二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.293 )
日時: 2013/12/12 20:35
名前: ノヴァ (ID: 8uCE87u6)
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第8話「〜レッツゴー、南の島!<その2>〜」




 フェニックス・アイランド滞在初日もアテナの一件以降特に変わった出来事も無く、いつの間にか日は沈み夜が訪れた。今日は1日中遊んでいたのでかなりの疲れが身体に蓄積している。早く風呂に入って寝たい。そんな気持ちを交えつつ、雷夢は皆と共に食堂へと足を運ぶ。ちなみにアテナは穂香が押す車椅子に乗っての同行となる。
 と、食堂に入った途端に香ばしい香りが鼻をついた。
『お待ちしておりました皆様。本日の夕食はカレーライスとなっております』
 食堂の入り口付近に待機していたメイド達が口を揃えて告げる。なるほど、道理でいい香りがするわけだ。
 受け取り皿を持ってカウンターに並ぶと、案の定テトと麗奈が前後を固める。
「雷夢殿、我と一緒にカレーを食べようなのじゃ!」
「雷夢くん、私と一緒にカレー食べよ?」
 刹那、雷夢を挟んでテトと麗奈の空中戦が繰り広げられる。
「麗奈殿……ここは我に譲るのじゃ……。雷夢殿は我の裸を見た故、我にご奉仕しないといけぬでのぅ……」
「へぇ、そうなの……。だったら屈辱的な思いをしたあんたはそのまま恥ずかしがってたらいいのよ……」
「なら僕の両端に座れよ。そうすれば二人とも満足だろ?」
 本格的な戦闘が始まる前に、二人の間にいる雷夢が仲裁する。恋人の言うことには逆らえないのか、二人は満更でもない表情で再び列に並び直す。
 ようやく雷夢の番になり、厨房のメイド達が手際よい段取りで夕食のメインディッシュを用意し雷夢に手渡す。やはりカレーは子供の味方だ。カレーは誰がどう作っても美味いのだ。調理過程で硫酸や塩酸なんかを加え殺人料理にする女子高生が世の中にはいるが。
 カウンターの傍に置いてある福神漬けをカレーに加え、三人は先程雷夢が提案した座り方で席につく。ちなみにテトが左で麗奈が右である。
『いただきまーす』
 仲良く声を合わせ合掌、我先にとカレーを食べ始める。
「う、美味いのじゃこのカレー!」
「ほんと! 私が行ったカレー専門店のカレーより美味しい!」
 雷夢も思うが、二人が述べる通り確かに美味い。バランスよく脂身を取り除かれた豚肉は口の中でほどけるように旨味を引き出し、最大限に煮込まれた野菜は本来の味を殺さずルーの味と絶妙に調和している。ご飯の方も艶がよく、噛めば噛むほどルーと味がコラボしていく。これほどまでに美味いカレーがあっただろうか。いや、ない。
「あっ、雷夢殿。ほっぺにカレーが付いたから取ってくれるかの?」
「ん、別にいいけど……。ほれ、取れたぞ」
 テトの右頬に付いたルー混じりのご飯粒を指で取ってやると、それをティッシュに包んで傍のごみ箱に捨て去る。
「……雷夢殿」
「なんだよ」
「……別に取ったご飯粒を自分で食べても我にあーんしてくれてもよかったのじゃが……」
「よいしょっと」
 妙な上目遣いでこちらを見つめるテトを尻目に、雷夢はヘアブラシを懐から取り出した。瞬間、テトの顔から血の気が退き、一目散にカレーを咀嚼し始めた。案外こういうのも武器になるものなのか。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.294 )
日時: 2013/12/14 20:16
名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
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******

「じゃ、飯も食べたし風呂入るか」
 空になったカレー皿をカウンターに返し、テトと麗奈に提案する。泳ぎ終わった後一応シャワーを浴びたのだが、それでも髪の触感がごわごわとぎこちない。なので風呂に入ればさっぱりできるかと思っての提案だった。
「なら一緒に露天風呂に入るのじゃ! あそこは混浴じゃから背中流しっこできるのじゃ!」
「雷夢くん、私も露天風呂に一緒に入りたいんだけど……」
「おや、麗奈殿。我と同意見とは、とうとう我に雷夢殿を渡す気になったのかのぅ?」
「ふ、ふざけんじゃないわよ! 私は雷夢くんに背中流してもらいたくて同意したのよ! あんたには絶対雷夢くんの背中は流させないんだから!」
 やはり二人の論争が始まった。こちらが何かを言うたびに喧嘩するのはやめてもらえないだろうか。しかし麗奈のツンデレを見るのは久しぶりのような気がしてならない。最近はデレしかなかったから新鮮さがある。
 だが、露天風呂が混浴というのはテトの発言で初めて知った。そうなると多大な問題が沸き起こる。入ると中には他にも大勢のクラスメイトがいるかもしれない。当然その中には女の子もいるかもしれない。その女の子達はもちろん裸な訳で。
 雷夢はそこに足を踏み込めば精神的と物理的に無事でいられない自信があった。
「なぁ、露天風呂は止めないか? 部屋の浴槽に水溜めればいいし。その……それなら二人が一緒に入ってもいいぞ」
そう言った途端、真っ先にテトが雷夢を睨み返す。
「雷夢殿が露天風呂に入らなければ、風呂場ハーレムが女の子3人になってしまうが……。それでもよいのかの?」
 ドスを効かせた声で告げる中、テトはスカートのポケットから何かをちらつかせる。それは──
──件の性転換ドリンク1時間用。
 要求を呑まなければこれを飲ませる。テトの眼はそう告げていた。上手いこと言ったつもりか。しかし昼間にテトの裸をラッキースケベで見てしまった件で、次回の女装拒否権が雷夢にはない。恐らくテトの目論見は、風呂場から上がった後未來に頼み、効果が切れるまで女装をさせる。と、まぁこんなところだろう。どこまで先を読んでいるんだ自分。
 となると、雷夢の目の前には2択の試練が立ちはだかっていることになる。

 1つは言わずもがな、露天風呂を拒み女装させられて羞恥心の極みを味わうか。
 もう1つは、女装を回避し露天風呂で精神的と物理的に殺られるか。

 正直どちらも選びたくない。例えるならアフリカゾウに顔面を踏まれるかインドゾウに顔面を踏まれるかのどちらかを選べみたいな物だ。普通どちらを選んでも死に直行する。
 いったいどうすれば。
 取り合えず雷夢は2つを秤にかけることにした。少なくとも、部屋の浴槽を選べば、女装は免れない。その後は羞恥心を味わうだけだ。しかし、露天風呂はもしかしてだけど、もしかしてだけど、誰もおらず3人の実質貸し切り状態になっているかもしれない。それならば被害はこちらが圧倒的に少ない。
 雷夢は腹を括った。
「仕方ない、二人と露天風呂入るよ」
「やっとその気になったかのぅ、雷夢殿」
「なら早く準備するわよ! さぁ行くわよ雷夢くん!」
「ちょっ……引っ張るな麗奈!」
「ならば我はこうしてと」
「何故お前は僕の足を持つ!?」
彼女二人に人間担架されるという妙な構図になりながら、雷夢は食堂を後にした。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.295 )
日時: 2013/12/14 21:10
名前: ミーナ (ID: XhcgQ6Qp)

黒魔女さんで調べてて見っけました!! 面白いです! ちなみにあたし今小学校六年生です! イチオシは「ギュービッドさま」! だいすきです。 一応黒魔女さんファンです。頑張ってください!(すみません、あたし携帯とパソコン持ってません…。母の借りてます…。ケンカすると貸してもらえまん。へちゃむくれの分際で!)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.296 )
日時: 2013/12/14 23:04
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
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ミーナ様、感想ありがとうございます!

まさか検索で引っ掛かるとは……。衝撃の事実に驚きが隠せません!
これからも執筆していくので、よろしくお願い致しますm(__)m

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.297 )
日時: 2013/12/15 09:39
名前: くもくも (ID: ScWyjXSP)

ひさしぶりにこのスレをみてみたら、春香がメグらしき自己中に振り回されていた!
春香が思ったより天気を当て、天気予報少女になっていたことに感動を覚えたくもくもでした

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.298 )
日時: 2013/12/15 10:15
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
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くもくも様、お久しぶりです!

ご明察の通り、自己中少女はメグでございます。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.299 )
日時: 2013/12/15 13:00
名前: ゆっき〜 ◆LdDedkRdUM (ID: uj1WcIuh)

ノヴァ様

ちょっと質問します。
題名の変え方を教えていただけませんか?例えば
《黒魔女さんが通る!》
を、
《黒魔女さんが通る!オリキャラ募集中》
にする感じです。
突然の質問すみませんでした。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.300 )
日時: 2013/12/15 13:02
名前: ゆっき〜 ◆LdDedkRdUM (ID: uj1WcIuh)

[追伸]
すみません、修正で出来るかなと思い、やってみたらできました。
お騒がせすみませんでした。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.301 )
日時: 2013/12/16 15:59
名前: モンブラン博士 (ID: W.DpIDg9)

ノヴァさんへ
オリキャラ投稿します。
「キャラの名前」星野天使(ほしのてんし)
性別・男
性格・天使を自称しており、冷静沈着で常に丁寧な言葉遣いで話す。
全体的にクールな雰囲気だが、根はこれ以上ないというほど優しく親切で真面目。
ただし、堕天使と言われると冷静ながら激昂する。
容姿・茶色のつやのあるサラサラした髪に半開きのトロンとした眠そうな黒目、色白の肌、小柄で華奢という可愛い外見。白いシャツ、灰色のズボンに首にヘッドホンをかけている。
特徴・
備考・天使を自称する不思議少年。
騎士と行動を共にすることが多いため、あだ名は「騎士のパシリ」。
騎士がいないと何もできないらしく、騎士も彼がいないとパニックに陥る。
本人曰く、精神的肉体的痛みを感じない体らしい。
ボクシングが得意中の得意で戦闘能力は非常に高く、笑うと男女共に虜にする可愛さがある。
サンプルボイス
「ぼくは星野天使といいます。その名の通り天使です。それ以外の何もでもありません」
「ぼくはキスされても、服を脱がされても、水をかけられても何も感じません。嘘だと思うなら、試してみてください」
「今の言葉もう一度言ってもらえますか」

座席の位置(お任せします)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.302 )
日時: 2013/12/16 18:27
名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
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モンブラン博士様、了解しました!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.303 )
日時: 2013/12/16 20:04
名前: ノヴァ (ID: 8uCE87u6)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


******

「…………ごくり」
 露天風呂の入り口を前に、雷夢は唾を飲んだ。あの後部屋に戻り荷物の準備を終えたと思ったら再び人間担架されて今に至る訳だが、幸いにも男子は自分以外には誰も入っていないらしい。
 安堵の息を漏らしたのも束の間、問題は女子。こちらからだと女子脱衣室の声が聞こえないため、一体何人入っているのかが分からない。しかも浴場への入り口の扉は遮音性の物らしく中からの音が全く聴こえないときた。
 しかしこんなところで足踏みしている訳にもいかない。
 意を決し、雷夢は浴場へのドアをスライドさせた。
「…………す、すごい」
 ドアの向こうのその先の景色。それは、天の川が目の前に広がる満天の星空。その美しさといったら、この世にこの景色に匹敵する絶景は数えるほどしかないだろう。いい具合に月も輝いており、月光が夜の海面を神秘的に照らしている。
「す、すごいのじゃ……」
「こんな絶景を見られるなんて……」
 と、絶景に心を奪われている間にテトと麗奈が女子脱衣室から姿を現した。当然ながら二人とも身体にバスタオルを巻いており、見るだけなら申し分ない。加えて、二人ともこの絶景に心奪われていた。
「 んじゃ、さっさと身体洗って出るか」
 取り合えず近かった席に座ると、シャワーで全身を洗い流す。こうやって濡らしておかないとボディーソープが上手く泡立たないのだ。ちなみに、麗奈とテトは恰も当然のように雷夢の隣に腰掛ける。
「雷夢殿雷夢殿。背中こっち向けてほしいのじゃ。流してあげるでのぅ」
「あっ、ずるい!? 雷夢くん、私の方が生意気な猫娘より上手に背中流してあげるからこっち向いて!」
「にゃにおぅっ!? 我の方が麗奈殿より上手く雷夢殿の背中を洗えるに決まっておる!」
 やはりこいつらはどこへ行っても雷夢の事になるとこれだ。いずれこの流れがパターン化しそうで怖い。
「あーっ! もうお前らいい加減にしろっ!!」
 ざくざく。
『あっーーー!?』
 さすがに苛立ちを抑えるのに疲れたので、お仕置き代わりに二人の頭頂に深々と竹串を突き刺す。
「ったく……二人の背中流してやるからそれで勘弁してくれ」
「……雷夢殿は竹串折檻の方法を水に流した方がいいのじゃ……」
「ほい」
 がし。
「ひぐっ!?」
 ぼそぼそと呟いた反感の声を聞き逃さず、お言葉に甘えてテトに尻尾折檻を食らわせる。竹串折檻の方法を水に流せと言ったのはそっちだ。
 へなへなと床に伏したテトを尻目に、雷夢は手元のタオルでボディーソープを泡立てる。
「じゃあ、麗奈。そっちから洗うぞ」
「ら、乱暴にしないでよ……っ!」
顔を赤らめながら、麗奈はこちらに背を向けた。身体に巻かれたタオルが解け、麗奈の白い肌が露になる。
「お前は僕を何だと思ってんだ」
 どこぞの18禁ゲームで使われそうな麗奈の台詞を切り捨て、麗奈の背中を優しくタオルで擦る。女の子の身体の洗い方は以前に自身の身体で習得済み。それで得た知識を活用し、邪念を全て払い除けた上で満遍なく洗っていく。
「大丈夫? 痛くない?」
「う、うん……。雷夢くんって結構洗うの上手いわね……」
「別にこんなスキル身に付けたくなかったけどさ。多分こんな時以外に使うことないだろうし。……よし、流すよ」
 シャワーのコックを捻りお湯を出すと、ゆっくりと麗奈の背中の泡を流していく。
「…………ふぅ。ありがと」
「どうも。なら次はテトの番か」
「ふにゅぅ……。雷夢殿も酷いのじゃ」
 腑抜けから回復したテトも、タオルを身体から外す。こちらは麗奈に比べて若干色が濃かったが、それでも充分に健康的な色である。本来の色に少し小麦色を混ぜたような艶のある肌だ。いや違う、何まじまじと女の子の身体を観察してるんだ自分。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.304 )
日時: 2013/12/16 20:19
名前: ゆきだるま (ID: A9v/NWj7)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode

雷夢さんは男ですから……
そう……
男ですから……
男の本能というものがある……

(笑)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.305 )
日時: 2013/12/16 21:06
名前: 陽和 (ID: 5fqeGTW2)



初めまして。陽和といいます!

黒魔女さんシリーズ好きなのでいつも

楽しく読ませてもらってます♪

オリキャラ↓もし良ければ、使って下さい。


【名前】花舞 雅(はなまい みやび)

【性別】女

【性格】暴走、そして妄想少女。
可憐でか弱げな見た目とはうらはらに、
かなりたいした性格。
爆弾発言が多く、図太くてたくましい。

【容姿】 さらさらの長い黒髪に、サクラ色の
髪どめをつけている。
まるく、ぱっちりした濃紺色のひとみ。
肌も白く、見た目は超美少女で、まさに大和撫子そのも

【備考】日本舞踊の家元だが、幼い頃から
武術、格闘術ばかりを熱心にしたため、
舞踊の技術はゼロに等しい。
その代わり、武道に関しては一級品でかなり強い。
昔、祖父からもらった「魔封じのなぎなた」を
いつも持ち歩いている。

SV 】「あたしは花舞雅!よろしくね♪」
「君、それ、ボコボコにしてほしい、って
意味かな?」
「あんた、魔のニオイがする。」
「いやだなぁ♪も〜!そんなに誉められたら
照れちゃうよ〜☆」

席はおまかせで!


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.306 )
日時: 2013/12/16 21:47
名前: ノヴァ (ID: 8uCE87u6)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


陽和様、了解しました!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.307 )
日時: 2013/12/17 20:13
名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
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「そんじゃ洗うぞ」
「う……うむ……。優しく……してほしいのじゃ」
「テト、お前もか」
 本日二回目の18禁ゲーマーホイホイの台詞に呆れつつも、テトの背中を洗っていく。細かい所隅々まで擦り尽くすと、残るは尻尾のみとなった。
「テト、尻尾どうす──」
「尻尾はダメじゃ! 断じてダメじゃっ!!」
「──るって、やっぱりか。けどお前ちゃんと洗ってるのか? よく見たらダニいるぞ」
「ダニィ!? 道理でこの間から尻尾が痒い訳じゃ!」
「ダニがいるんなら洗っておかないとよくね?」
 ダニを甘く見てはいけない。ダニの一種であるツツガムシは致命的な重症になりかねないツツガムシ病を媒介するし、ヒゼンダニによって起こる疥癬は他人に移る上に酷い痒みを伴うなど非常に質が悪い。ペットを飼うときは注意しなければならないのだ。
「なら尻尾は自分で洗うからいいのじゃ!」
「じゃあ、洗って見せてよ。ダニ、尻尾の根元辺りが一番多いから」
 雷夢がタオルを手渡すと、テトは器用に尻尾を操り自らの身体の前に持ってくるとゴシゴシ洗い始めた。どうやら自分で触る分には問題は無いらしい。しかし当然ながら肝心の根元には届いていない。先端から中間付近を洗い終えたテトはいよいよ根元付近へのアタックを敢行──しなかった。腕を後ろに回したまま、微動だにしない。
「…………………………」
「どうした、洗わないの?」
「…………手元が見えないから上手く洗えないのじゃ」
「だと思ったよ。ほら、タオル貸して」
「うぅっ…………。間違っても我の腑抜けた姿を見て邪念を奮い起こすでないぞ……っ!」
「さっきからなんなんだよもう……」
 よほどああなるのが嫌なのか、テトは恥ずかしげな顔でタオルを手渡す。
「じゃあ、急いで終わらせるからな……。それっ!」
 テトへの被害を最小限に留めるべく、雷夢は素早く尻尾に掴みかかり高速で手を動かして余すとこなく洗っていく。
「は、早くっ……! りゃいむどにょ……」
「……よし、終わり。流すぞ」
 再びコックを捻り、テトの尻尾の泡を洗い落とす。
「……ふぅ。い……ろんな意味で……助かった……のじゃ……」
 床に凭れて荒い呼吸の立てるテトは、どうにか起き上がりバスタオルを身体に巻き付けた。何故か顔が生気に満ち溢れているように見えるのは気のせいだろうか。
「で、今度は僕の背中を洗うんだよな。二人でどうやって洗うんだよ」
「ならば背中だけでは物足りぬ故、我が左半分、麗奈殿が右半分、身体を洗ってあげるのじゃ」
「二人で雷夢くんを洗うにはこの方法しかないじゃない!」
 麗奈が声をそこで力を入れる意味が分からなかった。
「ん……まぁそれしかないよな。ほら、洗うならさっさとやってよ」
『ならお言葉に甘えて……』
 ぺちょ。
「へぁっ!?」
 明らかにタオルではない心地よい感触×2に、雷夢は突拍子もない声を上げてしまう。見ると両脇の二人が雷夢の身体に泡を纏わせた手を這わせていた。
「ちょっ……!? 二人とも何してんの!?」
「タオルを泡立てて擦るのもよいが、ボディーソープのCMでやってるみたいに直接手でやった方が良いかと思ってのぅ」
「雷夢くん、肌がこんなに綺麗なんだから擦るのは勿体ないでしょ?」
「いや別に肌とか気にしないからさ! 恥ずかしいからタオルでやってよ!」
 その瞬間、二人の眼が悪魔を思わせる妖しさを秘めた輝きを放つ。
「やっぱり恥ずかしいんじゃのぅ……。我等みたいな可愛い女の子に身体を素手で洗ってもらえるなんて、滅多にないのにのぅ……?」
「強がってもやっぱり男だもんね……?」
「お、お前らはぁ…………っ!」
 今すぐにでも竹串で折檻してやりたいのに、身体が硬直して身動きが取れない。これが若さか。どうしてこんなことで何も出来なくなってしまうのか。どうしてか分からない。
「坊やだからじゃよ……」
「お前は心を読むな!」
「ほら、もう終わったから安心して」
 麗奈がそう告げると同時に二人の手が離れ、身体中の泡がシャワーで凪がされていく。
「ほらっ、早く湯船に入るのじゃ!」
「お、おいこらっ!?」
テトと麗奈に腕を引っ張られたかと思いきや、次の瞬間には湯船に放り込まれ水飛沫と共に頭からダイブ。あまりにも突然だったので、思いきり水を飲んでしまう。
「げほげほっ!? な、何すんだ二人とも!」
「まぁまぁ、そんな固いことは言いっこ無しじゃ」
 浮上して振り向くと、テトと麗奈は既に湯船に浸かっていた。自分等だけゆっくりと浸かりやがってこのやろう。
「それはそうと、雷夢殿は我等二人を見ても何とも思わぬのか?」
「何がだよ」
「我等二人、今タオル着けておらぬぞ」
「がぼごっ!?」
 テトの衝撃発言に驚いたと同時に、足を滑らせ湯船に潜行してしまう。何をこいつはとんでもない事をあっさりと口に出せるのか。あと今更だが乳白色の湯船バンザイ。
「ほら雷夢くん、冷静になって。湯船で血圧上がると脳の血管破れてポックリ逝っちゃうわよ」
「お前ら二人がそうさせてんだろ!! 僕は部屋に戻る!!」
「雷夢殿、それは死亡フラグ以外の何物でもないのじゃ」
「知ったことか!!」
 堪忍袋の緒ではなく脳の血管が切れる前に、雷夢は湯船から退散。自分の荷物をまとめ、脱衣室へと戻った。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.308 )
日時: 2013/12/18 20:03
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


──が。
「あ、あれっ?」
ガキン、ガキン。
 唯一の脱出口である脱衣室へのドア。先程入った時は何も問題なく開いたのに、今では全くと言っていいほど動かない。まるで溶接職人に溶接されたようだ。
「お、おい! ドアが開かないんだけど!?」
『ふふふふふふふふふふふ………………』
 麗奈とテトに助けを求めるべく振り向いた雷夢は、見てしまった。
 ──肝心の二人がこちらを悪魔の微笑みで見つめるのを。
「我等が雷夢殿を逃がさぬ策を講じていないとでも思っていたのかのぅ…………?」
「…………へ?」
「既に穂香に頼んで男子脱衣室へのドアは封じてあるわ…………」
「お、お前らぁっ!!」
「もはや雷夢殿は我等の言う通りにせぬといかんということじゃ」
「もう諦めてこっちに来なさいよ。湯冷めするわよ」
「……っ! くそっ、開けよ! 開けよぉ!」
 最悪の未来のビジョンが頭を過り、雷夢は必死にドアを開けようと奮戦する。しかし結果は一向に変わらず、ドアの開く気配は全く無い。
 こうなると、既に雷夢の未来は決まったような物だ。このまま二人と湯船でイチャコラするのを強制され、きっといろんな大事な物を失ってしまうのだろう。そうだ、きっとそうだ。
 ちゃぷ、と背後で音がしたかと思うと、ぺたぺたとタイルを打つ二重奏。テトと麗奈がこちらに向かってきている。天国へのカウントダウンが近付いて来るのが目に見えた。ただしこの場合、天国ではなく地獄だが。
「ら、い、む、ど、の」
 むに。
「ひっ……!?」
 突如左腕に伝わる柔らかい感触。恐る恐る顔を向けると、テトが左腕に抱きついていた。まさかこの感触は、発展途上の、その、あれなのか。
「は、や、く」
 ふに。
「な…………っ!?」
 続いて右腕にも同じ感触。反対側を向くと、こちらは麗奈。
 改めて状況を再確認する。
 タオルや服などという緩衝材無しで、テトと麗奈が抱きついている。
「あっ…………ああっ……………!?」
 瞬間、雷夢の心臓は両手を広げ雲を突き抜けてアスファルトを蹴り上げて飛び出しそうな勢いで脈動を始めた。全身の体温が急上昇。身体の奥から止めどなく熱が沸いてくる。
「さぁ、湯冷めするから早く湯船に入るのじゃ」
「ほら、早く」
 成す術を失った雷夢は、二人のいいように引きずられ再び湯船に浸からさせる。
「あ、あとで覚えとけよ……お前ら……」
「ふふん。絶対にそんな気持ちを起こさせないくらい、我等とじゃれあおうではないか」
 普通ならここで拳骨折檻したいのに、雷夢の身体は完璧に硬直して動かない。そもそも両腕は二人に抱き付かれ封じられているわけだが。ならばこの足で──とも思ったが、仮に動いたとしても雷夢の両足では絶対に一撃を食らわせられない絶妙な位置取りで二人は抱きついている。
 どうすればいいのだいったい。
「こうしていると、雷夢殿との未来が思い浮かぶのぅ……。我と雷夢殿はどんな新婚生活をしてるのかのぅ……?」
「残念だけど、雷夢くんと私は将来結ばれる運命なのよ。あんたとの新婚生活なんて絶対経験させないから」
「お前らは僕以外に誰かと付き合うっていう考えは無いのか。ほら、お互いまだ先は長いしさ……」
「そんな事、絶対に有り得ぬ。我は生涯雷夢殿しか愛さぬと決めておる」
「私だってそうよ」
 どうやら雷夢にはこの二人以外に男女関係を持つことは出来なさそうだ。
 が、それでも構わないと内心思う。
──二人の事が好きだ。
 最初こそ普通の友達と家族関係だったが、今は違う。接する内にそれぞれの思いが少しずつ伝わってきた。
 テトは押しが強くアプローチも多いが、その信念は本物だ。麗奈は自分の気持ちを伝えるのが苦手だったが、その思いを伝えることを諦めない。

 もう両手に花ではなく、ブーケを持っていてもおかしくはない。

「で、まだここから出してくれないの……?」
「当たり前じゃ。雷夢殿ももっと一緒に居たいとは思わぬのか? 別に女性運が半端なく悪い短剣使いの王子みたいに振る舞ってもよいのじゃぞ」
「誰だよそいつ」
 少なくとも雷夢の記憶でそんな人物は思い当たらない。こいつの事だ、どうせアニメのキャラだろう。
──がちゃ。
「…………がちゃ?」
 不意に風呂場に謎の金属音が響いた。この音は、間違いない。脱衣室の鍵が開いたのだ。
 からから、と音を立てドアが全開になる。そこに立っている人影は。

「見つけたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉらいむくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!!」

 変態の階段踏み外しに定評のあるクレープだった。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.310 )
日時: 2013/12/20 17:00
名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode

 しめた、と本能的に察知した雷夢はクレープの闖入で呆気にとられた二人の腕から脱出。即座に湯船から脱衣室へとダッシュする。
「おおっ!? 雷夢くん! まさか君の方から私の胸に飛び込んで来てくれるとは! さぁおいで雷夢くん! 君の正解さえも間違いさえもない純情をこの両手で受けとめるくりうすっ!?」
「助かったクレープ!」
 言葉ではそう言っているが、実際雷夢は擦れ違い様にクレープの脇腹に足でボディーブローを食らわせていた。蹴られた勢いでクレープはタイルの床を滑走。案の定壁に頭を強打していた。あの一撃で脳のプログラムが「変態」から「常人」に切り替わってくれはしないだろうか。
 何がともあれ脱衣室にたどり着いた雷夢はクレープやテト達が追っかけて来ないように浴場への入り口に鍵を掛けて封印した。
「ちょっと雷夢殿!? もっと我等と戯れたく無いのかの!?」
「ほら、早くこっちに戻って来なさいよ!」
「くっ、脱衣室に鍵を掛けられたか……。ならば女子脱衣室から回り込むだけっ!!」
「何あんたはどさくさ紛れに変態行為に突っ走ってんのよっ!!」
 ぱぁん。
「ぎがんっ!?」
 浴場の中からそんな会話が聞こえて来たが、もはや雷夢には関係が無いことだ。延々と浴場で続く変態暴行事件を尻目に、雷夢は身体を拭いた後着替えて脱衣室を後にした。

******

「ただいま……」
「……どうしたの? 疲れてるようだけど」
 部屋に帰りつくなり、リビングで寛ぐクロが出迎えてくれた。どうやらテレビで洋画を観ていたらしく、主人公らしき男性が自分の車と共にトラクターで牽引され水中から水揚げされていた。
「まぁ、風呂場で色々あってね」
「……疲れてるのなら、これを飲むといい」
 そう言うとクロはこちらに何かを投げ渡した。受け取ってみると何かの錠剤らしい。
「何これ?」
「……睡眠薬?」
「なんで疑問形なんだよおい」
「……効果はそれなりに強力だから、飲めば翌朝までぐっすり快眠」
 一瞬、飲んでも大丈夫かという思いが脳を走ったが情報通のクロの事だ、身体に害を与えるような薬を渡したりはしないだろう。
 取り合えず冷蔵庫からお茶を取り出して煽ると、薬と一緒に飲み干す。
「……うっ、早速来たか……」
 飲んで数秒、強烈な眠気が雷夢を襲った。リビングなんかで寝てしまう事が無いように、力を振り絞ってベッドルームのベッドに飛び込む。
 後は眠気に身体を委ね、雷夢は意識を手放していった。

******

──ピシャァァァァァァンッ!!!
「おわっ!?」
 突然響いた轟音で、雷夢は夢の中から現実に引き戻された。何事かと窓を窺うと、大粒の雨がテラスや窓を打ち付けている。遠くでは雷もなっているようだ。どうやら嵐が来たらしい。
 時計を見ると午前1時。どうやらこの騒がしい中でもうひと眠りしなければならないようだ。
 とにかく早く寝付こうと雷夢は布団を被る。
「ら……らいむどの……」
「ん…………? テト……?」
 暗闇から名を呼ばれ顔を出すと、ベッドの傍らにテトが涙目で立っていた。
「どうした……?」
「か、雷が恐ろしくて恐ろしくて眠れぬから……。雷夢殿と一緒に寝てよいかのぅ?」
「そうなのか? ならほら、早く入って」
「す、すまぬ雷夢殿……」
 蒲団を捲って招き入れると、テトは直ぐ様そこに飛び込んだ。
「よかったのじゃ……。雷夢殿がそばにいてくれて助か──」
──ピシャァァァァァァンッ!!!
「ひぃっ!?」
 またも雷が近くに落ち、轟音が辺りを飲み込む。テトは恐怖の余り、涙をこぼし雷夢に身体を寄せる。
「大丈夫、テト。安心して。僕といれば平気だから」
 優しい言葉で慰めると同時に、雷夢はテトを自分の胸に抱き寄せる。見えるはずが無いのに、雷夢には胸の中でテトが笑顔になっていくのを感じ取る事が出来た。
「……雷夢殿の胸の中って……暖かいのぅ…………」
 既に恐怖心が消え去った安心する声で、テトは更に顔を雷夢の胸に埋める。やはりアプローチの仕方が間違っているだけで、正しい接し方をすればこんなに可愛い姿を見せてくれる。それが黒鳥テト。自分の恋人だ。
「ほら、嵐が過ぎるまで抱いててあげるからさ。ゆっくり寝るといいよ」
「ありがとうなのじゃ……雷夢殿……」
 嵐の轟音が島を蹂躙する中、いつしか二人は互いの腕の中で深い眠りに落ちていた。



 と、それを狙っていたかのようにクロがベッドから起き上がる。ポケットからデジカメを取り出し、二人の所に寄っていく。
「……雷夢くんとテトの愛の抱擁……。これは逃したら大損」
 絶対に二人を起こすことが無いようにそっと近づくと、軽いフラッシュと共に二人を撮影する。けしからん、実にけしからん。
 これを新聞部に高値で売り付けた暁には、学校中の非リア充が揃って涙を流すだろう。もちろん嫉妬の涙だ。
 しかしそんな事はしない。自分の秘蔵アルバムに未来永劫保存しておこう。間違っても「あいつ」に見られる事が無いように──。
 複数枚写真を撮り御満悦のクロは、デジカメにしっかりとデータを保存。USBにもバックアップ保存を施し、データ紛失なんて事が無いようにする。
「……いい写真が取れた。お幸せに、二人とも」
 いい写真を提供してくれた御礼代わりに祝福の言葉を投げ掛け、クロは再びベッドに戻った。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.311 )
日時: 2013/12/19 19:53
名前: ミーナ (ID: e2r21W3i)

お久しぶりです、ノヴァ先生!! さすがですね、何度読んで面白いです! あたしが自慢できるのはせいぜいイラストぐらいですから、憧れます!! 頑張ってください!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.312 )
日時: 2013/12/19 20:34
名前: モンブラン博士 (ID: /aM8oOne)

ノヴァさんへ
クレープは星野くんがいれは常人に切り替わると思います(笑)
彼の変態思考回路を完全に機能停止できるのは彼だけですので・・・

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.313 )
日時: 2013/12/22 14:12
名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode

******

「ん…………んんっ……!」
 やたらと騒がしい雨音で、麗奈は眼を覚ました。外を見る限り、どうやら嵐が来ているらしい。なんと迷惑この上ない事か。
 時刻を見ると5時半。まだ起きるのには時間が早い。再び眠りに就こうと、麗奈は布団を被り寝返りをうった。

 雷夢とテトが抱き合って寝ていた。

「なっ…………なぁっ!?」
 目の錯覚ではないかと両目をよく擦り、リトライ。しかし結果は同じだった。
 その瞬間、麗奈の中に嫉妬の炎が燃え始める。
「あ、あの猫娘ぇぇぇぇぇぇぇ…………!! 私が寝てる隙に雷夢くんを寝取るなんて……許さないっ!!」
 しかし、ここで一旦麗奈は冷静になる。昨日の昼間、テトを折檻して気絶させた際に、愛する雷夢は「次こんなことしたら恋人関係を解消する」と言っていた。危ない。情に流され目的を見失ってしまうところだった。
 しかし、このままでは自分の気持ちが収まらない。どうやってテトに復讐しようか。
 と、その時。麗奈の脳に電流走る。
「そっか、こうすればいいのよ……。これなら……」
 思い立ったが吉日。麗奈は抜き足で雷夢のベッドに忍び寄り、布団を捲って中に潜り込む。そしてそのまま雷夢に後ろから抱き付く。
 これならテトとおあいこだ。我ながら良いことを思い付いたと思う。誰も良心を傷付けることのない良い作戦だ。
 麗奈は心の中で勝利の拳を掲げた──
──がし。
「…………がし?」
 自分の身体に眼を下ろすと、雷夢の腕が自分の身体を包んでいた。
「えっ……ちょっと!?」
 訳が分からぬまま麗奈は引き寄せられ、目の前に最愛の相手の顔が広がる。ちょっとまて、自分はただ添い寝をしようとしただけなのに何故にこのようなシチュエーションに。恐らく雷夢本人には意思は無く、身体が勝手に動いているのだろう。しかし、抜け出そうにも自分の身体を固定する腕は二度と離さないと言いたげに自分を固定している。
 と、目前の雷夢の口がゆっくりと開いていく。開きすぎもせず狭すぎもせずというちょうど良い大きさで開口が止まる。
「こ、これって……。神様か誰かが……私にもっと大胆になれっていう……導き……?」
 そうと言わんばかりに、偶然互いの口は同じ位置にある。だとしたら、やらねばならないのか。やらねばならない使命があるのか。
 だが「これ」をするとなると、麗奈は大人の階段を登らなければならない。小学生が大人の階段を登っていいのか。いろいろ叩かれたりしないだろうか。
「…………やってやろうじゃない」
 麗奈は覚悟を決めた。小学生が大人の階段を登ってはいけないと誰が決めた。小学生がやって何が悪い。望んで何が悪い。そんな法則くそ食らえだ。
 麗奈はゆっくりと眼を閉じると、自分の唇を雷夢のそれに近づけていった。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.314 )
日時: 2013/12/21 15:50
名前: モンブラン博士 (ID: va9vSuht)

ノヴァさんへ
クレープがその光景をみたら、すぐさま瞬間移動魔法で大形くんのお部屋に侵入し、彼が寝ている隙にベッドの中でイチャコラすると思います。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.315 )
日時: 2013/12/21 17:08
名前: Dr.クロ (ID: /PtQL6mp)

バトスピは?

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.316 )
日時: 2013/12/28 09:00
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode

******

 ──なんだろう。口の中に何かが入ってきている。感触からして明太子か。
 ──いや違う。もっと違う何かだ。もっと柔らかく、湿っぽく、そして何よりも温かい。
 自分はこの「何か」の感覚を知っている。そう、テトが自分に初めてのキスをした時の──キス?
 瞬間、雷夢の思考が急速に明瞭になり再起動がかかる。身体の中心から末端まで神経が接続されていく。自分の身体に完全にエンジンが掛かり、雷夢はパッと眼を開く。

 自分に熱烈なキスを提供中の麗奈の顔が目の前にあった。

「…………………………んんっ!?」
「…………………………………………んあっ!?」
 雷夢が目の前で眼を覚ました事に気づいた麗奈は赤い彗星の如く顔を真っ赤に染め上げ、即座に唇を雷夢のそれから外した。しかし、麗奈と雷夢の口は銀色の細い橋で未だ繋がれていた。
「………………れ、麗奈?」
「ご、ごめんなさい……っ! 雷夢くんが寝てる間に……私……と、とんでもないことを……」
「だ、大丈夫だよ。気にしないで。ほら、まだ早いから一緒に寝よ?」
「…………いや、いいわ。迷惑かけちゃったから……」
 それ以上は何も話すこと無く、麗奈は自分のベッドに横になった。
「…………ふにゃ……。どうしたのじゃ……? 雷夢殿……」
 と、雷夢の傍らで寝ていたテトが寝ぼけ眼で問い掛けた。
「いや……ちょっとね。まだ寝てていいよ」
「うぅ……にゃ……そうかの? なら……」
 そう言うとテトは再びすやすやと寝息を立てて眠り始めた。嵐は全く収まっていないのに寝れるというのは、それほど雷夢の隣がテトにとって安息の場所ということだろう。
 だが、麗奈にとっての安息の場所は雷夢にはまだ分からない。今の出来事で、確実に麗奈の心には傷がついた。それを癒してあげられることは雷夢に出来ないのだろうか。
 外の嵐は益々勢いを強め、激しい雨が窓を叩いていた。

******

「どうだい? 雷夢の様子は」
 リビングの机で水晶玉に手をかざす千代子に、ミルクティーを啜りながら京は問い掛ける。
「うーん……。良いこともあるけど悪いことも……ってところかしら」
「つまり?」
「自分を想ってる女の子の二人との接し方で色々あるみたい。まぁ、雷夢もまだ小学生だから恋愛の経験が浅いっていうのもあるけど」
「それなら、小学生の時のチョコもそうだったじゃないか」
「あ、あれは仕方ないわよ! だって麻倉くんや東海寺くんみたいに京はアプローチしてくれなかったじゃない」
「あれ? 確か何回もアプローチしたはずだよ。僕のお妃になってくれって」
「あれは別! あの時の京ったら魔界の支配しか考えてなかったから起きる気も起きないわよ──けど」
 千代子は立ち上がると向かいに座る京の隣に座り、優しく抱き締める。
「今は貴方が一番……──私の王様」
「僕も君が一番さ。僕のお妃様」
 お互いに愛を確かめるように、京は千代子を抱き締めた。そんな中、千代子は自分の腹部に優しく手を当てた。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.317 )
日時: 2013/12/28 08:55
名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
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 ちゃっちゃっちゃらっちゃ、ちゃっちゃちゃらら。
 枕元のス魔ホがアラームに設定したアニソンを流す。確かとある動画サイトで史上最高再生数を記録したアニメの第二期オープニングテーマだったはずた。
 腕を伸ばして手探りでス魔ホを操作、アラームを停止させる。アラームが正しければ今は朝の7時のはず。しかし何故か辺りは暗い。ここが年中常夏の島なら既に日が昇っていてもおかしくないのだが。
 窓の外を見ると、未だに外は嵐の暴風が吹き荒んでいた。これだと今日は海水浴は出来そうにない。
「あっ、おはようございます雷夢さん」
 がちゃりと部屋の扉を開け、アテナが入ってきた。
「おはよ、アテナ。てか足もう大丈夫なの?」
「はい! 愛さんの手当てのおかげで無事治りました!」
 パジャマの裾を捲って見せるアテナの足には前日の傷などどこ吹く風と言ってもいいほど見事に回復していた。傷跡など1つもない。
「いやぁ、雷夢さんが助けに来てくれなければどうなっていた……か……と……?」
 と、不意にアテナが雷夢のベッドを見て硬直した。その視線の先には、いい寝顔で寝息を立てるテト。
「…………雷夢さん……」
「なんだよ」
「まさか……私達が知らない間にテトさんと一線越えちゃんたんですか……?」
「越えないよバカ!」
「雷夢さんのナイトオブスピアーでテトさんを貫いたんですか……?」
「おい、そろそろ止めんと出るとこ出るぞ」
「もしかしてテトさんに『雷夢殿と、合体したい……』とか言われてその口車に乗ったんですか……?」
「止めんかアホタレ」
 ざく。
「れろっ!?」
「忠告したからな」
 留まるところを知らない変態発言製造機は雷夢の竹串によりシャットダウンされた。
「す、すいません……。今は反省してます」
「ならいい。で、今更だけど何しに来たんだよ」
「あ、そろそろ朝御飯なので皆さんを呼びに──って訳です」
「そうなのか。ならみんな起こさないと」
「……私は起きてる」
「ってひぃっ!? ゆ、幽霊!?」
 アテナが声を発した方向を見ると、そこには髪を振り乱した白い服の少女が。垂れ下がった長い銀髪の隙間から真っ赤に光る赤い目が……。
 いや違う、そうじゃない。
「……アテナ、驚かせてごめん。私」
 幽霊らしき少女が垂れ下がった銀髪を捲し上げると、そこからクールビューティーな少女の顔が。ただのクロだった。
「なんだクロか……。びっくりさせないでよ」
「……ごめん。寝てたら髪が乱れてこんな事になった。今から朝シャンして髪をセットしてくる」
 そう言ってクロはシャワールームへと消えていった。騒動にならずにすんでよかった。
「ほら、テト起きろ。朝飯だぞ」
「……んんっ……! らいむどのぉ……。男の娘って……いいのぅ……」
 ごっ。
「ぐっ!?」
 寝言からしてろくでもない夢を見ているのは確実だったので、テトの頭に拳骨を食らわせる。
「起きたか?」
「う、うむ……。ビッグフットがアメリカから転がってくる夢を見たのじゃ」
 そんな夢を見て何をどうしたらあんな寝言になるのだろうか。まさかビッグフットが男の娘だったとでもいうのか。想像した瞬間、画像データを脳内から爆破処理した。
「麗奈、起きて。朝御飯だよ」
 麗奈のベッドに行き、雷夢は優しく呼び掛ける。
「…………ごめん、食欲がないの。朝飯は持ってきたカロリーメイトで済ますから」
「うん、なら分かった。けどちゃんと食べないと元気出ないよ」
「…………ありがと」
 そう言って麗奈は再びごろんと横になった。
「……麗奈さん、何かあったんですか? あんなに元気のない麗奈さん初めてですよ」
「うん、今はそっとしておこう……。ほら、早く食堂行こうか」
 麗奈の身を気遣いつつも、雷夢達は食堂へと足を運ぶのであった。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.318 )
日時: 2013/12/24 22:16
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
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******

 食堂に着くと既に他のメンバーは食事をとっていた。遅れて来てしまった雷夢達もカウンターで朝食を受け取り、急いで席につく。ちなみに今日の朝食は昨日とは違いスタンダードな物だった。白ご飯に味噌汁、柳葉魚の天ぷらに浅漬け。湯飲みも付いているがお茶を注げということか。
「あれ黒鳥さん、津出さんは御一緒じゃあ無いんですか?」
 座った途端、隣の席の大輝が話し掛けてきた。
 大輝はそれなりに慎重ということ以外は特に目立つ点が無い男子だ。逆を言えば色々とぶっ飛んだ5年1組の中では数少ない常人といえる。
「うん。なんか食欲無いって」
「なるほど……。帰りにパンでも持っていったらどうですか? 津出さんのことですから、カロメだけではキツいですよ」
「えっ、なんで麗奈がカロメ食うって知ってんの?」
「知らないんですか? 津出さん、毎日学校にカロメ持ってきてるんですよ。何でも母の代わりに姉が作ってる飯が不味いって」
 なるほど、そういう裏があったのか。それよりも麗奈に姉がいたのが驚きだ。となると、よく授業中に麗奈の意識が飛んでる様子だったのは朝食の摂取不足ということだったようだ。
「……まぁ、麗奈の食欲がないの、半分は僕のせいかもしれないからな……」
「えっ、なんか言いました?」
「ああ、いや別に」
 思ってみれば麗奈が気を落としたのは雷夢のせいでもある。あの時、自分の対応がいけなかったせいで麗奈は元気を無くした。麗奈も何かしらの自責の念もあるかもしれないがそれでも、だ。
 よい蟠り解消の策を模索しながら、雷夢は味噌汁をすすった。

******

「……どうしよう…………」
 一番小さく灯したLEDの電灯の明かりの中、麗奈はベッドに座り込みテレビをぼんやりと眺めていた。その傍らには空になったカロリーメイトの袋とお茶入りのペットボトル。
 テレビは嵐のせいか画面の映りが悪い。おまけにフレームまで歪んでいる。
「……私、雷夢くんの気持ちも考えずに……なんてことを……」
 両手で抱える膝の上に、ぽたぽたと水滴が垂れる。
「……雷夢くん……私のこと…………絶対嫌いになっちゃった……。私が……自分の手で…………一番大好きな人を……手放しちゃった……」
 膝の染みは時を追う毎に確実に広がっていく。頬を伝う一筋の河は絶えることなく流れ続ける。

「ほら、もう泣かないで」

 その声と共に、1つのパンが目の前に差し出される。その方を向くと、そこにいたのは雷夢だった。
「ら、雷夢くん……ごめ……なさい……」
「謝ることはないよ。ほら、これ食べて。カロメだけじゃ持たないよ」
「…………あ、ありがと……」
 戸惑いながらも、麗奈はそのパンを受け取る。その瞬間から手に暖かい温もりが伝わる。
 それを口元にやり、ひとかじり。またひとかじり。今度は思いっきりかぶりつく。
 パンが口の中に入る度に、先程とは何かが違う涙が頬を伝う。
 やがてそれを食べ終える頃には、麗奈の顔は涙に濡れていた。
「う……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
 心の中の色々な物が溢れだし、麗奈は涙と共に雷夢に抱きつく。
「雷夢くん……ごめん……私がバカだった……。本当にごめん……」
「もういいよ。僕も気にしない。だから、もう泣かないで。いつもの麗奈でいてくれればいいよ」
「ううっ…………ありがとう……。……ぐすっ」
 麗奈は寝間着の袖で顔を拭くと、今までにない活きている笑顔でこちらに微笑んだ。
 やはり、これが麗奈だ。今まで接してきた沢山の麗奈の中で、今の麗奈が一番好きだった。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.319 )
日時: 2013/12/25 21:19
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
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******

「雷夢殿、ここの問題が分からないのじゃが……」
「ちょっと見せて。…………あー、なるほど。そこはこれをこうして……」
「雷夢くん、ちょっとここ教えてくれる?」
「あー、はいはい待ってね……。えっとそこはこれをそうして……」
 嵐が外で吹き荒ぶ中、テトと麗奈、そして雷夢は連休中に出された宿題の始末に没頭していた。その傍らには付箋付きのテキストが人数分×国数の二科目。数ページ分けて貼られた付箋の間をこの連休中に終わらせなければならないのだ。
 しかし隣の二人は先程から自分にばかり質問するので、こちらの宿題が遅々として進まない。さすがはテスト平均が45点の二人だ。
「あのさ。このままだと僕も宿題出来ないからさ、しばらく自分で問題解いてくれないかな?」
「なら我等は誰に問えばよいというのじゃ」
「クロがいるじゃん。なんならアテナ呼んできて4人でやってもいいよ?」
「んんっ…………。なら仕方ないわね」
「てなわけでクロ、二人のサポーター頼む」
「……了解。そのくらいは朝飯前。もう食べたけど」
 ソファーに座って魔導書らしき物を読んでいたクロも、テーブルに掛けて雷夢達の仲間入りをする。
 頼もしい味方がついて安心したので、雷夢も自分の算数のテキストに眼を落とす。
問題
 一個100円の大福と一個150円のどら焼を合わせて10個を1300円で買いました。大福とどら焼をそれぞれ何個買ったか答えなさい。ただし、お釣りは出なかったこととします。
 典型的な鶴亀算だ。習ったかどうかは定かではないが、未来で母が教えてくれたので答えられる。計算の結果、大福4とどら焼6になった。
 この調子で次の問題へ。
問題
 神社にある呪いの人形は1日に髪が8cmも伸びます。あまりにも恐ろしいので巫女さんが3日に一回、6cm切ることにしました。15日後には人形の髪は何cmになっているでしょうか。人形の元々の髪は10cmとします。
 小学生にとっては頭を少し捻る問題だ。1日8cmということは15×8で120cm。3日に一回6cm切られるのだから、5×6=30cm。120-30で90cm。そして忘れることなく元々の長さの10cmを足して100cm。
 というより問題のモデルを呪いの人形なんかにするなと思う。この先しばらくオカルト混じりの問題が出そうで怖い。
 ふと二人の方を見ると、ちゃっかりクロに解き方を教えてもらっていた。クロも宿題が終わっていないだろうに、押し付けて済まなかったと思う。後でテキストを見せてやろう。それでギブアンドテイクのはずだ。
「雷夢殿雷夢殿」
 と、くいくいと服の袖をテトに引っ張られた。
「ん、どした?」
「この問題、クロ殿でも分からぬから教えてほしいのじゃが……」
 どうやらクロにも分からない問題があったらしい。テスト平均95点の才色兼美のクロが解けないとは、それなりに難しいものらしい。
「えっと、どれどれ……?」
 タイトルを確認すると確率だった。なんで小学生向けのテキストに書いてあるんだと心の中で突っ込んだ。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.320 )
日時: 2013/12/27 22:25
名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
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「で、二人ともどこまで終わった?」
 2時間程勉強を続け、休憩がてら二人に問いかけてみる。あれだけ問い掛けて来たのだから、少なくとも雷夢よりは進んでるだろう。
「えっとじゃの……。残りが……10ページじゃ……」
「私も同じく……」
「僕やクロへの質問をどう活用してたんだお前らは」
 どうやら質問を有効利用する能力に富んでいないようだこの二人は。
「二人の質問散々聞いてた僕でも残り5ページなんだから、一緒に頑張ろ? 分からない問題はある程度は飛ばして答え合わせで学べばいいわけだし」
「ほんとに心配掛けてすまぬ雷夢殿」
「ほんとに迷惑掛けてごめんなさい雷夢くん」
「うん、そこまで言わなくていいよ。休んだらまた始めようか」
 こういう時だけ息がピッタリ合うのも二人の良いところだ。いいライバルとも言えるだろう。こんな二人も大好きだ。
 コンコン。
「すいません、入りますよー」
 部屋のドアを叩く音がしたかと思うとアテナが入ってきた。片手にはお菓子の箱を抱えている。
「ん、どしたアテナ?」
「いえ、部屋にずっといるのも暇なので一緒におやつでもどうかなと」
「おおっ、お菓子かの!? ちょうど甘いものが欲しかったのじゃ!」
「……甘いものは脳を活性化させる。勉強の合間には最適」
「はいはいどうぞ、お好きなのを食べてください」
 そう言ってアテナはテーブルの上にお菓子をばら撒いた。どうやらチョコレート系のお菓子らしい。
「じゃあ我はこれを!」
 真っ先に飛び付いたのはテトだ。猛スピードでかっさらったのはパンにチョコを染み込ませたお菓子だ。あれは雷夢も推薦する味だ。特にイチゴ味が美味い。
「ほら、雷夢さんもどうぞ」
「ありがとうアテナ。じゃあ……これで」
 アテナに礼を言いつつ、雷夢もお菓子に手を伸ばす。
「まさかこんなサプライズがあるなんて。ありがとね」
「いえ、いいんですよ。貰い物ですし」
「貰い物って一体誰からもらったんだよ」
「未來さんがくれたんですよ。他の人にも配ってるみたいですから、ここにも来るかもですね」
「そうだったんだ。てかほんと何でもあるなこの別荘」
 まるで某猫型ロボットのポケットのようだ。
「多分賞味期限が長いやつを買い溜めしたんじゃないんですか? もしくはここに来るときに持ってきたとか」
「まぁ、そんなことは考えないで今は食べるのじゃ。あ、これもこれも」
「本っっっっとこのお菓子美味しいわね。まだ食べれる!」
「お前らその辺で止めとかんと昼飯入らないぞ」
 本当に食い意地の張った恋人だとつくづく思う。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.321 )
日時: 2013/12/28 19:31
名前: ミーナ (ID: B4StDirx)

少し遅れますが、(少しじゃないだろ。)メリークリスマス!!
なのでショ! そして。お久しぶりですーーーーーっっ!!!!!!!
前にここにきた時はふっつう〜に見つかったのに、そのあとはぜんっぜん見つからない!! なんでーーー!? そしてやっと見つけたのです! そしてさらに、いつも通りイラストを描いていた時、「あ、この子オリキャラにすればいいじゃないか!!」と、いうことで。↓↓
カリン&カレン(ヨーロッパのコロボックルの
名前をもじったというのとアナグラムから)双子の姉妹。約千年前に滅びたとされるエルフの末裔。噂によると、その歌声はとてもきれいな声で、誰もが癒されると言われている。が! 実際にその歌声を聴いた者はいないらしく、ただの伝説とされている。また、人それぞれ違うが、(エルフという時点でもはや『人』ではない。)個体によっていろんな種類の魔法が使えたり、使えなかったりする。ちなみに、この双子たちは伝承通り、銀色の髪にアイスブルーの瞳をしている。長くなってスミマセン…。これでもけっこう省略したのですが…。よろしくお願い致します。ノヴァ先生!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.322 )
日時: 2013/12/28 22:13
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


 ミーナ様、了解です!

 取り合えず魔界キャラということで採用して、いつ登場させようか考えたいと思います!
 

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.323 )
日時: 2013/12/29 17:54
名前: ミーナ (ID: At2gp0lK)

ありがとうございます! お願いします!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.324 )
日時: 2013/12/29 17:58
名前: Dr.クロ (ID: /PtQL6mp)

バトスピのほうは?

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.325 )
日時: 2014/01/01 00:12
名前: ミーナ (ID: hifG5fZX)

メリー苦しめますー! …もう過ぎちゃいましたね…。
明けましておめでとうございます! ノヴァ先生、よいお正月とおとしご…いえ、お年を、です。そういえば1月の新刊に、黒魔女の騎士ギューバッドpart1が発売されるらしいですね! あたし今から楽しみすぎて、死んじゃいますよ〜。早く発行されないかなぁ〜。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.326 )
日時: 2014/01/02 20:59
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

この小説,とても面白いですね!!
こんにちは、奈菜です。小学5年生ですが、よろしくお願いします。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.327 )
日時: 2014/01/03 23:10
名前: ミーナ (ID: b/ePXT6o)

奈菜さん、こんにちは! 実はあたしの弟が今小5なんです。同い年ですね! ちなみにあたしは小6です。これからよろしくです!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.328 )
日時: 2014/01/04 19:07
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

ミーナさんこんにちは。
書いてもらってうれしいです!こちらこそよろしくおねがいします!!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.329 )
日時: 2014/01/09 21:36
名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


******

「あー。暇じゃのぅ…………」
 アテナを交えた間食タイムは当の昔に過ぎ去り、部屋には倦怠感80%のムードが漂っていた。宿題も必死こいて取り組んだので数十分前に終わり、テレビも面白い物が放送されていないのでとにかく暇だ。昼食までは1時間近くあるので、それまで時間をどうにか潰さないといけない。こんな時間を夏休みの終わりくらいに持ってこれないものだろうか。
「あーもう、こんな時には寝るに限るわ。昼食になったら起こしてちょうだい」
 そう言い残し麗奈はベッドルームに籠ってしまい、リビングには3人が残された。
「……暇だからダウトでもどう? ちょうどトランプは持ってきてる」
「まぁ、何もしないよりはましだね。テトは遊び方分かる?」
 簡単に言うとトランプを人数分に振り分け、1から13までのカードを順に出していき、最終的に手札が0になったプレイヤーの勝ちというルールだ。正し嘘のカードを出した事が他のプレイヤーにばれたら、出してあるカードを全て手札に加えなければならない。シンプルかつ相手の手札を読む事が重要なゲームだ。
「無論、知らない訳が無かろう! こう見えても我はロベの雑兵の中でもトランプゲームはトップの実力だったのじゃ!」
 えっへん、と発展途上の胸を張って自慢するテトだが、雑兵の魔獣がトランプゲームをする場面なんぞ想像も出来ない。かといって建て前をテトが言う事も珍しいので、半分本当辺りが正しいと解釈しよう。
 早速クロがトランプを慣れた手付きでシャッフルし配り終えると、これまた慣れた手付きでそれをテーブル上に配っていく。
「……じゃあ私から時計回りで。1」
 クロがカードを1枚、テーブル上に置く。
「ほい、2」
「3じゃ」
「ダウト」
 テトが4枚のカードをテーブルに出した瞬間、雷夢は躊躇なく言い放った。
「な、何故わかったのじゃ!?」
 案の定テトが出したカードの内、本物は2枚だけだった。何故見抜けたかというと、雷夢の手札には3が1枚ある。つまりテトが本物の3を4枚出すことは不可能なのだ。
「……その程度では勝ち残れない。4」
「ダウトじゃ!」
 先程6枚もバウンスさせられたのがよほど悔しかったのか、テトはクロが出した2枚のカードに向けて言い放つ。
「…………残念」
 しかしクロが表向きにしたカードは両方とも4だった。これでまたテトの手札に2枚バウンスされる。
「お、おのれぇ……っ! このままでは済まさぬぞ……」
「はい、5」
「6じゃ!」

******

「ひぐっ……ぇぐっ…………」
「お前どんだけダウト弱いんだよ」
 雷夢とクロの前には、滝のように涙を流すテト。その手には大量のトランプが握られていた。結局あの後、ダウトを見抜かれダウトを外しの繰り返しでテトの手札が尽きることなくゲームは終了した。これほどまで弱いと先程の雑兵の中でもトップクラスがなんたらという発言は建て前だろう。
「りゃいむどのとクロどのがつよすぎるのじゃあ……えぐっ」
「……テト、安心して。人は敗北を通じて強くなる」
「我は半分魔獣じゃ……ぐすん」
「ほら、これで涙拭いて」
 見ていて可哀想に思えて来たので、ハンカチを渡してやった。
「ありがとうじゃ雷夢殿……。ずびーずびー」
 可哀想に思った自分が馬鹿だった。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.330 )
日時: 2014/01/10 20:19
名前: ミーナ (ID: COEfQkPT)

きゃははははは! 久し振りに来てみたら、更新されてる〜!だったので、読んでみました! 「おまえどんだけダウト弱いんだよ」めっちゃうける〜!明明後日学校で使ってみようっ! ノヴァ先生、頑張って下さい!(ん? なんかあたし、きみえちゃん化してる?)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.331 )
日時: 2014/01/10 23:13
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


「……そろそろ昼食の時間」
「えっ、もうそんな時間?」
 クロの指摘で時計を見ると、『11:56』とデジタル表示されていた。どうやらかれこれ1時間近くダウトに熱中していたらしい。
「じゃあ麗奈を起こしてくるから、二人は先行ってて」
「あ、雷夢殿。これ返しとくのじゃ」
 ぽか。
「ああ、それは僕のボストンバッグの袋に入れといて」
「雷夢殿……。言葉と現実のギャップが違い過ぎるのは気のせいかの……?」
 拳骨を食らい涙目で訴えるテトをさておき、麗奈を起こすためベッドルームに直行する。
「麗奈ー。そろそろ昼飯だ──ぞ?」
 ドアを潜り抜けた先の光景を目の当たりにし、雷夢は絶句した。
 雷夢の視線の先に見えたのは──

 ──下着姿でベッドに寝転がりスマホで動画を眺めている麗奈だった。

「ら、雷夢くん……?」
「………………」
「………………」
「………………」
「み、見ないでぇぇぇぇぇっ!!」
 状況判断の脳内処理が完了したのか、遅れて麗奈は顔を紅潮させて布団でみを隠した。
「えぇーっと…………うん。こういう時どうすればいいんだ?」
 あまりにも珍しいシチュエーションに次の行動が選択出来ない。誰だってこうなるだろう。
「ちょ、ちょっと後ろ向いてて! せ、せめて下だけでも……!」
「いや、上も着ろよ」
「う、上はだめ! 下だけ着させて!」
「下だけだと僕がいけないんだよ! ルキウゲ・ルキウゲ・ドレスターレ!」
「あっ、だめ……っ!!」
 麗奈の反対を押し切り、着替え魔法でベッドの上に広がっていた上着を着せてやる。しかし麗奈が嫌がっていたのとは裏腹に服は特にどうということはない。ベッドルームに入る前と同じものだ。
 と、その服が広げてあった場所を見て雷夢は再び絶句した。

 雷夢の姿がプリントされた抱き枕があった。

「ちょっと待て、どういうことだおい」
 逃げる隙を与えず、瞬間的に麗奈に詰め寄る。恐らく先程上を着るのを渋っていたのはこれの存在を隠す為だろう。
「な、騎士から買ったのよ。家で寝るときも雷夢くんと一緒にいる気分になれるように……」
「もしやとは思ったがやっぱあいつか」
「それで、さっきまで動画見ながら抱きついてた」
「話の腰を折るけど、何の動画を見てたの?」
「『ツンデレがよく分かる動画』タグがついた動画」
「うん、麗奈らしいや」
 最近のツンの少なさを補給しようとでもしたのだろうか。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.332 )
日時: 2014/01/11 17:19
名前: ミーナ (ID: RshqcS9m)

ぶっ! ツン照れですか!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.333 )
日時: 2014/01/11 18:30
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

ツンデレがよく分かる動画!?
そんなものがあるんですか???

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.334 )
日時: 2014/01/12 18:11
名前: ミーナ (ID: UKb2Vg8d)

ツンツンデレデレ〜。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.335 )
日時: 2014/01/12 22:59
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


******

「あー、美味しい流し素麺だったのじゃ!」
「そりゃ麗奈と二人で4人分の薬味と麺をほぼ独占したら美味いだろうよ」
 昼飯で腹八分を満たした雷夢達は、昼飯が終え部屋に戻ってきた。本日はなんと流し素麺で、1部屋毎に1セット用意されるという豪華設備。しかし会話から分かるように雷夢達の素麺のほとんどは麗奈とテトの二人に食い尽くされ、後方で待っていた雷夢とクロは僅かしか腹に収められなかったという現実だ。
「ごめん、二人とも! お詫びに今日の晩御飯のおかず、こいつと一緒にあげるから!」
 部屋に着くなり麗奈は土下座してこちらに謝罪した。どうでもいいが体勢が人間ミサイルを撃ってきそうで怖い。
「ちょっ、なにさらりと我までカウントしとるのじゃ! ……まぁ、我もそのつもりじゃったし別によいがの」
「いや、いいよ。僕あんまり素麺食わないし、二人ともそのくらいお腹が空いていたってことでしょ? なら二人がお腹いっぱい食べてくれたほうがよかったかな──って思って」
「……それに私、素麺嫌い」
「な、何よ! 二人して私の気持ちを受け取らないで! え、えーっとえっと…………バカ!!」
 雷夢とクロのフォローに何故か怒り出した麗奈は、ツンするだけツンしてまたもや部屋に籠ってしまった。
「…………えっと……僕達なんか悪いこと言ったっけ?」
「……何も言っていない。麗奈の勘違い」
「我にも理解しかねぬ……。つくづくツンデレというものは御しがたいのぅ」
 こうしているのもなんなので、代表で雷夢が謝りに行くことに。
 ドアノブを回してドアを開けると、恐る恐る中を覗き込む。電気を消しているのか部屋の中は真っ暗だ。
「おーい……麗奈ー?」
「……………………」
 しかし反応はない。気配はするのだが、暗がりのせいで姿を捉えられない。
 ドアを閉め部屋の中程に進んだところでリトライ。
「おーい……麗奈ー?」
 がし。
「………………がし?」
 突如感じる足首を掴まれる感覚。まさかとは思い目線を足元に向ける。

 両足首を誰かが背後から両手で掴んでいた。

「……………………」
 前屈体勢になって、今度は股の間から後ろを伺う。

 生気のない顔をした血塗れの少女がこちらを睨んでいた。

「……………………でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
 遅れて現在の状況を再確認した雷夢は、力の限りの大声を腹の底から絞り出した。しかしクロ曰くここの壁はそれなりの遮音性を持っているという。この声もあちら側に届いているかが疑わしい。
 両足で地団駄を踏んで謎の少女の拘束を逃れると、透かさず奥のベッドの方に逃げ込む──が、それよりも早く、少女は雷夢を麗奈ベッドへ突き飛ばした。
「いつつ…………。ってのわっ!?」
 急いで体勢を立て直そうとするも、既に少女は雷夢の胸元にしがみついていた。生気が無く無表情なせいでますます恐怖心がそそられる。何かを訴えたいのか、はたまた怖がらせたいだけなのか。
「(や、やばい……。怖くて……身体が…………)」
 顔が恐怖で歪んでいくのが自分でも分かる。下手をしなくても気絶しそうだ。少女は更に身体を乗り出し、雷夢の顔を覗き込む。
 もう、終わりだ。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.336 )
日時: 2014/01/13 18:49
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

こわっっ!!
ホラーになってますよね!?

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.337 )
日時: 2014/01/13 21:23
名前: ミーナ (ID: bf/Zv.aY)

その少女誰だろ? …う〜ん…。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.338 )
日時: 2014/01/14 20:22
名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode



「なんちゃって」

「…………………………はい?」
 不意に、顔を近づけた少女が笑顔になってそう告げた。しかも引っ掛かるのがその声。どこかで聞いたような声なのだ。そう、確かついさっき──さっき?
 はっ、と我に返り少女の顔を再確認する。
「私よ。わ、た、し」
 自分の頭頂を髪ごと掴んだかと思うと、少女はそれをそのまま引き抜いた。そしてそこにあった顔は。
「れ……麗奈…………?」
 先程この部屋に入っていった麗奈その人だった。
「えっと……いったいどういう……」
「ああ、これ? さっき未來からもらった幽霊のメーキャップのマスクよ」
「メーキャップ?」
 メーキャップと言えばあれか。舞台俳優なんかが演劇で使用するメイクだった気がする。しかし見れば見るほど精巧なマスクだ。表情変化による顔のしわはもちろん、まるで本物の顔としか認識出来ない程のリアリティーがある。サバトにこれを着けて紛れてもそう簡単にはバレないだろう。
「にしても、これ誰が作ったんだよ。未來が作るわけないし、どこか有名所の職人か?」
「いや、作ったのは私たちのクラスの某女子よ」
「某ってなんだ某って。てか明らかに才能の不法投棄だろこれ」
 こんな技術があるのならとっととハリウッド行ってこいという話だ。多分CGにも勝てる。
「ま、ともかく。今のは単なるドッキリよ。私のことを心配して追い掛けてきた雷夢くんが幽霊に襲われ悶絶……。なかなか面白かったわよ」
「へぇ、麗奈ってドッキリ好きだったんだ」
「か、勘違いしないでよ!? 私は別にドッキリが好きなんじゃなくてちょっと雷夢くんの反応が知りたかっただけ! 雷夢くんの驚く顔が見たかったからとかそんなんじゃないんだからっ!!」
 久々に鼻垂れる、もとい放たれる麗奈のツンデレガトリング。しかし今の声はいい声だった。恋愛ゲーム製作会社に録音して持っていけば10年は使ってくれそうだ。
「じゃあ折り入って質問するけど、さっき怒ってこの部屋に入ったのは……」
「ドッキリ仕掛ける演技よ。別に怒ってないから安心して」
「じゃあ二つ目なんだけど……。この状況をなんとも思わないの?」
「この状況って…………?」
 そう言われて麗奈は周囲を改めて確認する。結果、分かったことが1つ。
 自分が雷夢に馬乗りしている。
「えっ……!? あっ……ご、ごめんなさい! ドッキリに夢中で気づかなかった!!」
 弁解しながら慌てて雷夢から飛び降り、ベッド同士の間のスペースに座り込むと麗奈は再びこちらを見る。その一連の行動はあまりにも高速過ぎ、麗奈の服の表面の毛が抜け落ちて質量を持った残像を作っていた程だ。
「いいよいいよ、気にしてないから。……そうだ、麗奈も一緒にダウトしない? 3人よりも4人の方が面白いし」
「ダウトか……。どうせ暇だろうし、一緒にやるわ」
「なら決まりだな。おーい、二人とも! またダウトしないか?」
 ベッドルームからリビングへと戻りつつ、部屋で雑誌を読んでいた二人に問い掛ける。
「雷夢殿! 次からは絶対に我は負けぬ! その証しとして負けたら一枚ずつ脱ぐのじゃ!」
「お前それ負けフラグだから止めとけ」

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.339 )
日時: 2014/01/14 20:47
名前: ミーナ (ID: bf/Zv.aY)

犯人は麗奈でしたね。あたしも実は好きなんですよねー、ドッキリ大作戦!!
っていうの。まあ、そのおかげで動くこけしV2とか、謎娘(なぞむすめ)さんとか、言われるようになってしまいましたが…。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.340 )
日時: 2014/01/15 21:01
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

よかったーもう怖すぎるよー。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.341 )
日時: 2014/01/22 17:09
名前: ミーナ (ID: ddk2hi50)

あれ? あの〜、間違ってたらすみません。
黒魔女さんが通るのお部屋に、黒鳥雷夢さんって人のメッセージがあったんですけど、それってノヴァ先生の事ですか?

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.342 )
日時: 2014/01/24 19:30
名前: ゆりみかん (ID: XMOub5JC)

おもしろいですネ!頑張って下さい

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.343 )
日時: 2014/01/25 17:54
名前: ミーナ (ID: 7jx1K2pT)

ゆりみかんさん、はじめまして! ミーナです! まだ小6でしかも落第候補生ですが、これからお世話になります。(誰の?)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.344 )
日時: 2014/01/28 18:41
名前: ゆりみかん (ID: 8we7jWSg)

ミーナさん、私も小6です。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.345 )
日時: 2014/01/28 21:47
名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode


インフルでぶっ倒れていたノヴァです。

>>341

 はい、その通りです。まさか気づいてくださるとは……。それ以前にもコメントが採用されたりしてますね。

>>342

ゆりみかん様、初めまして。これからもよろしくお願いいたしますm(__)m



最近多忙で更新が遅くなる可能性が有ります。何卒ご了承くださいm(__)m

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.346 )
日時: 2014/01/28 22:23
名前: ミーナ (ID: 1r4AbMV5)

びっくりしたこと。
まずその1・ゆりみかんさんと同い年だったということ。
その2・ノヴァ先生がインフルでぶっ倒れていたということ。
先生、お大事にして下さい。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.347 )
日時: 2014/01/29 19:37
名前: ドラゴン (ID: VHEhwa99)

全部読み終えたーーー
続きが気になるな〜

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.348 )
日時: 2014/01/30 18:46
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

おひさしぶりです!!奈菜です!
すみません、はずかしいのですが先生の字がノウまでしかわかりません。ひまがあれば、おしえてください。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.349 )
日時: 2014/01/30 20:10
名前: ゆりみかん (ID: hZ1VwQsw)

ノヴァ先生お大事に                                                                  ミーナさん同い年どうしどうぞ宜しく

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.350 )
日時: 2014/01/31 19:58
名前: ゆりみかん (ID: r3UXBQ7u)

文が変になり、すみません

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.351 )
日時: 2014/02/03 09:31
名前: ゆりみかん (ID: IPa3Cr.F)

ノヴァ先生オリキャラ投稿で性別女、海外にいて日本に、帰って来た超セレブ少女未来のライバル?よろしくお願いします!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.352 )
日時: 2014/02/04 18:20
名前: ゆりみかん (ID: NgMW1bGr)

名前は愛木由梨奈あいぎゆりなでお願いいたします。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.353 )
日時: 2014/02/07 22:06
名前: ミーナ (ID: DyzeSRgi)

くしゃみして殴られしばらく携帯禁止にされてた&風邪&鼻血で困ってたミーナです…。ひさびさにここに来ようと思ったら、なかなかヒットせず1人イライラしてました。でも見つかって良かった♪

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.354 )
日時: 2014/02/08 18:04
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

先生、インフルエンザ治りましたか?
早く治ってください。おだいじに。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.355 )
日時: 2014/02/11 17:14
名前: ○○ (ID: 9yNBfouf)

キャラの名前」能利 超子 のうり ちょうこ
性別・女
性格・悪い奴は許さない優しい女の子。戦闘になると男っぽくなる
容姿・背が低い。顔が小さく、美人。
特徴・超能力が使える。戦闘の時、必ず来る。ライムが黒魔女と知っている。忘却魔法が効かない。
口調・元気
サンプルボイス
私、超子よ!よろしく!
貴様!倒してやる!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.356 )
日時: 2014/02/11 18:11
名前: ミーナ (ID: .g3iy5Ut)

○○さんはじめましてです。ちなみに、今日見たのですが、黒魔女さんのキャラを募集しているらしいですね。頑張って下さい!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.358 )
日時: 2014/02/14 20:56
名前: ゆりみかん (ID: 3NlWBChu)

○○さんこんにちは♪ 

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.359 )
日時: 2014/02/20 16:16
名前: 凛々 (ID: Pr1SsiXj)

こんちわ〜超面白いで〜す。よろしくお願いします

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.360 )
日時: 2014/02/20 16:34
名前: ゆりみかん (ID: Pr1SsiXj)

凛々さんこんにちは♪よろしくお願いします

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.361 )
日時: 2014/02/22 13:06
名前: ABC (ID: quLGBrBH)

ノヴァ先生こんにちはABCです。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.362 )
日時: 2014/02/24 19:59
名前: 1歳 (ID: Er39FcTT)

俺のクラスと全く同じ( ゜д゜ )

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.363 )
日時: 2014/02/25 17:40
名前: ミーナ (ID: R/0A/CXj)

久々に来てみたら…! なんか、新しく来てくれた人も
いるみたいで。皆さん初めまして、ミーナです。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.364 )
日時: 2014/02/27 18:12
名前: 凛々 (ID: HmBv7EUE)

ミーナさんこんにちはです。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.365 )
日時: 2014/03/02 16:04
名前: ゆりみかん (ID: fsu3Q4nP)

ノヴァ先生更新してください。待ってますね

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.366 )
日時: 2014/03/02 18:06
名前: ミーナ (ID: aohInGM.)

待ってまーす!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.367 )
日時: 2014/03/14 21:33
名前: ミーナ (ID: IuWuixMw)

うわっ。前に来てから軽く一週間たってる!
しかもその間ずっとゲームしてサックス吹いてピアノも思う存分弾いて…、なんて言えません、はい。ノヴァ先生、色々頑張って下さい!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.368 )
日時: 2014/03/26 19:17
名前: ミーナ (ID: cSGMzERh)

小学校卒業しました! あたし、春から中学生です!
皆さん、よろしくお願いします!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.369 )
日時: 2014/04/03 09:10
名前: ゆりみかん (ID: OYJCn7rx)

ミーナさん私もです(^^)vノヴァ先生更新待ってます。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.370 )
日時: 2014/04/05 17:56
名前: 奈菜 (ID: 563p5m80)

4月8日で、6年生だなー。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.371 )
日時: 2014/04/19 17:54
名前: ミーナ (ID: lBcGKEKB)

えーっと、前来てから何日経った? …まあいいや。
さて、お久しぶりです、元気でしたか? 明日から部活が始まります。もちろん吹奏楽部death。さあ、勉強頑張るぞーーー! …ダ、ダメだ…。めんどくさい…。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.372 )
日時: 2014/04/21 16:25
名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)

最近更新がないので心配です。お返事もらえるとうれしいです。
更新楽しみに待っています!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.373 )
日時: 2014/04/25 21:51
名前: ミーナ (ID: OAZcGWI8)

はーい、ミーナでーす。今どこにいると思いますか? フッフッフッ、北海道です(おばあちゃん家)です。学校は二日間ずる休みしてまーす。いや、理由はちゃんとあって、結婚式があるんですよー、明日。で、目の前の路面電車に乗ってくんです。楽しみだなーww

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.374 )
日時: 2014/05/23 22:32
名前: ミーナ (ID: VbQtwKsC)

お久しぶりです…。うう、明日体育祭です…。
リレーいやーだーーーー! 喘息持ちの人が三人で走って1位になれるはずがない! でもあたし最近好きだと思う先輩がいるんですよね。同じテナーサックスで(隣)、応援団の太鼓で。あたし先輩見てぶっ倒れて保健室送りになりました…。ふふふ、では頑張って来ます!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.375 )
日時: 2014/05/25 11:18
名前: ゆりみかん (ID: H6B.1Ttr)

もう体育祭ですか。私は6月7日です♪
リレーで1位になりましたか?
ミーナさんの恋応援してまーす。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.376 )
日時: 2014/06/22 13:02
名前: ゆりみかん (ID: iddmSPeT)

うわ〜ノヴァ先生の最後のコメントから5ヶ月か。
次の更新はいつだろう?
もう書くのやめちゃったんですか。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.377 )
日時: 2014/06/28 13:39
名前: ゆきだるま (ID: A9v/NWj7)

お久しぶりです
ゆきだるまです
この話の続き、気になります・・・
いつかノヴァさんが帰ってきてくれることを期待して、待ってます
自分の予想だと、ふとした事で書いていたことを思い出し,
突然続きを書き始めると予想してます(笑)
のんびり待ってますね

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.378 )
日時: 2014/08/17 15:59
名前: ツッキー (ID: TfzvQp12)

はじめまして、ノヴァさん
この物語全部呼んでほんとに面白かったです。
続き気になります
ノヴァさんの最後の更新からもう7ヶ月も立っています
いつか続きを書いてくださることを願っています
更新待ってます 何年でも こんな楽しい小説忘れられないので・・・
              m(_ _)m byツッキー
        

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.379 )
日時: 2014/08/20 10:55
名前: うさ (ID: Dj5QpmsJ)
プロフ: http:

読みました!ノヴァ先生どうして辞めたんですか?とても面白いです頑張ってください!。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.380 )
日時: 2014/10/03 21:12
名前: ノヴァ (ID: EOhOGqBm)
プロフ: http://ncode.syosetu.com/n9521ch/


  読者の皆様、お久しぶりかと存じ上げます。作者のノヴァです。


  大変待たせてしまってしまい皆様に大変なご迷惑をかけてしまっていること、本当に申し訳なく思います。
 
 実は、本日重大発表をするためにここに戻ってきました。
 
 それは────




  小説カキコでの活動終了と、この小説の凍結です。





  理由と致しましては、受験の為の勉学と「小説家になろう」サイトでの活動が主になってきたからです。
  
  この小説を読んで下さった沢山の方々への感謝の気持ちは忘れません。
  本当にありがとうございました。

  自分勝手で、本当にすいません。




  ですが、この小説の意志は「小説家になろう」で継いでいきます。

  現在、この小説を元にしたオリジナル小説を執筆しています。
  タイトルは、
    「同居人は黒魔法インストラクター!?」
  です。(↑のURLから飛べます)
  あちらのサイトでは二次創作が基本的に書けないので、「黒魔女さんが通る!!」の設定をオリジナルの物に置き換えて執筆していきます。
  一部キャラクターは引き続き登場します(募集キャラは投稿者の方々の許可があれば登場させます)。
  話の流れは凡そこちらに沿って進行していく予定です。


  
  最後に、こんな作者の小説を読んで下さって、ありがとうございました。
  いつかまた、どこかでお会いできることを心から祈ります。

  

  

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.381 )
日時: 2014/11/02 17:47
名前: ゆりみかん (ID: RstPacfE)

ノヴァ先生今まで楽しませてくれて、ありがとうございました。
「小説家になろう」も見てみます。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.382 )
日時: 2015/02/08 22:03
名前: アリン (ID: .YMuudtY)

すごくはまるね!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.383 )
日時: 2015/02/26 21:34
名前: ユキ♪ (ID: wYplSW8Y)

ハマりすぎてたまんないww

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.384 )
日時: 2015/03/04 21:51
名前: あおりんご (ID: i.GXPZeR)

小説家になろうみてみました!けど、あっちでも、終わっちゃってる……

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.385 )
日時: 2015/08/10 16:51
名前: ルルカ (ID: kJLdBB9S)

 っていうか、ハッキングじゃなくてクラッキングじゃない?
 ハッキング自体は悪い事じゃないし。
 知識も無いのに適当に書くから矛盾が起きるんだよ。
 全国のハッカーに失礼。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.386 )
日時: 2016/12/24 16:47
名前: あおりんご (ID: i.GXPZeR)

ルルカさん、全てのことを正確に記憶している人間なんかいません。

あなたこそ失礼だと思いませんか?

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.387 )
日時: 2018/11/15 17:10
名前: サクマドロップス (ID: /Pgfhgg6)

この作品、いいですね。。。!ついついイラストっていうか、支援絵っていうかを描いちゃったんですけど、どこに乗っければいいかわかんないんですよね。。。誰か教えてください。。。