二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.917 )
- 日時: 2012/12/09 11:29
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
短編7の続き(バン視点)
寝入ってしまった後、少し経ってから背負われている感じがして起きる。
見覚えのある小さな背中を見て、眠そうな目で見つめた。ハル、重そうなのに無理して担がなくてもいいのにーと思いながら顰める。
「うぅん・・・・・・」
「あっ、バン・・・・・・歩ける?」
「階段上って、俺を連れて行くなんてさぁ」
「重いんだもん、バン離してよ」
「背負うの大変だったのに、よく背負えるよなぁー」
ハルを見て笑いながら、思わず吹き出しそうになった。幼馴染だから、敏感になってしまうこともあるんだろう。
それでも、彼女は素直に頷きつつも顔を顰めていた。酔っ払って帰ってくるのは、毎晩のこと。
「うるさいな、バンのことが心配だから放っておくわけにもいかないんだよ」
「よく言ってくれんじゃん、俺がハルのベッドで寝てたら怒られちまうよな」
「ったく、世話を焼いてやってるんだから。自力で歩けるなら良いけどさー」
「まぁ、そう怒るなよ。俺も酔っててさ、酒を飲んでると気持ち良くなって寝てしまうんだ」
俺の言葉を聞きながら背負うハルは溜息をつきながら、半ば呆れていた。
飲んでいて、気分が良くなって寝ちゃうことも稀にあったりする。それが泥酔しそうになるくらいだった。
「じゃあ、今日は何かあったの? だって、こんなになるまで飲んで帰るのは有り得ないんだけど・・・・・・」
「俺がこんなになるまで飲んだか知りたい?」
「うん、玄関に入ってきてすぐに寝ちゃうんだもん。もうすぐ着くから」
ハルに言われて、階段を上りながら向かう。背負われたままだけど、それで良いならしょうがない。
ようやく、2階に着いたのと同時にハルから離して歩く。千鳥足でフラフラとおぼつかないほどの足取りで部屋に向かう。
「バン、大丈夫?」
「自力で歩いた方がいいんじゃね? へーきだって、ヒック」
ハルの部屋に着いた俺はドアを開けて入った。泥酔しているせいで歩くのがやっとだった。
ハルのベッドまで行く気になれなかったのか、壁に背中を預けて座り込んだ。
冷たくて、気持ち良い・・・・・・ひんやりとしていて、今にも眠りそうだ。
「バン、こんなところで寝たらダメじゃん」
眠りそうになるのを堪え、すぐに声のした方向を振り返る。ハルが心配そうに見つめていた。
壁に背中を預けているのだから、そこで寝こけそうになる。ハルの気遣いは分かっているつもりでいるのに、うとうとしていた。
「バンってば、ここで寝るなー!」
「んぁー?」
ハルに顔を叩かれて起こされたのと同時にぼんやりと視界が映った。
泥酔しているせいで意識が朦朧としてくるのは気のせいか。それとも、ハルが目の前にいて当たり前なのかも分からない。
「バン、何があったのか話してよ」
「・・・・・・ああ、そうだったな」
ボーッとしているせいで視界を捉えきれていなかったのだと悟り、ハルに話した方が良いかもしれない。
俺は眠くなるのを堪えて、ゆっくり話し始めた。
事の発端はハルの家に行く4時間前、俺はヒロと一緒に酒を飲んでいた。
居酒屋で飲み比べ大会みたいなのが行われていて、ヒロはそこに出場するハメになったという。
「何でそんなものに出ないといけないんだ?」
「尚志のせいですよ。あいつが言いだしっぺなんだけど、僕は嫌だって言ったんです」
「へぇ、それで?」
「それで、飲み比べ大会に出るよう強制されちゃって・・・・・・」
「仕方なく、俺を誘ったというわけね。何となく分かったような気がする」
こればかりは仕方がないのだろうと思っていた矢先、そこまで無理して飲まない方が良い。
そう思っていた瞬間、ヒロが俺に向かって質問する。
「そういえば、ハルさんのところに行かなくて良いんですか?」
「ここで飲んでから行くつもりだけど・・・・・・まぁ良いや。今日はトコトン飲み明かそうぜ」
俺はヒロが出場している間、戻るまでゆっくり飲むことにした。
生ビールを注文して、ジョッキを持って煽る。ビールはやっぱり美味い。
飲んでいて、気分が良くなるのはいつものこと。飲み過ぎはダメだと母さんに言われたが、そんなことはどうでも良い。
「飲んでて、何が悪いんだよ・・・・・・」
そう言いながら、ビールの入ったジョッキを持って煽った。時間が経つうちに4杯目まで達していた頃には出来上がっていた。
飲み過ぎたのか、眠気が迫ってきた。ふと、飲み比べ大会の方はどうなったんだろうか。
「バンさん、大丈夫ですか?」
声をかけられて振り返るとヒロがいた。少し酔っているが、意識はあるみたいだ。
「ヒロォ、大会は?」
「終わりましたよ。まぁ、大したことにならなくて済んだから良かったけど」
「そうかぁー良かったな、大したことにならなくてさぁ」
「はい。でも、4杯目になってるからビックリしたなぁーっていうか、本当に大丈夫ですか?」
「へーきだって、これさえ飲めば良いんだよ」
「無理しない方が良いですって・・・・・・ん?」
ヒロが言いかけた瞬間、カランと鈴の音が鳴ったのと同時に店のドアが開かれる。
そこに現れたのは、柄の悪い連中だった。大人の不良グループといったところだろうか。
「あいつら、また懲りてないのか」
「ヒロ、どういうことだよ?」
「ああ、前に会ったことがあるんですよ。ヤツらが絡んでくると面倒なことになるから止めといた方がいいです」
ヒロが言うには、この居酒屋で出くわしたことがあるらしい。その時はナオと一緒にいたが、向こうからケンカを売ってきた。
それでも、ヒロは怯むことなく果敢に立ち向かって説得しようとしたが・・・顔を殴られてしまったそうだ。
「へぇ・・・・・・そんなことがあったのかぁーひっく」
「はい。だから、飲む気になれませんよ。あいつらを叩きのめしてやりたいんです」
「まぁ、嫌なことは忘れちまえば良いんだよ。あんなヤツらと絡んでも意味ないよ」
「そうですよね、バンさん。僕もそう思います」
どうりでヒロが元気をなくしていたのはそういうことだったのか。
ナオから相談を受けていたので、代わりにヒロの悩みを聞いてやろうと思っていたのもあったから連れてきたのだ。