二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.220 )
日時: 2012/10/17 07:54
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第10章に入る前に短編を描きたいと思います!
今回はバンハル編です。第3弾というより、第2作ですね(笑)
それでは、200越え祝いの短編スタート!!

短編2(バンハル)
タイトル:幼馴染の恋心(ハル視点)

大学3年生になってからは、授業と部活の両立を楽しみながら過ごす日々を送っていた。
空手部でキャプテンとして接しながら、メンバーを和ませるというのも自分の役目だ。

「やあっ!」

得意の強烈な回し蹴りで練習相手の月島楓に食らわせる。
楓は片手でガードしながら受け止めつつ、私をジッと見た。

「ハル、最近になって気合が入ってるね」
「そう? まあ、大会が近いからね」

フーッと汗を拭いながら言うが、楓は腕を組みながら笑った。
その不気味な笑い方を見る限り、嫌な予感がしてならない。

「山野君に恋心を抱いてるんじゃないの?」
「なっ・・・・・・・」

楓に吹き込まれ、カアーッと頬を赤らめる。少なくとも図星だ。
こういう時に限って、バンのことになると鋭く指摘してくることが多い。

「楓、余計なこと言わないでよ!」
「良いじゃない。そういえば、文化祭があるんだよね」
「あ、確かにあるねぇ・・・・・・それがどうかしたの?」

トキオ大学の文化祭があることは、前から知っていた。
噂によると・・・イケメンコンテストが行われるのだとかで準備があって、大忙しの真っ最中。

「そのイケメンコンテストに山野君が出るらしいよ」
「えええええええええ!?」

そりゃ、確かにバンはイケメンかもしれないけど・・・・・・中3の時からずっと見てきたが、青年であることは変わらない。
しばらく見ない間にイケメンになって、何度か惚れてしまったことがあった。

「何よ、ハル・・・・・・山野君のことが嫌だと思った?」
「なっ、そんなんじゃないよ!」

私は大慌てで否定しながら、顔を顰める。
バンはいつも優しいから、眠そうに私の話を聞いてくれた。
幼馴染であることには変わりないどころか、ますます恋人になりそうな予感がしてならない。

「なら、良いけどさ・・・・・・イケメン君がいれば良いだけの話だよ」

楓は部室のドアを開けて入りながら、私を見て笑った。
その笑い方が気に入らないんだけど・・・・・・バンのことはどうでも良いと思いながら、溜息をついた。

「はぁ・・・・・・」

部室のドアを閉めた後、ロッカーに入ってるスポーツパックを取り出す。
楓の言っていることは何となく分かるけど、幼馴染としても優勝してほしいというのが本音だ。

(だからって、バンにそこまで思うことはないけど・・・・・・)

幼馴染の山野バンはアメリカにいるとき、テレビ電話してくれて気遣いながら話しかけてくれた。
そんな彼の優しさが心に染みてきて、寂しさを紛らわせることができたと思っている。

(あの時、バンがいないと乗り越えられなかったかもしれない)

バンはルークに似て、素直なところがあって優しい。
仲間思いの一面もあって、私を気遣いながらも話を聞いてくれる。
そんなバンの姿を見ていると、なぜか安心できるような感じがした。

「ハル、さっきから何を考え込んでんの?」

楓に話しかけられ、ハッと我を振り返った。
目の前に楓がいることに気付いてビックリした。

「どわぁっ!?」

いきなり現れたかと思えば、楓がヒョッコリと顔を覗いている。
どうやら、物思いに耽ってしまったみたいで心配していたのだろう。

「ハル、急にどうしたの?」
「あ、何でもない・・・・・・」

ようやく、着替えを終えた私はカアーッと頬を赤らめた。
いかんいかん、バンのことを考えないようにしなきゃ!

「ごめん、帰るね!」
「ちょっ、ハル!?」

楓たちには先に帰ると言って、部室を出た。
トキオ大学を出て、自宅に向かって走り出す。



ミソラタウン駅に着いた途端、肩を竦めながら溜息をついた。

「楓のヤツ、余計なことを言い出して!」

からかうのはごもっとも、バンのことで突っかかってくるのは止めてほしい。
幼馴染だからこそ言えるところはたくさんあるかもしれないけど・・・・・・最近は会ってないから分からない。

「どういう顔をして会えば良いのよ・・・・・・」

カァーッと頬を赤らめながら、顔を顰める。
幼馴染なのに、ちゃんと会えていないのはおかしい。
そう思っていたその時、CCMの着信音が鳴った。

『プルルル・・・・・・・』

CCMを取り出し、画面を開く。その画面に現れたのは、【山野バン】と記されていた。
バンから電話がかかってくるなんて珍しいなと思いつつ、試しにテレビ電話を繋げた。

『こんばんは、久しぶり・・・・・・』
「バン、久しぶりだね。急に電話してきて、どうしたの?」
『あーうん・・・・・・何かハルの声が聞きたくなってさぁ』

バンは笑いながら、酒を飲んでいる。
場所を見る限り、居酒屋から電話しているのだろうか。
その証拠に頬が赤くなっているし、酒を飲み過ぎているのか。

「何それ、居酒屋に居るの?」
『あはは・・・うん、そこにいるんだ。帰りは遅くなるけど、今夜はおまえんちに泊まらせてもらっていい?』

いきなり、お泊りですか!
バンが来るのは久しぶりなので、ソファベットを用意しなきゃなと思いながら考え込んだ。

(確かに隣同士だけど、そこまで言われたら・・・・・・あいつに逆らえないな)

幼馴染なのに、一軒前が私の家だからというのもある。
でも、家の前で寝てしまうことも何度かあった。そのたびにバンを起こして連れて行ったけど、本当に大変だった。

「うん、良いよ。その代わり、飲み過ぎないようにね」
『サンキューな、後でまた連絡するからな。またな』

そう言って、通話が切れてしまった。いくつか聞きたいこともあったけど、バンが来た時にでも聞こうと思っていたのだ。

「よし、そろそろ帰るか!」

ミソラタウン駅を去り、河川敷を経て帰路についた。