二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.918 )
日時: 2012/12/09 11:53
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

元気のないヒロを気遣ってあげることしかできないので、話を聞くだけならできる。
とりあえず、ヒロに何か注文して欲しいものはあるかと問い質す。

「ああ、しょうがないさ。何か飲む?」
「そうですね、僕はカルピスサワーを・・・・・・」

ヒロが言いかけた瞬間、スウッと影が現れたのと同時に顔を上げて驚く。
そこに現れたのは、例の不良グループだった。こいつら、ヒロに絡んでこようとしている。

「おい、おまえらぁーヒロに手を出すなよ」
「うるせえ、そいつを叩きのめしてやりたいんだよ!」
「ここでケンカすんのは止せ。だってさ、ここにいても面白くないぜ?」

リーダー格の大柄な青年に向かって、冷たく言い放つ。その様子を見ていたヒロは不安そうに見つめていた。
そいつらが絡むと面倒なことになってしまうのは間違いない。

「これとは理由が違う。まぁ良い、俺と飲み比べ勝負だ!」
「バンさん、挑発に乗せられちゃあ・・・・・・・」

タジタジしているヒロに言われなくても分かっている。これは明らかに挑発しているようだ。
売られたケンカは必ず買う主義なので、飲み比べならマシな勝負ができる。

「あぁ、それなら良いぜ」
「グヘヘ、そうこなくっちゃな!」

一気に生ビールのジョッキを煽って飲んだ後、大柄な青年を睨みつけた。
そいつらがいるなら、飲み比べしなくてもいいと思う。しょうがないから付き合ってやることにした。

「俺が勝ったら、ヒロに手を出さないでもらおうか?」
「ああ、それで良いぜ。おい、度の強い酒を出せ!」

目の前に出されたのはウイスキーだった。どうやら、テキーラのようで度の強い酒だと言える。
ヒロは心配そうに俺を見守っていた。そこまで発展しちまったし、さっさと済ませてしまおう。
グラスの中にウイスキーを注いだ後、左手で酒の入ったグラスを持つ。

「それじゃあ、用意は良いか?」
「ああ、いつでも良いぜ」
「こっちもだ」

俺と大柄な青年はいつでも準備できるようにしていた。同時にスタートの合図が出た。

「それじゃあ、バトルスタート!」

2時間が経過した頃には、もう既に12時ちょうど。その頃には、既にウイスキーの瓶が空になっていた。
気づけば、そいつは酔い潰れて寝ている。俺が勝ったようだと悟り、ヒロを見る。

「バンさん、飲み過ぎですよ。完全に泥酔するまで飲むなんて・・・」
「悪い、つい飲み過ぎちまったぁー。まぁ勝ったんだから良いよな、それよりもおまえらぁー」

チラリと見やりながら、不良グループの連中を見て言い放つ。
ビクッと怯えてしまったのか、大柄な青年を背負って逃げ出していった。

「あー無残飲食じゃないですか!」
「まぁ良いさ、あんなヤツらは放っとけ」
「そうですね。バンさん、大丈夫ですか?」
「あぁ、平気だ。そろそろ帰るか、俺たちも」
「そうですね。お金は僕が払いますから・・・・・・飛んだお騒がせしちゃってすいません」

ヒロは素直に謝りながら、俺を見てうなだれる。無言で頭を撫でてやると驚いたように見上げた。

「バンさん?」
「気にすんなよ。謝ることないだろォー」

笑いながら、ヒロを励まして呟く。同時にコクリと頷いた。
こうして、居酒屋を後にした俺たちは帰路に着いたのだった。


というわけで、ハルの部屋にいるわけだ。飲み過ぎたのも久しぶりだったこともあってか、しょうがないのだろう。

「バン・・・・・・あんた、そんなことしてたのか」

ハルは半ば呆れながら、調子に乗ってしまったことに同感したらしい。
飲み比べ大会なんて出るの面倒だから、最初は1人で飲んでいた。確かにやりすぎたかなっていうのはあった。

「しょうがないだろォ、向こうが吹っかけてきたんだからさぁー」
「あのね、こんなになるまで飲むなんて・・・あんた、飲み過ぎたら寝ちゃうくせに起きてることもあるんだ?」

そういうところは珍しいと言いながらも、俺をからかう。そのからかい方が気に入らないから、ハルの首に左手を回して抱き寄せる。

「うわっ、何すんの?」
「俺をからかってくるの止めろよ。こうでもしないと抱きしめるよ」
「えー何でよ。バンが飲み過ぎてるのが気になるんだもん・・・」
「よく言ってくれるぜ。俺が飲んでて寝るのはいつものことだしさぁー」

そう言いながら笑う俺の様子を見て、ハルは顔を顰めながらも頬を赤くする。
そういうところがハルらしくて良いなって思っていたから、俺の好きなタイプはハルしかいない。

「っ、バンはどうなの?」
「俺? 何が言いたいんだよ」
「バンは好きな女性のタイプが私だってよく言うけど、何でそう思うわけ?」
「だって、おまえの初恋相手が俺だったとしたらどうだ?」

ハルの初恋相手は間違いなく俺だと言い切るつもりじゃない。彼女に聞きたいこともあったし、気になる。
俺の言いたいことを察したのか、バンは俺の左腕を掴んだ。

「んーどうしたぁ?」
「うん、バンが初恋相手なのは間違いないよ。でも、私はやっぱりバンが大好きだよ!」
「そうかぁー俺もハルのことが好きだよ。ガキの頃から接してきてるし、気持ちさえ分かるからいいよ」

そう言いながら、ハルを見やると顔を赤らめている。
照れくさそうな姿を見たのは久しぶりで、本当にからかってみたくなった。

「なぁ、ハル・・・・・・俺に惚れたとか?」
「えぇ、何でそう思うのよ。惚れてないけど・・・・・・」
「バーカ、照れてんじゃねーって。惚れこんでるんじゃないかぁーっく」

酔いの浸った頭で状況を把握するのが面倒くさくなってきたので、ゴロリと床に寝転んだ。
ハルは驚きを隠せなかったのか、俺に問いかけた。

「床で寝る気なの?」
「んぁ・・・ここで寝ようぜェ、面倒くせーから」
「ったく、しょうがないわね。毛布もってくるから」

ハルが俺の腕から離れて、自分のベッドの毛布を取っていく。
意識がまどろんでくる中、深い眠りに落ちた。良い夢が見られますように------------------

The End-------------------------