二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.969 )
日時: 2012/12/12 21:16
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第45章の続き

(ストーリーモード:直毅)

打って変わって、場所はトキオシティ駅近く。そこのベンチに座り、コンビニで買ってきた缶ビールのプルトップを空けて飲んだ。

「ヒック、楓のヤツ・・・・・・」

その時、ダムダムとボールを叩く音が聞こえてくる。
その音がした方向に振り返ってみると、ストリートバスケット専用場で1人の青年と2人の少年がバスケしながら遊んでいた。

「こんな夜中にバスケやってんのかよォ、あいつら」

見覚えのある後輩・青峰太陽、大輝の兄弟と黄瀬涼太の3人が仲良く遊んでいた。
キュッキュッと足を動かせながら、ドリブルの練習でもしているのだろう。

(ったく、のんきなもんだぜ)

缶ビールを煽り、飲んでいた俺のところにバスケットボールが転がってきた。
太陽が俺に気づいて、3人でやってきた。こんな夜中に遊んでる場合じゃないだろ、と言いたくなる。

「おまえらぁ、こんな時間まで遊んでんじゃねーぞォ」
「すいませんでした、何で先輩がいるの?」
「俺ぁ、知り合いを探してんだよ」

その台詞を聞いて、太陽は顔を青ざめながらも何か思い出したらしい。
大輝と黄瀬が顔を見合わせながら、怪訝そうに首を傾げている。それを見かねて、俺は太陽に向かって問い質す。

「太陽、何か思い出したことでもあんのか?」
「いや、たちむーに誘われたんスけど・・・・・・」
「勇気に誘われた?」

勇気のヤツ、何も言ってなかったような気がするけど・・・楓がいないのには、何らかの理由があると見て間違いない。
太陽が誘われていたのは、いったい何なんだと言いたいくらいだ。大輝が太陽に向かって問い詰める。

「兄貴、勇気先輩に何か言われたのか?」
「ああ。キラード団のアジトを探すから手伝ってくれって頼まれてたんだよ」
「キラード団? なんだ、それは?」

俺は太陽の言葉を聞いて、首を傾げた。大輝や黄瀬もキラード団の存在を知っているらしく、簡単に分かりやすく説明する。

「リンちゃんがキラード団に攫われたとか言ってて、俺らはサッカーバトルの時にようやく知ったんです」
「黄瀬、そいつらが事件に関与しているってことか?」
「はい、それも有り得ると思います。青峰っちもちゃんと聞いてたよね?」

黄瀬が真剣そうな顔で大輝に向かって問い詰める。大輝もコクリと頷き、勇気たちが事件の調査をしていることが伺えた。
2人の安否が気になってきたので、後を追いかけようとするのにも時間がかかりそうだ。

「ちっ、勇気のヤツ・・・・・・俺にコソコソとやってんのが気にくわねェんだよ」
「隠し事してるってことでいいんスよね。とりあえず、俺たちも気になるから行くっきゃないし」
「黄瀬ェ、おまえがそんなこと言ってんならよォー。俺も乗り気じゃないけど、探す手間が省けそうだぜ」

黄瀬と青峰兄弟さえいれば探す手間が省けそうだ。時間があるから、夜はまだ長い。
楓を探すに越したことはないが、どうやって見つければ良いか分からなくなっていた。

「ったく、探すことにしたのは良いけどよォー」
「先輩、アレ見てください!」

黄瀬が何かに気づいて、振り返ると見覚えのある少女が勇気たちと一緒に裏通りの方へと向かっていくところだった。

(あれは楓・・・・・・こんな時間にほっつき歩いてんだぁ?)

楓たちの行き先が気になったので、後を追うようにして向かうことにする。
俺たちも裏通りへと突入し、懐中電灯を持ちながら歩いていく。薄暗い路地を歩いていると、一番奥に聳え立つ廃墟ビルらしき建物が見えた。

「廃墟ビルっスよね、何かヤバくないっスか?」
「黄瀬、怖がってる暇があったら・・・・・・正々堂々と入れば良いだろ」
「酷いっス、青峰っち!」

ギャーギャーと言い合っている黄瀬と大輝の2人を見て放っておくわけにはいかない。
この先に何があるか分からないので、懐中電灯を持ちつつも慎重に入った。

『ギギーッ』

中は真っ暗だが、行き先さえ分かれば良いだけの話。俺を先頭に黄瀬、青峰大輝、太陽の順で並んで歩く。
2階に通じる階段を上り、1つの部屋に辿り着いた先には床下が開いている。

「この下に通じる階段を降りていったみてーだな」
「それに英語のキーボードが入ってるみたいっス」

黄瀬が指差した先に英語のキーボードらしきものがあった。恐らく、その仕掛けの答えを解いたことで開いたのだろう。
とりあえず、下に通じる階段を降りてみた方が良いかもしれない。

「キーボードを打てば解けたみてーだけど、この先には何があんだよ」
「よく分かんないけど、他にも何か仕掛けがあるとしたら・・・・・・」
「・・・・・・そこに行ってみるっきゃねーな」

太陽の言葉を区切りに階段を降りていく。どうやら、下まで続いているようだ。

(楓、まさか・・・・・・)

慎重に降りた先には洞窟になっていた。その先に何が起きるかも分からないが、一目散に駆け出していく。
しばらくして、そこに向かった先に見つけたのは・・・・・・鷲の絵が描かれている壁画。

「あれ、仕掛けが解けてあるみたいっス」
「本当だ。どうやって解いたんだ?」

黄瀬と大輝が感想を述べながら言う。そんなことを言ってる暇はない。
クズクズしてられないので、急いで階段を駆け下りた。黄瀬たちと一緒に向かったその先に見たものとは----------------

「楓!?」

楓たち女子グループが大人数の手下どもを相手にして戦っているところだった。
ザッと見て、100人くらいか・・・・・・その割には何とか倒せたみたいだが、どう見ても明らかにヤバい。

「ヤバいっスよ、先輩!」
「ああ、分かってらぁー」

空になった缶ビールを右手で手下の1人に向かって投げたのだった。




現在に至り、楓たちを助け出したというわけだ。4人とも、無事で良かった。

「・・・・・・というわけなんだよ。おまえら、こんな時間まで何してんだぁ?」
「直毅、それはないでしょ! 酒浸りで飲んだくれてるバカには言われたくないわっ!!」
「んだよ、俺が心配して探しにきてやったのにさぁー」
「酔っ払いに言われんのが嫌なの、私はっ!」

楓と俺のケンカトークを聞きながらも溜息をつくハルたち。幼馴染だから、何かと気にかけてしまう。
酒浸りで悪かったかもしれないが、俺は本当に心配している。楓のことは幼い頃からつるんでいるし、今も仲良くしてもらっていた。

「-------------ったく、面倒くせーことになっちまったな。詳しく聞かせろ」
「はい。実は------------------」

バンの妹のリンが自宅の前で何者かによって誘拐されたこと、優雅と望月幸介がたまたま通りかかった駐車場でそこに止めてあった1台の車の中に閉じ込められているリンたちを発見し、バンに連絡したことなどを詳しく聞いた。

「その時、バンはあることに気付いたんです。もしかしたら、キラード団が事件に関与しているのではないかという可能性が高いかもしれないって言ってました」

その話を聞いた俺はヒックと呻いた後、楓を見て呆れながら溜息をつく。

「どうりで、楓がここにいるわけだぜ・・・・・・ったく、心配かけさせんな」
「ごめん・・・・・・」
「まぁ、こうなっちまった以上は後ずさりできねーぜ」

俺は面倒くさそうに顔をしかめながら、楓の頭を優しく撫でた。
その後、意識のある手下の胸倉を掴んで問い質す。

「おい、リンたちが囚われた場所はどこにあんだよ?」
「うっ・・・・・・ち、地下・・・・・・」

地下室に居る可能性が高いかもしれないということか!
一刻も早く、バンたちに追いつかないようにしなきゃいけない。