんだ。ありがとう!」
雷夢がそう言うと、麗奈の顔が朱色に染まっていく。
「勘違いしないでよ! 別にあんたのことなんかどうとも思ってないから! あと、私を呼ぶときは『麗奈様』と呼びなさい!」
「わ、わかった……麗奈様……」
「…………やっぱ感じが合わない。好きに呼んでいいわ」
散々怒った挙げ句、最後にデレる。やはり、麗奈はツンデレだ。
「はーい、席について。転校生を紹介するよ〜」
教室の扉を開けて、清井先生が入ってきた。それを合図に皆が席につく。
「入ってきて!」
清井先生に呼ばれて入ってきたのは、身成をきちんとした少年だった。黒い傾向がある服に、ネクタイを着けて、いかにも紳士さが見てとれる。
しかし一番気になるのは、口から出ている二本の八重歯。ミカも八重歯だが、それは時と場合だ。しかも、出ている長さが下唇を少し越えている。
そんな疑問を巡らせているうちに、転校生は教壇に立っていた。
「僕は『ルイス・ドルグ・エヴァン』。1804年生まれの吸血鬼だ!」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.116 )
- 日時: 2013/03/10 09:48
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
デザインあるんですか!?
すごいなぁ〜 リスペクトしちゃいそうですよ!!
私、絵とかは得意なんですけどデザイン能力が笑えるほどないんです(笑)
なんかすっごく今更感があるんですけどタメいいですか?
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.117 )
- 日時: 2013/03/10 10:50
- 名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
ソラさん、タメ口など無問題です!どんどん言ってくださいな!
あ、ちなみに↑の紙は「神←→紙」って意味です。……わからなかったらすみませんm(__)m
僕も絵は普通以上達人未満なのですが、デザインはまだまだで……。手とか輪郭とか列挙したら書ききれないくらい未熟です。
けど、どんどん描いてやるぞ、絵も、こっち(小説)も!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.118 )
- 日時: 2013/03/10 13:35
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
頑張れ〜
応援してるよっ!
あんまり力になれないとは思うけどね!!(笑)
文章書くのは苦手だしノヴァさんの小説はいつも私の予想の斜め上いってるからさ!!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.119 )
- 日時: 2013/03/11 20:08
- 名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
『えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!??』
転校生の言葉で、5年1組全員が大合唱を始めた。実際、ただ叫んでるだけなのだが。
「いやいや、あんたバカ!? 吸血鬼なんているわけないじゃない! 証拠を見せなさいよ証拠を!」
大合唱終演の幕が降りると共に、麗奈がルイスに食って掛かった。
「いや、吸血鬼なんていないって……。目の前にいるじゃん」
「だから証拠は?」
麗奈がそう言うと、ルイスは少し考えたあと口を開いた。
「この牙は? 吸血鬼と言ったら牙でしょ、だから……」
「手術で加工できる」
「じゃあ僕、銀が触れないんだ。だからこうして手袋を……」
「重度の金属アレルギーでしょ?」
「夜でも視界がハッキリ……」
「夜目が効くだけ」
「胸に杭を刺されると死ぬ……」
「誰でも」
「……………………」
「もう終わり?」
ルイスが言いまくる吸血鬼の特徴を、麗奈はことごとく粉砕していく。よくもまぁ、そんなに言い返せるものだ。そういうところは敬服する。
「……じゃあ、血を飲む」
「ただの変人」
とうとう変人扱いされたルイスは、絶望のorzで床に倒れ伏した。
「……くっ、こうなったらこれでどうだ!」
ルイスは最後の切り札を使うかの如き勢いで立ち上がると、右手を掲げ、パチンと指を鳴らした。
すると信じられないことに、ルイスの掲げた右手から、その全身が無数のコウモリに姿を変えていったのだ。
「ちょっ……どういうことなのよ、これ!?」
麗奈が叫ぶと無数のコウモリは、教室の端に集まり人形の塊を作っていく。
不意にそれが軽く弾け、中からルイスが現れた。
「どう? これなら僕が吸血鬼って認めてくれるかな?」
「ま、まさかね。どうせなんかのマジックでしょ?」
焦りが伺える表情の麗奈が反論すると、ルイスはそれに動じることなく言った。
「じゃあ、僕はいったいどんなトリックを使ったのかな?」
「そ、それは……」
「わからない?」
「…………あーーっ、もう! わかったわよ、あんたを吸血鬼って認めてあげる。けど、私はこの勝負に負けたつもりはないからね!」
いったい、何の勝負をしてたのやら。しかし、ルイスもそこそこ乗り気らしく、軽やかにお辞儀をして教壇に戻った。
「じゃあ、ルイスくんは空いてる席に座って。それじゃあ、授業始めるよ!」
ルイスが席に座ると、さっそく授業が始まった。
ちなみに先程の出来事の最中、他の生徒は全員麗奈に圧倒され、口を開くことが出来なかったらしい。
そして時間が流れ、放課後。雷夢、テト、アテナは帰り道を歩いていた。
「何か5年1組が異質さMAXのような気がするの僕だけかな?」
今現在、雷夢がわかっているだけでも異質なクラスメイトは大勢いる。
雷夢は未来からきた黒魔法使いの見習い。アテナは白魔女で、テトは元魔獣だ。亮は歩くハッキングプログラムだし、アリスは不良をなぎ倒す格闘娘。今日転校してきたルイスに至っては吸血鬼だ。
多分こんなにファンタジー要素に飛び出た面々が集まった小学生のクラスなど、他にはいないだろう。インパクトなら母のクラスもすごいらしいが。
「大丈夫です、雷夢さん。まだ全員のことを知らないわけですから、他のみんなはきっと普通ですよ」
「そうだと思いたいよ……」
そうして歩いていると、後ろに誰かの気配を感じた。
「やっほ、黒鳥兄妹」
振り向くと、そこにいたのはルイスだった。
「あれ、ルイスくんは家こっちなの?」
「そうなんだ。どうやら君たちもこっちみたいだね」
「もしかしたら、朝も会えるかも知れんのぅ」
と、ここで1つの疑問が雷夢の脳裏に浮かんだ。
「そう言えばさ、ルイスは吸血鬼なのになんで太陽の光を受けても平気なの?」
そう雷夢が尋ねると、ルイスは急に立ち止まった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.120 )
- 日時: 2013/03/12 20:55
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
「もしかして、雷夢って吸血鬼は日にあたると死ぬって思ってる?」
「え、まぁ……そうだけど」
それは雷夢だけでなく、結構な人々が思っていることだと思うが。吸血鬼の弱点では有名な方ではないかと思う。
「あれはほとんどウソだよ」
『そうなの!?』
雷夢達は声を揃えて驚いた。まさか万人が知っている吸血鬼の弱点が弱点ではないなんて。
「あれ、でもほとんどって……?」
「ああ、けど日の光に弱いのは本当だよ。ただ当たりすぎると低温火傷起こすだけ。だから通気性のいい長袖着て暑さしのいでるんだ」
「それって、ただ肌が弱いだけじゃ……。じゃあ、なんでそれが世に定着したんですか?」
「それはね……」
ルイスが言ったことをまとめると、
1・吸血鬼はドラキュラと似たようなもので、あまり大差ない。
2・アイルランドの小説家、ストーカーという人がドラキュラの小説を書いた時、日の光に当たると灰になる、などの空想の設定を足した。
3・同じようなものだったので、それが年月を経て定着した。
とのことらしい。
「だから、ある程度の弱点はあてにはならないってこと」
「なるほど……。ではニンニクはどうかの?」
テトの言葉で思い返してみれば、吸血鬼はニンニク嫌いだったはずだ。ある絵本で、餃子屋に入った吸血鬼がニンニクの臭いで倒れるというのを見た覚えがある。ニンニクが弱点なら最初から入るなという話だ。
「ニンニクは個人的に嫌い。けど餃子は好きだよ」
「……ルイスさんって、納豆は嫌いだけど納豆カレーは好きってタイプですか?」
「例えが意味深だけど……。まぁそんな感じかな」
「あ、そろそろ帰らないと! 怒られるぞ!」
ス魔ホの時計を見ると、4時になりかけている。
「急ぐのじゃ! テトお姉様に叱られるのじゃ!」
「それではこのへんで、ルイスさん!」
「また明日!」
そう言うと、雷夢達は家へ向かい全力疾走を開始した。
「あーあ、行っちゃったか。まぁ、学校生活も楽しそうだし、明日からも頑張るか」
プルルル……。
「電話か、……はい、もしもし?」
『僕だ、ルイス』
電話の向こうから聞こえてくるのは、青年風の声。
「なんだ、聖水十字架か。どうした?」
『聞いた話だと、お前学校に通うそうだな』
「それがどうした?」
ところで、十字架はどこからその情報を手に入れたのだろうか。家族以外には話してないはずだが。
『お前、吸血鬼が人間の学校に通えるわけないだろ』
「そんなわけないさ。現にクラスのみんなとも仲良くしてるよ」
『だといいが……。そうだ、僕そろそろ黒魔法決闘してみたいんだけど、お前、初戦の相手してくれないか?』
「断固脚下」
黒魔法決闘など、僕には無縁だ。第一、黒魔法自体あまり習得してないのだ。かれこれ200年近く生きてきたが、未だに黒魔法使い五級止まりだ。
『しかたないか……。それじゃあそろそろ切るぞ』
「わかった」
電話が切れると、ルイスは不意に思い付いたことがあった。
「あ、そうだ。今度、黒鳥兄妹とお出かけしよう」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.121 )
- 日時: 2013/03/13 21:06
- 名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
「え、お出かけ?」
木曜日の朝、雷夢達は教室に着くなりルイスに話しかけられた。話を聞くと、雷夢達と出かけたいとのことだった。
「うん。今度の土曜に行こうかな、って思ってて。いいかな?」
「僕は構わないけど……二人はどうする?」
「お出かけいいですねぇ。……行きます!」
「土曜は特に何もしないからのぅ。暇潰しには調度よい、我も行くぞ!」
「よし、それじゃ決定! 朝10時にイシダヤショッピングセンターに集合な!」
このあと土曜のお出かけ計画を練り、それが完璧に決まった頃、木曜日の授業は終わりを告げたのだった。
そして土曜日になり、雷夢達一同はイシダヤショッピングセンターに集結していた。
「じゃあ、まずはショッピングセンターで買い物だな。雷夢達は買うものとか決めたの?」
「取りあえずは。僕のやつから先でいいかな?」
「別にいいよ。じゃあ、出発!」
そうしてショッピングセンター内に入って、雷夢が真っ先に向かったのは調理用具売り場。
他の三人が首を傾げて見ている前で、雷夢は1つの商品を手に取った。
「雷夢さん、それって……?」
「竹串だけど?」
雷夢が買いたいと思っていたのは、戦闘に派手なツッコミと用途の幅に定評のある竹串だった。
理由は単純明快。竹串が無くなってきたからだ。雷夢の竹串はツッコミなら回収するが、戦闘だとほぼ使い捨てになってしまうのだ。特に前に戦ったヘルハウンドの一件で大量に使っていたので、ストックが切れかかっていた。故にストックを補充しておこうと思ったのだ。
「これと……これと……これ。よし、これだけで十分かな?」
「これだけって……明らかに十数束買ってますよね。しかも50本入り……」
「これだけ買っとけば幾ら戦闘しても大丈夫だな。お会計お会計っと」
レジに向かいお会計を済ませると、税込3000円だった。結構かかるもんだな。
「じゃあ、次は我の買い物に付き合ってくれるかの?」
次はテトの買い物のようだ。テトが買いたいものは何となく気になる。
「いいけど、どこ?」
「えっと……三階じゃの」
雷夢が案内板を見ると、三階で一番目を引くのはペットショップだ。ミカの話だと、この辺りでは一番大きいらしい。
そんなわけでテトについていくと、やはり行き先はペットショップだった。
「えっと……ああ、あったのじゃ!」
「それって……マタタビ?」
テトが手に取ったのは、猫用のマタタビだった。そういえばこいつは元々猫の魔獣だった。猫の本能故にマタタビが欲しくなったのだろうか。
「これ食べるとストレス発散できるから、結構いい感じなのじゃ!」
「あのさ、雷夢。テトって人なのか? マタタビ食うって……」
「実はかくかくしかじかで」
「なるほど、理解した」
我ながらかくかくしかじかを使うとは、本当に驚きだ。
「じゃあ、今度は私の……」
「あれっ、雷夢くんにルイスくん?」
アテナの言葉は、雷夢達の後ろから放たれた声で掻き消された。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.122 )
- 日時: 2013/03/15 20:33
- 名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
雷夢が振り向くと、そこには両目を前髪で隠した女の子が立っていた。白を基調とした服装で、簡単なロリータのようだ。
「えっと、確か花形頼音さんでしたっけ?」
「えっ、クラスに居たっけこの子?」
アテナの言った名前は雷夢には聞き覚えが無かった。クラスメイトの中では居なかった気がする。
「ああ、花形さんは最近まで入院してたらしいんですよ。どうやら風邪を拗らせたらしくて」
「じゃあ、僕が知らないわけだ。えっと、頼音だったっけ。確かに僕は雷夢だけど……」
雷夢がそう言うと、頼音はほっとした様子で肩を撫で下ろした。
「よかった、人違いじゃなくって。えっと……雷夢くんの隣の女の子は……?」
「ああ、妹と従妹のアテナとテトだよ。で、こっちが三日前に転校してきたルイス」
「ルイスだ、よろしく。いきなりだけど吸血鬼だ」
「へぇ、吸血鬼なんだ。よろしくね!」
ずこっ。
頼音の反応で雷夢達はずっこけた。
「え、驚かないの?」
「うん、驚く必要なんてないよ。だって友達になってくれるなら誰でもいいもん」
雷夢は思った。頼音は誰とでも分け隔て無く接し合える、そんな人なのだろう。もしくはただの能天気か。
すると、ふとルイスが頼音の顔を見つめ始めた。
「あの……私の顔に何か?」
「……君、目が見えないだろ」
ルイスの一言で、その場にいた全員が硬直した。いったいルイスは何を言っているのだろうか。
「なんでわかったんですか……?」
「吸血鬼の目は誤魔化せない。君の目は光が灯っていないからだ」
「ど、どういうことなの頼音……?」
「……わかりました。話します」
そうして頼音が話したことをまとめると、
1・昔は普通の人と同じように目が見えていた。
2・しかし、小学2年の時に突然目が見えなくなった。
3・それ以来ずっと盲目のまま過ごしてきた。
とのことらしい。
「あれっ、でも目が見えないならなんで僕達がわかったの?」
「あ、確かに。それに杖なんかも無しにここまで来れるなんて、どうしてですか?」
「ああ、実は目が見えなくなった時くらいから、第六感に目覚めちゃったの。まぁ、物の波動を見れるんだけど、それがあるからなに不自由してないよ」
頼音は実になんともないように話をしているが、実際すごい能力だと思うのは雷夢だけではないはずだ。こいつは自分の能力の凄さを自覚してないのではないか。
「ところで、頼音さんは何用でここに来たんですか?」
「実はちょっと色々食べにね。第六感使ってるとお腹が減っちゃってね、いつの間にかグルメライフが定着しちゃったんだ」
「なるほど、そうであったか」
「ちょうど次の店に行くところなんだけど、雷夢くん達もどう?」
「おお、いいですねグルメ巡り!」
「じゃあみんなで行こうか」
ちょうど小腹が空いていたところだったので、雷夢達もついていくことにした。
しかし、この時雷夢達は知らなかった。
このグルメ巡りが地獄のレースだということを。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.123 )
- 日時: 2013/03/17 18:07
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
頼音に案内され辿り着いたのは、「天下寿司」という寿司屋だった。時間が時間なだけに、客の姿が見えず、店内は空いていた。
「いきなり寿司って……。金かからない?」
「大丈夫だよ。だって目的はこれだもん!」
そう言うと、頼音はポケットから一枚のチラシを取り出した。
<天下寿司大食いキャンペーン!>
・特大太巻きを30分以内に食べきれば、通常5000円のこの太巻きを100円で!
さらに、寿司4カン無料!
※時間オーバー、または食べきれなかった場合は5000円です。
「これだったら安くいっぱい食べられるってわけ!」
「けど、リスク高くないの? 食べきれなかったら5000円だよ」
もし仮に雷夢達が挑戦して頼音以外の全員が駄目だったら、20000円が無くなってしまう計算になる。そうなると、このお出かけ計画が頓挫してしまう。
「大丈夫、私でも食べきれるから雷夢くん達でもいけると思うよ」
「だったらいいけど……。みんなはどうする?」
「僕はやるよ。結構楽しめそうだし、何よりお腹が食べ物を欲しがってるからね」
「私はパスします。皆さんが食べてる間に、買い物してきますよ」
「我はやるぞ! 我の胃の内包量の凄さを見せてやるのじゃ!」
というわけで一旦アテナと別れ、雷夢達は寿司屋に入っていった。
どうやら回転寿司らしく、レーンの上を寿司が動いている。まぁ回転寿司なら当たり前か。
「すみませーん、大食いキャンペーンに挑戦しに来ました!」
すると、店の奥から店主とおぼしき男性がこちらにやって来た。
「ほぅ、『あれ』に挑戦する気か……。何人だ?」
「私を含めた四人です」
それを聞き、店主はこくりと頷くと何かパネルを取り出した。
「このキャンペーンの太巻きは二種類ある。途方もなくでかいか、途方もなく長いかのどちらかだ。さぁ、選びなさい」
その後すぐ四人で談義した結果、雷夢とテトは長い太巻き。ルイスと頼音はでかい太巻きを注文した。
「では持ってこよう。心してかかるがいい」
そう言うと、店主は店の奥に姿を消した。
そうして待つこと数分。いよいよその太巻きが姿を現した。
『……………………』
頼音を除く三人は唖然とした。
なぜなら、その太巻きの大きさが三人の予想を遥かに越えていたからだ。
ルイスと頼音が注文したでか太巻きは、直径がルイスの顔の大きさの倍はある。具を見てみてさらに驚愕した。でか太巻きの中には、幾多ものの普通サイズの太巻きがぎっしり詰まっているのだ。それをさらにご飯でコーティングし、海苔を何枚も張り付けているようだ。
「これが長さはそのまま、太さは50倍のでか太巻きだ!」
これだけでも十分にインパクトはあるが、雷夢とテトが注文した太巻きは別の意味でインパクト大だった。
長すぎる。いや、本当にそうとしか言いようがない。太さは普通のままなのだが、長さが半端ない。雷夢とテトの所にある先端の反対側は、厨房の奥まで続き、途中から見えなくなっている。
「これが太さはそのまま、長さが50倍の長太巻きだ! それでは検討を祈る……スタート!」
店主がストップウォッチのスイッチを入れると、カウントが29.59……58と減っていく。
『いただきます!』
早速かぶりついてみると、かなり旨い。あらゆる魚介が入っており、それぞれの味を引き立てている。
しかし、ここで早速雷夢は問題にぶち当たった。醤油をつけられないのだ。仕方がないので、直接醤油匙から少しずつかけることにした。
ルイスと頼音も、同じようにして太巻きにアタックをかけている。
テトを見ると、醤油をつけずにそのまま食べ続けている。
「(ってこんなことしてる場合じゃないよな)」
雷夢はそう思うと、太巻きに再びかじりついた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.124 )
- 日時: 2013/03/18 06:11
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
某ライトノベルに出てくるのに似てるね〜
もしかして読んでたりする?
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.125 )
- 日時: 2013/03/18 18:38
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
ぼ、某ライトノベルとはなんぞΣ(゜д゜ノノ!?
どこがどんなラノベなのかが検討つきません……。普通に書いているだけなんですけどね(´・ω・`)ショボーン
教えてくださいませんか?
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.126 )
- 日時: 2013/03/18 21:49
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
そ、そうだったんだ
ごめんなさい、勘違いでしたm(__)m
『学園キノ』っていう小説に出てくる「チャレンジメニュー」ってやつです
(こういうのって伏せ字とかにしたほうがいいのかな?)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.127 )
- 日時: 2013/03/18 23:06
- 名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
それってどんなやつなんだろう……気になるな〜。よし、書こう!
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「はぁ……はぁ……」
雷夢は先程から食い続けているが、全然反対側が見えてこない。それに加えて、若干飽きてきた。さっきから魚介魚介魚介…………。もう嫌になる。
ちなみに残り時間は23.50分だ。
「はむっ! もぐもぐ……。はむっ! もぐもぐ……」
隣では頼音がスタートから全くペースを落とさず太巻きを食べ続けている。しかも、開始10分も経っていないのに既に半分が胃の中に収まっている模様だ。いったいこいつの胃はどうなってるのだろうか。ギャル曽根かお前は。
「ルイス、お前大丈夫……みたいだな」
「これが、この店の太巻きか……。なんとか食いきれそうだ」
ルイスに至っては、頼音の上をいく食べっぷりだった。既に3/5が消えている。さすがは吸血鬼といったところか。
食べるのを再開しつつ、雷夢はテトの方を見てみた。
「大丈夫か、テト?」
「雷夢殿、心配は要らぬ。こっちはほっといて、自分の太巻きを食うのじゃ……」
しかし、そう告げているテトの表情は苦痛以外の何物でもない。眼には涙を浮かべ、スピードもかなり落ちている。
「(このままだと、僕たち二人は轟沈しちゃうかも……)」
雷夢がそう思った時だった。
チャララチャンチャンチャチャンチャンチャン♪
突然、ノリのいい音楽が鳴った。発信源は雷夢のス魔ホからだ。音楽からして、相手はギューリットだろう。なんとなくギューリットからの電話の着信は「アンダー・ザ・シー」にしているのだ。ちなみに、アテナからの場合は「フレンド・ライクミー」、テトの場合は「ホールニューワールド」に設定してある。
いや、こんなことをしている暇はない。雷夢が電話に出ると、やはり相手はギューリットだった。
『おお、雷夢。どうだ買い物は?』
「いや、実は……」
雷夢は現状報告を手短にギューリットに伝えた。
『なるほどな。あ、大食いにぴったりの黒魔法あるぞ。その名も「ミニブラックホール魔法」』
「なにそのパクりました感丸出しの魔法」
確かそんな感じの秘密道具をタヌキっぽい某猫型ロボットが持っていた気がする。
『パクり言うなパクり! とにかく、これ使えばどんなに食べても平気だぜ。ちゃんと腹に溜まるし』
「仕方ないか……。ギューリット、その魔法教えて」
雷夢は仕方なく藁にもすがる気持ちでギューリットに教えをこいた。
『わかった、教えてやるよ。「ルキウゲ・ルキウゲ・ミニブラターレ」って唱えればいい。時間たてば効果は消えるから安心していいぞ。それじゃ、この辺でバイビー!』
言うだけ言って、ギューリットは電話を切った。仕方なく、雷夢は太巻きに向き合い呪文を他に聞こえないように小声で唱えた。
「ルキウゲ・ルキウゲ・ミニブラターレ……」
……特になにも変化は感じられない。仕方なく雷夢は太巻きを食べ始めてみた。
すると不思議なことに、どんどん太巻きが口に入っていくのだ。確かにお腹に溜まっている感じもするが、以前よりは溜まっていかない。まるで綿飴を食べているみたいだ。
「よっしゃ、いける!」
雷夢は口に運ぶスピードを更に早くした。太巻きが徐々に短くなってゆき、とうとう端が見え始めた。
そのまま食べ続け、そして……。
「完食!」
とうとう雷夢は太巻きを完食した。次いで時間差で頼音とルイスが完食した。
「やるじゃんか、雷夢!」
「私に勝つなんて、雷夢くん凄い!」
「いや、それほどでもないよ……」
雷夢は必死でどや顔を堪えた。しかし、残ったテトの間食は絶望的だった。未だ反対側が見えず、先程より食べるスピードが遅くなっている。
更に、追い討ちをかけるように……。
「あと、5分だ」
無情にもタイムアップが迫る。このままではテトが5000円を払うのは確実だ。
「え、ええーーい! もうどうにでもなれーっ!!」
そう叫ぶやいなや、テトはとてつもない勢いで食べ始めた。それこそ、先程の雷夢のスピードにひけをとらないほどに。
「テト、急げ!」
「あと少しだ! がんばれ!」
そして、とうとうテトは太巻きを食べきった。
「はぁ……はぁ……。やったのじゃ…………」
「よくやったな。時間もギリギリセーフだ」
『やったーっ!』
雷夢達は、両手をあげて喜んだ。これほどの達成感を感じたのはいつぶりだろうか。恐らくは、こんな達成感はしばらく味わえないだろう。
雷夢達はそのあと寿司を4カンずつ食べて、天下寿司を後にした。
ふと横を見ると、テトがなにか様子がおかしい。顔が青くなり、足取りも重そうだ。
「雷夢殿、ちょっとトイレ行ってくるのじゃ……」
「ああ、行ってこい。なんかきつそうだし」
そう言ってやると、テトはすぐ近くにあったトイレに駆け込んだ。
そして聞こえてきたのは。
ダババババババババババッ…………。
何かが放出されるような音。しかもかなり汚そうに聞こえる。
すぐにトイレの水が流れる音が聞こえ、テトが出てきた。
「ふぅ……。いっさいがっさい出したらスッキリしたのじゃ!」
「この期に及んで吐くなよ」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.128 )
- 日時: 2013/03/21 19:44
- 名前: RE ◆8cVxJAWHAc (ID: A7lopQ1n)
どうも!お返しに読みに来させて頂きました!
とても面白いです!キャラそれぞれがとても魅力的ですね!
個人的にテトちゃんがお気に入りです(^ ^)
続き楽しみにしています♪( ´▽`)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.129 )
- 日時: 2013/03/22 16:15
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
「そういえば、アテナ殿を探さぬと。一人で買い物をしていると言うておったし」
「確かにそうだな。電話掛けてみるか……」
テレッテー、テン、テン、テレッテー、テン、テン……。
雷夢がアテナに電話を掛けようとス魔ホを取り出すと同時に、アテナからの電話が掛かってきた。
「僕が呼ぶまでもなかったか……。はい、もしもし?」
『あら、お久し振りね、黒鳥雷夢』
ス魔ホから聞こえてきた声は、明らかにアテナではなかった。もっと大人びた声で、なおかつ上品さがある。
確か雷夢はこんな声をどこかで聞いた覚えがあった。確か、魔界に行く少し前。第2小の屋上で……。
『そろそろ思い出してくれたかしら?』
「えっと……誰だっけ……タランチュラ?」
『誰がクモよ!』
「じゃあ……ドラキュラ?」
『吸血鬼じゃないわよ!』
「わかった! スキューバ!」
『惜しいけど違う!』
なんかそれらしい名前を連発してみたが、全て間違っていた。相手には悪いが、決してふざけているのではなく、本当に思い出せないのだ。
『スキュラよ、ス・キュ・ラ! ロベ様の手下の黒魔女よ!』
「ああ、あんときのお前か」
やっと思い出した。以前、テトとミカを操って雷夢を連れていこうとした黒魔女だ。確か本当の袋叩きにしたあと、縛って屋上に置いてきたはずだが。
『あの時はよくもやってくれたわね! お返しに、貴方の連れの白魔女さんは預かっているわ』
「な……っ! お前、アテナを返せ!」
『返して欲しければ、あなた達がいるショッピングセンターの屋上に来なさい。あの時のお返し、たっぷりしてあげるから!』
ツー、ツー、ツー。
「ど、どうしたのじゃ雷夢殿!?」
「まずい、アテナがスキュラに捕まった」
『はぁっ!?』
それを聞いて、全員驚いた様子でこちらを見ている。まぁ、当たり前か。
「誰なんですか、スキュラって?」
「えっと……簡単に言うと、僕達の敵かな。前にも戦ったんだけど」
「なら助けにいかないと。アテナはどこにいるって?」
「ここの屋上!」
そう言うと雷夢達全員、階段に向かって走り出していた。
「まいったな、こりゃ」
最上階の屋上に向かう階段についたものの、その階段の前には「立ち入り禁止」の札付きロープ。
「こんなの、普通に乗り越えればよいではないか」
「いや、あれを見ろ」
ルイスが指差す先には、こちらを見つめる監視カメラ。
「こっちが登ろうとしたら、すぐに警備員がすっ飛んでくる。どうにかしてあれを誤魔化せればいいんだけど……」
「監視カメラを誤魔化す……」
暫し考えた結果、雷夢はこの手に詳しく、かつそれを勝手に運用できる友人がいたことを思い出した。
「そうだ、亮がいる! あいつなら監視カメラなんかを罪なしで勝手に止められる!」
「そうか、その手があったのう!」
雷夢は早速ス魔ホの電話帳を開くと、亮に電話を掛けた。
『…………ん、黒鳥か。どうした?』
「あのさ、今すぐイシダヤショッピングセンター最上階の階段前の監視カメラ止められる?」
『そんなのはわけないが……。何かあったのか?』
こんな大仕事をわけないなどと言えるとは。さすがは亮だ、侮れない。
「実は、アテナがスキュラに捕まって、屋上に囚われてるらしくて」
『あいつか……。わかった、すぐに取りかかる。準備ができ次第、またかけ直す』
そう言うと、亮は電話を切った。亮のことだから程無く終わるだろう。
「誰だ、亮って?」
「クラスに居たでしょ、タブレット片手に持ってた男子。あいつならここの監視システムにハッキング仕掛けて監視カメラを止められる。ついでに、あいつはある程度のハッキングは許されてるらしいし」
「なるほど、考えたな」
ラン、ランララランランラン、ラン、ランラララ……。
お待ちかねの亮からの電話だ。ちなみに着信音は「風の谷のナウシカ」で使われてたBGMである。
『準備完了だ。けど客のことを考えると10秒が限界だ』
「大丈夫、そんだけあれば充分だよ」
『電話切ってから10秒たったあとに機能を止める。検討を祈る』
ツー、ツー、ツー。
「雷夢殿、亮殿はなんと?」
「あと数秒したら10秒だけ止まるらしい」
「だったらそろそろだな」
雷夢が監視カメラを見ていると、不意にカメラの赤いランプが消えた。
「よし、行くぞ!」
雷夢の声を引き金に、全員階段をダッシュで登っていった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.130 )
- 日時: 2013/03/21 20:54
- 名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)
REさん、感想ありがとうございます!(←略してすみませんm(__)m)
少なくとも3日に一回は更新するので、また読みに来てください!
そういえば、テトは確かに僕的にも好きですね(←テト「ドヤッ」)。時々古風な話し方があってるのかが不安になっております……。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.131 )
- 日時: 2013/03/22 21:59
- 名前: RE ◆8cVxJAWHAc (ID: A7lopQ1n)
名前はREだけでいいですよ!後ろのは何だかよくわからないままくっ付けてるだけですので(笑)
3日に一回は凄いですね…私なんてひと月以上放置することも…←
定期的に見に来させていただきます♪
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.132 )
- 日時: 2013/03/23 19:19
- 名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
薄暗い階段をかけ上がると、目の前に扉が現れた。扉の片端が幾つかの南京錠と鎖で止められている。
「ここは僕が! ルキウゲ・ルキウゲ・アプリーレ!」
雷夢が呪文を唱えると、ガシャンと音をたて南京錠が外れた。初めてやってみたが、意外に「鍵を開ける魔法」も使えたようだ。
「すごい!雷夢くんって魔法使い?」
「実際それの前に「黒」って文字が付くけど……。てか、後は鎖を外せば……」
「そんなのやってる暇はない!」
ルイスは鎖を外そうとしている雷夢を制すると、左足の一撃で扉を蹴破った。いったいこいつの脚力は数値的に幾らあるのだろうか。
「あら、今日はお友達も一緒なのかしら?」
雷夢達が屋上に出ると、そこにはこちらを見つめるスキュラがいた。
「あ、アテナ殿もおるのじゃ!」
見るとスキュラの後ろ奥で、アテナが柱に縛り付けられている。
「あ、雷夢さん! それにルイスさん達も!」
「待ってろ、今助ける!」
「そうはいかないわよ!」
アテナの元に駆け寄ろうとした雷夢の前に、スキュラが立ちふさがった。そしてスキュラは右腕を高々と掲げた。
「来なさい、『カトブレパス』!」
パチンとスキュラが指を鳴らすと、屋上の奥にある謎の祠の戸が突然開き何かが飛び出してきた。
出てきたのは、頭部の体毛を顔が隠れるほど垂れ下げ、山羊のような角を生やした四足歩行の獣だった。大きさはスキュラの1.5倍程だろうか。
「なんだ、あの生き物?」
「多分、あのスキュラって人がが言ったことが正しければ、魔獣『カトブレパス』で間違いないはずだ。確か、毒の息を吐いて人を殺すらしいが」
「それなんかやばくない!?」
雷夢がそう言った途端、カトブレパスが息を大きく吸い始めた。つまり、このあと何かを吐き出そうとしているわけで。
「みんな、口塞げ!」
ルイスの声で雷夢達が口を服で塞ぐと同時に、カトブレパスが紫の息を大量に吐き出した。
口を塞いだお陰で死にはしなかったが、身体が急に重くなった感覚が雷夢達を襲った。
「大丈夫か、みんな!?」
「な、なんとか……」
「ギリギリで耐えられたのじゃ……」
やがてカトブレパスの息が晴れてきた。しかし、その晴れたあとに猛烈に気にかかったのはスキュラだ。いつ着けたのか、大きめのガスマスクを着用している。
「なんでお前ガスマスク着けてんの?」
「当たり前でしょ! こうしないと私もやられちゃうじゃない!」
だったらカトブレパスの息が自分のところに飛ばないようにしろっていう話だ。そんなところまで頭が回らなかったのかこいつは。
「だったらそのガスマスクをぶっ壊して……」
「させない! カトブレパス!」
雷夢がスキュラのガスマスクを壊そうと竹串を構えると同時に、カトブレパスが毒息の第2射が発射された。慌てて雷夢は口を塞ぐ。
「くそっ、これじゃガスマスクを割って自滅させられない!」
「いや、僕ならなんとかできる」
そう言うと、ルイスは前に歩み出た。
「頼音、カトブレパスの場所分かるか? この状況だと場所がわからない」
「え? えっと……私の正面から左に30度、前に10メートル先……」
どうやら頼音は自分の第六感を使ってカトブレパスの波動を捉えているらしい。しかし正確な距離まで割り出すとは、やはりただ者ではない。
「それだけ分かれば充分だ!」
そう言うと、ルイスは毒息の中を走り去っていった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.133 )
- 日時: 2013/03/25 13:45
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
ルイス君かっこいい!!
頼音ちゃんもすごいww
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.134 )
- 日時: 2013/03/26 19:49
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
やがて毒息が晴れかけたころ、ルイスがこちらに戻ってきた。何やら口に赤いものが少しへばりついている。
「よし、これなら大丈夫だ」
「いったい何してたの?」
「それは後でのお楽しみ……」
口に付いた赤いものを拭いながら、ルイスはスキュラに向き直った。
「何をしたかは知らないけど、もうあんた達は終わりよ!」
「そうかな? 勝負は最後まで分からないぞ」
「あら、言うじゃない。けど、そんなにフラフラでカトブレパスを止められるかしら?」
確かにスキュラの言う通りに、雷夢達の身体は最初に比べるとかなり重く感じる。あっちが毒息を吐く度に、こちらは僅かだが確実に毒息を吸い込んでいるのだ。それは当然の結果だろう。
「そろそろ限界でしょうから……カトブレパス、最大の毒息で止めを差しなさい」
スキュラの命令を受け、カトブレパスが一際大きく息を吸い込み始めた。恐らく今回ばかりは身体が重くなるだけでは済みそうにない。
当のカトブレパスは息を大量に吸い込み、雷夢達が少し顔を上げなければいけないほどに巨大化していた。
「こ、これ絶対にヤバイだろ!」
「ど、どうするのじゃ!? このままでは皆死んでしまう!」
「もう終わりよ! いきなさい、カトブレパス!」
とうとうカトブレパスが息を吸い込むのをやめた。そして、首を大きく傾け毒息を猛烈な勢いで噴き出した。
スキュラに。
「へ? あ、ちょっとちょっとちょっとぉぉぉ!? ゲッホゴホガホゴホッ!!」
『…………ドユコト!?』
雷夢、テト、頼音は声を揃えてルイスに問いただした。
「ああ、さっき毒息を出してる時にカトブレパスの血を吸ったんだよ」
「じゃあ、なんでカトブレパスがスキュラに毒息吐いてるの?」
雷夢が聞くと、ルイスは説明し始めた。
1・映画などに出てくる吸血鬼は、女性の吸うのが目的だが、本当の吸血鬼は違う。
2・本当の吸血鬼は血を吸うことで、相手の力を取り込んだうえに、自分の意のままに操ることができる。
とのことらしい。
「だから、カトブレパスの血を吸ったあと命令したんだよ。『次から吐く毒息は、僕達じゃなくスキュラに吐け』ってね」
なるほど、先程ルイスの口に赤いものが付いていると思ったが、あれはカトブレパスの血だったのだ。
つまりルイスの命令に従ったカトブレパスは、最大級の毒息を雷夢達ではなくスキュラに放ったのだ。命令に対してどこも反している所はない。
それはそうと、毒息を吐かれ続けているスキュラはかなり悶え苦しんでいるようで、
「こ、こらっ! 言うことを聞きなさいカトブレパス! あんたが毒息を吐くのは私じゃなくてあっちのゲホゲホッウェッホ!」
ガスマスクを着けているのに、かなり咳き込んでいる。それほど今カトブレパスが吐いている毒息の威力が凄まじい証拠だ。こちらに吐いていたら確実に雷夢達は昇天していただろう。
「おーい、スキュラー。苦しいかー?」
「く、苦しいに決まってゲッホゴホガホゴホッウェッホ!!」
「降参するなら毒息止めてやるぞー」
「だ、誰が降参なんて……ウグエッホ!!」
そんな感じで雷夢が棒読みで交渉すること数分。
「わ、わかった……降参…………しましゅ」
「よし、ルイス。頼む」
「カトブレパス、毒息吐くのを止めて魔界に帰れ!」
ルイスが祠を指差してカトブレパスに命じると、カトブレパスは命令通り毒息を吐くのを止めて、祠の扉に飛び込んで消えてしまった。
透かさず雷夢とテトはスキュラを取り押さえる。
「おいスキュラ。これ以上変なことされないようにするから、腕出せ」
「だ、誰が……っ!」
「なら、四肢の関節叩き折るけど?」
「はい……」
さすがに四肢を折られたく無いようで、スキュラは右腕をルイスに差し出した。
「ではこいつの魔力全てに感謝を込めて……ガブッ!」
何やら礼儀正しいことを言いかけて、ルイスはスキュラの腕に噛みついた。
「ちょっ……なに血吸ってんのよ! 離しなさい!」
しかしルイスは、そんな注意に聞く耳持たずの様子で血を吸い続けている。
そしてようやく口を離した。
「くっ!」
しかしその瞬間に、スキュラは雷夢とテトの束縛から抜け出し、距離を取っていた。
「あんた達! 今回はこれで見逃してやるけど、次はないと思いなさい! ルキウゲ・ルキウゲ・ムオベーレ!」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照二千突破!】 ( No.135 )
- 日時: 2013/03/27 14:45
- 名前: ノヴァ (ID: 8uCE87u6)
「よし、帰るか」
雷夢は縛られたスキュラを見下ろしながら言った。
あの後、なぜか黒魔法が使えずにあたふたしていたスキュラを、テトがあっという間に取り押さえて、今に至る。
「な、なんで黒魔法が使えないのよぉ!!」
半ば半泣き状態で、スキュラが脚をバタバタさせながら辺りを転がり回る。
「いや、ごめん。お前の魔力、全て残らず食ったから」
「どういう事よ!?」
「えっと、話せば長いけど……」
ルイスの話はそこそこ長かったのでまとめると、
1・吸血鬼は一年に一回の割合で黒魔女や黒魔法使いの魔力、もしくは100人近い人間の血(一人辺り約300cc)を吸いとらなければ生きていけない。
2・人の血を吸った場合は被害者に問題はないが、黒魔女や黒魔法使いの魔力を吸った場合は、被害者は魔力が全て無くなる。
3・ついでに1年は魔法が使えなくなる。
とのことらしい。
「そ、そんな……私しばらく魔法使えないの……?」
「残念だけど、そういうこと」
「てか、これから出てきた敵の魔力をルイスが吸っていけばよくない?」
それならば、こちらは敵に隙を作ればよいだけで、後はルイスに任せればかなり楽だ。
「いや、1年に1.5人以上の魔力を吸うと要領オーバーで……死んじゃう」
「そうなんだ。てか、.5ってなんだよ.5って」
「二人目のパワーダウンが限界」
雷夢は理解を示して頷いた。
プルルルル……プルルルル……。
突然どこからか携帯の着信音が鳴り響いた。見ると、スキュラのワンピースのポケットから光が漏れている。
「ご、ごめん。私の耳元に持ってきて……お願い」
スキュラが涙混じりに懇願するので、仕方なく雷夢はスキュラのス魔ホに出てそれをスキュラの耳元に置いてやった。
「はい、もしもし」
『あっ、スキュラ? どう、そっちの様子は?』
ス魔ホから漏れて聞こえてきたのは、かなり陽気そうな青年の声だった。
「ス、スローネ?ご、ごめんなさい……。またしてもやられました……」
『ああ、そうなんだ』
スキュラが言った人名に、雷夢は聞き覚えが合った。確か、フルーレティが初めて襲って来たときの電話相手だ。あの時はフルーレティを鶴の一声で退却させていたはずだ。
「それに魔力を全て失い、1年は黒魔法が使えないようで……」
『それは残念だね。じゃあ、10年くらい休暇を取ればいいよ』
「い、いえ……。魔力は1年で復活出来るので……」
『あ、ごめん。言い方が悪かったかな? 戦力外通告だよ。もしくはクビ』
「はぁっ!? ちょっ、それはどういう……」
『ロベ様にはちゃんと伝えておくから。退職金もあるから安心してね〜』
「も、もしもし?もしもーーし!?」
どうやら電話が切れたらしく、スキュラは頬で画面をホームに戻すとガックリと項垂れた。
「大丈夫か?」
「……ワタシハ ドウスレバ イイノ?」
心の底から絶望しているらしく、瞳には光が灯っていない。それに加え涙も滝のように流れている。
「もう人間界で暮らせばいいんじゃね?」
「家は……?」
「退職金でアパートとかに住めば?」
雷夢がそう言うと、スキュラは少しばかり考えていた様子だったが、やがてこくりと頷いた。
「じゃあ縄は切るから、後は好きにするのじゃ」
テトが縄を切ると、スキュラは覚束ない足取りで屋上を後にした。
これで全てが丸く収まったわけで。
「ちょっと! 私の存在感が空気なんですけど!」
柱に縛られたまま、アテナが脚をばたつかせる。そういえば元々アテナを助けるためにここまで来たのだった。すっかり忘れていた。
「ごめんごめん。色々あって忘れてた」
「酷いですよ雷夢さん……」
雷夢が縄をほどいてやると、アテナはそのままへなへなとその場に座り込んだ。
「大丈夫か?」
「すいません、ちょっと疲労が……」
「仕方ない。よいしょっ……と」
雷夢はアテナを背負うと、皆の所へ戻った。これから楽しいショッピングなのだ。少しでも楽しまなければ。
「じゃあ、またグルメ巡りに行く?」
「この期に及んでテトを吐かせる気か」
第5話「〜転校生は吸血鬼!?〜」完
〜第6話に続く〜
