二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜【参照9千突破!】 ( No.268 )
- 日時: 2013/11/22 23:33
- 名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode
「ぼ、僕の苦手な人が来たんだねぇ……っ!」
「あの人は本当に苦手なんだねぇ……」
海を疾走してくる変態に、父親は顔を青冷めながら引いていた。
「大形くん、私は君を愛することしか出来ない不器用な男だ! だから、こんな形でしか思いを伝えられない! 君が好きだ! 君が欲しい! 大形くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!」
クレープという名の変態は、相変わらず謎の言葉をガトリング砲のように放ち続けながら海上を疾走している。バジリスクかあいつは。
「こ、こうなったら……」
背後の父親がそう呟くと同時に、ぽす、と何かが地面に落ちた音。振り向くと地面には右手にはめていたクマのぬいぐるみ。
「全力であいつを止める……っ!」
そして。魔力封印のぬいぐるみを外し、己を解放した父親がそこにいた。
「と、父さん…………?」
雷夢は父親に近づこうとするも、その父親の手がそれを阻んだ。
「みんな、下がってて。僕のこの姿を見たあいつは、お仕置きしないといけないから」
「お仕置きって…………ひぃっ!?」
刹那、父親の言葉に疑問を抱きクレープの方を伺った雷夢は戦慄した。
「きぃぃぃぃさぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ!! 私のかわいい大形くんを奪うとはいい度胸だ! 跪け! 命乞いをしろ! 眼を食いしばれ! 世界の終わり、貴様は裁きを受けるっ!!」
ついさっきまで見る目もないだらしないアホ顔だったクレープが、今では仁王のを彷彿とさせる怒りの形相で迫って来ていたからだ。
その変貌っぷりは、例えるなら普段は無口なのに幼い頃から憎んでいる相手が来た途端に筋骨隆々になって喋りまくる優男みたいな。どうやらクレープは本気の父親が真っ向から嫌いらしい。
「貴様は私の不快を産む源だ! 生かしてはおけん! 私は貴様を許さない!大形くんを奪い私を怒りに走らせたお前を、私は絶対に許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
そこまで言い終わったクレープは、突如上空にジャンプ。そのまま空中で錐揉み回転したかと思うと、オーラを纏わせた右の拳を突き出し不可視の推進力で押されるように父親に向かって降下し始めた。まるで人間隕石だ。
ここまできて父親が迎え撃たないはずがない。
「ここまでされると、もう手段を選べない……。なら、今楽にしてあげよう」
そして父親はクレープに向かい右手を突き出した。すると瞬く間に黒いオーラが父親の右手に結集。紫電が迸る漆黒の雷球へとその姿を変えていく。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!」
父親がさらに力を込めると、雷球がさらに一層巨大化し紫電の放電も激しくなる。
「みんな、伏せろ!」
明らかに漏れなく危険が付いてくると確信した雷夢は、空気となっていた周りのメンバーに防御体勢をとらせる。当然雷夢もそれに続く。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
二人の最高にして最悪の技が、今まさに激突するーーーー