二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.78 )
日時: 2013/02/20 06:51
名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)

第3話「〜雷夢の身体に大異変!? 新たな魔の手〜」


気持ちいい朝の日差しで目が覚めた。いつも思うがここの部屋の窓から射し込む朝日は最高だと思う。朝一番でリラックスできる。
昨日はパーティーの後夜中まで父と語り通し、そして両親に別れを告げたのだ。

『大丈夫、母さん雷夢のことはいつでも見守れるから・・・。頑張ってね!』
『こっちのことは心配しなくていいから、お前はこっちで頑張れ。未来のことは任せておけ。』

両親が別れ際に話した言葉が心に染み付いている。二人が言った通り、こっちはこっちで修行をしなければ。
そう思い、雷夢は寝返りを打った。

「すー・・・。すー・・・。」
目の前にテトの寝顔があった。

「ちょっ、なんでまたここに居るんだよ!」
「あ・・・。雷夢殿・・・。おはよう・・・なのじゃ。」
思いっきり肩を揺さぶってやるとテトが目を開けた。
「言うの二回目だけど、なんでまたここに居るんだよ。」
「えっ、それはの・・・お礼がしたかったのじゃ。」
「へ? っておおぅ!?」
いきなりテトが抱きついてきた。しかし以前と違い、とてもふんわりと雷夢を包み込む・・・。そんな感じだった。
「雷夢殿が母上と力を合わせて我とミカ殿の命を助けてくれたのは、とても言葉ではお礼がしきれなくての・・・。だからこんな感じでお礼するしかないのじゃ。」
「い、いやお礼ならもう充分だよ。てか、こんなとこギューリットとかに見られたら・・・。」
自分がテトと一緒にベッドで抱き合っている。そんなとこをギューリットやアテナに見られた暁には、一生変な目で見られそうだ。それだけはマジで勘弁。
「大丈夫じゃ。ギューリット殿は仕事に向かっておるし、アテナ殿も眠っておる。」
「そ、それはそうだとしても・・・。」
ふと雷夢はテトのフリフリ動く尻尾に目が止まった。以前から思っていたが、何となくあれを触ってみたい。
雷夢は手を伸ばしてテトの尻尾を掴んでみた。途端にテトの顔が朱色に染まった。
「あっ・・・。りゃいむどにょ・・・しょ、しょこはぁ・・・。」
「ど、どしたテト!?」
「し、しっぽはちゅかまにゃいでぇ・・・。そこをつかまれると・・・我力が入らないのじゃ・・・。」
どうやら本当に力が入らないらしく、所々呂律が回っていない。ここまでやるとテトがどうかなってしまいそうなので雷夢は手を放した。
「はふぅ・・・。雷夢殿もひどいのじゃ。」
「ご、ごめん・・・。」
「まぁ、雷夢殿は知らなかったから許すが、次触ったら我とミカ殿と未來殿とでいろんな女装させてやるのじゃ!」
「う・・・。わ、わかった。」
何がなんでもテトの尻尾を触らないと雷夢は心に決めた。ただでさえメイド服が嫌だったのに、色々な女装をさせられた暁には雷夢は精神崩壊を起こしてしまいそうだ。
「じゃあ、下行ってなんか飲んでくる、喉乾いたし。あと、さすがに部屋戻ってくれるけ?」
「了解したのじゃ!」
そう言ったテトを後ろに見ながら、雷夢は一階に降りていった。



「てか全然いいのがないな。ギューリットに買ってきてもらわないと・・・。」
喉の渇きを癒しに来たのに、冷蔵庫にはほとんど飲料水が入っていない。コーラ等があったが、ジュース系は喉の渇きを誘発するとかで雷夢はあまり飲まない。飲むのは大概お茶などだが、それらは冷蔵庫には入っていない。
「他にはないかな・・・あっ、あった。」
見るとテーブルの上にドリンク剤のようなビンが置いてあった。ドリンク剤は別に飲まないわけではない。むしろ歓迎する。
雷夢はビンを手に取りフタを開けた。
ゴクゴクゴク・・・。
そこそこ旨い。リポ○タンDやオ○ナミンCに似た味だ。こんな味は結構大好きだったりする。
ゴキュ・・・。ちゅぽん。
最後の一滴までいただきました。
「あ、おはようございます雷夢さん・・・ってちょちょちょっとぉーー!?」
二階から降りてきたアテナが、あいさつするやいなや雷夢に攻めよってきた。
「ら、雷夢さん・・・。まさかそれ全部飲んじゃいました・・・?」
「う、うん。飲んだけど・・・それがどうした?」
そう言った途端、アテナの顔が青ざめた。
「ら、雷夢さん早く出して出して出してっ!!」
「な、なんだよいったい!?」
アテナが半狂乱で雷夢の背中を擦りまくる。
「そ、それを吐き出さないと・・・雷夢さんがぁ!!」
すると突然雷夢の身体に痛みが走った。何やら身体中が軋んでいくようで少しきつい。
「な、なにが起きて・・・。」
そこで雷夢は意識を失った。



「雷夢さん、雷夢さん!!」
「うっ・・・ん。」
目を開けるとそこにはアテナ達三人の姿が見えた。どうやら気絶している間にベッドに運ばれたらしい。
「僕いったい何が・・・あれっ?」
そこで雷夢は自分の声に疑問を抱いた。なぜだかいつもより高い気がする。強いていうなら、こっちの母の声に似ている。
「実は・・・。雷夢さんに残念なお知らせがあります。」
そう言うとアテナは少し大きめの鏡をどこからか取り出した。そこに映るのは、少し胸の大きな自分。
いやちょっと待て。雷夢は男だ。なら鏡に今映っている自分は何故に胸が大きい。
それと、身体の違和感にも気づいた。まるで上半身に何かが足され、下半身から何かがなくなった違和感。
「ま、まさか・・・。」
雷夢はアテナ達に背を向けてズボンの中を覗いてみた。
結果。
無かった。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

雷夢の声が朝日降り注ぐ黒鳥家にこだました。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.79 )
日時: 2013/02/20 20:35
名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)


「雷夢さん、少しは落ち着きました?」
「あ〜・・・。うん、なんとか・・・。」
雷夢はどうにかこうにか絶望のOTZから立ち直り、精神力の回復を待っているところだ。先程叫んだあと、しばらくは立ち直れないくらいに絶望していたが、アテナ達の呼び掛けで持ち直して今に至る。
「でも、なんで僕の身体こんななっちゃったの・・・?」
「えっと、原因はこれです。」
アテナはそう言うと、何かを差し出した。見るとそれは、気絶前に雷夢が飲んでいたドリンク剤のビンだった。
「なんでこれが原因なんだよ。どうみたってただのドリンクじゃん。」
「じゃあ、これ見てください。」
アテナは後ろに手をまわすと、また何かを取り出した。どうやらこのドリンクが入っていた箱のようだ。
そこに書いてあったのは。

<新発売!!>
「異性の身体体感ドリンク(男性用)」
効果
・飲むと一週間異性の身体になります。(元の身体に戻りたい時は同封のドリンクをお飲みください。)
効能
・肩凝り、腰痛によく効きます。

「は、なんだよこれ!? 僕これを飲んだのか!?」
「どうやらそのようで・・・。」
「そもそも、なんでこんなのが家にあるんだよ。」
「実は・・・。」
アテナが説明したのをまとめると。
1・昨日の夜、天界の通販サイト「楽天界・市場」で「エンジェル・ビットカスタム&整備用具コンプリートセット」を買った。
2・しかし配送ミスでこのドリンクが届いてしまった。
3・返品は明日にしようと、机の上に置いて寝た。
とのことだった。
「じゃあなんで開いているんだよ。そのままにしてたんだろ?」
「いや、実は私が見つけて、開けて飲もうとしたらパッケージに気づいて、そのままにしたんだ。」
どうやらこの事件の犯人はアテナとギューリットの二人らしい。
「じゃあ、早く同封のドリンク飲ませてよ。」
効果を見る限り、一週間はこのままの身体で過ごさなければならないらしい。しかし、その表記の横に「同封のドリンクで元に戻る」と書いてあるではないか。それを飲めば一件落着なわけで。
「実は、不良品でドリンクが同封されてないんですよ・・・。」
「はぁ!? じゃあ僕一週間ずっとこのまんま!?」
「残念ながらそんな風に・・・。」
どうすればいいのだ。今日は月曜だが、昨日の運動会で振替休日。しかし、そのあとは普通に学校が四日続く。その間はどうすればいいのだ。
「てか、そもそもアテナが配達ミスするようなサイトで注文したのがいけないんだぞ!」
「ええっ!? だってあのサイト、配達ミスはありますけど、それでも五年に一回あるかないか位なので・・・。」
「あ、そうだったんだ。責めてごめんなアテナ。」
「それにしても、この状況をどうするのじゃ?」
「まぁ、今日はあまり考えなくてもいいだろ。問題はそのあと四日間だな・・・。」
そこが一番の難所なのだ。そこさえ乗りきればあとは休みだからどうにでもなる。
「あ、こうすればよいのではないかの?」
「どんなのだ?」
テトが説明するには。
1・明日は風邪ということで休む。
2・次の日から金曜まではマスクを着けて当校する。マスクがあるから声はいくらか誤魔化せる。
らしい。
「じゃあこれはどうすんだこれは。」
雷夢は自分の胸をつついて示した。
今の自分の胸は、アテナやテト以上にでかい。そんな状態でいつもの服を着れば、絶対怪しまれるだろう。
「ならこれならどうじゃ?」
「にょっ!?」
テトはどこからか包帯のような帯を取り出すと、雷夢の背中に手を突っ込みそれを胸と背中に巻き付け始めた。
「テ、テト・・・。くるし・・・っ。」
「我慢するのじゃ・・・。よし、これならどうじゃ?」
見ると、先程は二人より大きかった胸がいつもの自分と同じくらいにまでへこんでいる。これならばれることはないだろう。
「それじゃ、その方法でいくか。あとは私生活に支障はないだろうから、普通に暮らせばいいんじゃないか?」
「本当に支障がなければいいけど・・・。」
雷夢は後の未来の安寧を健やかに願った。



「ふふっ、どうやら上手くいったようね。」
何ら違和感はないただの電柱。その上に、女が立っていた。その黒いワンピースを風にはためかせながら。
「さて、次の作戦考えなきゃ。」
その女がその言葉を発した時には、その姿は掻き消えていた。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.80 )
日時: 2013/02/21 22:32
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)



ソラさんとミナさん・・・最近こないな(´・ω・`)ショボーン


けど、また来たときまでに面白いのを書きまくって喜んでもらえれば・・・。


よし、二人が帰ってくるまで。そして定期読者が増えるまで、僕は
書き続けてやるっ!!


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.81 )
日時: 2013/02/22 19:14
名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)

「さて、どうしよう。」
雷夢は悩んでいた。このあとどうすればよいのか。そんな雷夢が今いるのは・・・。風呂場。
別に服の脱ぎかたがわからないわけではない。
女の子の身体での風呂に悩んでいるのだ。
「女の子の身体って華奢らしいし、いつもみたいに身体をゴシゴシ擦って大丈夫かな・・・。もし擦りまくって肌が赤くなったら嫌だし。」
そんな感じでかれこれ10分ほど悩んでいた。
と、そこにアテナが通りかかった。
「あ、アテナ。ちょっといいけ?」
「なんです雷夢さん?」
「僕って今女の子の身体なわけだけど、身体の洗いかた教えてくれない・・・かな?」
雷夢の質問にキョトンとしていたアテナだったが、内容を理解したのか色々と教えてくれた。
どうやら身体は擦るのではなく泡で汚れを落としていくように洗うらしい。髪の毛はいつもの過程にリンスなどをすれば充分だという。
「色々とありがと、アテナ。」
「いえいえ、こちらこそ。では私はこれでオイトマしますね。」
アテナはそう言うとスキップ混じりに行ってしまった。
「じゃ、僕も風呂入るか。」
雷夢はそう呟くと服を脱ぎ始めた。



風呂に入ると、まず湯船に入浴剤を入れた。さすがに自分の身体とはいえ、女の子の身体を見るのはかなり恥ずかしいからだ。ちなみに腰と胸にタオルは装備済み。
「ふぅ〜・・・。」
取り合えずシャワーを浴びてみたが、今日一日の疲れが少し取れていく気がした。
ギューリットはああ言っていたが、今日は大変だった。なにしろ慣れない身体での生活。今のところ一番の難所はトイレ。あのときはアテナを呼んでしまう他なかったが、とてつもなく恥ずかしかった。
一通り身体を流したので、湯船に浸かった。いよいよ本格的に疲れがなくなっていく。あまりに気持ちがいいので、首まで湯船に突っ込む。

ガサゴソガサゴソ。

何やら脱衣所で音がしたが、気にしないことにした。それにしても、いつも以上に疲れているとはいえ、湯船に浸かるのがこんなに気分がいいのは初めてだ。このままいつまでも浸かっていたい、という気持ちが止まらない。これが長湯をする女の子の心境なのだろうか。

ガチャ

いきなり浴室の扉が開いた。
「雷夢さん、入りますよ〜。」
そこから入ってきたのはアテナだった。驚いて、雷夢は湯船でずっこけた。鼻やら口やらから思いっきり水が入ってくる。
「ゲホゴホゴホッ!! どうしたんだよアテナ!?」
「いえ、一人だと雷夢さんが大変だろうと思い参上しました。」
「え、あ、うん。気持ちはありがたいけど・・・。」
アテナはちゃんとバスタオルを全身に巻いていたので、問題なく雷夢はその姿を見れた。それにしても、本来は自分もあんな感じで入らなければならなかったのか心配だ。
「あ、雷夢さん身体洗ってませんよね? ならばさっさと洗ってあげますよ!」
「おわっ!?」
アテナに手を引っ張られ、雷夢は湯船から引きずり出された。慌ててタオルを巻き直す。しかし、なぜか胸に巻いていたタオルが見当たらない。
見ると、アテナがそれを使って石鹸を泡立てていた。
「ちょっ、アテナそれ返して! 恥ずかしいよ!」
雷夢は顔を赤く染め、右手で胸を隠した。こうしなければいけないのが何となく悔しいような恥ずかしいような。
「いいではないですか雷夢さん。同じ女の子同士なんですから。」
「いや、けど僕は心は男のままなんだからさ!」
「なら泡で隠してあげますから。」
「ふぇあっ・・・!?」
アテナは信じられない力で雷夢の右手を押し退けると、そこにものすごい量の泡を纏った手のひらを押し付けてきた。雷夢も、自分では考えてもいなかったあられもない声をあげてしまう。
「ちょっ、アテナ!?」
「よいしょ、よいしょっと。これでいいですね。」
「もう・・・。」
下を見てみると、胸はきっちり泡で隠れていた。それにしても泡がちと多すぎはしないだろうか。
「やっぱり雷夢さんの方が大きいですね・・・。ドリンクで変わったというのに。」
アテナは一人で雷夢を見ながら号泣していた。それほど大きさが大事なものだろうか。
「では、身体のいろんな所をキレイにしましょうか〜。」
ぱちゃ。
「あうっ。」
アテナが涙を拭き取るやいなや、その腕が泡を纏って雷夢の身体にまとわりつく。
「アテナやめてよっ・・・!!」
「ダメですよ、ちゃんときれいに洗わないと。ほれほれほれ〜。」
「しょんなぁ〜・・・・・・。」

前言訂正。今日一日で一番疲れたのは風呂でした。


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.82 )
日時: 2013/02/22 20:12
名前: 水仙 (ID: c6JiyXXJ)

はじめまして!今日この小説を知りました!
面白いので定期的に見ます!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.83 )
日時: 2013/02/22 20:39
名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)

水仙様、ありがとうございます!

ところで本家の黒魔女さんはご存じでしょうか?

なにはともあれよろしくお願いしますm(__)m

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.84 )
日時: 2013/02/22 21:06
名前: 水仙 (ID: c6JiyXXJ)

本家の黒魔女さん知ってます!
もともとそれを検索してここにたどり着いたのですから!

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.85 )
日時: 2013/02/22 21:32
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)


〜ちょっと座談会〜


ノヴァ「どうも! 作者のノヴァでーす! 今は黒鳥家でキャラ達とお話してい
ところです。」

雷夢「お前か、僕の日常に手を加えてるのは。おかげで今僕大変なんだぞ!」

ノヴァ「ごめんごめん。けどそうすれば話が盛り上がるかなと思ってさ。」

アテナ「ところで今日は何の話をしましょうか?」

テト「この話のマル秘話なんてどうじゃ?」

ギューリット「おお、そりゃいいな。よし、ノヴァ話せ。」

ノヴァ「なんで僕が自分の小説のキャラに命令されるの・・・? まあいいや。じゃあこの話の生い立ちと雷夢くんの由来について話すか。」

雷夢「僕の名前の由来?」

ノヴァ「それは生い立ちの後でね。えっと、これを書こうと思ったのはズバリ!黒魔女さんの本家を読んだからです。」

チョコ「へぇ、ノヴァさん私の活躍見てくれてるんだ!」

雷夢「母さん!?」

ノヴァ「そうなんだ! ホームページの方にも何回も通っててね、コメントやキャラなんかを投稿したりしてるんだ! コメントは3〜4回採用されたけど、キャラの方は全然・・・。ギューリットや雷夢くんも送ったけどダメでした(泣)。」

ギューリット&雷夢『僕(私)って送られたのか!?』

アテナ「ノヴァさん。話脱線してます。」

ノヴァ「ごめんごめん。で、読んでるうちに自然と自分でも書きたくなってね、妄想内で作っていったんだ。」

アテナ「変な妄想しないでくださいよ。」

テト「そうじゃそうじゃ!」

ノヴァ「わかってるよ。で、当然主人公が必要になってきてね、考えたわけですよ。最初は主人公をチョコちゃんの従弟にしようかなと思ったけど、『未来からきたチョコちゃんの息子なんてどうだろう!?』って閃いて、今のこの話の土台ができた訳なんだ。」

雷夢「で、僕の名前は?」

ノヴァ「それは今から話すよ。主人公はチョコちゃんの息子だけど、チョコちゃんは『千代子』って名前があるから、あだ名がつけやすい名前にしようと思ったんだ。」

テト「ところでどんな候補があったのじゃ?」

ノヴァ「最初は『オレンジ』からとって『蓮司』ってしようと思ったんだけどね。けど、なんとなく『女の子っぽく男の子っぽいのがいいな。』ってことで却下。で、考えに考え抜いた結果『ライム』からとって『雷夢』ってしたんだ。」

雷夢「じゃあ、漢字はどう考えたの?」

ノヴァ「え〜と。言いにくいんですが、適当です。」

雷夢「はぁ!?」

ノヴァ「だって『らい』って読む分かりやすい漢
字が『雷』か『來』か『来』か『頼』しかなくて・・・。そのなかから決めたのが『雷』だったわけで。ちなみに夢も同じ。」

雷夢「そうだったんだ・・・。」

ノヴァ「じゃあ続きはまた今度! みんな、本編よろしくね!」

雷夢「任せてよ!」

ノヴァ「それでは今回の座談会はお開きで〜す。」


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.86 )
日時: 2013/02/23 10:40
名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)



今雷夢は自室でくつろいでいる。風呂場でアテナとの一戦を制したかと思いきや、置き土産に胸を揉まれまくり仕返しに竹串で剣山にしてやったから疲れたのだ。
ちなみにパジャマは男物である。
「ったくアテナのやつ、手伝いに来たとか言って逆に手をかけさせて・・・。」

コンコン

急に部屋のドアが叩かれた。
「雷夢さん、いますか〜?」
どうやらアテナのようだ。さっきのこともあるので、雷夢は竹串を手に持った。
「いるけど、どうした?」
「ちょっとポケモンの対戦しましょ〜?」
どうやら通信対戦の申し出のようだった。ポケモンは俗にいう第3世代からやっているので結構好きだ。
アテナを部屋に入れてやると、早速3DSの電源をONにしている。雷夢もDSを引っ張り出し電源を入れた。ちなみに未来で買ったものだが、型は初代である。なんとなく金銭意識が強いので、最新型より安いがまだ使用可能な初代の方を買ったのだ。ちなみに色はとくに考えずピンク。
「雷夢さん、まだ旧式の初代使ってるんですか?」
「別にいいじゃん、まだ使えるんだし。」
「けど、今度出る新作は3DS専用ですから買い直しした方がよいかと。」
アテナの発言で、そろそろお役御免かなと思った雷夢だが、せめて売ってから買いたい。捨てるより金に変えた方がまだましだ。
「ようし、準備完了! 雷夢さん、さっきの風呂場でのお詫びをさせてもらいます。」
「だったら、僕に勝たせてくれよな。」
「それとこれとは別問題です!」
さて、未来の学校で猛威を奮った実力みせてくれる。



「どうでしたか雷夢さん、私の親切バトルは?」
「心折のまちがいじゃないよな・・・。」
あのあと、アテナとのバトルは散々だった。
トゲキッスの「ずっと俺のターンコンボ」とかでこっちが一回も攻撃できずに負けたり、影分身を積まれまくり攻撃が当たらなかったり、げきりん無双されたり。
こいつ一種の廃人では無かろうか。
「それにしても、久しぶりにいいバトルが出来ました〜。」
「それ、僕にはいい勝負じゃなくて一方的リンチだった気がするんだけど。」
こいつは世界大会でも充分に通用するのではないだろうか。天界にいたから出場出来なかっただけで。
「ありがとうございました雷夢さん。後でお礼しに来ますね。」
そう言ってアテナは出ていった。
すると、さっきのバトルのせいか眠気が襲ってきた。まぁ明日は風邪ということで休むのだから、ゆっくり寝よう。
そう思い、雷夢は布団に潜り込んだ。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.87 )
日時: 2013/02/23 20:00
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)



雷夢が眼を覚ますと、既に9時を回っていた。あわててベッドから飛び出したが、自分は今日風邪で休みということになっていたのを思い出した。
下から音が聞こえないとなると、ギューリットは仕事に行ってしまったらしい。つまり、この家には今雷夢しかいない。
「朝飯でも食べるか・・・。」
そう思い、雷夢は一階のダイニングに向かった。パンがあったのでそれを頬張ると、再び二階に上がった。
部屋に戻ってベッドに入ると、再び眠気が襲ってきた。
「別に寝ててもいいよな・・・。」
そう呟くと、雷夢はまぶたを閉じた。



「う〜ん。雷夢ったら色々大変みたいね。」
今私は、京のくれた水晶玉で雷夢を見守ってるんだけど、私たちが帰ってからまた一騒動やってるみたい。
「どうだい、雷夢の様子は?」
テーブルの反対側で、京がいつもの抹茶オレを飲みながら話しかけてきた。
「なんか女の子になったみたい。」
「ぶほっ!?」
京ったら子供みたいにテーブルに抹茶オレを噴き出した。
「なんか、通販で間違えて送られてきたドリンクでそうなったみたい。」
「な、なるほど。そういうことか。」
京はテーブルに盛大に飛び散った抹茶オレの拭き取りで忙しいみたい。仕方ないから私も手伝いました。
「ちょっと見せて。」
雷夢が映った水晶玉を覗くと、京はだんだん笑顔になった。
「ははっ。まるで結婚前のチョコみたいだね。」
そうかな・・・。あ、そうだ!
「ねぇ、京。私たちがお互いに好きになった時のこと覚えてる?」
「忘れるわけないさ。早いもんだね、あれから10年近くたったんだから。」
そう、あれは私たちが高校を卒業して少したったある日のこと。
就活真っ只中の私は、京に家に来るように言われて・・・。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.88 )
日時: 2013/02/24 09:37
名前: ソラ (ID: JnbcEu1t)

お久しぶりです
テスト週間で使用禁止になってました(泣)

続きが気になります!!
頑張って下さい!
いつでも応援してますよ〜

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.89 )
日時: 2013/02/24 19:59
名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)

ソラさん、こちらこそお久しぶりです!

早速続きを書こうと思います!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「大形くん、突然呼ぶなんてどうしたんだろ?」
そんなことを思いながら、私は大形くんの家に向かった。
ガチャ
「あら、チョコちゃん。いったいどうしたの?」
私がチャイムを鳴らそうとしたら、大形くんのママが出てきた。なんか急いでるみたいだけど。
「京なら二階にいるわ。なんなら話し相手になってあげてね、私祖母のお葬式に出ないと行けなくて・・・。桃と二人だけだと寂しいかもしれないから、少しだけ一緒にいてやってね!」
「あ、ちょっと!?」
大形くんのママ行っちゃった。仕方ない、大形くんの話し相手になってあげますか。



私は大形くんの家に入ると、二階に行ってみた。大形くんの部屋どこだろ?
「やぁ、だねぇ。黒鳥さん。」
って、大形くん!いつの間に後ろに!?
「黒鳥さん、僕の部屋に案内するねぇ。」
大形くん、ぬいぐるみと会話しながら歩いてく。しかし、二十歳前にもなってぬいぐるみと話す美少年って他にいるんでしょうか?
大形くんについていくと、「京の部屋」と札が掛かった部屋の前に着いた。
「どうぞだねぇ、黒鳥さん。」
中に入ってみると、意外とシンプルな作り。机に本棚、窓とベッドが付いてて、どこにでもあるような普通の部屋。
「黒鳥さん、ちょっとあの窓から外を見てほしいねぇ。」
「え、うん。いいけど・・・。」
そう言ったものの、窓の外は私の部屋からも見える住宅街だけ。特に何も変わったものはないみたいだけど。
「黒鳥さん、こっち向いてほしいねぇ。」
今度は大形くんの方?いったい何を・・・。

「好きなんだ、黒鳥さん。」

そこで私は言葉が出なかった。目の前にあるのは、どアップの大形くんの顔。しかもいつもの幼さは無くなった、ぬいぐるみを取った大形くんの。けど、それ以前に大事件なのは、大形くんの口が私の唇に触れてること。
こ、これってキスなの!?
「ど、どどどどういうこと、大形くん!?」
私の唇から口を離すと、大形くんは口を開いた。
「黒鳥さん、やっぱり僕は・・・君が好きだ。」
「な、なんど言われても私は大形くんのお妃なんか・・・。」
「そんなんじゃないんだっ!!」
お、大形くん・・・?
「僕は、以前魔界を支配して、君をお妃にしようとした。けど、それは間違っていた!」
って、そんなこと最初からわかっててよ。そんなことしたって、私は・・・。
「気づいたんだ・・・。魔界を支配するより、黒鳥さんを幸せにできたほうが・・・。君の笑顔を見ることが出来れば、僕は何もいらない!魔界の支配だってどうだっていいことに!!」
お、大形くん・・・。そこまで私のことを・・・。

(どくん)

え、なに・・・。今の、なにか言い表せない感覚・・・。
「君にお妃になれなんて言わない、だから・・・だから・・・。」
大形くんの言葉を聞くたびに、胸が熱くなってくる・・・。どうしてなんだろう。
「(あ、そうか・・・。私、初めてぬいぐるみを外した大形くんを見たときから・・・。)」

私、大形くんを心の奥で好きになっていたんだ。

「黒鳥さん、僕は君を・・・っ。」
大形くん・・・いや、京が言い切っちゃう前に、私は京に抱きついた。
「そこから先なんて、言わなくてもわかるよ・・・。」
「黒鳥さん・・・。でも、言わせてくれ。・・・『愛してる。』」
「私もだよ、京・・・。」
私と京は再びキスを交わすと、二人でベッドに潜り込んだ。



そのあと私は、京と結婚した。その時には、お腹に雷夢がいたけど、できちゃったじゃないよ。互いに愛してるんだもん。
式場の席で東海寺くんと麻倉くん泣いてたっけ。祝ってるのか悲しいのか知らないけど。
「で、雷夢が産まれて少ししてから、僕は仕事で海外に行った・・・。だろ?」
「そう、話したらあっという間なのに、結構長かったもんね。」
「さて、そろそろ寝ようか。明日も頑張らなきゃいけないし。」
「そうだね、京。」
そして、私たちは1つのベッドに二人で潜り込んだ。
だってベッドが1つしかないんだもん。



「なんで、母さんと父さんの馴れ初め話の夢なんか見たんだろ・・・。まぁ、別にどうでもいいけど。」
正午辺りまでぐっすり寝た雷夢は、昼飯の調達に一階へと降りていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

書いてておもったけど、なんかラブコメ化してるような・・・。

少し控えめにした方がいいかな?



Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.90 )
日時: 2013/02/24 20:16
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)


「おっ、どうだ雷夢調子は?」
一階に降りると、ギューリットが話しかけてきた。どうやら店の昼休みとかで戻ってきたのだろう。
「いや、調子がどうとか言われても実際仮病なわけだし。」
「そうだったな、すまんすまん。あ、そういえばこれなんかお前宛で届いてたぞ。」
ギューリットはそう言うと、雷夢に小包を差し出した。差出人は母親のようだ。
「母さんからだな・・・。なに送ってきたんだろ?」
開けてみると、中に入っていたのはスマートフォン。いや、これはス魔ホなのだろうか。
その他には、説明書やら充電器やら入っていたが、奥の方に手紙が入っていた。

「雷夢へ」

いつでも連絡ができるようにス魔ホを送りました。定額コースだからジャンジャン使いなさい!あとお金はこっち持ちだから心配しないでね。

母こと、黒鳥千代子より。

やはりス魔ホだったか。しかし、これはこれでありがたい。いつでも母と話せるのだから大助かりだ。
「ってこのス魔ホ、時間を越えて電話なんかができる最新型じゃねぇか!?いったいいくらしたんだ・・・。」
ギューリットが唸るほどの代物となると、確かに値段が気になる。いったい母の財布はどうなっているのか。
「あ、そうだ。飯、カップラーメンだけど食うか?」
「うん、食べる。」
母からの手紙とス魔ホをポケットにしまうと、雷夢はダイニングに向かった。


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.91 )
日時: 2013/02/24 22:00
名前: 灼眼 (ID: ZnSoBBRR)
プロフ: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=7062

失礼します、灼眼です。
遅くなりましたが、ノヴァ様のご依頼を完遂致しましたので、報告に参りました。
ULRから飛べますので、ご確認ください。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.92 )
日時: 2013/03/05 16:09
名前: ノヴァ (ID: XXFhkrGO)


『ただいま〜』
3時を少し過ぎた頃、アテナとテトが帰宅した。ギューリットは昼飯を食い終わるとすぐに出ていったので、今は家にいるのは雷夢だけだ。
「雷夢さん雷夢さん」
「どうしたアテナ?」
振り向くと、満面の笑顔でアテナが何かを差し出した。何か大きめの箱のようで、包装はされていない。
「先日、お礼するって言ったので・・・。これ、差し上げます」
「あ、うん。…ありがとう」
早速雷夢は箱を開けてみた。どうやら片方がビスで止めてあるらしく、よくあるRPGの宝箱のように開けるようだ。

めきょ。

そんな音と共に、何かが箱から飛び出し雷夢の顔にめり込んだ。
「な、なにこれ…?」
顔から外してみると、それはそこかしこのアニメで出てきそうなビックリ箱。しかも先がグーパンチグローブのもの。どうやらこれのパンチをもろに食らったらしい。
「わーい、引っ掛かった引っ掛かった〜!」
アテナを見ると、先程とは別の笑顔で跳び回っている。
「アテナ、お前はいったい…」
「雷夢さんは良き家族でしたが、雷夢さんの油断がいけないのですよ。はっはっはっ…」
「アテナ…。謀ったなアテナッ!!」
どっかでこんなやり取りを聞いたような気がするが、取り合えず放っておく。
「このやろっ…」
「い、いひゃいいひゃい! ひゃめてくだはい雷夢はん!」
笑顔で勝ち誇るアテナの頬を雷夢は思いっきり引っ張る。引っ張ってみてわかったが、アテナはそこそこの餅肌のようだ。引っ張っていて気持ちがいい。
「全く、僕を騙そうとするからこんな目に会うんだぞ」
「ひゅ、ひゅぎからはひおつけまふ。」
真っ赤になった頬を撫でて、アテナが涙目で答える。
「あっ、雷夢殿! 我が着けた帯外しとるのか?」
「ああ、あれ? ちょっと苦しかったから取ったよ」
「全く。着けておかぬと皆にばれると言うたろうに!」
「あぅ…!」
そう言うとテトは雷夢の背中に腕を突っ込んだ。またしても雷夢はだらしない声を挙げてしまう。
しかし前と違い、今回は巻く気配がない。手が全く動かないのだ。
と思いきや。
むに。
「あぅ…ちょっとテト!?」
「やっぱり雷夢殿の方が大きいのじゃ…」
テトがいきなり胸を鷲掴みにした。これで何回目かのだらしない声。
それにしてもテトもアテナと同じように大げさに涙を流している。こいつらは胸の大きさ気にしすぎではないのか。
それだけ言うと、テトは帯を巻き始めた。以前と同じように、やはり少しだけ苦しい。
「これでよし…と」
「雷夢さん、言っときますけどこのビックリ箱、威力調整出来るんですよ!」
「さっきのはどのくらいだ?」
「えっと、さっきのは最弱ですね」
あれで最弱なのか。パンチが当たった瞬間、首に結構衝撃がきたがそれで最弱。いったい最大はいくらあるのか。
「ちなみに最大は『どてっ腹に食らわせると最低10メートル吹っ飛ぶ』って書いてます」
危ないところだった。最大で食らった暁には、雷夢の人生は首を飛ばされるというバッドエンドで終わるところだ。
そうなると気になるのが、アテナがこれをどこで買ってきたのかだ。
「アテナ、ところでこれってどこで買ったの?」
「え、楽天国市場ですけど」
「じゃあ、こんなの買う前にあのドリンク頼めよ! 買ったら本体捨てて付属のドリンク飲めば…」
「実はそれは無理なんです!」
「どういうことだよそれ?」
アテナの話をまとめると。
1・今日の昼休み、こっそりと楽天国市場であのドリンクを探してみた。
2・しかし、いくら探しても見つからなかった。
3・そこで業者に問い合わせると、一昨日までの限定発売品だった。
ということらしい。
「じゃあ、本格的に一週間経つのを待つしかないわけか」
「そういうことですね。気長に待ちましょう」
なやんでいても仕方がないので、ギューリットが帰ってくるまでテレビを見ることにした。


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.93 )
日時: 2013/02/26 14:45
名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)


「お前ら〜。ご飯だぞ〜!」
ギューリットの呼び声で雷夢達は一階に降りた。どうやら今日の晩飯は餃子のようで、湯気が立っていて美味しそうだ。
「お先にいただきまーす!」
我先にとアテナが餃子に箸を伸ばした。
「我も食べるとするかのぅ」
「じゃあ僕も」
テトと雷夢もそれに続き、餃子を口に運ぶ。
食べてみてわかったが、かなり美味い。噛んだ途端に肉汁が出てきてジューシーだ。
「雷夢殿、雷夢殿」
見ると、テトが何かおねだりしていそうな顔で雷夢を見つめている。
「どうした、テト?」
「餃子ふーふーして冷ましてくれないかの…」
「え、なんで? 餃子は熱々が美味しいのに」
「…猫舌なのじゃ。」
ああ、そういえばこいつは元々猫の魔獣だった。見た目と相まって本当に猫なのだなこいつは。
仕方ないので息を吹き掛け冷ましてやると、やっとテトは餃子を口に運んだ。両手を頬につけているところから、美味しかったのだろう。
「あ、そうだ。お前らブレ○ケア飲んどけよ。ニンニク臭くてたまらなくなるからな」
『はーい!』



そして次の日。雷夢はテトの考え通り、マスクを着けて学校に向かった。自分でも分かるが、やはり声の高さが気にならない。意外にテトもやるではないか。
「おはよー! ライム、テトちゃん、アテナちゃん」
家を出るなりミカに出くわした。日曜日のダメージなど何処へやら、と言わんばかりの元気さだ。
「それにしてもライムも大変だね。女の子の身体って大変でしょ?」
ミカがこう言うのは、昨日の夜に洗いざらい話したからだ。もちろん学校生活の緩衝材になってくれるからだ。ミカは信じてくれたが、その代わり胸を揉まれたり見られたりした。女子の心がよくわかる一時だった。
「今日から金曜まで緩衝材お願いね、ミカ」
「もちろんだよ。その代わりお代はたっぷりと……」
ミカが雷夢をエロさ抜群の目で見つめている。こいついったい何をしでかすつもりだ。
「…なんて嘘だよライム!」
騙しやがったなこのやろう。
「あ、テトちゃん。学校まで競争しない?」
「おお、それはよいの…じゃあ校門までのぅっ!!」
「あっ、フライングはダメだよテトちゃーん!」
テトの豪快なフライングで始まったレースを尻目に、雷夢とアテナは二人でゆっくり学校を目指した。



『おはよー。』
雷夢とアテナが教室に入ると、未來が駆け寄ってきた。
「あ、雷夢さん。風邪は大丈夫ですの?」
「大丈夫だよ。けど、念のためマスク付けてるよ」
「そうですか、気をつけてくださいね」
未來が立ち去ると、雷夢は自分の席に座り荷物の整理を始めた。
「風邪は大丈夫なのか、黒鳥。」
雷夢が声をかけられた方に顔を向けると、そこにはメガネを掛け片手にタブレットを持った男の子がいた。
「あ、えっと確か…亮だっけ?」
彼は久米島 亮(くめじま りょう)。クラスで未來と並ぶ秀才で、かつクールなイケメン。俗にいう才色兼備とかいうやつだ。
同時に、いつも何に使うのか分からないタブレットを持っている変わり者でもある。
「そうだ。で、風邪は大丈夫なのか?」
「あ、うんなんとか…」
「ならよかった。それが聞きたかっただけだが……なんかお前声高くないか?」
「え…い、いやそんなわけないよ! いつもと同じだよ!」
「そうか…ならいいが」
それだけ言うと、亮は行ってしまった。
それにしても危なかった。亮見たいに勘が鋭いとバレるのは必至だ。気を付けなければ。


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.94 )
日時: 2013/02/26 19:37
名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)


キーンコーンカーンコーン……。
ガララ
ホームルームを始まりを告げる鐘のねと共に、清井先生が入ってくる。なぜか久しぶりの気がしてならないのはなぜだろうか。
「はい、席ついて。ホームルーム始めるよ〜」
「姿勢、礼」
『おはようございまーす』
皆が着席すると、清井先生が出席簿を取り出した。
が、すぐに怪訝そうな顔をした。
「あら、テトさんと…尾丘さんがいないわね」
雷夢ははっとして教室を見回した。すると、確かにミカとテトの姿が見えない。
「だれか二人について知ってる人はいませんか?」
そういえば、あの二人は「学校まで競争!」とか言って先に行ったのに、来ていないのはおかしい。
雷夢は恐る恐る手をあげた。
「先生、あの…」



「まったく、あいつらどこ行ったんだか…」
今は放課後。雷夢とアテナは荷物を家に置いてくると、二人を探しに出掛けた。あの二人はとうとう今日一日来なかったのだ。
ちなみにアテナとは別行動だ。
「ったく、探しにいく僕の気持ちにもなれってんだよ…」
ドスッ。
急いで走っていると、誰かにぶつかった。
「あ、すみません…」
「なんだぁ貴様…」
ぶつかった人影が振り向く。マスクにくだけた学ラン、おまけに坊主頭に複数いる。
間違いない、ヤンキーだ。恐らく高校生かその辺りだろう。
「てめぇ、俺にぶつかるとはいい度胸じゃねぇかぁ…」
「兄貴、こいつ女ですぜ!」
誰が女だ。確かに今は女の子の身体だが、元々男だ。
「ほほぅ、お嬢ちゃん。なら俺たちが遊んでやるぜ…」
頭的ヤンキーが笑顔のような形相で迫ってくる。怖い、怖すぎる。
とにかく、雷夢が選んだ行動は……。
逃げること。
「あ、あいつ逃げやがった!」
「追え、野郎共!」
雷夢はとにかく逃げた。全速力で逃げた。この先の人生一生走れなくなってもいいから逃げた。
しかも懐を探って気づいたが、竹串を持ってくるのを忘れた。こんなことなら竹串を持ってくるんだった…。
そして住宅街を逃げに逃げた挙げ句。
「へへぇ、もう逃げられないぜお嬢ちゃん」
「はぁ…はぁ…」
とうとう路地裏に追い込まれてしまった。後ろは無理ではないが飛び越せそうにない壁、前は危険なヤンキー集団。絶対絶命だ。
「(こ、ここまでか…)」
雷夢は自身の終わりを感じた。

「何ヤッテンデスカ、ソコのヤンキー!」

「ぐほぅっ!?」
そんな声が聞こえたと思うと、ヤンキーの一人がうめき声をあげて倒れた。
その後ろには、チャイナドレスを羽織ったサイドテールの女の子が立っていた。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.95 )
日時: 2013/02/27 20:55
名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)


「なんだてめぇは!?」
ヤンキーの頭領が怒号をちらした。それを合図に、部下と共々何かを取り出してくる。
部下のヤンキーは分銅付きのチェーンや、釘の刺さった木製バット。さらには棘付きグローブまではめているやつもいる。
頭領に至っては、キラリと光る刃物。恐らく果物ナイフだろう。
「アンタ達ソンナ物持っててハ、ダメ! 銃刀法違反で捕まるネ!」
チャイナドレスの女の子はカタコトで注意するも、ヤンキーがそれを聞くはずはない。
「うるせぇ、やっちまえ!」
『おりゃあぁぁ!!』
ヤンキー達が武器と共に女の子に接近する。さすがにこれはあの子にとって鬼畜過ぎる。竹串があれば助けてやりたいが…。
しかし、女の子はそれに動ずることなく言い放った。
「アリス、分かった。アンタ達、悪いヤツ。アリス、アンタ達、倒す!」
そう言うが早いか、女の子は一番前のヤンキーに回し蹴りを見舞い、後ろにいたヤンキー共々吹っ飛ばした。
続いて別方向から迫っていたヤンキーに裏拳をヒットさせ、その勢いのままにもう一人の腹にに正拳突きをめり込ませる。
『ぐおぉぉうっ!?』
4〜5人いた部下のヤンキーが、十秒持たずに殲滅された。
「黒鳥さん、大丈夫デスカ?」
茫然として、口を開けて眺めていた雷夢に女の子が歩み寄ってきた。暗がりでわからなかった女の子の顔が明るみで鮮明に雷夢の目に映る。
「き、君は確か……『アリス・ファミリオン』?」
アリスは母親がイギリス人、父親がドイツ人、祖父が中国人という国際人。日本に来たのは4月で、3ヶ国語が話せるという。日本語は習得中で、先程のようにカタコトである。
「黒鳥さん、コレ、忘れ物」
そう言うと、アリスは何かを差し出した。それは待ち望んでいた竹串のホルスター。竹串が不特定多数収納されている雷夢の必需品だ。
「机の上に、置いてアリマシタ。アリス、黒鳥さんに届けようと、持ってキマシタ」
「あ、ありがとうアリス! これで形勢逆転できる!」
「何が形勢逆転だとオラァ!!?」
アリスの後ろを覗くと、ヤンキーの頭領が起き上がっている。しかも、果物ナイフを持つ反対側の手に、何かが握られている。
火花をバチバチ鳴らすそれは、恐らくはスタンガン。こいつら何だかんだでおかしい、狂っている。
「お前ら地獄に送ってやるよ…。気絶させたあとにメッタ刺しにしてやる…」
しかし、雷夢は怯むことなく言ってやった。
「地獄に行くのはそっちだ、歩く銃刀法剣類所持等取締法違反」
「んだとぉ!!? お前ら武器を持った俺に勝てるわけねぇだろ」
「なら、お前自慢の武器とやらを見てみろ」
「ああっ!!? なんだ……と…?」
ヤンキーは目を見開いた。自慢の武器に、竹串が刺さっていたからだ。ナイフは鍔本から折れ、スタンガンは何度スイッチを押しても火花が出ない。
「お前らの負けだ」
「クソゥ! この俺がこんなガキにぃ!!」
ヤンキーの頭領は、後ろを振り向き逃げ出した。しかし、逃がすわけがない。

「その負け惜しみの続きなら、地獄で言え。警察署の取調室という名のな。」

雷夢は一瞬で肉薄すると、死なない程度にヤンキー達をメッタ刺しにしてやった。
声もたてずに、ヤンキーが崩れ落ちる。
「牢の中で自分の身を呪え」



「黒鳥さん、カッコヨカッタ! アリス、真似したい!」
「あ、ありがとう…」
あのあと、ヤンキー達を交番に引きずっていき警察の人に逮捕してもらった。その時に分かったが、どうやら最近暴れまわっている暴走族の輩だったらしい。
「ところでアリス、なんで僕のところに来れたの?」
「アノデスネ、暇潰しにオサンポ行ったら、ヤンキーに追っかけられテル黒鳥さんイタネ。ダカラ、アリス後をオッタネ」
なるほど、そういうことだったか。アリスがいなかったらどうなっていたやら。
「あ、ところでテト見なかった? 今探してるんだけど……」
「テトさんナラ、サッキ見たネ。コエ、かけたケド、ドッカ行ったネ。タブン、学校にムカッタと思うネ」
「あ、ありがとう! じゃあ、僕行くね!」
雷夢はアリスに別れを告げると、ス魔ホの電話機能で家に電話をかけた。
「あ、もしもしギューリット? 雷夢だけど…」


Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.96 )
日時: 2013/02/28 20:04
名前: ノヴァ (ID: L3izesA2)

「おい、雷夢!」
「雷夢さーん!」
学校の校門前で待っていると、先程電話で呼んだギューリットとアテナがやってきた。
「おい、テトが学校に行ったって本当か?」
ギューリットが心配そうな顔で尋ねてきた。
「うん、同じクラスのアリスが言ってたから、多分」
「にしても、なんで今さら学校なんかに……」
「ま、考えてても仕方ない。取り合えず探すぞ!」



意を決して、雷夢達は学校に潜入した。今は夕方なので校門は鍵が掛かっていなかったので、潜入は容易だった。
先生方は全員、放課後に教員集会とかで出払っており、学校内は人の気配が全くない。
「取り合えず、一階から順に探してみるぞ」
『わかった!』
このような感じでローラー作戦を実行するも、テトは見つからず、残るは四階と屋上のみとなった。
「こっちもいませんね…」
「こっちにもいなかったぞ」
「こっちもだよ」
そして四階で残ったのは自分達の教室、5年1組だけになった。
恐る恐る近付いてみると、中に誰かがいるみたいだ。
雷夢は、慎重に扉に手をかけた。
ガララ…。
「あれっ、亮?」
「あれ、お前らどうしてこんなところにいるんだ?」
教室にいたのは亮だった。何やら自分の机を漁っていたようで、机の引き出しに手を突っ込んでいる。
「僕達は、テトが学校に行ったって聞いて探しに来たんだけど…。亮はどうしたの?」
「ああ、俺は忘れ物。大事なUSBメモリ忘れてきちゃってな」
「ところで、亮はテト見てない?」
そう尋ねると、亮は顎に手をあてて考えていたが急にハッとした表情になった。
「そういえば…テトは見かけなかったが尾丘ならいたぞ」
「え、ミカ!?」
これは思わぬ収穫だ。テトを探しに来て、ミカの所在まで分かるとは。
「で、どこに居たんですか?」
「確か…さっき教室に来るときに屋上への階段を上がってるのを見た。声をかけたんだが、聞く耳持たずでさっさと行っちまったよ」
「まって、聞く耳持たずって……テトと同じだ!」
確かアリスは、テトに話しかけたが無視されて学校の方に向かったと言った。そして、ミカは亮を無視して屋上に行った。
「なんか、繋がってきましたね。恐らく、二人が居る確率が高いのは……」
「ああ、多分。というよりほぼ確実に…」
「屋上だな」
いったい、この些細な出来事に何が関わっているのだろうか。
「取り合えず、まずは屋上に行くぞ!」
雷夢達はダッシュで教室を飛び出すと、屋上への階段に向かった。
「まてっ、俺も行くぞ!」
その後を、亮も追いかけていった。



雷夢達が階段を駆け上がると、程なくドアが目の前に現れた。しかし、普通のドアと違い、何となくメカメカしい。強いていうならば、普通のドアより重厚感がある。
「よし、行くぞ……ってあれ?」
雷夢がドアノブをいくら回そうとしても、ドアノブが回らない。反対側に回してみても結果は同じだった。
「雷夢さん、これ電子ロックみたいです!」
雷夢がドアの脇を見ると、液晶画面のような物が付いている。蓋のような物があったので開けてみると、あったのは1から9までの数字のボタン。
「暗証番号を入力か…」
「んなもん必要ねぇよ。『鍵を開ける呪文』で…。ルキウゲ・ルキウゲ・アプリーレ!」
バチバチバチッ!!
「わっ!?」
ギューリットが呪文を唱えた途端、辺りに電撃が走った。辛うじてかわしたが、電撃が当たった壁が焦げている。
「くそっ、黒魔法が効かないように封印がしてある!」
「俺に任せろ!」
雷夢が振り向くと、そこには息を少し切らせた亮が立っていた。
「久米島さん、どうする気ですか?」
「まぁ見てろ。今すぐにわかる」
そう言うやいなや、亮はいつものタブレットと、こちらはお初のケーブルを取り出した。
そのケーブルで、タブレットと暗証番号入力のパネルを繋ぐと、亮はものすごいスピードでタブレットを指で叩き始めた。
「なにやってんの?」
「見りゃわかるだろ。ハッキング。」
「へぇ、ハッキングか……ってはぁ!?」
ハッキングと言えば、コンピューターに不法侵入してデータなどを盗んだりするあれだ。はっきり言って犯罪だ。
「おい、大丈夫なのかそんなことして!?」
「大丈夫だ、問題ない」
問題ありまくりだっての。
「ちょっとね、父さんが警察官で、サイバー犯罪対策の本部長やってて。そこに腕を買われて、コネである程度のハッキングは許されてんだ俺」
そんなことを息子に許可させるサイバー犯罪対策課の父親などはたして大丈夫なのだろうか。
「よし、ハッキング完了。開けるぞ。」
ガチャ。
そんな音がして、液晶画面に「通行許可」の文字が浮かんだ。
「よし、行くよ!」
雷夢がドアを思いっきり開けると、そこは間違いなく屋上だった。雷夢達は、慌てて周りを見渡す。
「あ! テト、ミカ!」
屋上の端に目をやると、そこにはテトとミカが立っていた。しかし、何やら様子がおかしい。
「テト、どうしたんだ!?」
いくら雷夢が呼び掛けても、二人は反応を見せない。
二人が顔を上げたが、その顔には精気が感じられない。目もどんよりと黒くなっている。

「いくら話しかけても無駄よ。その子達には『洗脳魔法』かけてるから」

突然上から声がしたかと思うと、誰かが屋上に降り立った。
黒く長い黒髪に、黒と白のコンストラクトのワンピース。腕には幾多もの腕輪を纏った女性。恐らくギューリットと同じ位の年齢だろう。
「誰だお前は。なぜテトとミカに洗脳魔法をかけた?」
そうギューリットが尋ねると、その女は不敵な笑みを浮かべて告げた。

「私はスキュラ。ロベ様の命により、あなた達を連れにきたの」

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.97 )
日時: 2013/03/01 12:59
名前: ノヴァ (ID: /B3FYnni)


「ん、黒鳥を連れていく? ってことは誘拐か」
「ああ、そんなふうに解釈してくれると助かるよ」
「あら、黒鳥雷夢。どうやら自分達の事情をその子に話してないみたいね」
スキュラとかいった女が、派手な付けヅメでこちらを指差しながら不敵に微笑む。実に面白くない。
「なんなんだよ、事情って」
「それは後で話しますから、今はミカさん達を…」
「あ、そうそう。雷夢くん、女の子の身体はもうなれたかしら?」
一番他人に聞かせたくなかった言葉を、スキュラは言い放った。
「は……どういうことだ黒鳥? 女の子の身体って……」
「えっと、話せば長くなるんだけど……」
雷夢は一連の出来事を亮に説明した。最初は「ナニソレ?」みたいな顔で聞いていた亮だったが、話が進むごとに理解してくれたようだ。
「つまり、通販サイトから配達ミスで送られてきたドリンクで、今黒鳥は女の子の身体ってわけか」
「そういうことなんだけど……ってあれ?」
雷夢は違和感を覚えた。なぜ今あったばかりのロベの手下のスキュラがそのことを知っているのだろう。
こいつが盗聴や覗きなんてするようなことは余り想像できない。
「貴女が欲しがってるのはこれでしょ?」
「誰が女だ」
「よく漢字がわかったわね…。まぁいいわ、これを見なさい」
スキュラが懐を探って取り出したのは、一本のドリンクのボトル。
ラベルを遠目で見ると。

「異性の身体体感ドリンク(効果打ち消し用)」
・一週間以内に戻りたくなったらお飲みください。元の性別に戻れます。

「それ、僕が飲んだドリンクに同封されてたドリンク!」
それは、雷夢が求めて止まなかった元の性別に戻れるドリンクだった。
「そうそう。貴方これが欲しいのでしょ?」
「なんであなたがそれを持ってるんですか!?」
「まぁ、話せば長いけど…」
スキュラの話は長かったのでまとめると、
1・一昨日の夜、どうやって雷夢を捕まえようか悩んでいると楽天国市場の鳩を見つけた。
2・捕まえて調べると、雷夢の家へのお届けものだった。
3・そこで、例のドリンクを注文し捕まえた鳩が持っていた荷物と届けられた荷物をすり替えた。
4・鳩の記憶を書き換えて逃がした。
とのこと。
「じゃあ、なんでそんなことをしたんですか?」
「だって取引出来るじゃない。このドリンクと雷夢くんを」
「残念だけど、あのドリンクの効果は一週間で消えるんだ。だからそのドリンクはいらない」
ここで一戦交えるより、ミカとテトの洗脳を解いてトンズラして、一週間経てばすむことだ。取引なぞする必要はない。
「あ、言い忘れてたけどあのドリンク効果激増させてるから、一生戻らないわ」
「なにぃ!?」
スキュラの一言で、雷夢は一瞬絶望しかけた。このまま逃げても、あのドリンクがないと一生女の子の身体で暮らさねばならないのだ。それだけは避けたい。
「ま、取引する必要がないから、この二人を使って連れていってから飲ませてあげるわ。それならいいでしょ?」
よかないわい。
「なら、力ずくでそのドリンク……いただきましょうか!」
言うが早いかアテナはエンジェル・ビットと共にスキュラに接近していた。
「行きなさい」
スキュラが冷酷な表情で命ずると、ミカとテトがその前に立ちふさがった。二人とも戦闘体勢だ。
「二人とも、すみません! エンジェル・ビット、『遮る障壁形態ブローキングバリアー』!!」
アテナが叫ぶと、組合わさったエンジェル・ビットの先端部から光の防壁が生成され、ミカとテトの行く手を遮った。
その隙に、アテナはスキュラに接近する。
「そのドリンク、もらい受けます!」
「あらダメよ。ルキウゲ・ルキウゲ・コートラーレ、壺」
スキュラが呪文を唱えると、アテナの周りに謎の物体が4つほど現れた。骨董品の大きな壺をケーキの如く4つに切り分けたような物だ。それがアテナに引き寄せられるように殺到する。
「え、あっ…ちょっ…!?」
その物体が、アテナを収納するかの如く合わさると、そこに現れたのは大きな壺。
「ちょっと、動けないんですけど! 誰かーっ!?」
「ついでにこれもどうぞ♪」
ものすごい笑顔でスキュラが指を振ると、アテナが入っている壺の上に一回り小さい壺が現れ、アテナの壺に何かを注いでいく。
「え、なんですかこれ? ってナメクジナメクジNAMEKUZIナメクジィィィィィィィィィィィッ!!?」
どうやらスキュラがアテナの壺に注いだのは、女の子が嫌いな物の一つ、ナメクジのようだ。
「だ、大丈夫かアテナッ!?」
「ひえぇぇぇっ! ヌ、ヌメヌメしてて気持ち悪いーっ!! 服の中にもーっ!?」
「それーっ♪」
続いて、スキュラがまたもや笑顔で何かを壺に注いでいく。
「ぎゃあっ!? ゴキブリ! ムカデ! クモ! いやぁぁぁぁぁぁっ!!?」
今度は女の子が嫌いな虫。しかも結構大量にぶちこんでいる。
「ほらほら、早く降参しないとこの子発狂しちゃうよ〜」
「お、お前……っ!」
「あら、もしかしたら失禁の方がいいかな〜?」
「く、くそっ……!」
間違いない。こいつはドSだ。しかも半分狂っている。
早くしないと、アテナがいろんな意味でアテナではなくなってしまう。ダメだあいつ、早くなんとかしないと。
「(どうすれば……アテナを助けて、あいつをどうにかする方法……)」
高速で頭脳を処理していき、雷夢は方法を模索した。
「(なんか、こう…あっと驚くようなもの……。驚く…?)」
その時、雷夢の頭にビビビッと何かが走った。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.98 )
日時: 2013/03/01 20:59
名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)



「ギューリット、あれ持ってる?」
「なんだよあれって」
「あれだよ、ゴニョゴニョ……」
雷夢はスキュラに聞こえないように耳元で用がある物を話した。
「ああ、あれか。あるぞ、ほれ」
ギューリットが懐をまさぐり、例の物を取り出す。それはただ…のような箱。
「あのさ、あいつを倒すから芝居協力して」
「いいけど、どんなのだ?」
「それは、ゴニョゴニョ……」
雷夢は手短にギューリットと亮に作戦を伝えた。早くしないとアテナが発狂してしまう。それを聞いてギューリットが笑みを浮かべる。
「それはいいかもな。よし、それでいこう」
それを聞き届けると、雷夢はスキュラに向き合った。
「スキュラ、わかった降参する」
「あら、それでいいのよ」
「ところで、餞別とはなんですが……渡したいものがあるのでこっちに来てくださいませんか?」
「別に構わないわ、何をくれるのかな〜?」
雷夢の発言に釣られ、スキュラが近づいてくる。
やがて目の前にきたが、意外に背が低い。雷夢より数センチ高いだけだ。遠目だとギューリットと同じ位の年齢に見えたが、近くで見ると背の高さもあって中学生位に見える。
「で、餞別って何かしら?」
「この箱の中の宝石です。けど余りにも眩しく光るので、下の方に持っていってから開けた方がいいですよ」
「そうなの? ならお言葉に甘えて……」
スキュラが箱を自分の腹の前で開き始めた。その結果は見なくても雷夢にはわかる。なぜならそれは……。

バゴンッ!!
「あっふーーん!?」

グーパンチ仕様のビックリ箱だから。

ビックリ箱から繰り出されたグーパンチを腹に受け、スキュラは目測10メートルは吹っ飛んだ。こんなこともあろうかと、威力を最大にセットしておいたのだ。
そして、スキュラの落下地点にあるのはアテナの入った壺。
バギャアァァン!
「ひえぇぇぇっ!!?」
ものすごい音と共に壺が割れ、中からとんでもない姿のアテナが飛び出す。
「ら、ら、ら、雷夢さーん!!」
「来るなー、来るなーっ!」
身体中に虫やらナメクジやら引っ付いた状態で、アテナが雷夢に迫る。当然雷夢も逃げる。
「アテナ、こっち向け! ルキウゲ・ルキウゲ・ハイドラーレ!」
ギューリットが呪文を唱えると、その指から大量の水が吹き出した。どうでもいいがあの水はどこから持ってきているのだろう。
そんなことを思っているうちに、アテナの身体はきれいさっぱりになった。
ヒューン……。
「よっ、と!」
空から何かが降ってきて、亮がそれを受け止めた。
見ると、それはあのドリンクだ。
おおかた吹っ飛ばされた時に飛んでったのだろう。
「う、うーん……」
壺の瓦礫の向こうで、スキュラが立ち上がった。
「さっきはよくもやってくれましたね! おかげでSAN値が発狂寸前の数値までいきましたよ!」
なんのことを言ってるのかはわからないが、取りあえずアテナが怒っているのはわかった。
「けどあなたたちは終わりよ。逃がしはしないんだから!」
スキュラの怒りに呼応するかのように、テトとミカがこっちに接近してくる。
「この子達を助けたいなら、腑抜けにしてみなさい! できるものならねぇ!」
「え、腑抜け?」
腑抜けいえば、簡単に言うとヘナヘナにしてしまえばいいわけだ。つまり……。
ドガッ!!
「がっ!」
考えてる間に、テトが雷夢を屋上に押し倒した。背中に痛みと衝撃が走る。しかし、これは同時に雷夢にとってチャンスでもあった。
「く……このっ!」
雷夢が無我夢中で手を伸ばし、掴んだのは。

「へぁんっ……ら、らいむどにょ……そ、そこは……らめぇ……」

テトの尻尾だった。

「な、なにっ!? わ、私の洗脳魔法が解けただと!?」
スキュラが信じられないといった顔で驚いている。それはそうだ。これは昨日、テトが雷夢のベッドに潜り込んだときに始めて知ったのだ。
テトは尻尾を掴むと腑抜けになることを。
「な、なんかよくわかんないけど……よくやった雷夢!」
「亮! ミカの尻尾も掴んでみて!」
「え……わかった!」
亮は接近していたミカの後ろに回り込むと、その尻尾を掴んだ。
「はぅん……! 久米島くん……触らないで……」
ミカが顔を赤面させながら、その場にへなへなと倒れこむ。どうやら洗脳が解けたようだ。
「そ、そんな……私が負けるの……?」
スキュラは茫然自失とした顔で後ずさるも、後ろのボイラー室の壁に行く手を遮られる。
「よし、それじゃあ……」
「ボコりますか」
そのあと、スキュラを皆で袋叩きにしたのは言うまでもない。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.99 )
日時: 2013/03/01 21:03
名前: ティル (ID: 8qWxDU4Y)

はじめまして!(自称)黒魔女さんファンのティルと申します!
小説、面白かったです!いつ更新されるか分からないので、できるだけ見にこようかとおもいます!
(タメ口OKなので、そこんとこ、よこしく!)

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.100 )
日時: 2013/03/01 21:32
名前: ノヴァ (ID: N.hBywMC)

テイルさんはじめまして!読んでくださってありがとうです!

更新はちょくちょくやってるので、いつでも大歓迎です!

ちなみに、今日は黒魔女さんの手書きトレスをちょっとだけしてました。

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.101 )
日時: 2013/03/01 23:37
名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)



「よし、これで十分か」
雷夢達の目の前にあるのは、スキュラが入った袋。降参したスキュラを先程この袋に詰めて皆でボコボコにしたのだ。これが本当の袋叩きか。
「いや、私としてはまだ足りませんよ!」
「な、何を……」
袋の中から、絶え絶えになったスキュラの声が聞こえてくる。しかし、アテナはそれを尻目にどこからか壺を持ってきた。
「さっき、あいつの真似して出したナメクジetcです。さっきのお返しです!」
そう言うとアテナは、袋の口を開き壺の中身を投入するとこれでもかというくらい袋の口を縛った。
「ぎ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!? 虫! ナメクジ怖いよ、出して〜!!」
さっきまでの大人らしさはどこへやらの声でスキュラが叫ぶ。それにしても、こいつ本当に中学生とかそこらではないだろうか。
「ひっ……あっ……あっ…………!」
そこまで言うと、スキュラは急に静かになった。たまに痙攣していたがそれもすぐに収まった。
しばらくすると、袋の底辺りがほんのり濡れてきた。恐らく失禁したのだろう。アテナが紐を解いて袋から出すと、スキュラは口から泡を噴き白目剥いて気絶している。黒と白のワンピースがぐしょぐしょだ。
「全く。手加減して虫はおもちゃにしてやったのに、失禁なんてざまぁみろですよ」
「じゃ、このままほっぽり出して家に帰るか」
「あ、ちょっと待ってください。最後に……」
何をするかと思えば、アテナはスキュラを縛り始めた。あれは俗にいう亀甲縛りとかいうやつだ。
スキュラを縛り上げると、アテナはこれまでになかった笑顔で振り向いた。
「じゃあ、帰りましょうか」
「そうだな、帰るか」
そうして、屋上のスキュラを置き去りに雷夢達はそれぞれの帰路についた。



「ふう、なんとか戻れた……」
雷夢は今、自分の部屋でくつろいでいる。勿論もとに戻った男の身体でだ。家に帰ったあと早速飲んだが、無事に元に戻ることができた。
コンコン。
「雷夢殿、入るのう」
風呂から上がってきたのか、テトが入ってきた。
「どうした、テト?」
雷夢が質問すると、テトはいきなりしかめっ面になった。
「雷夢殿! あれほど言ったのにまた尻尾さわったのぅ!」
「あ、えっと……ごめん。ああでもしないと助けられなかった」
あのとき尻尾を触ったのは緊急事態だったからだ。そこをなんとか理解してもらえないだろうか。
「まぁ、確かにあれは仕方がないの……」
テトは恥ずかしそうにそっぽを向いている。
「けど、尻尾を触ったのには違いがない! ……だからっ!」
ドムッ。
「おわっ!?」
いきなり不意打ちでテトに押し倒された。そして、倒れた雷夢の顔にテトが自分の顔を近づけていき……。

雷夢とテトの唇が重なった。

「ちょっ……テト……」
その雷夢の言葉を封じるように、テトが舌を入れてくる。おまけに吸ってくる。
互いの舌が絡み数分が経ったとき、ようやくテトの唇が離れた。
「雷夢殿の初めてを奪う……。これで女装の件は見逃してやるのじゃ……」
「……」
しばらく止まっていた雷夢の思考が動き出した。
キスをされたのだ。少し大人なやつを。
「これで……雷夢殿も懲りたかの……」
「あのさ、テト」
「なんじゃ……雷夢殿」
「実はさ、口同士でやるのは初めてなんだけど…。頬にならミカにされたんだけど」
それを言った途端、テトが顔を赤くして怒り始めた。
「な、なんじゃと雷夢殿!? ならさっきので取り消しは無しじゃ! 今度の休みに未來殿の家でたっぷり女装させてやるから覚悟せい!」
そこまで言うと、テトは足早に部屋を出ていった。
やはり言わなければよかったのだろうか。
しかし雷夢の口には、ほんのりと甘酸っぱい何かが残っていた。


第3話「〜雷夢の身体に大異変!? 新たな魔の手〜」完

〜第4話に続く〜

Re: 黒魔女さんが通る!!〜チョコの息子の物語〜 ( No.102 )
日時: 2013/03/02 12:26
名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)



〜座談会その2〜


ノヴァ「あ〜疲れた。やっと第3話書き終わったよ……」

雷夢「お前は書いてるだけだから楽だろ。その話の中で活躍する僕達はもっと大変なんだぞ!」

ノヴァ「ごめんごめん。じゃあ、今回はどんな話しようか?」

アテナ「あ、そういえば>>46で穂香さんがなんで養子なのに鳳家のメイドやってるのか話されてませんよ」

一同『あ、確かに』

ノヴァ「確かに言ってたな……。本来は本編で出そうと思ったけど………・パラレルとしてこっちで先に話すか」

テト「じゃあ、穂香殿と未來殿を読んでこぬと!」

穂香「さっきからいるんですけど」

雷夢「穂香いつの間に!?」

ノヴァ「はっはー! 作者だからどこにどう出そうと自由自在なのだよ!」

アテナ「じゃあ、自己満足してる作者はほっといて、穂香さんお話しお願いします!」

ノヴァ「アテナ、ひどいお!」

穂香「えっと、まずは私の出生からなんですけど、私は北海道で産まれました」

ギューリット「北海道産まれか。寒かったろ?」

穂香「はい、かなり寒かったです。で、私の両親は莫大な借金を抱えていました」

雷夢「いったい何があったんだ……」

穂香「なんか株で失敗したみたいで。それで、両親は私を置いて心中しました。身寄りのなかった私は、家を差し押さえられてホームレスになりました」

アテナ「ホームレス……いったい何歳の時ですか?」

穂香「確か、小学1年の時でした」

アテナ「その年でホームレス……。大変だったんですね」

穂香「はい、大変でした。仕方なく、山にあったボロ小屋を見つけてそこに住みました。学校もやめて……本当に生きるのに精一杯でした。毎日山を駆け巡って食料を探して、その日その日を生きました」

雷夢「てか、北海道ってヒグマがいるけど大丈夫だったの?」

穂香「はい、確かにヒグマにも遇いました。けど、その時の私にはヒグマなんて巨大な暴れる肉にしか見えませんでした。最初に戦ったヒグマは、三日三晩激闘を繰り広げて下しました。その時の傷がまだあります」

雷夢「いや、服脱がなくていいから」

穂香「……そんな毎日を過ごしているうちに、私に転機が来たんです」

テト「どんな転機じゃ?」

穂香「ある日、いつものように山を散策していたら、遠くにヒグマに襲われている女の子がいたんです。とっさにその子の元へ行き、ヒグマと闘いました。多分、人生で一番戦い慣れしているヒグマだったのでしょう、私も苦戦を強いられました」

雷夢「で、どうなったの?」

穂香「もちろん勝ちました。けどこちらも瀕死の重症を負ってしまい、一歩間違えたら死んでました。その女の子が救急車を呼んでくれたので、ギリギリで生き残れました」

未來「その女の子が、当時北海道に旅行に来ていた私なんです。そこで私の両親は、穂香がホームレスというのを聞いて、お礼に養子として迎え入れてあげたんです」

穂香「けど、私は人として当たり前の事をしただけですので、少し渋りました。けど、人生を変えてくれる嬉しさが止まらずに、私はある条件で養子になるのを承諾しました」

雷夢「その条件っていうのが……」

穂香「私が鳳家でメイドをして、一生未來お嬢様にお仕えすること。お嬢様の両親も承諾してくれて、晴れて私はホームレス脱却と鳳家のメイド就任を同時に成し遂げました」

ギューリット「イイハナシダナー……」

未來「これでこの話は終わりです」

テト「あ、未來殿。今度の休みに未來殿の家で雷夢殿を女装させるから、手伝ってくれるかの?」

雷夢「げっ!?いまそれを言うか……」

未來「あら、雷夢さん。女装癖でも身に付きました?」

雷夢「いや、そんなんじゃないから!」

穂香「なら、今すぐに雷夢さんの体格に合わせた服をお取り寄せします」

未來「それでは、私も雷夢さんに着せる服を選ばないと。それでは皆さんごきげんよう」

雷夢「ちょっ、それは……」

ノヴァ「それでは、時間が押してるので今回はここまで!ありがとねみんな!」

雷夢「お前は、僕の女装を止めさせろぉぉぉぉぉぉっ!!」