二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.870 )
- 日時: 2012/12/05 14:17
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
バンハルの短編を描いてから更新します。それでは、短編スタート!
短編7(バンハル)
タイトル:ハルの初恋(ハル視点)
高校3年生の冬、寒いのを堪えて通っていた頃を思い出す。
幼馴染の山野バンはいつものように居眠りしていたけれど、気のおけない存在だった。
「ハル、バンに片思いしてんの?」
「ちょ、テル・・・・・・」
授業中にテルが話しかけてくるので、少し躊躇った。バンは前の席でウトウトしながら居眠りしている。
幼馴染としても放っておけないので、前の席にいるバンの椅子を蹴って起こす。
「バン、起きてよ」
「んー・・・・・・」
眠そうに身じろいだ後、バンはまた眠りの世界へと旅立っていった。
相変わらず、転寝してしまうのも無理はないか。トキオ大学に進学するつもりでいるバンはいつも気遣ってくれて、帰りも一緒に付き合うこともある。
「バンのヤツ、起きないんだもんなー」
「寝てるからソッとしといてやろうよ」
「でもォ・・・・・・・」
その会話を進めていた矢先、バンのことを見て溜息をついた。
とりあえず、抜け駆けでもしちゃおうかと思いながらもコッソリ抜け出す。
「ハル、どこ行くの?」
「しっ、ちょっとね・・・・・・」
コソコソ歩き出しながら、ソーッと教室のドアを開けて出た。その時、先生が振り返った。
私がいないことに気づいて、怒声が響いた。
「人見ー! また抜け駆けか!!」
声が聞こえたのと同時にバンの寝惚けた声が耳に入ってきた。
その隙を突いて、あそこに行こうと思って向かった。
(よし、あそこに行こう!)
バンには知られたくない場所に内緒で来ていた。ここは地下室。
体育館に行く途中にある階段を降りていけるところだ。バンに内緒で来ているというわけだ。
バンのこと思い出さなくても済むんだけどなぁー・・・・・・っていうか、ゴロンと寝転がってみた。
「・・・・・・・・」
バンに対する思いが強くなっていったのはいつからだったろうか。
幼馴染がいないなんてことも有り得ないのだから、氷介のことを思い出したくない。
(ここで寝て終わるまで待とうか・・・・・・)
しょうがないけれど、バンから電話が来ることは承知でわかっているつもりだ。
抜け駆けしたのって、中3の時以来だった。バンにはバレたわけだけど・・・・・・懐かしく思えたのはいつからだったろうか。
(案の定、サボっちゃったけどね)
高校3年生ということもあり、受験の真っ最中。進学先はまだ決まらずにいるというのが現状だ。
バンもまだ決めていないので、授業中は相変わらず寝ている。それでも優しく接してくれるバンがいたから生きてこれたというのもあった。
(寝よう・・・・・・)
目を閉じて、眠りの世界へと旅立っていった。
しばらくして2時間が経過した頃、自分を揺り起こす声が聞こえた。
「・・・・・・ル、ハル起きろ!」
眠そうに目を開けると、見覚えのある青年が目の前にいた。
ぼんやりと視界に映ったのは、幼馴染の山野バン。見るからに、眠そうな顔をしていた。
「あれ・・・・・・バン?」
「こんなところにいたのか。ここで寝てたら風邪引くぞ、ったく・・・・・・」
「ええええ!? バン、何で私がここにいるって分かったの?」
バンが目の前にいるのはどうして?
幼馴染だからこそ、以心伝心というか分かってしまうのだろう。
バンはだるそうに私を見て呆れながら、溜息をついて答えた。
「おまえが抜け駆けしたこと知ってさ、それで探してたら見つけちまったってわけ」
「嘘ォ・・・・・・・」
「どうせ、俺にバレたくなかったんだろ?」
「うっ・・・・・・」
「まぁ、しょうがねえよ。先生の説教、たっぷり聞いてこい」
バンに宥められて、学校に戻った。その後、クラス担任に説教された挙句の果てに世界史のプリント終わらせて来いって言われて、教室に残っていた。
「ふぇぇぇ、どうしよ・・・・・・」
誰もいない教室で佇んでいるだけで、泣きそうになる。
マジでヤバいんだけど、助けて・・・・・・と言わんばかりに前の席に座っているバンを見つめた。
「どうした、ハル?」
バンは椅子を反対側に沿って座る。記憶力のいい幼馴染はいつも優しい。
世界史に関してはある程度、知識を得ているつもりでいたのだが。
「バン、分かんないよぉ・・・・・・」
「こら、先生に説教されたくせによく言うよ」
「だって、抜け駆けしたことくらいで許してよー」
「そんなこと言ってる暇があったら、課題やりな」
バンに促され、課題に取り組んだ。
数秒間、悩んだ末に苦戦して解いた時には突っ伏していた。
「終わったよ、って寝てる・・・・・・」
バンの肩を揺り起こして、先生のところに行こう。
「バン、起きてよ」
「んあ・・・・・・終わったの?」
「うん、先生のところに行こう」
「あぁ、いいよ。んじゃ、帰るか」
背伸びしながら、ショルダーバッグをしょった。