二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.900 )
日時: 2012/12/08 11:20
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編7の続き(ハル視点)

帰り道、バンと一緒に肩を並べながら歩いていた。背伸びしながら、眠そうに欠伸する。

「んーっ、よく寝たぜ」
「バン寝過ぎだよ、あれだけ寝てたら怒られるって」
「大丈夫だよ。誰も俺のこと見てねーし、気づいてないから良いじゃん?」
「それのどこが大丈夫なのよ、あれだけ寝てるんだからさ」
「うっせぇ、おまえに言われたくないぜ」

バンは何だかんだでいつも文句を言い返す。文句を言いながらも優しく接してくれる幼馴染。
幼馴染である彼の背中を見てきて、イケメンっぽくなって成長しているように感じた。

「ねえ、バン・・・・・・」
「んー? なんだよ」

バンはショルダーバッグをしょって、私を見て思わず首を傾げる。
イケメンだからこそ分かることもあるかもしれないが、幼馴染としての感情はなかった。
いつも私のことを気遣っているバンは氷介のことを忘れられないでいた。今もそうだけど、私も辛いって思うことがある。

「私さ、兄さんがいないって思うと辛いんだ」
「そんなこと言ってる暇があったら、テスト勉強しちゃえば?」
「何言ってんの、バン! 冗談じゃないでしょ!!」
「ったく、いつも世話焼くからこうなってんだろ」

試験があるのにも関わらず、文句を言うバンは何だかんだで気遣いながら接してくれた。
それほどでもないだろうが、試験に受かれば良いだけの話だ。バンはトキオ大学の教育学部に進学したいと言っていた。

「でも、国立大学受けるの?」
「受けるけど、ハルはどうなんだよ?」
「私も受けるよ。でも、トキオ大学って言ってもさー」
「まぁ良いんじゃね? 俺は寝てること多いから、おまえにノート貸してもらってるしさ」

確かにバンは転寝しながら寝ていることが多い。時には机に伏せて寝てしまうことがあって起こすのも面倒になってきた。

「あんたが寝てるから起こすの面倒だよ」
「そう言うなってー俺だって、疲れてんだから良いじゃん」
「それって逃げだよね。しょうがないから見逃すけど、次はないよ?」

あーだこーだ言っているうちに歩きながら、楽しそうに話していた。
もうすぐ自宅に着くかと思ったら、何か人だかりができていた。バンと顔を見合わせながら、首を傾げる。

「どうしたんだろ、ハルんちの前で何の騒ぎだ?」
「さぁ・・・・・・」

近所に住むおばさんが出てきて、私の姿を見つけて言う。

「大変なのよ、ハルちゃんの部屋が滅茶苦茶にされてる!」
「えええええええええ!?」

素っ頓狂な声を上げて、慌てて自宅の中に入った。バンも気になったのか、後に続いて上がる。
居間とかは荒らされていなかったから良いけど、2階の部屋はどうなのか。
階段を上り、2階の部屋に入ると何者かによって荒らされた跡があった。それを示しているのは、犯人の仕業だろうか。

「なんだよ、これ・・・・・・酷いな」
「どうしよう、バン・・・・・・・」
「ハル、これ持ってろ」

ショルダーバッグを渡して、慎重に部屋の中を調べるバン。
すると、何か見つけたらしくて取り出したものは何と盗聴器だった。

「盗聴器!?」
「どうやら、犯人の仕業みたいだな。警察に言って聞くしかない」
「ふぇぇぇ・・・・・・どうしたら良いの、これー!?」
「弱気になるなよ。俺が守ってやるから安心しろ」

弱気になりかけたが、幼馴染のバンがいるから大丈夫だと思って信じるしかない。
警察に連絡し、バンが盗聴器を発見したことや荒らされた場所について話した。

「とにかく無事で良かったわ。ハルちゃん、ここ最近になって荒らす犯人がいるのよ」
「マジですか、怖いなぁー」
「とりあえず、バン君の家に泊まらせてもらって、事件が収まるまで待った方が良さそうね」
「じゃあ、俺が罠を仕掛けるんで良いですか?」

バンなりに考えたのか、犯人に対する罠を仕掛けることを出張した。
とりあえず、事件が収まるまではますます油断できない。そんな状況が続いたのは3日だった。



3日後、学校の帰りに立ち寄ったキタジマ模型店で店長夫婦と話していた矢先のことだった。
ガーッとドアが開く音がして振り返ると怪しげな男がいた。そいつを見る限り、何かと怪しいような感じがしてならない。

「この女の子を連れて行く。俺の邪魔をするな」

ナイフを突き出されて、いきなり何が起きたのか分からないという感じ。
この後、すぐにバンが来るって言うのに・・・・・・こんな時に限って襲われてしまうことになろうとは思わなかった。

「ついてきな」
「ちょ、助けて・・・・・・」

そいつに抵抗しようとするも虚しく逃げることができなかった。
連れて行かれた場所はメインストリートの裏通りの一番奥にあるところ。
廃墟ビル前に連れて行かれたかと思えば、そいつは解放して言い放つ。

「この前の事件、俺がやったんだ」
「盗聴器を仕掛けたのもあんたなのね」
「そういうことだ。邪魔者を潰す、それが俺の信条だ」

邪魔者って何よ、まるで自分を見ていないようにしか思えない。
そいつはナイフを出して、私に向かって叫びながら襲い掛かってきた。

「うわぁ---------------------!」

やられると思った瞬間、向こうから聞き覚えのある声が聞こえた。

「ハル、伏せろーッ!」

その声を聞いたのと同時に両手で頭を抱えながら伏せた。
すると、何かが飛び出してきて犯人の右手にあったナイフを弾き飛ばした。

「・・・・・・え?」

コロコロと目の前に転がったのは、1つのサッカーボール。
ザッザッと駆け寄りながら歩く音がして振り返ると、そこに現れたのは幼馴染のバンたちだった。

「ハル、大丈夫か?」
「バン! それにみんな・・・・・・」
「店長に聞いた。気づいてやれなくてごめんな」

バンは優しい眼差しを送りながら、私の視線に合わせてしゃがみ込んだ。
その時、背後から犯人の男が迫ってきた。バンに向かって、襲い掛かってくる。

「バン、後ろ!」

その瞬間、右手で犯人の左腕を強く掴んだ。スクッと立ち上がったのと同時にバンは怒りを含めた目つきで言い放った。

「おい、ハルの家を荒らしたの・・・・・・おまえか」
「っ、そうだと言ったら?」
「ハルの邪魔をすんじゃねえよ。叩きのめされてきなっ!」

左手で掴んだ後に背負い投げをして、犯人を叩きのめす。そのダメージを受けた瞬間、男は気絶して倒れ込んだ。
バンは溜息をつきながら、思わず苦笑して呟いた。

「ったく、心配かけさせんな」
「ごめん・・・・・・」
「まぁ良いさ。無事でよかった、とにかく警察を呼ぶからな」

バンたちの機転で事件解決し、男はそこに駆けつけた警察によって逮捕された。


現在、大学3年生。でも、バンがいたから良かったのを覚えている。
酒を飲んで帰ってくることも少なくないので、自宅に泊り込むこともしばしばある。

「・・・・・・・」

バンの優しさ、純粋な心を醸し出しているのもそれがあってこそ生きてこれた。
バンの優しいところはいつでも感じられたかに見えた。最近、飲みまくることも少ないせいか酔っ払って帰ってくることが多い。

『ピンポーン』

インターホンが鳴り、1階の玄関に向かった。ドアを開けると、頬を赤くしているバンがいた。
その様子だと酒を飲んできたのだろう、とにかく家に入れて聞くことにする。

「バン、飲み過ぎだよ」
「良いだろォ〜飲みすぎたって・・・・・・ひっく」

フラフラと家の中に上がりこんできたかと思えば、いきなり床に突っ伏して寝る始末。
ドアを閉めて、バンの靴を脱がしてから起こしたが・・・・・・眠いのか、ムニャムニャと寝言を言いながら呟いている。

「バン起きてよ、ここで寝てたら風邪引くってー」
「んぅ・・・・・・・」
「ったく、しょうがないなぁー」

バンの上半身を起こし、よいしょっと背負いながら連れて行く。
2階に通じる階段を上る前にバンを起こして声をかける。

「バン起きてよ。2階に行くから歩ける?」
「んぁ・・・・・ぅん、何とかぁー」

バンを背負いながら、慎重に上りながら歩く。こんなになるまで飲むのは珍しい。
何があったのかと思いながら、首を傾げた。いつもはそれほどまで飲むわけじゃないのに、今日はどうしたのかな。

「ねえ、バン・・・・・・・」
「あ? なにー」
「泥酔するまで飲んで、急にどうしたの?」
「ハルの部屋で話す・・・・・・・」

バンはそう言った後、寝入ってしまった。寝てたら、連れて行くのがしんどい。
とりあえず、仕方なく連れて行くことにした。