二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【オリキャラ募集】 ( No.237 )
- 日時: 2013/09/26 23:21
- 名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode
番外編「〜ある日のクレープ〜」
「むぅ……。気になる……」
白馬騎士こと、クレープは、教室の窓から外を眺め悩んでいた。
悩んでいるのは−黒鳥雷夢の事だ。
「黒鳥雷夢……。初見から誰かに似ていると思ったが……よく見れば私の愛する大形くんにそっくりではないか! 特に右の前髪! いったい何故彼はあそこまで大形くんオーラが出ているのだ……」
しかし、考えたところで答えは出てこない。時間がただ過ぎるだけだ。
親戚かとも思ったが、それなら基本同姓のはず。違う名字の親戚が隣町にいるとは考えにくい。
そんな感じで様々な仮説が現れては消えていく中、クレープは根本一滴の方法を思いついた。
「そうだ! 明日は土曜……。ならばあいつの家に押し掛けて問いただしてやろうではないかっ!」
そういう結論に到達したクレープは、明日の計画をノートに書き込み始めた。
「おっと。問いただすなら、相手に正直な事を吐かせる魔界グッズを……。久々に魔界グッズ製作の腕がなる…………っ!」
******
そして翌日。朝早くからクレープは意気揚々と自宅を出た。無論、徹夜で作り上げた特製の魔界グッズもカバンに詰め込んである。
目指すは黒鳥家。家の場所も、先日後をつけて確認済み。ストーカーではない、尾行だ。
「ふふふふふふふふふふ…………。黒鳥雷夢、今日こそ化けの皮剥がしてくれる……っ!」
そんなことを呟いていると、目的地である黒鳥家に到着した。時刻は午前9時、少なくとも誰かは起きているだろう。
意を決し、クレープは玄関のチャイムを押した。
ピンポーン……。
「…………留守か? それとも寝てるのか?」
念のためもう一度。
ピンポーン……。
しかし誰かが出てくる気配はない。むしろ家の中に人の気配がない。
「……となると留守か。こんな朝っぱらからどこに……。仕方ない、どこでもビデオ魔法で情報をかき集めるとするか」
そう言ってクレープは杖とビデオカメラを取り出して呪文を唱えた。
「ルキウゲ・ルキウゲ・リプロッデューレ」
と、ビデオカメラに映像が映し出された。だが、何故か映っている時間表示は第一小の運動会の翌日。時間を遡り過ぎたのだろうか。そしてそこに映る人物は、黒鳥雷夢と謎の二人の男女。年は30代頃と思われるが、二人とも年齢を感じさせない若々しさがあった。
すると、不意に黒鳥雷夢が口を開いた。
『もうお別れなんだね、母さん……父さん……』
どうやら、黒鳥雷夢の目の前に立つ男女は彼の両親らしい。道理で二人とも息子によく似て−−。
「むっ、この父親……。どことなく大形くんに似ている気が……」
黒鳥雷夢が父親と呼んだ男性を見ると、カールのかかった茶髪が大形京によく似ている。
『そうだ。雷夢、父さんの背中に乗るか? お前が産まれてから、まだ一度も背負ってないからな』
『あ、そういえばそうだったね。……なら遠慮無く』
『そうか。なら、ほら……』
その時、父親の顔がこちらを向いた。その顔を見て、クレープは言葉を失った。
その顔はまさしく、自分の愛する大形京そのものだったからだ。
「な……っ! まさか……黒鳥雷夢が……大形くんの…………子供……」
なんという衝撃の事実。
何故大形京が大人になっているのかとかは関係無い。
瞬間、クレープの足がぐらつき始めた。
「お…………大形くんの……子供……。……我が人生に……一片の…………悔い無し……」
そう言い残し、クレープはその場に崩れ落ちた。
番外編「〜ある日のクレープ〜」完