二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.292 )
日時: 2013/12/11 20:26
名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


〜番外編その3「ある日の春夏」〜

「むっ、今日は終日曇りとみた!」
買い物の為自宅を出るやいなや、早速誰も視聴者はいないのにアホ毛天気予報を始める。取り合えず自己満足ということでいいだろう。しかし昨日の大雨に加え朝からこんな曇天で心配したが、無事に買い物は済みそうだ。
「すいませーん」
突然後ろから呼び止められ振り向くと、そこにいたのは自分と同じ位の年頃の少女。セミロングの茶髪は高価そうな髪留めで結っており、服も一目でブランド物と分かる物を着用していた。
「あなた、第2小で有名な天気予報少女でしょ?」
「うーん、そう呼ばれてるかは知らないけど……多分そう」
「よかった! 私、今日渋谷で新しく発売されるブランドの洋服買いに行くんだけど、今日の天気教えてくれない?」
「え、今日は終日曇りだけど……」
「えぇっ!?」
素直に教えたというのに、目の前の少女はいかにも不服そうな顔でこちらを少しばかり睨む。そんなに曇りが嫌か。
「曇りだったら一番可愛い私が渋谷の太陽を浴びて輝けないじゃない!」
ただの自己中だった。
「お願い、今日晴れにしてくれる?」
「いや、天気予報をするのが私の仕事で、天気を変えるのは気流と気圧の仕事でなので……」
「そんな事言わないで天気を晴れにしてよぉ。あ、だったら私のドーリーガールのスウィートビンテージの洋服あげるからぁ。豹柄で可愛いからあなたにもきっと似合うよ?」
「いや、ブランド物の洋服にはあまり興味が無いですし、あなたも潔く諦めてくださいよ!」
「えぇー? これだけ言ってもダメなのぉ?」
いい加減諦めてくれないだろうかこの少女。別に天気を変えるのは朝飯前だが、無理に天気を変えるとその後の天気が悪化する可能性が大きいのだ。例えば黒魔法で強引に晴れにしたとすると、度合いにもよるがその後は確実に土砂降りになる。
「じゃあじゃあじゃあ、あなたに似合う洋服をコーディネイトして買ってきてあげるからぁ」
「いや、だから……」
「おーねーがーいー!」
「……はぁ、わかったよ。じゃあ渋谷だけ晴れにするから後はご自由に」
「えぇっ!? じゃあ早速渋谷に行かなくちゃ!」
そう言い返すと、少女は駅に向かって駆け足で去っていった。お礼もしない程自己中とは、親の顔が見てみたい。
「さて…………渋谷の天気を晴れにしますか」
溜め息混じりに空を見上げると、春夏は右手を突きだし、人差し指を天に掲げる。
「ルキウゲ・ルキウゲ・ベルテンポラーレ」
呪文と共に人差し指をくるくると回す。取り合えずこれで渋谷は晴れになるだろう。午後は土砂降りだろうが。
「渋谷の天気は午後から土砂降り……。こちらは終日曇りっと」
買い物の時間を取り戻すため、またも一人で天気予報を済ませた春夏は、イシダヤショッピングセンターへと走るのだった。