二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.20 )
- 日時: 2012/12/24 19:42
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
〜第2話「また居候!??過去の母と運動会」〜
「む、ムズい・・・。この問題全然分からん・・・!」
外が明るくなってきた9月の早朝、雷夢は自分の部屋で頭を抱え巨大な敵との一戦を交えていた。その敵の名は・・・「黒魔法ドリル」。
「なんだよこれ、『死霊を甦らせるのに必要な物を、次から3つ選びなさい。』って全く分からん!」
ガチャ。
「おお、どうだ雷夢。ドリル解けてるか?」
部屋のドアを開け、ギューリットが入ってきた。エプロンを着けている様子からすると、朝食の仕込みの最中だったのだろう。
「解けるも何も全然分からないよ、これ。黒魔法ってこんなに難しいの?」
「難しいに決まってるだろ。どこが分からないのか見せてみろ・・・ってんん!?」
雷夢から黒魔法ドリルを受け取ったとたん、ギューリットは真剣な顔つきになり、ドリルを睨んだ。
「なるほど、お前が分からない訳だ。このページ『黒魔法使い4級向け』だからだよ。私が教えてないから当たり前だ。」
「えっ、そうだったの!?」
「てかお前、これが分からなくて全然進んでなかった訳かええっ?」
「いだだだっ!ギューリットちょっ・・・僕のトレードマークがぁぁぁ!」
怒りを込めた腕で雷夢は自分のアホ毛を思いっきり上に引っ張られた。巨大な分、こういう時に掴まれやすいのが欠点だった。しばらく引っ張られ、ようやくアホ毛がギューリットの手から解放される。
「いいか、今日のうちに朝の分と夜の分終わらせておけよ!休み時間に内職してもいいから絶対にだぞ!」
そう言い残し、ギューリットはバタンとドアを閉め部屋から出ていった。もうこれは半分拷問と言っても過言ではないような気がしてきた。
「こんな修行を耐え抜くなんて、母さんどんだけタフだったんだ・・・?」
「へっくし!」
あれ?またくしゃみだよ。なんかこの前から急にくしゃみが出るようになったなぁ・・・。また花粉症かな?時期は全然違うけど。
「おっ、花粉症か!ならまた聞けるかもな、『ギュービッドざん、ギュービッドざん』てなギヒヒヒ!」
「ああもう、ギュービッド様からかわないでよ!」
まったく、誰かが私の噂をしているのだったらなんだかんだで助かります・・・。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.21 )
- 日時: 2013/05/19 15:31
- 名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
どうも!ノヴァです。
今回は更新の代わりに新キャラ(小説には登場済み)のキャラ設定を更新しようと思います!
ではさっそく!
「鳳 未來」(おおとり みらい)
・雷夢のクラスの学級委員長の女の子。
・いつもニッコリ笑顔だが、怒ると笑顔のまま相手を威圧する。
・第1小の一路舞とは委員長どうしの付き合いがある。
「一路 蘭」(いちろ らん)
・未來の補佐をしている副委員長。
・名字からわかる通り、一路舞の従弟。
・顔が舞と瓜二つだが、見た目に反して実は男の子(娘ではない)。
・出雲響也とはline友達。
「津出 麗奈」(つで れいな)
・クラスで雷夢の隣に座っている女の子。
・名前からわかる通り究極のツンデレで、皆に素直になれないのが悩み。
・雷夢のことを悪からず思っている?
「夏野 花梨」(なつの かりん)
・春野百合にライバル心を燃やすぶりっ子。
・かなりのゲーマーで、毎日家でネトゲをしたり週1でゲーセンに通う程。
・二重人格の持ち主で、ゲームプレイ時には狂暴な性格に変貌する。
・親がファッションコーディネーターなのでいつもかわいい服を着ている。
・・・とまぁ、今回はこんな感じです。
どうでしょうか?
この作品を読んでいただいた後、コメントをもらえれば、さらに僕は頑張れる気がします!もっと頑張って皆様の為にバリバリ書こうと思います!!
これからもよろしくお願いいたしますm(__)m
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.22 )
- 日時: 2012/12/23 18:41
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
こんにちは〜 ソラといいます!!
黒魔女さん大好きです!
たまに来るのでよろしくお願いします!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.23 )
- 日時: 2012/12/23 18:52
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
ソラさん、ありがとうございますm(__)m
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
3日に一、二回更新の予定なので、その時にまた会いましょう(^ω^ゞ
よし、ネタ出し頑張るか!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.24 )
- 日時: 2012/12/23 19:55
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
朝の一時間目開始前の休み時間、雷夢は騒がしい教室の中で黙々と黒魔法ドリルを解いていた。もちろん自分の知識だけでは到底分からないので、傍らに先日図書室から借りてきたオカルト本を片手にもって解いていた。
「あんたも物好きね。そんな本、私なら読んだとたんに即倒しちゃうわ。」
雷夢の隣で、玲奈がこちらを睨むように見ていた。
「そうかな・・?僕は全然平気だな。母さんも昔オカルトマニアだったらしいし。」
「な・・・っ!?あんたって一体どんな家族構成なのよ、母さんもオカルトマニアって、バッカじゃないの!」
「よ、よくわかんないけど・・・。ごめん。」
「なに謝ってんのよ!そんなにオカルト好きならこれでも見てればいいのよ!」
そう言って玲奈がなにかを雷夢に向かって突き出した。雷夢が見ると表紙には、「最強の黒魔法・黒魔術 決定版」と書いてあった。
「こ、これくれるの?」
「べ、別にあんたの為になんか思ってないんだから!たまたま偶然母さんが買ってきた本だったけど、私そういうのに興味ないからあんたに押し付けるだけ!あんたの為にわざわざ隣町の本屋まで行って買ってきたとかじゃ全然ないんだから!そこんとこ理解しなさいよ!」
句読点を入れて、たった八文字で質問しただけでかなり怒られた。いや、デレられたと言った方がいいのだろうか。
「あ、うん。ありがとう!これでちょっと助かるかも、ありがとう!」
「ーーーっ!み、水飲みに行ってくる!」
そう言って玲奈はそそくさと教室を出ていってしまった。恐らく、廊下にある冷水機のところに行ったのだろう。
さっそく雷夢は玲奈がくれた本を開いてみた。
「へぇ、結構いろんなの載ってるな。・・・あっ、これここの問題の答えだ!」
問題の答えを見つけ、雷夢は再びシャーペンを走らせた。
「(な、なんなのよ?この胸の感じ・・・。なんだか焼けつくような、とろけるような、表現できない感じ・・・。ま、まさかあいつを・・・いや、『雷夢くん』を好きになったってこと!??)」
玲奈は冷水機の水を飲みながら、自身の初恋のような気持ちを少なからず感じていた。
「(ああっ、もう!そんなわけ・・・ないのかな?)」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.25 )
- 日時: 2012/12/23 20:11
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
すごくおもしろいです〜
続き楽しみに待ってます!!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.26 )
- 日時: 2012/12/24 08:38
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
キーンコーンカーンコーン。
「は〜い、みんな席について〜。朝の会始めるわよ〜。」
朝のチャイムと共に清井先生が教室に入ってきた。
「起立。姿勢、礼。」
『おはようございまーす。』
「着席。」
未來の挨拶でクラス一同が挨拶をし、着席した。
「は〜い、今日は皆さんにニュースがありまーす。」
ニュースと聞いて、教室が急にざわつき始める。
「それは、今度第1小で行われる『地域別対抗リレー』の第2小の五年生の選手がこの5年1組から選ばれることになりました!」
清井先生のその言葉を聞き、教室が「うっそぉ。」「まじかよ。」「本当?」などの言葉で溢れかえった。
「先生、その選手はいつ決めるのですか?」
未來が手を上げて質問すると、清井先生は答えた。
「えっと、今日は体育がありましたよね?」
「あ、はい。三時間目に入っています。」
「その時に走力測定をして、みんなには悪いけど今日の放課後にその結果をもとにして決めて貰えますか?」
「わかりました。皆さんはそれでよろしいですね?」
未來の一言で、クラス全員がうなずいた。無論雷夢も同じだった。
「はい、それでは授業始めますよ〜。」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.27 )
- 日時: 2012/12/24 12:14
- 名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
そして、とうとう三時間目の体育になった。皆、選手に選ばれたいのか気合いが入っていた。しかし、雷夢は自身の足の遅さから選手入りは断念しているわけで、あまり乗り気ではなかった。
「はーい、では全員揃いましたね。じゃあ、名簿順に6人ずつ並んで。その組で一番の人を代表とします。それではさっそく並んで!」
清井先生がパンと手を軽く叩くと、全員ゆっくり並び始めた。5年1組は全部で36名いたので、きっちり別れた。つまり、この中の6人が選手として選ばれる訳だった。ちなみに雷夢は二組目だった。
「はい、では一組目ならんで〜。よーい・・・。」
パーン!
ピストルの音と共に、一組目が走り出した。勝負は拮抗していたが、ようやく勝負がついた。
「えっと、一番になったのは・・・。あっ、未來さんか。」
どうやら代表選手一人目は鳳 未來のようだった。
「は〜い、では次二組目いきますよ〜。」
とうとう雷夢の組になった。
「(まぁ一位になれないのはわかってるけど、出来るだけ頑張ってみるか。)」
雷夢はそんなことを思いながらスタートラインに立った。
「位置について、よーい・・・。」
パーン!
ピストルの音と共に雷夢は走り出した。当然のことながら1〜5番目は一位争いをしているが、雷夢は少し後ろで6位をキープしていた。
「は、速い・・・。全然追い付けない・・。」
雷夢が心身共に諦めた時だった。突然、一位を走っていた男子が思いっきり足元の石にけつまづいた。
「うわっ!?」
そしてそのまま倒れた男子に後続の男子がけつまづく。
「おわっ!?(でっ!?)(がっ!?)」
そうして連鎖的に1〜5位までの男子全員がこけ、体育服の絨毯を形成していた。当然雷夢はその横を走り抜け、ゴールに一人たどり着いた。
「はい、次の代表選手は黒鳥雷夢くんね。頑張ってね。」
「(・・・・・えええぇぇぇええぇえぇええぇぇぇぇぇぇっっ!!!???)」
雷夢は心の中で、とてつもなく絶叫した。
「はい、次の組いきますよ〜。」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.28 )
- 日時: 2012/12/24 15:59
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
すごい強運ですねっ!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.29 )
- 日時: 2012/12/24 18:10
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
放課後の下校時間、雷夢とアテナは通学路を歩いていた。
「ど、どうしようアテナ・・・。全然リレーで頑張れる自信ないよ・・。」
「そんなこと言わないでくださいよ。それだけ神様が雷夢さんをリレーに出したいってことですよ!」
「ごめん、今回ばかりは神様恨むかも。」
体育で決まったリレーのメンバー決めの結果は、未來、雷夢、ミカ、上尾 愛(うえお あい)、蘭と、ここまではよかったのだが、六組目が走ろうとした途端に大雨が降り始め、六組目は次回の体育に持ち越しになってしまった。
「僕、本当に足遅いからさ・・・。全然活躍出来そうにないよ。母さんよりはましだけど。」
「へっ・・・へっ・・。」
・・・・・あぁっ、なんで鼻がムズムズしておいてくしゃみでないのよ!こうなると、鼻がツーンとして物凄く痛いんだよね。
「やっぱり黒鳥、お前花粉症じゃないのか?病院まで連れて行ってやるよ。」
「麻倉!お前のヤクザなんかと行ったらよけい黒鳥の具合が悪くなるだろ、今度こそ俺の調伏信言で!ドウマンドノガ・・・・。」
ああ、この二人って花粉症より太刀が悪いかも・・・。
「うーん、でもその時までに足を速くすればいいことじゃないですか。」
「そう、うまくいくとは思わないけどね。」
そんな会話を交わしながら雷夢が角を曲がった時だった。
急に目の前にヒトカゲ・・・ではなく人影が現れた。
「おわっ!?」
雷夢は避けきれずにその人影にぶつかった。
「にょわっ!?」
そんな気の抜けるような音と共にドサッとその人影は倒れこんだ。
「い、いきなりなにするのじゃ!ちゃんと前向いておったのか?」
そんな和風口調で喋って倒れていたのは、ネコ耳にネコの尻尾を付けた女の子だった。
「ご、ごめん!大丈夫?」
「大丈夫な訳が無かろう!手に細かい砂が付いて・・・。って、すまぬ!かくまってくれるかの!?そのパーカーを我に貸してくれるかえ?」
「えっ?ちょ、まっ・・・!」
返答する間もなく、女の子は雷夢の着ていたパーカーをむしり取り、羽織って雷夢の後ろに隠れた。一応中にTシャツを着ておいて助かった。
「そっちには居たか!?」
すると、先程女の子がいた場所の奥辺りから黒服の男二人が走ってきた。どうやらトランシーバーのようなもので通信しているらしい。
「あ、そこの君達。こんな女の子見かけなかったかい?」
黒服の男の一人が雷夢達に近づき、一枚の写真を見せた。そこには雷夢の後ろにいる女の子が写っていた。
「えっと・・・知らないです。」
「わ、私もです!」
「わ、私も・・知りません。」
取り合えず空気を読んで嘘を言った。
「そうか、ありがとう。おい、別のところを探すぞ!」
そう言って黒服の男達は行ってしまった。
「・・・ふう、危なかったのじゃ。恩にきるのじゃ。」
「ところで君、どうしてあの人達に追われてるの?」
「あ、えっと・・。ここではなんじゃから、そちの家に連れていってくれるかの?」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.30 )
- 日時: 2012/12/24 18:14
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
誰なんでしょうか?
たまにしか来ないって書いといて更新されるたびにコメントしてますね、私
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.31 )
- 日時: 2012/12/24 18:57
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
確かにですね(´ω`)
けど、それはそれで楽しいです!コメントをあまり貰えてなかったので、本当にありがとうございますm(__)m
ところで、コメントの「誰なんでしょうか」ってどういうことですか?
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.32 )
- 日時: 2012/12/24 19:44
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
す、すみません
表現をまちがえました
正しくは『何者なんでしょうか?』ですね
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.33 )
- 日時: 2012/12/25 21:38
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
時間は午後4時すぎ、雷夢の家のリビングには雷夢、アテナ、ギューリット、そして先程の女の子が集まり椅子に座っていた。もちろん、ギューリットには訳は話している。
「さて、じゃあお前のこと。全部話してもらおうか?」
「は、はいなのじゃ!まず、我はあるお方の手下・・というより使い捨ての雑兵なのじゃ。」
「誰、そのあるお方って?」
雷夢が聞くと、女の子は重々しく口を開いた。
「ロベ・ル・プティ様じゃ・・。」
「なっ・・・ロベだとっ!?」
「し、知っておるのか?」
「あ、うん僕達そいつと色々あってね・・・。」
まさかこんな女の子までロベの手下だとは。つくづく侮れない。
「となると、お主らはもしやロベ様が探している『黒鳥雷夢一向』なのか?」
「そうじゃなかったらなんなんだよ。」
ギューリットが指をパキポキ鳴らしながら女の子に迫っていく。これで学ランでリーゼントなら完全なヤンキーだった。
「ままま、待つのじゃ!我はロベ様と手を切ったのじゃ!」
「なにっ!?お前手を怪我してんのか!」
「違いますよギューリットさん!『手を切る』っていうのは、今までの関係を絶つって意味ですよ!」
「そ、そうなのか・・・。で、じゃあなんで手を切ったんだ?」
「えっと、話すと長くなるのじゃが・・・。」
女の子の話は言った通り長かったので、まとめると。
1・自分はもともと猫の魔獣で、ロベの手下として働いていた。
「って君、魔獣なの!?」
魔獣とは神話などに出てくる獣で、例をあげるならばドラゴンやキマイラ、ケルベロスなどだ。今日の朝に玲奈から貰った本に書いてあったので雷夢はそこそこ知識は得ていた。
「じゃあなんでお前・・・まぁ一部ネコだけど人間の体してんだ?」
「それは今から手を切った話と一緒に話すのじゃ。」
2・ある日、ロベが雷夢を殺す計画を立てているのを知り、恐ろしくなりロベの城から逃げ出した。
3・無我夢中で人間界まで逃げてきたはいいが、来た途端に車にはねられて死んでしまった。
ガタッ!
「って、お前死んだのかよ!」
見るとギューリットが横で椅子から落ちていた。
「でも、ここからが急展開なのですじゃ!」
4・自分の魂は天に向かって昇っていったが、途中で天から、『お前はまだ生きることができる。お前と同じように死んでしまった人間を探して、その体に入るのだ。そうすればお前は人間として生きることができ、お前の主人が殺そうとしている男の子をサポートしてやれるはずだ。』と声が響いた。
5・その言葉通り、人間界で死んで間もない人間を探していたら棺に入っているこの体を見つけた。
6・その体に入って自分は人間として生き返ることができたが、その体だった人間が問題で・・・。
「どうやらこの体の持ち主、生前はどこかの会社のお嬢様だったらしくてのう・・・。生き返って棺を蹴り破った途端、周りの者が騒ぎはじめてたのじゃ。」
「いや、さっきまで死んでた人が突然棺を蹴り破って生き返ったらそりゃ誰でもびっくりするよ。」
「で、『ここだと迷惑そうじゃからおいとまするかの』と思って逃げ出したら、さっきの黒服の男どもが、『お嬢様〜。生き返ったのでしたらばさっそくお仕事を〜!』などと言って追いかけて来たのじゃ。」
感性おかしいのではないかあの男達。
「そして逃げ回っておったら、ちょうど出くわした二人に会って匿ってもらった、というわけなのじゃ。」
「なるほど、じゃあこれから先どうすんの?」
「そこなのじゃ、どこにもいくあてが無くてのう・・・。そうじゃ、この家に居候させてくれるか・・。」
「おう、いいぜ!」
「・・・のうっていいのですのじゃ!?」
アテナの時以上の高速承諾だった。恐らく返答に要した時間は1秒もかかってないだろう。
「おう、訳ありなら大丈夫だ!絶対ばらしゃしねぇよ。お前達もいいよな、雷夢、アテナ!」
「はいっ!大歓迎ですよ、話し相手も増えますしノープログラムです!」
「僕も!なんか家族増えたみたいで、毎日楽しくなりそう!」
「よし、決定だ!歓迎するぜ・・・。」
突然、ギューリットの口が止まった。
「そう言えばさ、お前名前なんてーの?」
「あっ。(なっ。)(にゅっ。)」
確かに、この子の名前を聞いていなかった。しかし今の反応からして自分自信の名前を知らないようだった。
「ら、雷夢!なんかいい名前ないか?」
「すまぬのじゃ!我も魔獣の時、名前を持っておらぬのじゃ。」
「えっと・・・。じゃあ、『テト』でどうかな?猫の女神の『バステト』からとって。」
「テト・・・。うむ、悪くないのう!」
即興で思い付いた名前だが、気に入って貰えてよかった。
「改めてテトじゃ、よろしくのう!」
「私はギューリット!」
「私はアテナ!」
「僕は黒鳥雷夢!よろしくね、テト!」
「こちらこそなのじゃー!」
こうして、黒鳥家に新しい居候兼家族が増えたのだった。無論、このあとイシダヤショッピングセンターに買い出しに行ったのは言うまでもない。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.34 )
- 日時: 2012/12/25 20:53
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
どうも、ノヴァです(^ω^ゞ
今回は、現在更新分の話に登場した新キャラの更新です(ちなみに二キャラ)。
「上尾 愛」(うえお あい)
・医者である父親に影響されて、医者を目指す女の子。
・着ている服は大概、控えめのリトルナース服。
・いつも背負っている(時と場合によっては背負っていない)巨大注射器の中には大量の医療関係の道具(薬や絆創膏etc. )が充填されている。
・怪我人を求めて走り回っている為、足がそこそこ速い。
・名前は「あいうえお」のアナグラムww
「黒鳥テト」
・黒鳥家に居候することになった、元魔獣の女の子。
・元々名前が無かったが、雷夢が命名(猫の女神バステトから)。
・魔獣だった名残で猫の耳や尻尾がある。
・理由は不明だが話し言葉は和風口調。
・今のところ、雷夢の従妹として5年1組に転入予定(あ、ネタバレじゃん)。
今回はこんな感じです。今後お楽しみに!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.35 )
- 日時: 2012/12/26 13:55
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
楽しみすぎて毎日チェックしちゃいます〜
まあ部活があるので来れる時間は限られちゃうんですけどね(><)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.36 )
- 日時: 2012/12/26 20:45
- 名前: ノヴァ (ID: 8uCE87u6)
『行ってきまーす。』
テトを黒鳥家に迎え入れた次の朝、雷夢とアテナは少しだけ早く家を出た。特に理由はないのだが、なんとなく早めに出てみたいと思っただけだった。
「おっはよぅ。ライム、アテナちゃん!」
「おはよ、ミカ。」
「おはようございますミカさん!」
隣の家の玄関のドアが開き、ミカが出てきた。
なぜだか久しぶりの登場のような気がしてならなかった。
「あれ、昨日からライムの家に来たテトちゃんは?」
ミカがこう言うのは、昨日イシダヤショッピングセンターに買い出しに行った後に雷夢の部屋から自己紹介させたからだ。同じ(いろんな意味で)動物系だからか、結構気があっているように感じた。
「ああ、テトはこっちのクラスに転入するってことになったから、その手続きに追われてるみたい。」
「やったぁ!またクラスの仲間が増える〜!」
そんなことを言いながら、耳を出してミカは跳び跳ねていた。
「そろそろ行きましょうか雷夢さん。学校に遅れちゃいますよ。」
「あ、ごめんごめん。行こうか。」
雷夢とアテナは喜びに浸っている狼娘を置いて走り出した。
「って、ちょっと待ってよ〜!」
無論そのあとをミカは追いかけていった。
キーンコーンカーンコーン・・・。
学校に着いて、一段落したのもつかの間。朝の会開始を告げるチャイムが鳴った。
「はーい、席着いて!」
チャイムが鳴り終わると同時に、清井先生が入ってきた。いつもと同じように、挨拶を済ませ、席につく。
「みなさ〜ん。今日はまた新しい転入生の紹介で〜す、入ってきて!」
ガララと扉が開き、転入生が入ってきた。しかし雷夢、アテナ、ミカは誰だか知っているのだが。
「黒鳥テトじゃ、これからよろしくのう!」
寸分の狂いもなくテトだった。
「テトちゃんは雷夢くんの従妹で一緒に住むことになったので、このクラスに転入することになったそうです。今日から仲良くね。」
すると、クラスの奥で手が上がった。どうやら上尾 愛のようだ。なぜかいつもリトルナース服を着て、巨大注射器を背負っている変わった女の子だった。
「ところで、テトちゃんってなんで猫の耳と尻尾があるの?」
一番説明しづらいところをストレートに質問された。しかし、こんなことを想定して、テトにはごまかすように言っておいた。
「あ、これはただのコスプレじゃ。気にせずともよいのじゃ。」
なんとかごまかせたようだ。
結局、テトは愛の隣に座った。
「はい、じゃあ二時間目の体育ではやっていなかった六組目にテトちゃんを入れてメンバー決めをしましょう。」
『は〜い!』
そんなこんなで一時間目の授業が始まった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の話〜 ( No.37 )
- 日時: 2012/12/29 08:20
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
そしてやって来た二時間目の授業。リレーの最後のメンバーを決める体育が始まった。朝の会で言った通り、テトは唯一残っていた六組目に参加していた。
「ようし、がんばるのじゃ〜!」
「おっ、気合い入ってるね〜テトちゃん!」
授業中にもかかわらず、雷夢の後ろで女子二人が雑談を交わしていた。
「時と場合を考えなよ、二人とも。」
「はい、そこのお三方。授業中ですよ。」
注意しただけなのに、雷夢も喋っている人間にカウントされた。とんだとばっちりだ、未來。
「は〜い、それでは最後のメンバー決め始めますよ〜。」
『は〜い。』
清井先生の一声で六組目がならび始めた。元々6人だったが、テトの参戦で7人の中から決めることになった。
「はい、それではいきますよ〜。」
清井先生がピストルを構え、片耳を塞ぐ。
「よ〜い・・・。」
しかし、雷夢は気づいた。
テトの目が鋭く光ったことに。
バーン!
ピストルが鳴り響き、全員が走り出す。そしてそこにいる全員がそれを聞いた。
「うにゃにゃぁぁぁぁぁぁ!!」
テトがあげた奇声を。
あっけにとられたランナーの横をテトが猛スピードで駆け抜け、そしてゴールをあっさり通過する。
『・・・・・・・・。』
全員が呆然とするなか、テトはただ一人ご満悦していた。
「ふぅ〜。結構よかったのう・・・ってみんなどうしたのじゃ!?」
ようやくテトは周りの状況を理解したようだ。雷夢はつかつかとテトに近づき、耳打ちをした。
「おい、何やってんだテト。」
「えっ、ただ走っただけなのじゃが・・・。」
「あれが魔獣の普通なのか?だけどいまのお前は人間だ、人間。少しは自重しろ。」
「りょ、了解なのじゃ・・・!」
なんとか了承したが、もうすでに結果は決まっていた。
「あ、えっと・・・。リレーの最後のメンバーは黒鳥テトさんで〜す!」
『・・・お、おー!』
先生以下クラス全員が、少しながら棒読みで喜んでいた。
こうして、リレーメンバー全員が決定した。黒鳥雷夢、テト、鳳未來、上尾愛、一路蘭、尾丘ミカの六人だ。
その日の放課後はリレーの順決めに時間を費やされ、雷夢は再びギューリットにダメ出しを食らったのであった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.38 )
- 日時: 2012/12/28 23:15
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
炬の炎が怪しく照らす城内に、二人の男の影があった。一つは身なりを整えた紳士風の男、フルーレティの物。もうひとつは神官の風貌で悠然と立ち尽くす男。
「ロベ様、なぜあのタイミングで私を呼び戻したのですか!あのままでしたら、黒鳥雷夢をここに連れていくことが・・・。」
「少し黙れ、フルーレティ。」
「・・・っ!?・・・・・・!!」
男が軽く指を振ると、フルーレティは自身の口を開くことができなくなった。まるで口にチャックをされたが如く。
「私も黒鳥千代子に関係のあった人物を、一人ずつこの手で殺してやりたいのだ。それこそ無傷の状態から血塗れの肉塊と果てるまでな。」
「・・・・・っ!・・・っ!?」
「しかし先程のお前ときたら、私が手を下す前に奴を殺す勢いだった。」
「・・・っはあ!」
再び男が指を振ると、フルーレティの口がようやく開いた。
「まぁ、傷ついてもこちらで療養させてから殺せば良いこと・・・。そこで、こんなことを思い付いた。」
男が指先をフルーレティに向けるやいなや、そのうえ指先から怪しく光る光弾が打ち出されていた。フルーレティに命中したそれは、フルーレティの体の奥深くへ潜り込んでいく。
「ぎっ!?があぁぁぁあぁぁああっ!?・・・ロ、ロベ様・・・いったい何を・・・?」
「今貴様に撃ち込んだのは、魔獣の核だ。それはお前の身体を蝕み、最後にはその身体を魔獣へと変える。」
男はなんのためらいもなく言いはなった。フルーレティはただ絶望を含んだ眼で男を見上げることしか出来ない。
「貴様が魔獣になる前に奴を連れてきたら、核は取り除こう。しかし、間に合わなければ、御前は醜い魔獣に成り果てる。貴様とて醜い物に変貌するのは嫌だろう?ならばさっさと行った方が身のためだぞ。」
「ひっ・・・!?う、うわぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁっ!?」
フルーレティは叫び声を上げ、走り去った。後には、冷酷かつ残虐な男・・・ロベ・ル・プティの影だけが残っていた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.39 )
- 日時: 2012/12/29 20:58
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
ま、魔獣の核?
おそろしいですね・・
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.40 )
- 日時: 2012/12/31 21:51
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
「ぐ、ぐぅ・・・・。」
雷夢は今、自分の部屋で轟沈していた。こうなったのは、先程終わったギューリットの修行のせいだった。帰って来たとたんにダメ出しを食らい、そこから今まで以上のハードな修行をさせられたからだ。
「は、はひぃ・・・。もう動けばじぇん・・・。」
すると、ガチャとドアを開けてアテナが入ってきた。
「大丈夫ですか、雷夢さん?」
「あ・・・えっと、ダイジョバナイ・・・。」
雷夢は気の入っていない返事を返した。
「なら、気晴らしに飛行機公園に遊びに行きませんか?テンション上げればなんとかなるかもしれませんよ!」
正直いってそんな気分ではなかったが、特に今の状況を打開できる方法がない。
「うん、わかった。行くよ・・・。」
仕方なく雷夢は逝く・・・行くことにした。
夕方になりかけている中の飛行機公園は、あまり人が見受けられなかった。見かけるとしても犬を散歩させている女性や、ジョギングをするカップルなどしたいなかった。
ちなみに夕暮れも近いのでギューリットも同伴している。
「じゃあなにで遊びましょうか、雷夢さん?」
「えっと、別になんでもいいよ。アテナが選んで。」
「てか、お前らちゃんと気をつけろよ。」
ギューリットの声を後ろに聞きながら、雷夢はアテナに手を引っ張られ連れていかれていた。
「えっと・・・じゃあこれがやりたいです!」
そう言ってアテナが指差したのは、大型のアスレチックだった。様々な遊具が融合しており、千差万別な遊びができると評判だった。
「じゃあさっそくトライです、行きますよ雷夢さん!」
「えっ、あっ、ちょっ・・・!」
アテナに引っ張られ、雷夢はアスレチックの入り口に突入した。始めは網目状になったロープを登るアスレチックだった。
「こんなの・・・よっ、はっ、ほっ!」
雷夢は軽々と登り、上までたどり着いた。
「おーい、アテナも来いよ!」
「こんなの、手足使う必用ありません!」
そう言うと、アテナは背中から翼を生やして雷夢のところまで飛んできた。
「よし、じゃあ次いこうかってちょっと待て今スルー仕掛けたけどなんだ今のはええっ?」
「あれっ、雷夢さんには言ってませんでしたっけ?」
「いや、今の今まで全く聞いてないんだけど。」
いったいアテナの背中から生えている「あれ」はなんなのだろうか。
「これは私がいつも背中に収納している、「多機能搭載自立兵装・エンジェルビット」です!」
説明されても全く理解できなかった。
「つまりどういうこと?」
「えっと、つまりこれは様々な機能を持った兵器ですね。大きさも自由自在で背中に収納可能できますし、ビーム発射したり、いろんな機能がついている訳でして・・・。」
話の途中で何となく理解できたので、雷夢はアテナを置いてきぼりにすることにした。
「あ〜、別に置いてきぼりにしても大丈夫かな?・・・大丈夫だ、問題ない。」
そんなことを喋りながら、少しアスレチックの下を見たときだった。誰かの会話が聞こえてきた。
「もう、ギュービッド様からかわないでよ!」
「いいじゃねぇかチョコ!お前のあの声久しぶりに聞けるかもしれねぇんだぜ、『ギュービッドざま、ギュービッドざま』ってなぁ、ギヒヒヒッ!」
「ああ、またからかった!」
その会話を聞いて、雷夢は眼を見張った。視線の先には、黒コートの女性と、ゴスロリを着た女の子がいた。
雷夢はその二人を見て、確信した。
「ま、まさか・・・母さん?」
その声を聞いたのか、ゴスロリの女の子がこちらを向いた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.41 )
- 日時: 2013/01/01 18:15
- 名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
雷夢の方を向いたその顔は、まさしく雷夢の母「黒鳥千代子」の面影があった。そもそも、母が見せた母の小学生の時の写真の顔と瓜二つだった。
「君、私になにか用?」
急に話しかけられた。しかし、ここで自分の正体を明かすわけにはいくわけもない。そもそも雷夢一人では説明しても「信じられない」と言われるのがオチだ。
「えっと・・・。僕は雷夢、君はもしかして黒鳥千代子?」
「えっ、なんで初対面なのに私の名前を!?」
「そんぐらいお前が有名になったってことだろ、ギヒヒヒッ!」
雷夢の予想通り、この女の子は小学生時代の雷夢の母親黒鳥千代子だった。となると、一緒にいるこの黒コートの女性が誰なのかは察しがついた。
「じゃあ、その隣にいる人は黒魔女のギュービッドさん?」
「なっ・・・、お前私が見えるのか!?」
そう驚かれて思い出したが、黒魔女は基本人間には見えないのだった。ギューリットも黒魔女だがいつもは自分の姉として生活しているため姿を見えるようにしているのだった。
「あ、はい。そうですけど・・・。」
「お前、黒魔法使いかなんかか?」
実際そうなのだが、今は口をつぐんでおくことにした。
「それにしてもお前・・・なんかチョコに似てるな。」
「えっ?あ、ほんとだ!」
「はい?」
そういえば、雷夢は母親の黒鳥千代子、父親の大形京の血を8:2の割合で継いでいるためどちらかというと母親似なのだった。しかしそれと同時に女よりの中性顔なのがコンプレックスだったりした。
「確かに、この後ろ髪とか弱冠おかっぱの前髪とか私そっくり!」
「お前、まさか未来から来たチョコの息子だったりしないよな?」
「まさかぁ、そんなわけないよギュービッド様。」
「だよな、ギヒヒヒ!!」
「あ、えっと実はそうなんですけど・・・。」
そういったとたん、チョコとギュービッドは硬直した。いやそれを通り越して、石化したといってもいいだろう。
『・・・はい?』
二人が石化を解き、眼を点にして聞き返した。
「え、ドユコト?」
「えっと、僕の名字は黒鳥。黒鳥雷夢です。」
すると二人はお互いに向き合い、ゆっくりこちらを向き、
「えええぇぇええぇぇぇぇぇえええええぇぇぇぇぇっ!!!???」
雷夢がのけぞるほどの大声で叫んだ。
「おお!お前が私の未来の娘か〜!」
「これが母さんの若いときか〜!」
後ろでキャッキャ騒いでいる黒魔女二人を尻目に、雷夢、アテナ、そしていつ来たのかテトはチョコに事のあらましを説明していた。
「さっき家の置き手紙を見て来たのじゃよ。」
説明ご苦労。
「えっと、つまり雷夢くん達は未来のロベって人に追われてこの時代に来たってこと?」
「あ、アテナとテトは違うけどね。」
『まあ、いわゆる居候ってやつです!(なのじゃ!)」
息ぴったりにアテナとテトは返事を返した。いつの間にかこの二人の間にはなにかできているようだった。
「おお!お前が私の未来の娘か〜!」
「これが母さんの若いときか〜!」
さすがに雷夢の苛立ちも限界に近づいた。
「・・・あのさ、二人とも。」
『ん、どした?』
「いいかげんに〜。」
『ん?』
「しろやあぁぁぁぁ!!」
その言葉を言い切る前に、雷夢はありったけの竹串を二人に向かって投擲していた。
「サタンッ!?」
「ベルゼブッ!?」
その悲鳴と共に、二つの黒魔女剣山が姿を現した。
「い、今のなにっ!?」
「あ、雷夢殿の特技の竹串投げですのじゃ。」
再び説明ご苦労。
「い、いてぇ・・・。」
「たっく、こっちの話にもちゃんと加わって・・・。」
剣山と化したギューリットにダメ出しをしようとしたときだった。
「見つけたぞ、黒鳥雷夢!!」
突如響いた声に全員が振り向くと、少し離れた芝生に一人の男が立っていた。
「お、お前は・・・・・・誰だっけ?(誰でしたっけ?)(誰じゃ?)(誰だ?×2)(誰?)」
どうやら、雷夢を含めたこの場の全員が男のことを知らない、もしくは忘れているようだった。
「フルーレティだ!!ちゃんと覚えておけ貴様ら!!」
「あ、ゲーセンの時の!」
激昂した男の一言でやっと一同思い出した。少し前に、ゲーセンでゲーム対決を行ったロベの手下、フルーレティだ。
「今回こそ、貴様らを捕らえなければならんのだ!」
「てか、この前まで紳士口調じゃなかったですけ?」
確かに、ゲーセンでは最後を除いてこいつは紳士的なはずだったが、今では髪を振り乱し、半狂乱に近かった。
「今回はこの前のように余裕ぶっている暇はないのだ!!こいつらでさっさとケリをつけてやる!!」
そう言ってフルーレティが右手を上げると、その後ろから何かがゾロゾロ出てきた。
「行けぃ!『ヘルハウンド』どもよ!!」
その一声で、その犬の姿をした生き物がうなりごえを上げ襲いかかってきた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.42 )
- 日時: 2013/01/02 00:00
- 名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
少しばかり遅くなってしまいましたが、皆様明けましておめでとうございますm(__)m
今年もよろしくお願いいたします。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.43 )
- 日時: 2013/01/02 08:12
- 名前: ソラ (ID: .FfPREwy)
あけましておめでとう!
今年も小説、頑張ってください!
応援してま〜す
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.44 )
- 日時: 2013/01/02 23:01
- 名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
『うわわわわわわわっ!?』
雷夢達は、フルーレティがヘルハウンドと呼んだそれを見て全員が直感的に180度反対方向にダッシュした。
『グァオォォグルルァァッ!!!』
壮絶な唸り声を上げ、ヘルハウンドは追いかけてくる。
「な、なんなんだよあれっ!?」
雷夢は自分でも考えられない位の速度で走りながら、誰にでもいいので問いかけた。
「フルーレティが言ったのが正しければ、『地獄の番犬』と呼ばれている魔獣のヘルハウンドだと思います!確か、地獄の入口を見張っているとか・・・ってわっ!?」
アテナが説明中にもかかわらず、ヘルハウンドがアテナに飛びかかった。それをアテナはギリギリで避ける。
「ってこの数どうすんの!?」
たまに雷夢はチラリと後ろを見るが、ヘルハウンドはおびただしい程の数がいた。恐らく、軽く80・・・いや100はいるだろうか。
「と、取り合えず・・・。」
『取り合えず?』
「今は逃げろおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
そう言ってギューリットが一人走る速度を上げた。それに合わせ、他の5人を速度を上げる。
「逃げるってどこにだよ!」
「そ、それは・・・。上だ、上!」
ギューリットが上、つまり空を指差す。
「なるほど、さすがは私の娘だぜ!!」
雷夢、アテナ、テト、チョコは走りながら頭の上に「?」が浮かべていた。
すると、ギュービッドが突如言いはなった。
「お前ら、飛ぶぞ!」
『はぁ!?』
「お前ら、意味わかったか?」
「ごめん、全然!」
いきなり「飛ぶ」などと言われて四人の頭は少し混乱していた。
「お前らこれを塗れ、急いでな!」
そう言ってギューリットとギュービッドが何かを投げ渡した。見るとなにやら小瓶のような物だった。
「それの中身を腕とか足とかに塗りたくれ!」
「あっ・・・。私はいいです。」
アテナはなぜか小瓶をギュービッドに投げ返した。
雷夢が小瓶を開けると、そのとたん強烈な異臭が鼻に感じられた。覗くと中には紫色をした奇妙すぎる液体が入っていた。
「ギュービッド様、これ『飛行魔法薬』じゃない!」
「わかったかチョコ、今から箒で空飛ぶぞ!」
「ギューリット、何『飛行魔法薬』って!?」
「説明は後だ、早く塗れ!」
ギューリットにせかされ、雷夢は走りながら異臭漂う液体を体に塗りたくった。
「よし、じゃあ基本呪文唱えろ!」
そういわれ雷夢、チョコ、テトは思いっきり唱えた。
『ルキウゲ・ルキウゲ・ロフォカーレ!!』
「よし、これに乗れぇ!!」
そう言い、ギューリットとギュービッドがどこからか箒を取りだし、こちらに投げた。
そして雷夢達はそれぞれそれに飛び乗った。
するとそのとたんに箒が浮き、雷夢達はみるみる上空に飛び始めていた。
「あれっ、アテナは!?」
見るとアテナは箒に乗らず、こちらもどこからか杖を取り出した。
「私も行きます!『ガブリエ・ガブリエ・レイナーレ!』
そう言ったとたん、アテナの背中のエンジェルビットが一斉に飛散し、杖についている水晶に集まり翼の形に変化していく。
「それっ!!」
杖の翼が羽ばたき、アテナが空に舞った。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.45 )
- 日時: 2013/01/05 22:43
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
「よし、みんな逃げるぞ!」
そう言ったギュービッドの後を皆がついていく。
「って、ギュービッドさん! 僕、箒の乗り方知らないんですけど!!」
雷夢の叫び声も虚しく、ギュービッドは先に飛び去っていた。
「あ、箒は行きたい方向に体を傾ければその方向に進むよ。だけどゆっくりね。」
「こ、こう?」
チョコに指摘された通りに、体を前に傾けると箒が前進していった。
「そうそうそんな感じ!じゃあ私が少し後ろからサポートしてあげる。」
そのようなサポートのかいあって、雷夢は先頭集団に追い付いた。
「逃がすなぁ!!おえぃっ!!」
フルーレティがヘルハウンド達に命令して追わせたが、それがどんどん離れていく。
「で、どこにいく?」
「私達の家はダメでしょうね。行ったら本拠地突き止められますもん。」
「じゃあ、チョコの家もダメだな。」
確かに雷夢の家に逃げたとすると、後々ロベが集中攻撃をしかねない。それはチョコの家にも言えることだった。
「う〜ん。この大人数が隠れられてなおかつ見つかりにくく、さらにあっちが知っても得にならない場所・・・。」
空中で全員が腕を組み考え始めた時だった。
「そうだ、鳳さんの家に行きましょう!」
いきなりアテナが大声を張り上げた。
「誰だ、鳳って?」
「私達のクラスの学級委員長です。確か家が大金持ちで、家も大きいと聞いてます!」
未來が金持ちというのは雷夢には初耳だった。アテナはいったいどこでそんな情報を仕入れたのか。
「よし、まずはそこに向かうぞ。そこで体勢を立て直す!アテナ、そいつの家はどっち方向だ?」
「えっと・・・。あ、あれです!」
アテナが指差した先には豪邸が見えた。郊外にあるようで、いささか町から離れている場所にあった。
「よっしゃ、みんないくぞ!!」
ギュービッドの先導のもと、雷夢達は鳳家に向かって箒を飛ばした。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.46 )
- 日時: 2013/01/07 22:45
- 名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
それからしばらくして、雷夢達は鳳家の門の前に立っていた。細い鉄で作られた模様が、洋風独特の門を醸し出していた。横に並んで立っている煉瓦作りの柱にはインターホンまで付いているようだ。
「あ、私がいきます。」
そう言ってアテナがインターホンを押した。
キンコーン。
「・・・はい、どちら様でごさいましょうか。」
押して間もなく誰かが出た。
「あ、すみません。私、黒鳥アテナっていいます。鳳未來さんはいますか?」
「アテナ・・・。あぁ、この前お嬢様のクラスに転入してきた方でごさいますね。ところで、どのような御用件でしょうか?」
「あ、えっと・・・。鳳さんと直接話さないといけないことがあって・・・。」
「わかりました。しばらくお待ちください。」
そう言ってインターホンは切れた。
ポツ。
何かが雷夢の頭に当たった。なにかひんやりとして湿ったものだ。
ポツ、ポツポツ、ポツポツポツ、ポツポツポツポツ。
「おい、雨降ってきたぞ!」
ギューリットがそう言うと同時に、土砂降りのような雨が降りだした。
ガチャ。
「黒鳥さん。どうしましたの?」
インターホンが繋がった。声からして、話しているのは未來だろう。
「あ、未來さん! 私達追われているんです。かくまってもらえませんか?」
「あら、そうでしたか。ではどうぞ、門を開けますのでお入りになってください。早くしないと風邪を引いてしまいます。」
すると、急にキィィィと音をたて門が開いた。その向こうには巨大な屋敷が建っていた。恐らく日本の豪邸で五本の指に入る大きさだろう。
その入口が開き、中から未來が手を降っていた。
「べっくしょーいっ!!」
屋敷に入ったとたん、ギュービッドが盛大なクシャミと共に鼻をすすった。
「ようこそ、鳳邸へ。」
未來の隣にいるメイドが深く一礼する。なぜかその顔に雷夢は見覚えがあった。
「もしかして、『秋葉 穂香(あきば ほのか)』!?」
そのメイドは、雷夢のクラスでいつも未來と行動を共にしている女の子、秋葉穂香その人だった。
「穂香さん、なんでメイドやっているんですか?」
「話していませんでしたけど、私はこの家の養子兼メイドなんです。」
「えっ!? なんで養子なのにメイドを?」
チョコが問いかけると、穂香は脇によけ道を開けた。
「その話は後程。」
「それより、雷夢さん達はそのままだと風邪を引きますよ。」
そう言われて見てみれば、雷夢達全員、先程の雨でずぶ濡れになっていた。
「ですから、皆さんこちらにどうぞ。私もそろそろと思っていたので。」
「え? 何が?」
「お風呂ですよ。」
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.47 )
- 日時: 2013/01/08 18:10
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
「では風呂場まで案内させます、未來御嬢様。」
そう言うと、穂香はメイド服のエプロンについているポケットから何かを取り出した。どうやら、よく通販のオペレーターがしているようなマイクのようだ。それを穂香は耳に取り付けた。
「3、8、10、23、24、今すぐ正面玄関へ。」
穂香はそれだけ言うとマイクをしまった。
「いったい何したの?」
「今にわかりますわ。」
雷夢の問いかけに、未來がにこやかな顔で返答した。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
「ん? 何か聞こえるぞ?」
すると、どこからともなくメイドの集団が現れた。
メイド達は穂香も含め綺麗に整列し、一斉にその口を開けた。
『いらっしゃいませ! お客様!』
「では皆さん、私はこれで。雷夢さん達を案内してくださって。」
そう言い残し未來が去ると、メイドが雷夢達に一人ずつ付き添った。どうやら一人ずつで接待してくれるようだ。
『それでは皆様、こちらにどうぞ!』
メイド達に連れられて、雷夢達は風呂場と思われる場所へ連れてこられた。なぜ風呂場と分かったのは、入口に「男」「女」と書かれた暖簾が下がっていたからだ。銭湯かここは。
『それでは、お入りください! 服の準備ができ次第、お背中を流しに参ります!』
そう言ってメイド達はザッザッと足音を立てて行ってしまった。
「雷夢〜。そっちはどうだ〜?」
壁越しに、湯船でまったりしていると思われるギューリットの声が響いた。
「う〜ん、まだ入っていないから分かんな〜い。」
「そうか〜。入ったら感想聞かせろよ〜。」
入ってみて改めて未來の家が大金持ちということを知った。まず脱衣場の時点で凄かった。
棚は金色の、恐らく純金の装飾が施されており、床や洗面台は大理石でできていた。おまけに風呂に通じるドアにはまっているガラスはステンドグラスときた。さらにエチケットのため雷夢が腰に巻いたタオルは、肌触りのよいものだった。
当然中の方はもっと神々しく、湯船のお湯は金色のライオンの口から滝のように流れ出て、ものすごい量の湯気が沸き上がっていた。それにも関わらず、鏡は全く曇っていないという特別品のようだった。ちなみに床は大理石のタイルだった。
で、雷夢はその景色を眺めていたわけである。
「そうだ雷夢〜。お前『ルキウゲ・ルキウゲ・デスチムーレ』って唱えてみろ〜。」
「えっ? うんわかった。」
雷夢は右手を掲げ、人差し指をクルクル回して唱えた。
『ルキウゲ・ルキウゲ・デスチムーレ!』
そのとたん、今まで視界が悪くなるほどに沸き上がっていた大量の湯気が一瞬で消え、視界が感度良好になった。
「すごい! なにこれギューリット!?」
「『曇りとり魔法』だよ。周りの霧なんかをはらうために使う黒魔法だ。6級魔法だからお前でも使えただろ?」
みるからにそのまんまの魔法だが、結構実用性は高いかもしれない。例えば霧の濃い山で遭難した時などに使える。
そのとき、脱衣場にだれか入ってくる音がした。
「黒鳥さん、お背中を流しに参りました。」
どうやらメイドのお出ましのようだ。しかし、客を相手にこの呼び方はおかしい。となると、雷夢の担当のメイドは恐らく。
ガララ。
「私です。」
雷夢の予想通り、ドアを開けたのは穂香だった。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.48 )
- 日時: 2013/01/11 21:17
- 名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)
『あ〜いい湯だった〜!』
雷夢達は風呂でメイドに背中を流してもらって、ゆっくりくつろぎ今現在は茶の間でくつろいでいた。洋風建築の豪邸に、和室と畳という絶妙な組み合わせだった。
「どうでしたか、みなさん。うちのお風呂は?」
『最っ高です!(だぜ!)』
一斉に返事をすると、未來がにこやかに微笑む。
「みなさんに喜んでもらえて光栄です。ところで黒鳥・・・あ、千代子さんは家に連絡はされますか?」
「え、今何時!?」
雷夢が時計を見ると、時刻は7時半を回っていた。つまり風呂で少なくとも一時間以上はくつろいでいた訳だ。
「では、みなさんお食事でもどうですか? 千代子さんのお母様には連絡をいれておきますので、いかがです?」
「うひょ〜!めっちゃキテるぜ〜!!」
「それではお言葉に甘えて・・・。」
『ご馳走に・・・っ、』
ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!
雷夢達が声を揃えてお言葉に甘えようとした瞬間、突然警報が鳴り響いた。
すると間もなく穂香が勢いよくドアを開けて入ってきた。
「何事ですか、穂香。」
「お、御嬢様大変です!屋敷の敷地内に侵入者です!」
「まぁ、なんてことでしょう。」
「いやいや! 笑っている場合じゃないでしょ!」
未來は相変わらず緊張感を台無しにして微笑んでいる。未來には緊張感というものがないのか。それともただ単にマイペースなだけか。
「それで、情報は?」
「そ、それがなにか大型犬のようなものが多数、塀を飛び越えて来ている模様です。」
それを聞いて雷夢達は直感した。
「フルーレティだ!」
「誰ですの?」
「僕たちを追っているやつだよ。けどなんでここが・・・。」
雷夢はふとアテナを見た。すると、アテナの杖に何かがついているようだ。
「アテナ、杖になんかついてるぞ。」
「えっ、ほんとですか・・・ってああっ!?」
自分の杖についていたものを見てアテナが叫んだ。
「これ、発信器です!」
『なにっ!?』
みると、アテナの持っているそれは何やら黒い小さな立方体の形をしていた。しかもなにやら点滅までしており、ご丁寧に小さく「HASSINKI」とローマ字表記されていた。
「多分さっき、引っ掻かれかけた時につけられたんだと・・・。」
「なるほど、それを使ってここまで来たわけか。」
「そんじゃ早速臨戦態勢を・・・。」
しかし、ギュービッドのその言葉を未來が遮った。
「待ってください。穂香、黒鳥さん達をエリア51に。」
「わかりました。では皆さんこちらに。」
一瞬アメリカの軍事施設の名前が出てきた気がするが、それはさておき雷夢達は穂香に連れられある部屋にたどり着いた。
「みなさん、ここの服に着替えてやつらを誤魔化してください。」
明かりの点いた部屋にあったのは・・・、
大量のメイド服。
「なるほど、これを着てメイド達に紛れ込めばバレずにヘルハウンド達をやり過ごせるってわけか。」
ギューリットがたくさんのメイド服の中から一つを手に取る。ギューリットは目測身長170はあるが、そのサイズにもあうメイド服も完備しているようだ。
「わぁ〜、初めてのメイド服って楽しみ〜!」
「ほぉ、人間界にはこんな可愛らしい服があったのか。早速着てみるのじゃ〜!」
アテナ、テトが試着室に走っていくなか、チョコとギュービッドはなにやらもめているようだった。
「ギュービッド様ぁ、私もこれ着ないといけないの?」
「あったりまえだろ、私だって着るんだ我慢しろ。」
「けど、ゴスロリなきゃ黒魔法つかえないよ。」
「だったらゴスロリの上から着ればいいだろ、ほらいくぞ!」
そう言われ、チョコはメイド服と共に試着室に放り込まれギュービッドもそのとなりに入った。
「そんじゃ私もっと。」
ギューリットも続く。
「えっと穂香。僕には執事服でも用意してあるの?」
なにやら嫌な予感を含ませながら雷夢は聞いてみた。
「いえ、鳳邸には執事はおりません。」
「えっ、じゃあ僕はどうするの?」
雷夢は不安度MAXで聞いてみた。
「もちろん雷夢さんもメイド服を来ていただきなさらないと。」
一番聞きたくない最悪の台詞が返ってきた。
雷夢は女寄りの中性顔だが性別は男だ。その雷夢がメイド服を着る。つまり女装するわけだ。
「はぁっ!?いやだいやだいやだいやだっ!なんで僕が女装なんかしなくちゃいけないんだよ!」
雷夢は高速後ずさりで逃げるが、穂香はそれに易々と追い付く。
「雷夢さん、どうしても嫌ですか?」
「うん、絶対にいやだ!」
「では実力行使です。」
穂香がポケットからマイクを取り出す。
「1から20!早急に雷夢さんをメイド服に着替えさせて!」
『かしこまりました、穂香様!』
穂香の一声で一瞬にして20人ものメイドが雷夢を取り囲んだ。
「行きなさい!」
『はいっ!』
その一言でそのメイド達が一斉に雷夢に飛びかかる。
「おわっ!?ちょ、まっ、放せぇっ!!」
雷夢の必死の抵抗も虚しく、四肢を抑えられた。
「では、21から30!」
穂香の一声でさらにメイドが10人増えた。その全員が雷夢の服をむんずと掴む。
「ちょ、まてまてまてまて!脱がすなぁ!」
またしても悲痛な叫びも虚しく、雷夢は肌着一枚パンツ一丁という情けない姿になってしまった。
「31から40!雷夢さんにメイド服を!35から40はメイクもお願い!」
さらに10人増えた。そのうちの5人はメイク用品の入っていそうな手提げバックを手に持っている。またしてもそのメイド達が飛びかかる。
「おいおいおい!こら待て・・・あーーー!」
もう戻れない。雷夢の腕にメイド服の袖が通され、首をつき出す。さらには顔に何かを塗りつけられていく。
しかし雷夢は諦めずに頭を動かし、足をばたつかせ抵抗する。
「雷夢さん動かないで。メイクがずれます。23、30、雷夢さんの頭と顔を抑えて。」
「く、くそっ・・・むぐっ!」
メイドに顔と足を抑えられ、雷夢は身動き出来ない。
まつ毛に何かを塗られ、頬には何かをつけられていく。おまけに口紅まで塗られていく。
「(終わった・・・僕の人生・・・。)」
とうとう雷夢は観念して、意識を手放した。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.49 )
- 日時: 2013/01/13 12:11
- 名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
シャァァァ・・・。
試着室のカーテンを開け、ギュービッド達が出てきた。皆しっかりメイド服を着こなしていた。
「おお、似合うじゃねえかアテナ!」
「そうですか?ギューリットさんもよく似合ってますよ!」
「私はほんとはこんなの着たくないんだけどな。」
「遅いぞチョコ、早く出てこい!」
どうやらチョコはまだ着替え終わっていないらしい。
「ま、待って、今出るから!」
そう言って、カーテンを開けチョコが出てくる。
「ギュービッド様ぁ、これちょっと動きづらいよ。」
「仕方ないだろ、ゴスロリ着ていないと魔法使えないって言ったのはどこのどいつだ?」
「まぁ、私ですけど・・・。」
「なら我慢しろ。」
すると、最後の試着室からテトが飛び出してきた。
「や、やっと着替え終わったのじゃ〜。」
テトはちゃんと着れるのかと誰もが思っていたが、どうやらその必要は無いらしい。きちんと着こなせているもようだ。
「あれ、ところで雷夢は?」
「あ、確かにいませんね。」
全員が辺りを見回すと、部屋の端の集団に目が止まった。どうやらメイド達らしい。もちろん穂香もいる。
「すみません、穂香さん。雷夢さん知りませんか?」
アテナが穂香に近寄り問いかける。
「ああ、雷夢さんなら、メイド服に着替えるのを大変嫌がっていたので、私の部下のメイド達を総動員して着替えさせています。」
「えっ、じゃああのメイド達の中には雷夢さんが?」
「ええ、さっきまで抵抗していましたが、観念したのか気絶しているみたいです。」
すると、さっきまで蠢いていたメイド達が一斉に立ち上がった。
『お着替え終了しました、穂香様!』
そう言って、メイド達が脇によける。
『おおっ!?』
そこにいた全員が、メイド達の中から現れた人物を見て驚愕した。
そこにいたのは、気を失って女の子座りをしている雷夢・・・のはずなのだが、とてつもなく可憐で可愛らしさを放っている。恐らく小5のミス・ユニバースでもあれば一発で優勝できるほどだろう。
今まで右目を隠していた前髪も、今はチョコのように綺麗にセットされチョコといよいよ瓜二つになっていた。
「雷夢さんかわいいですよ!こんなに美人になるなんて思ってもいませんでしたよ!」
「うむ、我に言わせても文句はない!」
「ほんとにかわいい・・・。」
アテナ、テト、チョコが近づき、雷夢の顔を執拗に眺める。
「てか早く起こさねえと。起きろ、雷夢。」
ギューリットが雷夢の肩を揺さぶる。
「う、うんんっ・・・?」
雷夢が目をゆっくりと開けた。
「あ、みんな・・・。着替えたんだ、えっと・・・。」
雷夢が自分の身体を見ると、一瞬で青ざめた。
「えっ、えっ、ちょっと待ってよ、これって・・・。」
「雷夢さん、こちらを向いてください。」
声のする方を見ると、メイド達がどこから持ってきたのか、巨大な鏡をこちらに向けていた。当然そこには雷夢が映る。女装した自分の。
「う、うわぁああぁぁあぁあああぁぁぁぁあぁっ!!!???」
雷夢は目の前の鏡に映った自分が信じられなくなって、力の限り叫んだ。さらには全速力でそこらじゅうを駆け回る。
「お、落ち着け雷夢!!」
「お、お主のその姿、かなりいけておるぞ!だから落ち着くのじゃ!」
ギューリットとテトが声をかけるも、雷夢は相変わらず走り回っている。
「わ、私がやります!エンジェル・ビット、トランスフォルマーレ!」
アテナが呪文を唱えると、背中のエンジェル・ビットが飛散し、アテナの手の中で一つに集まり何かを形作っていく。
「エンジェル・ビット『弁慶の泣き所粉砕形態』!!」
どうやらそれは、一本の長い棒状になっていた。いや棒というより、座禅で喝を入れるときに使うあれに近い形状だった。アテナの場合はそれが金属のようになっているが。
「雷夢さん、お、ち、つ、い、てぇぇぇぇっ!!」
アテナがぎこちない動きでそれを振りかぶり、突っ込んできた雷夢の向こう脛に思いっきりぶち当てる。
「どおおおおっ!?」
足元を掬われ、雷夢は転倒した。そしてようやく止まった。
「・・・・・・・・・っ!」
声にならない悲鳴をあげ、雷夢は叩かれた左脛を押さえる。
「落ち着いたか、雷夢。」
「うん、なんとか。」
足の痛みが引いた雷夢は、他のみんなと座っていた。
「ああっ、もうなんで僕がこんな格好を・・・。」
改めて鏡を見ると、そこにはメイド服を着た自分が映っていた。目にはマスカラ、口には口紅が塗られているのがよくわかる。
しかしこのまま見ていたら自分で自分を溺愛してしまうほどの美貌であることもわかってしまった。
「まさか、お前が女装したらこんなに可愛くなるとはな、ギヒヒヒ!」
「わ、我嫉妬してしまいそうじゃ・・・。」
「ああ、もういいから早く逃げるよ!」
色々な言葉に顔を赤面させながら、雷夢は立ち上がる。
「ではこちらに。大量のメイド達を待機させておりますので、そこの中に紛れてください。」
穂香に連れられて、雷夢達が隣の部屋に行くとそこにはいった通り大量のメイド達が待機していた。
「ここには60人のメイドがいるので、そう簡単には見つからないと思います。それと、地図を渡しておきますのでバラバラに逃げたあと、ここに集まって作戦会議を。」
穂香が渡した地図を見ると、集合場所に指定されたのは離れのようだ。距離的には屋敷から100メートルほどだろうか。
ドンドン!ガリガリッ!
いきなり部屋のドアから音がした。恐らくヘルハウンド達が部屋の扉を破ろうとしているのだろう。
「さあ、みなさん。雷夢さん達を上手く紛れさせ、かつ守りなさい!」
『わかりました、穂香様!』
「こちらから逃げて!」
穂香がもうひとつの部屋のドアを開ける。それと同時に部屋な中のメイドが一斉に駆け出す。雷夢達もそれに紛れて駆け出した。
「みんな、また後で!絶対にだからね!」
離れていく皆にエールを送り、雷夢はスカートを翻し部屋を後にした。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.50 )
- 日時: 2013/01/14 18:43
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
コメント余り書かれないな(´・ω・`)
しかしそれでも僕は黒魔女さんを書き続ける。
よし、書こう!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.51 )
- 日時: 2013/01/14 20:06
- 名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
『ガウガウバウ!!』
外に出てみて分かったが、豪邸の中にはヘルハウンドの群れがそこらじゅうを駆け回っていた。きっと自分達を探しているのだろう。
「えっと・・・まず外に出ないとっ。そうしないと離れにたどり着けない!」
すると、不意に目の前にヘルハウンドが二匹現れた。
ポケモンならば、『あ 野生の ヘルハウンドが 飛び出してきた!▼』とでもなるシチュエーションだ。しかしこれはゲームのように甘くはない。
「どけえぇっ!!」
雷夢はヘルハウンドとすれ違った一瞬で、竹串を二匹のその首もとに深々と突き刺す。
『ギャンッ!』
ヘルハウンド二匹が叫び声をあげ、その場に崩れ落ちる。
それを後ろ目で確認すると、雷夢は再び走り始めた。
「てか穂香のやつ、この屋敷の見取り図渡してくれたのはいいけど、今どこにいるんだよ!」
穂香が渡してくれた見取り図は、屋敷の内部がこと細かく記されていたが、細かすぎて自分がどこを移動しているのかが分からない。
「まぁ走っていたらいつか入ってきた入り口に着くだろ。」
数分後。
「この家広すぎんだろ!どこまで行っても同じ風景じゃん!」
さっきから同じ場所を移動している。そう言っていいほど同じような作りの廊下が延々と続いていた。
「えっと、どこかに目印になるものは・・・。あ、あった!」
雷夢が見つけたのは消火器だった。どうやらこの家の消火器は場所毎に番号がふられているらしく、雷夢が見つけたものには「15」と書かれていた。
見取り図を見ても、「1」から「50」までの数字が所々に載っていた。
「えっと、15番は・・・。あった!てことは、ここをこう行けば入り口だな。」
消火器の番号を頼りに見つけ出した自分の居場所を元に走っていくと、目の前に広いホールが現れた。辺りを見回すと、自分達が入ってきた入口があった。
雷夢は慎重に、扉を開けた。
「ヘルハウンドは・・・いないな。よし、行くぞ!」
雷夢は屋敷を飛び出し、夜の闇に飛び込んだ。
「お、来たか雷夢。」
やっとのことでたどり着いた離れには、すでに他のメンバーがたどり着いていた。
「これで全員ですね。じゃあ作戦会議を始めましょう。」
雷夢、ギューリット、アテナ、テト、チョコ、ギュービッド、穂香、未來。足りない人物はいない。全員は円を描くように座った。
「まずはあのヘルハウンド達をどうするかだけど、なにかいい手はある?」
すると、未來が手を挙げた。
「取り合えず、あの犬達を中庭におびき寄せられればなんとかできます。」
「いったいどうするのじゃ?」
「詳しくは説明しづらいのですが、あの犬達の動きを止めることができるので・・・。そこを狙って攻撃すれば。」
「分かった、全体攻撃は任せて。ところでギューリット、飛行魔法薬と箒ある?」
「ああ、あるけど何に使うんだ?」
「あ、ちょっと待って。母さん、箒の操縦お願いできる?」
「なんか、『母さん』って呼ばれるの違和感あるけど・・・。うん分かった!」
「じゃあ、やり方説明するよ。」
雷夢は皆を近くに集めて、小声で作戦を伝えた。
「なるほど、それなら行けるかもな。」
「じゃあ、後はヘルハウンドをどうやって中庭におびき寄せるかだけど・・・。」
この問題は深刻で、雷夢達全員は黙りこんでしまった。
「あ、私いいこと思いついた!」
急に、アテナが立ち上がった。
「皆さん、ちょっと来てください。」
アテナが皆を集め、作戦を話した。
「確かに、それなら行けるかも!」
「よし、なら早速準備だ!」
ギューリットはそう言うと、黒コートをまさぐり始めた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.52 )
- 日時: 2013/01/15 04:53
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
お久しぶりです
最近学校が始まってからいそがしくって・・
応援してます!!
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.53 )
- 日時: 2013/01/17 06:54
- 名前: 佐原 怜加 (ID: Bq9cgBvZ)
黒魔女さんの書き方と違う書き方で書いてるんですね!
でも黒魔女さんが通るのリメイク版でもそこまでリメイクしないでいいと思います
黒魔女さんが通る ここの黒魔女さんが通る
「ギュービット様ぁ!」 「ギュービット様ぁ!」
いたよ!家の上に! 屋根の上にギュービットがいた
みたいな差です
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.54 )
- 日時: 2013/01/17 17:35
- 名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)
ん〜、よくわかんないですけど、このままでいいんじゃないですか?
作者はノヴァさんですし、地の文もチョコと雷夢で違うから・・
すみません!!
出過ぎたまねをしました!ごめんなさいm(__)m
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.55 )
- 日時: 2013/01/19 17:16
- 名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
すみません、更新遅れました!m(__)m
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「ちぃっ、奴等はどこだ!ここまでヘルハウンドに暴れさせておいて出てこないとは・・・。」
無数のヘルハウンドの中に一人立つフルーレティは苛立っていた。
しかし、せっかく借りてきたヘルハウンド達をここまで使っても黒鳥雷夢達が出てこないことに、フルーレティは疑問を持ち始めていた。
「黒鳥雷夢!!出てこなければこの屋敷を破壊しつくすぞ・・・ん?」
フルーレティの視界に何かがとまった。その先に見えたのは、黒鳥雷夢とその仲間の後ろ姿。
「見つけたぞっ!!行けぃ、ヘルハウンド!!」
ヘルハウンド達が追いかけると、当然の如く雷夢達は逃げ出した。
「どこまで逃げても無駄だ。この屋敷は完全に包囲しているからな、逃がしはしない・・・。ヘルハウンド!全員で奴等を追いかけろ!」
フルーレティの掛け声で屋敷の中にいたヘルハウンドが一斉に集まり、雷夢達を追いかけ始めた。
しばらく追いかけたところで、黒鳥雷夢達の姿が消えた。周りを見ると、外に繋がるドアが開いている。
「外に出たか・・・。逃がしはせん!」
フルーレティも、ドアを開けて外に出ていくヘルハウンドに続いた。
その先はどうやら中庭らしく、塀に囲まれた中に木や芝生が生えていた。その中央付近でヘルハウンドが黒鳥雷夢達を取り囲んでいる。
「さあ、観念するんだな黒鳥雷夢!」
「さて、それはどうでしょうか?」
すると、一人の少女が雷夢達の中から歩み出た。
「なんだ貴様は。」
フルーレティが問い掛けると、少女はにっこり微笑んで話始めた。
「これは失礼・・・いや、失礼なのはそちらですね。私は鳳未來、この家の家主の娘です。」
「なんだと?我らが失礼だというか!」
「はい。」
未來はきっぱりと言い切った。
「突然、私の屋敷にその物騒な犬達を連れ不法侵入した挙げ句、屋敷の中を散々荒らした・・・。これのどこが失礼で無いと?」
「ふん、そんなのは我らの知ったことではない。」
「反省の色は無しですか。では、貴方に代わってこの犬達にお仕置きを受けてもらいましょう。」
すると、未來はうっすらと眼を開き、手を緩やかに広げた。
そのときだった。未來の背後から、とてつもなくどす黒い何かが沸きだしていた。
「な、な、なんだこれは!?」
やがて、未來の背後から沸きだしていた何かが一つの形になっていく。
それはもはや邪悪。それとしか言いようがないものだった。
「え、ええい!怯むな、ヘルハウンド!!」
しかし、当のヘルハウンドはそれに怯え、身を伏せて震えて動こうとしない。
「雷夢さん、作戦通り・・・今です!」
その直後、空から大量の竹串が降り注いでいた。
「な、なにぃ!?」
空から降り注いだ竹串は、一つも外れることなくヘルハウンドに突き刺さっていく。今の今まで怯えていたために、反応が遅れているのだ。
「残念だったな、フルーレティ!」
フルーレティが振り向くと、そこには屋根に乗ってこちらを見下ろす黒鳥雷夢とその仲間がいた。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.56 )
- 日時: 2013/01/20 16:25
- 名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)
「な・・・。黒鳥雷夢!?」
フルーレティは視線の先にいる自分達と、先程までヘルハウンドが囲んでいた自分達に混乱しているようで、激しく動揺している。
「それはだね、こういうこと!」
雷夢は他の皆と共に、何かを取り出した。それは昔のアニメに出てきたようなコンパクトだった。
『ゲウキル・ゲウキル・レーテレフリ!』
そう唱えると、未來と一緒にいた自分達がコンパクトの中に吸い込まれて消えた。
「な、なんだその黒魔法は!」
フルーレティが驚いて問いかけると、ギュービッドが歩み出た。
「それは私が作ったオリジナルの黒魔法だからな。お前が知らないのも当然なんだよ!ちなみにこの魔法は分身を作れるんだ。」
ギュービッドが鼻を広げ胸を張ると、フルーレティは眼を見開いた。
「まさか貴様ら、分身を使ってここに我らをおびき寄せたのか!!」
「そういうこと、じゃあ説明してあげるよ。」
1・ギュービッドオリジナルの黒魔法で自分、アテナ、テト、ギュービッド、ギューリット、チョコはそれぞれの分身を作った。
2・分身がヘルハウンドとフルーレティを引き寄せ、注意を反らしている間に自分とチョコは箒で飛んで上空にスタンバイ。
3・未來がヘルハウンドの動きを止めたところで、上空から自分が竹串をヘルハウンドに投擲した。
「・・・ってこと。」
「なんだと・・・貴様ら!この私を侮辱しおってぇぇぇっ!!!!」
激昂したフルーレティは、屋敷より高く飛び上がりこちらに突進してきた。
「これでも・・・喰らえっ!」
雷夢は思いっきり竹串を3本投擲した。
「こんなものが私に効くと思っているのかぁ!!」
フルーレティが右手を振ると、雷夢の投擲した竹串が全部弾かれた。
「これで死ねぇっ!!」
フルーレティが叫ぶと、その手の中に黒いエネルギー状の球体が姿を現した。呼ぶとしたら暗黒球と言えそうだ。
「おいおい!なんかやべぇぞあれ!」
「この私の最大の黒魔法で貴様ら全員消し飛ばしてやるっ!!」
フルーレティの手の内の暗黒球は次第にどんどん膨らんでいく。
「雷夢さん!もう一回竹串フルパワーで投げてください!」
急にアテナに頼まれた。見ると、周りにエンジェル・ビットが漂っている。
「でも、あの状況じゃあさっきより弾かれそうだぞ!」
「いいから早く投げてぇ!!」
アテナにせがまれ、雷夢は竹串を構えた。
「もうどうにでも・・・なれぇぇっ!!!!」
雷夢は全身全霊を込めて竹串を投擲した。
「エンジェル・ビット、『魔方陣展開形態』!!」
アテナが叫ぶと、エンジェル・ビットが一斉に飛散し、円上に配置された。すると、それぞれのビットの先からなにかビームのようなものが発せられ、円の中で何かを作り出していく。やがてできたのは、複雑に線が入り乱れた魔方陣。
「『ガブリエ・ガブリエ・グレイターレ』!!」
アテナがそう叫ぶと、魔方陣が輝き始めた。そこに、雷夢が投げた竹串が突っ込んでいく。
すると、その場にいた全員の目の前で信じられないことが起きた。
魔方陣を通り抜けた竹串は、魔方陣を通り抜けたと同時に、それと同じほどの大きさに巨大化していた。
『な、なにぃ!?』
その場にいた全員が驚いたが、一番驚いたのはフルーレティだ。先程は弾き返せた竹串と比較にならないほどの竹の砲弾がこちらに向かっているのだ。
「が、があぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ・・・!!!?」
自分に飛来した竹製の柱状砲弾に激突し、フルーレティは吹っ飛ばされた。そしてそのまま飛んでいき、最後にはお星さまになった。
ドゴオォォン!
フルーレティの飛んでいった辺りで爆発が起きた。恐らく先程溜めていた暗黒球が暴発したのだろう。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
『・・・・・・。」
しばらくの沈黙が続いた。
『や、やったぁぁぁ!!!!』
その場にいた全員、大きくジャンプしたあと、全員抱き合って喜んだ。
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.57 )
- 日時: 2013/01/23 19:46
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
「ところで、このヘルハウンドどうします?」
アテナが倒れているヘルハウンドの群れを見て尋ねた。言われてみれば確かにどうすればよいのだろう。奴ら全員の首に竹串は刺さっていて起き上がることはないだろうが、何しろこの数だ。処理には途方もなく時間がかかるだろう。
「でしたら、屋敷の冷凍庫で永久凍結いたします。それがお気に召さないのでしたら、氷に重りと一緒に閉じ込めて北極海にでも投棄しますが。」
「いや北極海はいいから、永久凍結お願いします。」
「わかりました。では穂香、メイド達と協力してヘルハウンドを冷凍庫に。」
「わかりました、お嬢様。」
穂香はそう言うと、メイド達と共にヘルハウンドを抱えて行ってしまった。
「では、今の騒動で散らかった屋敷が片付けられるまで、また風呂に入ります?全員雨で濡れておりますから。」
「おお、賛成〜!」
「わざわざごめんね未來。色々よくしてもらって。」
「いいんですよ、私は皆さんに楽しんでいただければそれでいいのです。」
「ありがとう。じゃ、僕もこの顔の異物取りに行くか。」
「雷夢さ〜ん。早く行きましょ〜!」
アテナに呼ばれてそっちの方を見ると、他の面々はすでに屋敷の中に入っていた。
「わかった、今行くよ!」
そう答えて、雷夢はメイド服のスカートを翻し駆け出した。
「そういえば雷夢さん、すっかりメイド服に慣れていますね。あんなに嫌がっていたのに。」
「あ、でもいいや。女装癖ができなきゃいいことだし、いい経験かも。」
雷夢は自身に女装癖ができないことを健やかに願った。
第2話「〜また居候!?過去の母と運動会〜」前半 終
〜後半に続く〜