二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.855 )
日時: 2012/12/04 11:27
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

あれから2時間後、僕はすっかり出来上がっていた。バンさんは心配そうに僕を見て言い放つ。

「おまえ、4杯も飲むなんて・・・・・・頭が痛いんじゃなかったのか?」
「別に良いんですよ、頭が痛いことさえ慣れてるんですっ! ひっく」

向かい側の席に座っていたアキも苦笑して溜息をついた。

「ナオに連絡した方がいいな。1人で帰れないだろ?」
「大丈夫です。僕、1人で帰れるから・・・・・・っく」
「ったく、しょうがないな。アキ、ヒロんちまで送っていくか」
「そうですね。お兄ちゃん、飲み過ぎ!!」

バンさんとアキに窘められて、ゆっくり立ち上がる。酒を飲んで帰ることも珍しくない。
入り浸りでどうしようもない僕のことを気遣ってくれるのは、バンさんだけだ。
ナオにも怒鳴られたら困るのが、僕の本当の気持ち。ただ、アキを連れて行くのも嫌なわけではなかった。

「俺が送るから、一緒に帰るか。アキも一緒に来いよ」
「でも・・・・・・」
「酒飲めないんだろ、未成年なのに誘っちゃってごめんな」
「大丈夫です。もうすぐ20歳になるから、来年になれば飲めるはずだと思っているので」
「そうか。おい、ヒロ・・・・・・」

バンさんに担がれて、上機嫌でテンションが上がってしまう。
飲み過ぎによるものなのか、僕んちで寝てしまいそうになるのも有り得る。

「お兄ちゃんってば、飲みすぎなんだから」
「うるせーほっとけよ、アキ。飲んでて、何が悪い」
「お兄ちゃん、ナオさんにも心配かけてるらしいじゃない」

アキに突っ込まれている僕は酔いの浸った頭で状況を把握する。
ナオは僕の幼馴染で特別な存在だ。幼い頃からずっと好きだった。
でも、バンさんたちもナオのことを気遣ってくれる。記憶が戻ってからも僕の面倒を見てくれるし、そういうところが好きだった。

「大丈夫だって、あいつがいるわけないしさぁー」
「まさか、お兄ちゃん・・・・・・甘く見てんじゃないでしょうね」
「へーきだって。誰にも邪魔されることなんかしないってー!」
「ダメだ、こりゃ・・・・・・バンさん、どうしようもないですよ」

アキは呆れつつも、僕を担ぎながら歩くバンを見て思わず苦笑する。
バンさんは溜息をつきながら、僕の様子を見て伺う。ナオに叱られるのを承知で分かってて、苦笑してしまう。


1時間後、クレーズヒルズにある自宅に着いた。

「ヒロ起きろ、家に着いたぞ」

バンさんに起こされ、重そうな瞼を開けて眠そうに見つめた。確かに僕の家だ。
アキがインターホンを鳴らして押す。すると、ドアが開いた。

「はーい・・・・・・・って、ヒロ!?」
「ごめん、ナオ。こいつ、酔っ払ってて」
「隣にいる子は?」

ナオがアキの方に振り向いて、僕と交互に見つめる。僕の妹だと知らないでいるんだろう。
アキがすぐに気づいて、ナオに向かって挨拶する。

「私、大空アキと言います。ヒロ兄さんの妹ですけど、よろしくお願いします」
「ヒロの妹・・・・・・って、ええええ!?」

ナオが素っ頓狂な声を上げて驚く。そりゃあ、驚かれるのも無理はない。
バンさんが僕を担ぎながら、中に入れてくれた。アキも一緒に入る。

「ここがヒロの家だ。立ち話もなんだから、ここで話そうか」
「そうですね。兄がお世話になっているみたいだから、気になってました」

アキも素直に頷いて呟く。中に入り、居間に通した。
ソファーに横たわり、眠そうにナオを見つめた。ナオは心配そうに僕のところまでやってきた。

「アキちゃんとは仲が良いの?」
「まぁ、そうなるかな。ナオは知らなかったよね」
「そりゃあ、驚くよ。何で黙ってたの?」
「ナオに言おうかと思ってたんだよ。浮気してたわけじゃないから安心してよ」

ナオに浮気していたわけではないということを証明するためには、アキを連れて行くしかなかったのだ。
これだけしか方法はなかった。アキもナオのことを受け入れてくれた。

「良かった。でも、アキちゃんはお父さんのところで育ったんでしょ?」
「ああ、そうだよ。でも、あいつは親父に複雑な思いを抱いてたみたいだ」
「そうなんだ。でも、アキちゃんは可愛いね。私も妹が欲しかったなぁ」

ナオは兄がいるので、妹とか欲しいと思っていたのだろう。その気持ちが分からなくもなかった。

「なぁ、ナオ・・・・・・この前はごめんな」
「別に良いよ。私の方こそ、本当にごめんね」
「なーに謝ってんだぁ、僕も悪かったと思ってるしさ」
「でも、私に言わないのが悪い」
「うるせえ、飲み過ぎなんだよ」

僕はナオと言い合いながらも騒ぎつつ、楽しそうに話し込んでいた。
その様子を見ていたバンさんとアキはホッとしたのか、安堵したらしい。

「仲直りできて良かったな。俺も心配してたけど」
「そうですね。お兄ちゃんの幼馴染が近くにいるなら、私もここに住もうかな」

2人の会話を聞いていた僕たちは顔を見合わせながら笑う。
アキと一緒に住めるなら、それで良いと思っている。酒を飲んで帰る僕のことも知っているから安心できた。

「じゃあ、俺はそろそろ帰るな。アキ、どうする?」
「私も一緒に帰ります。お兄ちゃん、ナオさん・・・・・・また会えたら良いですね」

そう言いながら、2人はゆっくり歩きながら立ち去った。
僕とナオは呆然として見つめることしかできなかったが、あんぐりと口を開けることしかない。

「飲み過ぎだよ、まったく・・・・・・」
「ごめんー寝ようぜ・・・・・・」

眠くなってきたので、説教は後で聞こう。思わず、目を閉じた。
だんだん深い眠りに落ちて、夢の中へと旅立っていく----------------


The End--------------------------------------------------------