二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.414 )
日時: 2012/11/06 19:01
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第17章 立向居勇気&月島楓の幼馴染コンビ登場!

(ストーリーモード:立向居)

その夜、1人の青年はミソラタウン駅前で誰かを待っていた。

(そういえば、兄貴・・・・・・来るのが遅いな)

俺の名前は立向居勇気。トキオ大学サッカー部でGKを務めている。
自宅に居た時、携帯がなったかと思えば・・・・・・次兄からの連絡だった。
長兄の涼気(りょうき)は聴覚障害のサッカークラブの打ち合わせがあるとかで出かけたのだ。

【勇気、代わりに直毅を迎えに行け。僕は行けないから】

涼気は苦笑しながら、慌てて自宅を出て行った。どうせ、またサッカーだろう。
そう思いながら、複雑な思いを抱きつつも駅前まで迎えに行ったというわけだ。

(兄貴、どこをほっつき歩いているんだか・・・・・・)

兄の直毅のことが心配で迎えに来たのはいいとして、帰宅時間を過ぎているようにしか思えない。
どこかで酔い潰れて寝ていたなんてことはないだろうか。

「おーい、勇気ィ!」

改札口を通り過ぎ、手を振りながら歩いてきた青年を見て駆け寄る。
紛れもなく、兄の立向居直毅だった。その様子を見る限り、酒を飲んだのだろう。

「酒臭いよ、兄貴。どれだけ飲んだの?」
「んー・・・・・・飲んだって言うか、かなり? へへへ・・・・・・」
「兄貴、飲み過ぎだよ。さっさと帰ろう」

そう言いながら、直毅の右手を肩に乗せて背負う。
直毅は顔をしかめながら、不満そうに俺を見て呟いた。

「なんだよ、俺のこと・・・・・バカにしてんの?」
「は? そんなこと言ってないのに、勘違いすんな。このバカ兄貴」
「なんだよ、その言い方・・・・・・ムカつくんだけど、マジで」
「あーそんなこと言ってる暇があったら、涼気兄さんに言っといてよ」

酒浸りの日々を送って過ごしている直毅兄さんはいつも面倒くさがりで酒を飲むことしか頭にないことが多い。
それでも、涼気兄さんは直毅のことを誰よりも理解していた。その時に3人で東京暮らしを楽しみながら過ごそうっていう話になった。

(直毅があれだけ飲むなんて・・・・・・何か嫌なことでもあったのか)

直毅が酒を飲んでいる時は何か嫌なことがある場合だった。
それに限らず、関わることのない両親とは微妙な仲だと思う。
もしかして、酒場で何か言われたのかと思いながら考えつつも首を傾げた。

「兄貴」
「あぁ? なんだよ、勇気ィ・・・・・・」

直毅はヒックと呻きながら、顔をしかめる。もしかしたら、何かあったのだろうか。
何かありそうな感じがしてならなかったので、無言で直毅を見つめた。

「兄貴、酒場で何かあったの?」
「あん? 嫌なことなんてねえよ」
「ないなら、何で飲んでるわけ?」
「飲みすぎて、何が悪いんだよー飲ませてくれたって良いじゃねえかよォ・・・・・・」

涼気からメールが来て、俺を迎えに行かせたからって言い出す始末。
それでも、家族という存在を改めて認識したらしい。就職してからも酒浸りになって帰ることが多くなった直毅は仕事先でも人間関係が難しいようだ。

「兄貴、仕事先で飲み会があるなら言ってよ」
「おー悪い、涼気兄さんには言ったからいいけどなー」
「いや、良くないよ。そういう時は俺にも言ってよ。メールしてくれていいから」

涼気だけ話しやすいらしくて、俺はとっつきにくいということか。
まあ、直毅にとって涼気は大切な兄だという存在だと認めているのだろう。

「・・・・・・兄貴?」

ふと、直毅が大人しくなったかと思えば・・・・・・様子を見たら、穏やかな寝息を立てながら熟睡モードに入っていた。

「マジかよ・・・・・・」

いつの間にか知らない間に寝入ってしまうとは・・・・・・本当に参ったなぁーと思いながら背負いなおす。
仕方がないと思った俺はため息をつく。直毅を背負いながら、帰路についた。


数分後、やっとの思いで自宅に着いた。酔い潰れて寝ていた直毅を起こす。

「直毅、起きて。家に着いたよ」
「んぅ・・・・・・」
「直毅ってば、いい加減に起きろよ」
「ぅぅん・・・・・・」

少し身じろいでから目を覚ました直毅。
家に着いたようだと察したのか、俺から離れて歩く。

「ちょっ、ふらつきながら歩くの止めろよ」
「良いじゃん、自力で歩けるからさー」

玄関前まで歩いたかと思えば、見事な酔っ払いになっていた。
そこで仕方なく、玄関のドアの鍵を使って開けた。

「ほら、さっさと入りなよ」
「ただいまー・・・・・・っとォ」

ふらつきながら、靴を脱いで上がる直毅の背中を見送った。
居間に入ると、サッカーの打ち合わせに行っていたはずの長兄・涼気が待っていた。

「お帰り、直毅。勇気もお疲れ」
「うん、ありがとー」

涼気は溜息をつきながら、直毅を見やって言い放つ。

「直毅、少しは懲りたか?」
「あー? 何のことォ?」

前に起きたことはすっかり忘れているらしく、記憶力のない直毅を見くびらないようにしていた。
涼気も呆れながら、腕を組んで突っ込んだ。

「おまえ、前に何かしでかしたの忘れたの?」
「何もしてねーよ、俺は寝るからいいや」

面倒くさそうに言いながら、ソファベッドに寝転んだかと思えばすぐに寝てしまった。
そんな兄の様子を見て呆れた俺たちは顔を見合わせた。

「本当に困ったな、もう・・・・・・」
「参ったな、直毅は面倒くさがりだからな。何もしたがらなくて嫌がるかもな」

サッカーする時は別に嫌がらずに相手してくれるのだが、サッカーや酒以外のことになると、必ずと言っていいほど面倒くさがりなのだ。

(あれで困らせたらどうしようもないもんな)

そう思いながら考え込んでいたその時、携帯が鳴った。
慌てて携帯を取り出すと、ミソラ高校の西園信助からだった。

「こんばんは、勇気先輩。お久しぶりです!」
「おお、信助か。急にどうした?」

後輩の信助が電話してきたのは、他でもない用件があってきたのだという。
サッカーに関する件なのかと思いながら考えた。

「はい。今度の週末、空いてますか?」
「空いてるけど、それがどうかしたのか?」

話を聞くと、雨宮太陽・松風天馬・狩屋マサキ・信助の4人で誰かとサッカーバトルしたいっていう話が出た。
その時に俺のことを思い出して、わざわざ電話してきたというのだ。

「なるほどね・・・・・・うーん、俺も暇だから相手してやるよ」
「えっ、良いんですか?」
「ああ、その代わり・・・・・・俺のチーム編成もあるから、4対4でいいかな?」
「はい、それでお願いします」
「ああ、分かった。週末って言っても、土日のどっちか空いてる?」
「土曜日ですね。午後が空いてたので、大丈夫ですよ」

土曜日にサッカーバトルしたいというのなら、お手合わせできそうだ。
こっちは誰を連れて行くか悩むけど、とりあえず聞いてみた方が良いかもしれない。

「ふうっ・・・・・・」
「勇気、どうした?」
「涼気兄さん、直毅を連れてっていい?」
「週末のサッカーバトルか?」
「ああ、それもあるけど・・・・・・酒が抜けていれば良いだけの話だけどね」
「なるほどな・・・・・・・」

後は直毅を連れて行ったほうが良さそうだ。

(でも、直毅はサッカーやってないから鈍ってるかもしれない)

それでも、引き受けてくれたら良いという話があれば大丈夫だ。
涼気と直毅がいれば楽勝かもしれないが、涼気はサッカークラブの試合があるらしくて行けそうもない。

(誰か知り合いはいたかな・・・・・・)

ふと思い出しながら、バスケ部の後輩に知り合いがいたことに気づいた。
青峰太陽がいることを思い出し、後輩なら引き受けてくれるかもしれないということだ。

「青峰なら大丈夫かもしれないな」
「誰だ、その青峰っていうのは?」
「青峰太陽だよ。あいつはバスケやってんだけど、運動神経が抜群だから大丈夫だぜ」

青峰太陽は俺と親交が深く、その弟の大輝も仲良くしてくれている。
それならば、翌日に持ちかけてみた方が良さそうだということで決まった。