二次創作小説(紙ほか)
- AsStory 〜第11話『逃走』〜 ( No.232 )
- 日時: 2015/01/16 19:34
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: NSxNy3Qq)
第11話 (タイトル未定)
二〇六二年三月十日 午後7時過ぎ 武蔵丘陵某所——
警察組織の命運を託された3名の警備隊員が、警察史上初となる時空間転送をされてから約2時間。遊牧民の可搬式住居のような形状をした転送装置は、サーバの収容されている施設から運び出され、敷地内の緑地内に設置されていた。
緑の深淵の向こうはすっかり宵の帳が下り、空は都会では到底拝むことのできない、無数の星の煌めきでが埋め尽くされていた。
時空間転送装置の前方を囲むように、日中の式典で警備をしていた精鋭の警備隊員の内、待機を命じられた十名が休めの姿勢で並んでいた。
古から、暁を覚えずと謳われた温和な気候は、陽光が大地を照らしている間だけで、夜になってからは雲行きが怪しくなり、肌寒い風が、弧を描いて整列する警備隊員らの重たい色のジャケットに盛んに叩き付けていた。
それでも警備隊員達の視線は優に1時間以上空っぽの「ゲル」を捉え続けていた。頭上に広がる壮麗な天界のアートに気付いている者誰一人としていないだろうと思わせる緊迫感が、長時間緩むことなく続いているのは、彼の3名が転送されてから1時間も経たぬうちに全員の通信が途絶えてしまうという緊急事態が発生したからであった。
サーバ施設の屋内に再度設営する事も検討されたが、犯罪者を一緒に連れてくる可能性もあるため、最悪の事態を考慮し、屋外に装置を設置する事となった。
転送システムサーバに非常に大きな負荷がかかってしまうため、転送先の時代との転送路は、通常は転送システム利用者が帰還準備完了の報告を受けてから、必要最低限の時間しか開けないが、転送者との通信が絶たれた現状では、時空間上の転送路を開け放して待ち続けていた。ただし、転送路を開き続けられるのは最長3時間。それ以上はシステムがハングアップしてしまう恐れがあるため、一旦転送路を閉じる必要があった。そして再度転送路を開くまでには約30分程度。
一度送った人間を元の時代に戻すのは、送るよりも格段に短時間で済ませられるが、更に人員を投入するとなると、3日待たなくてはならない。
システムそのものは誇るべきものであるが、利用者の体制が未整備のまま見切り発車で運用を開始したツケを、早くも払わなくてはならない事態に発展する恐れがあった。不幸中の幸いは、記者団を即座に退去させていたことだった。時空間犯罪者に先を越されていただけでなく、取り締まりに行った捜査員たちが音信不通になったとなれば、もはや警察の弁明の余地は微塵もない。マスコミの統制がきかなくなれば、巷の警察不要論をますます増長させてしまう。
警備隊員らの列からやや離れたところで寄り集まっている警察庁長官をはじめとする幹部連中は、万が一の事態を想定した対応で声を潜めてひっきりなしにやり取りをしていた。副長官の仁田とシステム担当の七髪、そしてベンダー窓口の粗谷が、責任の所在を巡って睨みあう場面が幾度かあったが、20分程度で密談は終わった。背広組の面々の渋面が更に渋みを増していた。
頃合いを見計らったかのように、黒塗りの電気自動車、日産シーマが敷地の端にある駐車場に、音もなく滑り込んでいった。すっかり暗くなり、街灯も殆どないこの緑地で、5mを超えるボディーの殆どが暗闇に溶け込んで輪郭が分からなくなっていた。
この時代では日本の上空に天頂衛星が2機稼働しており、ミリメートル精度の座標情報と、画像センシング技術により、自動車の走行している時間の99%は自動運転となっていた。だが、何時の時代でも取締役クラスの人間が車を乗り降りする時の光景は変わることは無かった。緊急事態に備えて乗り込んでいる運転手が先に降り、骨ばった手で後部座席のドアを開けると、先ずボディーアーマーをジャンパーの内側に装着した、中背のボディーガードが降り、続いて鷹揚な態度で恰幅のいい男性がドア枠に手をかけて車を降りる。そして最後に、始めに降りた男と同じような体つきのボディーガードが降り、すぐに中央の男の左右をかためた。
警察庁長官が顔だけを車の方に向け、黙ってその男の様子を眺めていた。視界が悪いのと距離が離れているせいで男の面貌はよくわからないが、かなり狼狽しているか、或いは怒り狂っているかのどちらかであるのは確かだった。肉付きのいい体躯の隅々にまで、過剰といえるほど栄養が行き渡っているせいか、長官よりも齢を喰った男がどんなにストレスを与えられても、髪の毛が抜け落ちたり、白髪になったところを、一威は見たことが無かった。
男の名はワンス・ファウスト、帝栄警備保障株式会社代表取締役である。いつもなら18時きっかりでプライベートに切り替える男が、今日ばかりはそんなことも言ってられる余裕は無かった。
顔中に脂汗の粒を浮かべて走ってきた白人の男の表情は、一威が想定したほど険悪ではなく、肩透かしを喰った気分だった。それもそのはずである。筆頭隊員の新堂を失いかねない重大事故で、帝栄警備は被害者の立場ではあるが、もう一人の隊員の素性が明るみになれば、今度は帝栄は警察組織に対して極めて重篤な背信行為で手痛い反撃を受けることは火を見るよりも明らかだった。
若かりし日にはグリーン・ベレーに所属し、前線を退いてからも、同組織のインテリジェンス・アドバイザーとしてあらゆる局面を経験してきた軍人の中の軍人であったが、老い故か、それとも時間を超えた事故という前代未聞の事態故か、己が業をおくびにも出さずに相手を糾弾する余裕がなかった。
「一威君。状況を教えてくれ」
ファウストの日本語は、日本人の耳に馴染みやすい、少し低めの声の高さと流暢さではあったが、彼の一威に対する言葉遣いに、ゲルの前で粛々と立ち並んでいた警備隊員たちの周りの空気が張り詰める。特に、日本の警察組織に対する件の白人の功労を知らないが、警察内でのキャリアもそこそこ積んでいる三、四十代の警備隊員らは、敵愾心を露わにして老人を睨みつけた。
日本にPMC(民間軍事会社)という業態が殆ど認識されていなかった頃に、政府が深刻な生産年齢人口減への対応策の一環として、大量の移民受け入れ等による治安の悪化に対応するべく、ファウストはPMCの設立を積極的に進めてきた。言うなれば、どの日本人よりも日本の治安維持に対する功労者だった。そのため、時の警察庁長官でさえ、眼前の白人には頭が上がらなかった。
ファウストが警備隊員らの張り詰めた気配を完全に無視して転送システムのゲルに目を向けた。
「あれが、例のシステムか」 一威がファウストの言葉促されて装置を見た。
「そうです。彼らはここから時間を超えた任務に就いています」
立場が弱くとも、一威は毅然とした声で、感情を押しこめて応えた。
「彼らとは、シンドウとスイウツのことでいいのだな?」
「そうです」
ファウストがゲルを見たまま眉根をきつく寄せた。
「通信の復旧の目途はたっているのか?」
「今取り掛かっていますが、まだ状況が良くない。それよりも、途中で帰還することも大いに考えられるため、あの装置を転送可能な状態で待機させ続けています」
ファウストが心無く相槌を打ち、今度は全身をゲルの方に向けた。時間を超えて移動できるとは、なんとも男心がくすぐられる玩具なはずなのだが……。仕事以外でこの装置と見えたかった。
内陸部から吹き降ろす風が更に強く、冷たくなってきたため、警察庁長官が続きを公用車の中ですることを申し出、PMC社長が身を翻し、ゲルに背を向けた。
「社長、反応ありました!」
聞き覚えのない声に呼ばれ、ファウストが声のした方を向くと、エンジニア風の格好をした男が、タブレット型端末を、粗谷システムズ代表取締役、粗谷参議に見せているところだった。
——反応?
居合わせた全員が、即座にこの言葉に二つのケースを思い浮かべていた。一つは、通信が復旧し、彼らとの会話ができるようになったこと。そしtれもう一つは、彼らが退却を決意し、こちらに戻るための転送信号を受信したこと。
ファウストが、警察組織の人間を差し置いて、どういうことなのか問いかけようと粗谷に歩み寄ると、答えが全く違う方向から飛んできた。
ゲルの薄い壁面から、強烈な白光が横溢していた。一威とファウスト、そして副長官らは、その光景に息を呑み、立ち尽くしていた。
十余名の警備隊員たちは、打ち合わせ通りに隊列を組み、各々の武器を構えた。3名全員が帰ってくるのか、それとも——。
光が止み、ゲルの騒音が消えた。転送装置の扉が静かに開けられる。ドアノブを掴んでいる側の袖がちらりと見えた。生地の色は瑠璃色。背はそれほど高くない。ファウストが覚悟を決め、ドアの隙間の向こうを睨みつけた。
〜2015/01/08〜
2章の始まりは、光曳梓で始めるか、1章に絡めながら始めるか、思い切ってファンタジーパートの片鱗を見せるかの3択があったのですが、一番つまらない選択をしてしまったかもしれません。。。。
重たくて、だらだらした展開、もう少しおつきあいください。。。
スミマセンっっ
〜2015/01/10〜
今日は各地で学徒動員の式典が行われているようです。。。(いや違うだろ)
警察庁長官の苗字「一衣」って書いてましたので、「一威」に直しました。
そして、帝栄警備の社長の名前も、わかりやすいものに。。。。
何が分かりやすいのかと。。。。
社長だから、一番偉い -> [1]がポイント -> [ワン]ス ファウスト[1st]
。。。。。分かりやすいですよねっっ???
徹夜ゲー開けの仕事もあと半日っっ。。。
「持ち堪えろ!」(by新堂)
じゃ、また〜!!
- AsStory 〜11話 『逃走』〜 ( No.233 )
- 日時: 2015/01/28 21:47
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: NSxNy3Qq)
白みがかった景色が一瞬にして薄暗く狭い閉鎖空間に切り替わると、中央に現れた見覚えのある扉のノブを恐る恐る右手で握り、ゆっくりと回す。そして、扉を開けようと右腕に力を入れようとした瞬間、己の意識から待ったがかかった。
向こうの時代にそんなに長く居なかったが、またサーバルーム内に転送装置は置いたままなのだろうか。関係者以外絶対立入禁止の場所に出てしまうのだろうか。
水打静が、無意識に瑠璃色のジャンパーの襟越しに、もう一方の手でネックレス上の転送端末をお守りのように掴んでいた。
時空間転送システムで転送される者は、予め帰還転送処理実行のためのウェアラブルデバイスを身に付けていく。ウェアラブルデバイスの形状は、ネックレス以外にも腕時計、サングラス、指輪など様々な形状があり、その内部に格納されているスイッチを押下することで転送処理が開始される仕組みになっているのである。
静が、行きよりも遥かに重たくなっている扉を4、5cmほど前に押しやると、隙間から強烈な気流が入り込み、セミロングの黒髪を乱暴に舞い散らした。勢いを失った最後の冷気が女性警備隊員の鼻先を撫でると、横幅が殆どない殆ど真っ暗な風景が静の瞳に映っていた。少なくとも屋内ではなかった。
慎重に扉を3分の1回転ほど開けると、朧な月明かりに照らされ、葉の先端を灰色に輝かせる芝の地面が目に入り、周囲を見回すと、黒い人影が扉を挟むように2列縦隊をなしていた。静はその正体が何かはわかってはいたが、見事に黒一色に染まった姿と、微妙にうごめく様が望まざる相乗効果を生みだし、女性警備隊員の心に小さくはない衝撃を与えていた。
「スイウツか!よく戻った」
隊列の更に向こうで闇の中から、何度と無く耳にしてきた人物の声が聞こえてきた。あぁ、戻ってこれたのだ。急に四肢の力が抜け、転送装置の出入り口にへたり込んだ。両腕も放り出して床に手がぶつかるやや手前で、なま暖かくて中途半端に柔らかい何かを叩いていた。
静が思い出したように右手の方を向く。帝栄の社長が、瞼を皿のように開いて声をあげたが、成人して一年経つか経たないかの小娘の素っ頓狂な叫び声に、彼の声が完全に覆い尽くされていた。
「そういえば」尻餅をついたまま、老人の水色の瞳を下から見上げる。
「時空間犯罪者らと思しき人物・・・」声が上擦るのを懸命にこらえる。
「3名拘束しました」
残りの一名はどうしたのかと、警察と帝栄のトップが声を揃えて眼下の若者に問いただすと、一威の右脇からシステム担当の七髪が転送システムの転送可能な人数の上限について、長官には二度目の、PMC社長には初めての説明をした。
「拘束と言っても、水打君。この男達は・・・」
引き続きファウストと一威が兄弟のように、似た雰囲気の疑念に満ちた表情を浮かべながら、静と彼女の両脇の男二人を代わる代わる見ている。
帝栄の手柄になると思っていた静の意に反し、社長の複雑な表情に、静も男の足下で笑みになりかけていた表情に影を漂わせる。
一時的に凪いでいた山間部の空気が、再び蠢動し始めていた。不発のくしゃみのように、颯爽としない寒風が、ゲルの床から芝生にはみ出して横たわっている陸軍隊員にぶつかってきた。
乱れた前髪を直し、静が低い声で応える。
「そうです、陸軍です」
警察省長官は下唇を噛みしめ、引き下がった。
PMC代表はまだ訊いておきたいことがあった。「3人目の被疑者には、新堂がついているのか?」
静が声を出し損ね、無言で首肯した。
「残り一人の陸軍の兵士がとても危険な状態だったので、ヒカリセキュリティの稲森さんと新堂さんで固めて、もうそろそろ来るはずです」
そういって、自分の居場所がまずいことに気付いた静が慌ててゲルから出て、近くにいたPMC隊員等と共に二人の軍人を引きずり出した。だいぶ厳重に手錠の電気ショックを浴びせたのか、多少乱暴に芝生の上を引きずり回しても、全く覚醒する気配が無かった。
転送装置内で転送到着が重ならないように、ゲルの中を無人状態にして、扉を閉じない限り新たな転送を受け付けることはないのである。
粗屋参議が、市中引き回しになっている二人の男を侮蔑の目線で見送りながら、ゲルの扉を閉めた。鍵は無い。ドアノブだけの簡素なものだ。
PMC隊員一日目そして最終日にもなるであろう女の肉体と精神は、2時間程度のオペレーションで完膚無きまでに叩きのめされており、立っているのも奇跡的な状態だったが、枯れ果てた雑巾のようになった心からもう少し気力を絞り出し、後輩の身の安全を最優先に、送り出してくれた先輩隊員の帰還を待った。
二〇一二年一月二十日 午前10時 某所——
緑がコーポレートカラーの宅配車の車内から、それとは似ても似つかぬ色柄のジャケットを着た二人の男が顔を外に向け、虚空に浮かび上がる光の靄の消えていく様を、固唾をのんで見つめていた。
本運用で初稼働のシステムゆえ、万が一の事も考慮して、己の身を以て帰還転送に臨むべきであったが、彼らにそのような猶予は与えられていなかった。
少し目線を脇に逸らせば、付近の道路をローラー方式で移動して移動してくる追っ手共の回転灯の赤い光が、建物の隙間から漏れている光景が否応なしに飛び込んでくる。サイレンの音ともなれば、両手で耳を塞いでも聞こえてくる忌々しさだった。
ポイントの駅前で突如光を失った人々の中で最初に覚醒したのが、現場から離れていたためか、稲森であったのが、不幸中の幸いであった。
予め警察車両の他に件の宅配車を確保していた稲盛が、即座に宅配車に乗り換え、新堂達と陸軍士官、兵士を回収して街中を無茶苦茶に疾走すること十数分間。辛うじて警察を撒いていたのだが、警察の得意とする物量戦ですぐにそのリードは失われ、今に至っていた。
まず最初に送り出したのは、追っ手に一番捕まる可能性の高い人間と、身柄を拘束された陸軍士官、兵士の中で階級の高い人間だった。
残されたのは、追っ手を振りきる技量のある熟練のPMC隊員と、最も階級の低い、そして最も厳重に扱わなくてはならない巨躯の陸軍兵だった。電気手錠で拘束し、気絶しているようには見えるが、この男の肉体的な事情からして、いつ突発的に覚醒しても不思議ではなかった。
転送が成功したのかどうかはわからないが、綿雲のような光の塊が新堂らの目の前から完全にフェードアウトした。女性警備隊員が気絶した捕虜を足下の両脇に横たえ、帰還転送スイッチを入れてから、完了まで10数秒。
警察庁のシステム担当官の説明では、帰還転送は往路の転送のようにいちいち3日も間隔を置く必要が無いとは言っていたが、転送処理そのものの所要時間も行きの3分の1くらいの時間で済んでいた。
転送処理まで短く済むとは思っていなかった二人は、いよいよパトカーの影が一本向こうの道路に顕れ、窮地に追いつめられているにも関わらず、同時に呼気を漏らしていた。
これならば安全に転送処理を実行するだけの時間を確保するのに苦労することは無い。
運転席の稲盛がオートマチックのシフトレバーをDレンジに入れ、アクセルペダルをジワリと踏み込んだ。不規則に曲がりくねった住宅街の道を通り抜けていく、他の車とエンジンのふかし具合を揃え、待機していた路地から他の道に出て行った。
突き当りの陰に宅配車の尻が収まりきった丁度その時、左折で進入してきたパトロールカーの鼻先が路地に突き出していた。
住宅街を抜け、国道と思しき片道2車線の道路に出ると、左折して一気にスピードを上げた。屈強の男二人と気絶した巨漢による数分間のドライブの後、中層ビルが視界のあちらこちらに見え始めたところでJRの駅への案内標識が前方に現れた。駅へ向かう数多の車の流れに乗り、そのまま駅前までたどり着くと、今度は人混みがはけつつある雑居ビル街の狭い路地に進入した。さすがにこれから昼の部の只中を迎えようとする街中で、不審な客引きの影は見当たらず、殆どの人間が忙しそうにビルに挟まれた路地を通り抜けて行っていた。
稲盛が最徐行でおそらく365日陽光が差し込むことはないであろう、ビルの隙間の前に宅配車を止めた。ビルの壁面と宅配車のボディとの隙間は僅か数cm。前部座席のドアからは出られないが、後部座席ドアがスライドドアになっているので、そこから出られるように、車の位置を微調整した。そして、荷室に転がっている名仮平を踏みつけない様に気を付けながら、稲森と新堂が、後部座席から薄暗い路地に降り立った。新堂達は見てはいないが、彼の部下が陸軍将校と対峙した時の路地よりもさらに幅が狭く、1メートルを切っているのは間違いなかった。足元のアスファルトは、空調の室外機から排出される水のせいか、それとも公共マナーを知らない民衆の立しょんべんのせいか、薄汚く湿り、小さな水たまりもできていた。
警察が烏合の衆ではないことは、稲盛がよく知っていたが、それでも逃亡犯がわざわざ人目の多い街中に行く可能性を、彼らが検討するのは、捜査の早い段階でないはずと見ていた。
〜2015/01/16〜
だいぶ更新頻度落ちてます。。。
久しぶりにやるゲームって怖い。。。。でも面白い。。。(冷汗)
なんか、体がだるい。。。ぁぁぁ気持ち悪い。。。
早く主人公を登場させたいぃぃ
〜2015/01/19〜
先々週日月、先週の土日のゲームプレイ時間72時間。。。。
昨日マジで嘔吐感に襲われた。。。それでもゲームやってた愚民。。。(ダメだ)
特に詰まることなく進めてるはずなのに。。。零の軌跡は我史上最長のRPG
事前情報から、エリィからティオに目移りするかと思ってたけど、どうもキャラ設定が水希と重なるところが多くて、妙な対抗意識を抱いてしまい、エリィ派継続。。。
〜2015/01/21〜
やっと。。。。やっと零は終章突入!!たぶん総プレイ時間は80時間超えるよ。。。
- AsStory 〜第11話『逃走』(更新中)〜 ( No.234 )
- 日時: 2015/02/08 19:42
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: Z28tGAff)
- プロフ: https://www.youtube.com/watch?v=LRibzM78t_0
稲盛が身を屈め、運転席から巨躯が転がっている後部荷室に移動した。気絶している陸軍二等兵の体を跨ぐときに稲盛は動きを止め、足元に視線を落としていた。人間は寝相に性格が表れるというが、背中を丸めて縮こまっているこの男は、駅前戦闘で見せた鬼神ぶりとは裏腹に、臆病な奴なのかもしれない。親指が立てられた状態で左右の拳がが顎のすぐ下まで近づけられている姿を見て、つい指しゃぶりをする巨大な幼児を脳裏に浮かべてしまった。
稲盛が己のナンセンスな想像力にしかめ面をしながらも、男の手首に電気ショック付手錠がかけられ、上から絶縁素材の手袋をかぶせてあることを確認した。
電気ショック付き手錠は、輪の内側に電極がついているため、手錠そのものから他の人間が感電するケースは極めて稀だが、手錠を掛けられた手や腕の皮膚を介して、他の人間に感電してしまう可能性は認識されていた。しかし、この致命的な欠陥に対応しようとすると、今度は容疑者を制圧する効果が大幅に損なわれる可能性があることに加え、電流が流れている間、手錠を掛けられている対象者に身体の自由がきくはずもないという現場の憶測もあり、根本的な対策は後回しにされ、とりあえず電気手錠をかけている時は、何らかの形で感電防止措置をとることが推奨されていたのである。
稲森は狙撃手という、常に慎重さと周到さが要求される任務を多くこなす仕事柄、件の電気手錠の欠陥が及ぼす影響にも悲観的な見方をしており、今の応急措置には心許なさを感じていたが、手持ちの装備ではこれ以上の措置はとれない。後ろ手にしようにも、この大男の腕は、無意識状態でもこちらの思い通りには動かすことができなかったのである。
稲盛が前部座席の方に目配せをすると、スライドドアを開けて外に出た。
新堂が助手席から周囲を見回し、異状が無いことを確認すると、上体の正面にMP5をぶら下げ、稲盛の後に続いて後部座席に移動した。帰還転送処理を実行するのにわざわざ外に出る必要は無いのだが、狭い車内でじっとしているのは危険行為だという、幾多の危機的状況を刻み込んできた己が記憶の訴えに忠実に従った結果であった。
新堂が陸軍兵士の巨体を跨いだまま、荷室の後ろの方に置かれている大型のバックパックを引き寄せた。バックパックには、使う機会を逸した約50kgに及ぶ野戦用兵装、兵糧が入っている。一番外側にSIGがバレルとストックが折り畳まれた状態でゴムロープでくくりつけられた姿を晒しているのが、彼らが如何に焦眉な事態に陥っていたかを、言葉もなく語っていた。
幅広の肩紐の付け根を両手で掴み、持ち上げると、バックパックの底が名仮平の胴体に掠りそうな位置で前後に揺れていた。新堂が微かに瞼をみひらいて更に拳を引き寄せる。体を固め、しばし巨躯が息遣いで膨らみ、萎んでいくのを凝視していた。変化はない。電気ショックで気絶したままの、意識の介在しない自然な動きが淡々と続いていた。再び腕を動かし、スライドドアまでのわずか数十センチを動かす間、慣れているはずの50kgの重量が異様に重たく感じられた。
新堂が鼻息を撒き散らしながら、車の脇に立つ稲盛にバックパックを渡すと、今度は己のバックパックを引き寄せた。予想以上に筋力の無かった女性の部下から引き受けた分もあるため、重量は70kg近い。腰に余計な負荷のかからぬよう姿勢に気を付けながら、左右の足の踏ん張りをきかせて持ち上げた瞬間、やわめに調整されている宅配車のサスペンションが大きく軋み、重量物に引っ張られるようにして、前方につんのめった。
短く鈍い衝撃音と同時に、荷室が更に大きく揺らぐ。小さな荷室の窓越しに、丁度宅配車の脇を通り過ぎるところだった二人連れの青年らが、横っ飛びで車窓から姿を消す瞬間が視界の端に見えた。新堂の顔が刹那歪んだ。バックパックの底面は劣悪な環境での運用にも耐えられるよう高硬度のジュラルミン板が嵌め込まれているが、それが荷室の床を穿つことは無かった。70kgのバックパックは、床板ではなく、床板に転がっている陸軍兵の右ふくらはぎに落下していた。膝下は頑丈な軍用のブーツに覆われてはいたが、軍靴の外郭は大きくひしゃげ、衝撃の殆どが大男の神経に伝わっていることは間違いなかった。
新堂の左右の耳孔で最後に聞いた鈍い音が何度も跳ね返り、それぞれが共鳴しあい、主の意識を瞬く間に埋め尽くしていく。共鳴の音量がピークに達しようとした時、背後から新堂を呼ぶ力強い男の声が、彼を刹那の恐慌から引きずり出した。正気を取り戻した男は息を吸い込むより先に、先の男性の声とは異なる、更に低い声を、更に低い場所から響いてくるのを耳にした。いや、耳にするというよりは、足の裏のあたりから、臑と膝と大腿を伝い、背骨を震わせて全身で喰らったというのに近かった。
息を吸い込む前にもう一つ、動作を割り込ませる。両方の上腕二頭筋をラグビーボールのように膨らませ、うなり声の代わりに沸騰したやかんのように熱気を鼻の穴から噴き出しながらバックパックを持ち上げた。肉付きのよい成人男性一人分はあるバックパックが、新堂の予想よりも遙かに軽く、予想よりも遙かに高いところまで舞い上がっていた。バックパックの推力の大半は、新堂の腕ではなく、呻き声を吐き出しくると同時に上に振り上げられた、陸軍兵の右足だった。バックパックが宅配車の天井に激突し、荷室の内装の何かが砕け散る音がした。プラスチック片と共に、狭い虚空を落下し始めたバックパックを、新堂が引き寄せ、スライドドアから身を投げ出す。
稲森が肩の高さから飛んでくる累計100kgを越える人体と武装の塊を抱き留め、どうにか上体をひねって新堂を右の脇に着地させる。即座に新堂の胸のストラップから、MP5をはずし、両手に構えると、腰を落とし、宅配車後部の狭い出入り口を隙間無く埋め尽くす、巨体に銃口を向けた。意識が朦朧としている陸軍兵が右手で拳を固め、右の額に当てて俯き、呻いていた。右足は特に痛みを感じているような素振りを見せていないことに、稲盛の全身に戦慄が走った。稲盛の右後方で、新堂の足音が止まっていた。MP5は稲盛が持っているので、彼が今何を以て対抗しようとしているのか即座には見当がつかないが、とりあえず体勢は整ったらしかった。
「ここは、どこだ」拳で頭を押さえたまま、名仮平が唸るような声をあげる。
「軍曹と少尉はどこだ」名仮平の左足で床面を擦りながら前にやり、そのまま荷室の床の縁にかけた。
兵士の岩壁のような威圧のオーラに、手練れの二人が我知らず身を半歩ひいていた。
「あの二人は時空間移動法違反の罪で身柄を拘束され、管轄の警察署に護送されているところだ」
稲盛の斜め後ろから、新堂が気を奮い立たせて言い放つ。
「お前もこれから護送するところだ」
稲盛が半身になり腰を落とした。
「悪質な抵抗の場合は電気ショックでの使用が認められている。それでも収拾しない場合は射殺もありうる。大人しくしているのが身のためだ」
体内で熱せられた二人の吐息が、幾重にも霧の球体を作り出し、陸軍兵との空間を白で埋めていく。3人のいる方とは反対側の——一般市民が行き交う通りの方の——湿っぽい街並みもやや静けさが強くなっていた。
「俺の上官が二人とも……護送」
虚ろな目つきの陸軍兵の様子に、新堂と稲盛の脳裏には、眼前の巨漢が再び暴走する光景が過っていた。だが、二人の懸念とは裏腹に、男は右の拳を頭に当てたまま、反対の手も酷寒の冷気が余程堪えるのか、拳を固めて腕を垂らし、魂が抜けたように虚空を眺め、床に膝を落としていた。MP5の銃口がターゲットのくず折れる速度にあわせて下がっていく。
まだ抵抗を受ける可能性は高い。名仮平との間に存在する数歩分の間合いを、一歩二歩と稲森が詰めていく。何はともあれ、あの大男を元の時代の警察署に連れて帰るには、時空間転送システムのスイッチを装着している人間に触れさせなくてはいけない。あの兵士が抵抗を見せたら、再び手錠とMP5で気絶させられるのに、奴さんがなまじ大人しいせいで、実力行使ができない。相手が意識を持った状態で接触しなくてはならない。稲森が名仮平を刺激しないように、呼びかけをしながら、もう一歩詰める。あと二歩くらいだろう。すると稲森が顔を右に向け、更に視線右に向けて背後の新堂に目配せをし、稲森が兵士に触れる前に、あらかじめ新堂が自分に触れておくよう合図を送った。
〜2015/01/31〜
なんか無性に予告用短編書きたい気分。。。。
今度はファンタジーパートのキャラで。。。
書くとしたらアロマ、アレスタ、スカユフあたりかなぁ。。。
〜2015/02/06〜
icoの主題歌『you were thre』。。。とても切ない曲なのですが、それをとてもゴージャスに、オーケストラアレンジ(シンセだけど)したもの見つけた。。。。
ico テーマソング『you were there 〜dramatic orchestra arrange〜(by Laura "Yorda" Intravia)』
(勝手に命名)
気になった人は参照から。。。。
〜2015/02/07〜
今、"ico"の小説読んでるけど、非常に重要なことに気が付いた。。。。。
まだ、ico、クリアしたことないっっっ。。。。。(何ィ?!!)
- AsStory 〜第11話『逃走』(更新中)〜 ( No.235 )
- 日時: 2015/02/13 01:22
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: WkkVAnf4)
新堂がわずかに首肯すると、右手に収まっている電気ショック付手錠のスイッチをいつでも押せるよう握り直す。素早く稲森に左手を伸ばすと、宅配車でへたり込んでいる大男の様子を確認した。特に異状は無い。呆然として俯いたままだ。
稲森が左手首に装着している腕時計の形状をした時空間転送システムのスイッチを外し、左手で持った。一歩進むと、残り一歩を残して右腕を伸ばした。一番近いのは兵士の膝のあたりか。兵士の肉体の動きの僅かな変化も見逃さず慎重に右手を近づけていく。
稲森が呼吸のペースを落とし、耳を澄ませる。すると、他の感覚も鋭敏さを増した。頭上では雲が流れているのに、壁と宅配車に囲まれた狭小の空間は、冷気が底にこずんでいる。3人が発する物音は一切聞こえず、宅配車の向こうの町の雑音ばかりが聞こえていた。
少しでも妙な動きを見せたら、MP5を至近距離でぶっ放してやる。覚悟の文句を胸の奥で唱えると、静かに大男の膝頭に触れた。大男は身じろぎ一つしない。急いで稲森が時空間転送システムのスイッチを押した。稲森の右脇に移動した新堂が、稲森の左手を凝視していた。
静の転送処理を見る限りでは、完了するまで長くても20秒。この20秒を乗り切れば任務は成功裏で完了だ。
呼吸が無意識のうちに1秒ずつになっていた。右の袖を見ていると、向こうの地面が透けて見えてきた。もう少しだ。ふと稲森の視野の右下隅で兵士の左手がピクリと動いたように見えた気がした。
残り10秒を切っていたはずだった。瞳が捉えた光景がすぐに錯覚ではないことに気がつき、同時に手遅れになったことを悟った。
稲森の顔面を覆いそうな巨大な拳が膝頭にある手首を掴んで一気に引っ張ると、拳が稲森の頸を鷲づかみにした。胸下げたアサルトライフルに手を伸ばす暇など全く無かった。
「稲森!」新堂が電気ショック付手錠のスイッチを押し込もうと右手に力を篭める。
だが、新堂はスイッチを押せなかった。他の人間の感電防止のために名仮平の手に被せた絶縁素材の手袋の指先が破れ、生身の男の指が稲森の頸に食い込んでいた。
——くそっ!いつの間に!妙に手を握り締めたままだったのはこのためだったのか。
「新堂さん、手錠のスイッチを!」
新堂の瞼が真円に見開かれた。できない。スイッチを押せない。最強の警備隊員の刹那の逡巡が、陸軍二等兵の更なる行動を許してしまった。
恐らく残り5,6秒——。3人の姿が殆ど透明になった時、名仮平が左手で稲森を掴んだまま、宅配車の縁からダイビングをした。
新堂の周囲に深い影が落とされた。頭上から2メートル50cm、重量300kg近い人の塊が新堂の空を覆い尽くしていた。絶叫はすぐに巨躯に止められ、意識の混濁した新堂に、稲森をゴミくずのように投げつけた。
そして名仮平が鬨の声をあげ、脇に飛び退いた。積み重なった2名の警察代行の姿が殆ど風景と判別がつかなくなっていた。
——逃げ切った。
二人が白光に包まれる。
——このようなところで終わるわけにはいかんのだ。
白光が徐々に輝きを失っていく。
——軍にはいられない。俺に、帰る場所は無い。
光が完全に消えた。逃げ切った。だが、どうする。
これからどうするのだ。
両肩をしきりに上下させ、重たい手つきで宅配車の助手席のドアノブを掴んだ。
(保留)
〜2015/02/08〜
名仮平、なんと逃げ切っちゃいましたねぇ。。。。
名仮平に終了フラグ立てて読まれてた人に対しては。。。。僕の勝ちだ(ぉぃ)
でも、まだこの回続きますので、「保留」です。。。。(長ぇょ!)
久しぶりに入賞作品リスト、昔から溯ってみてたら、原作(原作予定)の2作品がでてきて、少々溜息。。。。
ECとウェルリア、また更新再開しないかなぁ。。。。とか。。ね。。
〜2015/02/12〜
ちょっとキャラ設定を更新しました。。。。ほんのちょっとです。。。 >>206
ただし、3DCGの女の子の絵とか苦手な人や、美少女げーに嫌悪感を感じる人は、絶対見ない方がいいです。。。(何?!)
- AsStory 〜第11話『逃走』(更新中)〜 ( No.236 )
- 日時: 2015/02/18 21:24
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: NSxNy3Qq)
- プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode=image&file=3901.jpg
ベンチシートになっている運転台の座席を体を滑らせてハンドルの前にくると、キーを差し、STARTまで捻った。甲高い音が暫し連続したのち、ガソリンエンジンが内部にため込んでいた体臭を、地を震わす低音と共にケツから一気に放出した。数分の間に冷え切っていたエンジンを通して、冷たい風がエアコンの送風口から流れてくる。
ここに着いた時よりも明らかに静寂がかっている界隈の空気にのって、時々聞こえてくる人々の話し声と視線の中に、己の方を向いているものはどれほどあるのだろうか。まだこの時代の警察の捜査の手を免れたわけではないが、一難去ってふと気になっていた。周囲の視線や反応を気にするのは、軍人の職業癖故ではない。もっと前から、この男が巨躯と朴訥な己が性格に引け目を感じ始めた頃から、幾年もの歳月を経て体と心に染み着いた性癖だった。
1.5人分のスペースを占める上体を猫背にして、名仮平は身じろぎ一つせず、険しい表情で暫しハンドルを見つめていた。車の外の喧噪が徐々に意識から遠のいていき、仕舞いに名仮平は静寂の中に身を堕としていた。
幼少の頃から何をやっても人より劣り、周りから馬鹿にされてきた。男子なら羨望の目で見られることもあるはずの長身も、誹謗中傷の種にされた。それでも両親は出来損ないの彼を見捨てず、我が子を慈しみ、時には叱咤し、ひたすらに愛をもって接してくれた。一人っ子の彼には、両親だけが信じられる人間であった。
そして、何とかして両親の目の黒い内にこの大きな恩を返そうと、唯一の取り柄である馬鹿力を頼りに、陸軍を志願し、入隊することができた。だが、結局ここでも要領の悪さは直らず、学生の頃と同じ道を辿ろうとしていた。人格を否定され、器物のように扱われる日々がまた蘇ろうとしていた。いや、ただ生理的な嫌悪感からコケにされていた子供の頃よりも、幾重もの奸計の上に成り立つ大人のいじめの方が遙かに陰惨、陰湿であるのは言うまでもなかった。そんな中、機を見計らったかのように己が身に届いた強化装甲兵テスト運用参加の指令。世界でも前例のない、生体を装甲とする技術のモルモットに、己が選ばれた理由はすぐにわかった。あまりにも露骨な仕打ち故に、上官がブリーフィングでこの指示が出された経緯を回りくどい言葉で説明していたのが、馬鹿らしくさえ思えた。
俺は役立たずの烙印を押され、軍のモルモットとして、肉体や精神はおろか、命までも百円の玩具のように弄られ、壊され、使い捨てにされようとしている——。
己が身に降りかかる災厄がどんなに克明に見えていても、日本海溝よりも深い軍のヒエラルキーの底辺にいる一兵卒に選択の余地は無かった。失敗する可能性の方が高い、頭蓋骨全部の改造手術と頸強化手術を乗り越え、幾つかの後遺症という爆弾を抱えつつも世界初、人類有史以来初の肉体が装甲化された生身の人間の兵士が誕生したのである。
そして、思わぬおまけも付いてきていた。今日任務の現場に出向き、実戦を経て初めて気づいたのだが、全身の筋力も大幅に強化されていたのである。攻撃系を強化するとなると、海外の目が厳しくなるために公にしなかったのだろう。駅前戦闘で、図太いボルトでコンクリートの地面に固定されているコインロッカーを引き抜けたのも、あの巨漢覆面の運び屋を片腕で吊せられたのもそれがためであった。恐らく1兵士の能力で比べるとしたら、地球上で最強の部類であることは間違いなかった。
誰もが無謀と考えた、だからこそ名仮平の最後のミッションにされた、世界最凶の闇組織の構成員の身柄拘束。人類の叡智を結集したこの力を以てすれば、決して不可能ではないことが、己が五感を通して思い知らされた。先ほども、名の知れた警察代行の隊員ともう一人を伸してきたばかりだ。
名仮平の意識が現の音を感じ始める。居眠りから醒めたかのように、頸をバネのようにのばした。フロントガラスを通して見える風景は、最後に見たときと何が変わったのかわからなかった。どのくらい沈潜していたのだろうか。知らぬ間にハンドルを握っていた。左右の手にジワリと力を籠め、ステアリングの感触をじっくりと味わう。何故か、冷たく硬い樹脂製の輪から受ける反発力が、己に潜む何かの覚醒を促しているように感じられた。こんな感覚は生まれて初めてだ。
両親の労苦に報いるために、己を足蹴にしてきた人間どもを見返してやるために、陸軍に入隊したのに、そこで感じるべきであったはずのこの感覚、名状しがたき希望の炎の熱さ。何かできるはずだ。例え己の向く先に正義が見えようと悪が見えようとも。
——何かしてやる。この力で・・・。
「何かしてやる!」
沸き上がる意志を漏らさぬように、声を押し殺して叫ぶと一瞬、右のこめかみに針で刺したような痛みが走った。急に興奮して頭に血が上ったか。即座にその考えを振り払った。
——違う。
今度は同じ側のこめかみから、一条の冷や汗がごつごつした大男の肌をゆっくりと舐めていった。そしてまた頭部に疼痛が走る。今度はもっと額に寄っている。
「まさか、いやまだ早過ぎる——」
また痛みだ。今度は拳大の石を頭蓋骨の内側をガリガリと削られるような激痛だ。しかも一瞬ではない、まだ続いている。名仮平がハンドルから両手を放し、二つの拳で力の限り額を叩いた。叩いて呻いて、そしてまた叩いた。
宅配車が音を立てて右に左に、前後左右に揺れ、車を中心に、少し距離を置いて人の輪が作られていく。何人かは先を急ぐため輪を外れ、また別の何名かはスマートホンを取り出し、警察に通報している。更に別の何名かは、滅多に見られない異常事態に、好奇の感情に流されるがままに、カメラのレンズを向けていた。
死ぬまで続くかのような痛みが急にひいた。全身が蒼白になり、恐怖で指先から足の指からあまねく肉体を震わせて、身につけていたジャケットの内ポケットをまさぐった。右、じゃない。左だ。確か左に錠剤を入れたはずだ。
大きな力を手に入れた代償。それも同じくらいに甚大であった。装甲化手術の副作用を沈静化する小さな錠剤を手にするために、狭い運転席で巨躯をのたうち回らせ、足掻いていた。副作用がいつもよりも早く発症していた。激しい戦闘の影響なのか。恐慌に陥っている名仮平の脳裏に心臓に、不測の事態の元凶として思い当たる事象が無数の氷の礫となって突き刺さってくる。希望の炎はその形を保ったまま氷の像と化していた。
——あった!
予想通りの場所に期待するもの見つけ、強面が刹那緩む。そして錠剤の包装を破ろうとしたその時、再度激痛が襲った。さっきよりも更に痛みが酷くなっている。回数を重ねるにつれ、症状が重たくなっている。名仮平が絶叫した。錠剤を手放すことは無かったが、あまりの激痛で錠剤を手にした拳を解くことができなかった。拳だけではない。両腕が痺れていうことをきかない。
音圧を更にあげた雄叫びに身を任せ、名仮平が上体を全力で折り曲げてハンドルに顔面を叩きつけた。ハンドル中心に点々と血糊がこびりつき、クラクションがけたたたましく鳴り響く。肉体を傷つけた痛みよりも、内側から沸き上がる痛みの方が勝っていた。直ぐに巨躯を起こし、同じことを繰り返した。そのたびにクラクションが唸り、血糊の飛び散る領域が広がっていった。
連続するクラクションと何かがぶつかる鈍い音の連続に、他人事のように様子を眺めていた人だかりが一気に霧散した。
額からおびただしい本数の真っ赤な筋を垂らし、意識朦朧になっても、痛みはひかない。鼻も潰れ、唇が切れていた。ハンドルの中心が原型をとどめられないほどに砕かれていた。それでも名仮平が上体を投げ出そうとすると、一瞬バランスを失い、床で踏ん張っていた右足が床から浮き、横滑りした。正体を失った名仮平が、無意識に右足を踏ん張り直した瞬間、後の祭りが始まりの刻を迎えた。
運転台の斜め下前方からエンジンのすさまじい回転が響いてくると、FF方式の宅配車が左右の前輪から白煙をあげて急発進した。名仮平の体が背もたれに強かに打ち付けられた。巌のように堅い頭蓋が、宅配車のヘッドレストをへこませた。
繁華街の100mに満たない短い道路を時速60kmで突っ切り、更に加速した緑色の宅配車が、駅前ロータリーの歩道に突っ込んでいった。尻餅をつき絶体絶命の利用客等の目と鼻の先で、車体が歩道の縁石に引っかかり跳ね上がると、斜め右に方向転換してまた一直線に猛進した。寸でのところで宅配車との接触を免れ、別の方向に逃げていた乗降客らが、宅配車のイレギュラーな動きにパニックに陥っていた。ヒールに足を取られたOLと思しき若い女性を車体の際で接触し、脇に飛ばした。次の瞬間には、転倒していたスーツ姿の男性の右足をひいた。
加速し続ける車輪のついた鋼鉄のの殺戮マシンは、ロータリー脇のガラス張りのベーカリーに牙をむけた。そこには逃げ場を失い大きな窓ガラスの前に立ち尽くす、丈の長い漆黒のピーコートを羽織った女子高生の姿があった。1秒も経たぬ内に車は学生をガラス諸共、4メートル向こうの厨房まで弾き飛ばしていた。宅配車はガラスと人体の衝突時の衝撃で、その場に横転してようやく止まった。
——クラクションは未だ、鳴き続けていた。
——パトカーのサイレンが低層ビルの列の向こうから接近してきていた。
——口から血を流す学生を抱える店主の声が、開け放たれた店の正面から飛び出していった。
幾多の人為の音が複雑に絡み合った無色透明の塊が、霧の晴れた群青の空を昇っていった——。
(保留)
〜2015/02/15〜
まだまだ保留です。
今メインPC、サブPCがアク禁になってしまい、最後の希望の光のPCから投稿しています。。。。。
最初URL入れたからかど思ってましたが、URL入れてないじゃん。。。。
何故。。。。。。。
で、あとついでに、キャラ絵アップしました。。。。
いつもゲームのキャラメイクで作った画像のっけてますが、今回は何を血迷ったか、ペンタブとデッサンツール(Design Doll)で描きました。。。。なのでラフ以下クオリティです。。。。(汗)
ちなみにキャラは最後に登場した(車に轢かれた)玄漆 黒衣(くろうる くろえ)です。。。。
身長180cm超の8頭身女子です。。。
(長身黒髪ベリーショート最高っっっ。。。。) (ぇ???)
それでは、また〜〜〜
- AsStory 〜第11話『逃走』(更新中)〜 ( No.237 )
- 日時: 2015/03/08 14:58
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: WkkVAnf4)
- プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode=image&file=3949.jpg
二〇一二年一月二十日 午前10時過ぎ 黒鐘町某病院内——
南向きの病室の窓の向こうには、冬枯れた街路樹——確か夾竹桃だったろうか——の並木が手前から向こうに続いていく風景が広がっている。時々それらの梢がしなっているのがはっきりと見てとれるのは、外は関東山地の山々から吹き下ろす身を切るような寒風が吹きすさんでいることを示していた。睦月の弱々しい陽光に温もりを望むのは愚昧なことであることを、この地に住まう人々は知っている。そして午の刻にかけて太陽が気温を押し上げるよりも、寒風が勢いを増し、体感温度を引きずりおろす方が顕著であることも、永年の暮らしの中で思い知らせれている彼らは、睫が氷柱のように凍り付く午前でも、果敢に外出の用を済ませるのである。あとは風が凪ぐ宵の口まで悲鳴のような風の声を聞きながら、ひたすら屋内で過ごすのである。
今日は特に分が悪い。寒風に加え、町を飛び越え南の地平線の彼方まで延びている国道の切れ端の上には、黒雲が集まってできた塊が浮かんでいた。高さは低い。密度も相当高そうで、周囲の空はまだ青さを残しているのに、そこだけフェルトペンで塗りつぶしたように、くっきりと黒く染まっていた。
機密性の高い二重構造の病室のサッシュは、そのような風の忍び込む余地を針の穴ほども与えなかったが、嵐の予兆を隠すことはできなかった。それでも室内とその中にいる患者の精神の平和と安寧は、二枚ガラスと入り口の扉が破壊されない限りは守られるはずだった。
毎朝、空で烏ですら可愛く思えるほどの暴君ぶりを発揮する椋鳥の大群は、日の高く昇る今時分は、いずこかになりを潜めてしまっているようだった。閑散とした窓の景色に烏がちらほらと入ったり出たりしているのを見ると、我知らず郷愁を覚え、ため息を漏らした。
「ため息つかせるならやっぱ至紀ちあ——」
現在社会現象を巻き起こしている美少女ゲームのヒロイン姉妹の名前を言い掛けて、慌てて河豚のような顔を左右に振った。顔が極めて重たいせいで、ちょっと首を振っただけでも肩に張りを感じる。
折角静かな病室で——いかにもシナリオ系美少女ゲームで不治の病を患った少女が永い日々を過ごしてそうな空間で——ポエミィな気持ちに肩まで浸ろうと企んだのだが、生粋のゲームアニメオタク——よりによってR18限定——のこの青年には、100年経っても無理な話だった。
少し規模の大きな診療所ならありそうな、6床のベッドがある病室。通常は個々のッドは消毒処理された純白の分厚いカーテンで仕切られるのだが、青年のベッドは、彼が目を醒ましたときには正面が見える程度には開けられていた。光曳の病室はこの男だけで独占されていた。窓際の区画に居座る光曳は、向かいのベッドからの眺望も己の気の向くままに愉しむことができるのである。恐らく今日中には退院するであろう人間には、あまりメリットの無いことではあるが、僅かの期間、光曳は部屋の主で居られるのであった。
部屋の中で音を出す可能性のある物は、ベッドの脇のサイドテーブルに無造作に転がっている、コードレスのナースコールボタンくらい。主が音を立てようとしなければ、10坪足らずの空間は静謐そのものになるはずであった。現実にそうならないのは、開けっ放しの——これは患者が一人でも閉じられているべきだと光曳は感じているのだが——部屋の扉からのべつ幕なしに聞こえてくる、隣室の子供の声や、廊下を忙しなく行き交う看護士等のシューズの音のせいであった。ただ、その音も光曳のベッドの向かいの壁越しにしか聞こえてこない。背後に聳える壁は冷たく沈黙を貫いていた。人間二人分程度の広さの出入り口から見える様子を暫く眺めていても、看護師がこの部屋の出入りの前を横切って反対側に消えていった所を目撃したことも無かった。
どうやらこの病室は、建物の端か、背中の向こうには病室以外の施設があるようだった。端っこの部屋。そして、患者が多くいるような雰囲気がするのにここだけ隔離されているかのように大きな一人部屋。病院って1から順番に患者を詰めて配置していくのだろうか。今まで考えもしなかったが、いつも時間を浪費させてくれる、電気喰いのヲタクの友が手元にないと、どうでもいいことが瞼の裏に思い浮かんできてしまっていた。
「あ、そういや——」
出し抜けに声を上げると、両足の動きを封じているスポーツバッグに注意を向けた。ナイロン生地に、無骨な白いフォントで高校の名称が銘打たれ、最後に「陸上部」とある。汚れを目立たせない配慮からか、地色はネイビーであったが、恐らく学校のグラウンドのものであろう土埃で全体に薄黄色のスクリーンがかかったようになっていた。バッグの底面のあたりがもっとも汚れが酷く、病院の純白の掛け布団のカバーを盛大に汚してしまっていた。うなだれてため息をつき、軽く悪態を吐いた。年齢的にも、容姿からしても、ベッドの主の所有物ではないことは、火を見るよりも明らかであった。
高校、部活の文字の右下に、小さく「光曳」と持ち主の姓が縫い込まれている。
光曳梓には姉弟がいた。2歳上の姉が一人と2歳下の弟が一人。梓は長男だが実際は上下を二人の姉弟に板挟みにされた、ちょっと面倒なポジションだった。
「藜ぁ」
人様の器物を汚す愚かな弟の名前を、ため息混じりに呟いた。光曳 藜。兄弟の名前に共通性を持たせるのはよくあることだが、光曳気は、漢字一文字の植物、そして「A」と「Z」という条件をつけていた。特に意味はない。たまたま一人目の子供に漢字一文字の名前を付けたがために、二人目が生まれた時になんとなくこの条件ができただけである。「A」と「Z」を選んだ理由を強いて言いうならば、響きが気に入ったからである。
バッグが置いてあるということは、本人が近くにいるはずだが、廊下の方でもそれらしい声がしない。多分兄が暫く起きないと思って待合室でテレビかゲームでもやって時間を潰しているのだろう。スポーツバッグの一番外側のファスナーが開いている。確度は9割だ。弟の様子を思い浮かべ、虚しさに頸を小さく左右に振るともう一度溜息をついた。
光曳の弟は、今までテレビゲームは滅多にしなかったが、最近スマートホンを買ってからは少し時間が空くとすぐにゲームアプリを開いている。小さな画面にかじりつき、その上で人差し指をひたすらに滑らせ続ける。電車内や大学の講義の合間によく見かける光景だったが、まさか家に帰ってもそれを見させられるとは思ってもみなかった。光曳藜は、筋金どころか鉄骨が背骨を貫いていそうなほどに、古典的ヲタクである兄とは、見た目も立ち居振る舞いも好対照な、陸上競技(主に長距離)に没頭するランナーなのだ。ランニング中の弟の集中力の高さは目を見張るものがある。が、それがゲームにも向けられてしまったのだ。
再び肩を落とし、並木の枝が盛んに揺れる、病室からの眺望に刹那心を向けた。
——たぶん一度始めたら、警備員に声掛けられない限り没頭しているだろうな。
冗談ではないだけに、苦笑する余裕が無かった。
病院の待合室で面会に向かう様子もなく、呼出しを待っているわけでもなく、ひたすらゲームなんて情けない、情けなさ過ぎる。
——ゲームやるなら大画面とヘッドセットとパソコンでやれ!愚弟よ。
「呼びに行くか、メンドクセ」
ベッドが痛々しいく音を立てて軋む。
「こっちが病人だっつうのにな」
手を掛けたステンレスのベッドの手すりが、大きく傾ぐ。
軽く掛け声をあげて右足を床に落とした瞬間、サイドテーブルの引き出しの中から携帯電話の着信音が響いてきた。いつのまにあんなところに携帯電話を入れたのか思い出せないままに、引出しを開くと、サブディスプレイのインジケータにショートメールのマークが点灯していた。
弟からだ。一歩目を踏み出したところでメールに目を通した。
『あっくん、おきたか?』
入口までの短い道のりを進みながら、予想外の出来事に少し目を丸くして即座に返す。『今起きた』
『そっちいく すごいことになってんじゃん けーさつきてる』
光曳が足を止めた。顎をしゃくり、眉を顰め、俯いたまま病室の入り口で立ち尽くしていた。
〜2015/02/18〜
アク禁から復帰できました〜〜!!!
復帰第1話目は、なんとついに、久しぶりに、実に3年ぶりくらい?の登場です!
本作品の主人公、光曳梓!!
駅前戦闘してた奴らとどう絡んでいくのか。。。。
そして新たな登場人物、玄漆黒衣。。。この子も出端からトラックに轢かれてるけど、ちゃんと物語に入っていけるのか。。。。(汗)
現在進行形でとても悩んでます。。。(ぇ????)
改めて、これからもよろしくお願いします〜〜〜
〜2015/02/21〜
黒衣に続き、今度は、光曳梓の弟が登場です!結構なランナーです!
しばらく光曳ルートの登場人物増えてくかも。。。。
〜2015/02/22〜
またまたキャラ絵描いてみました。。。。今度はメクチ。。。
約900年前のある男爵の娘。
光曳梓に「茜色」と評された、ほぼ身長と同じ長さの髪が最大の特徴。。。
人であることをやめさせられた時にかけられた呪いのせいで、着用する衣服が全て黒く染まる。
- AsStory 〜第11話『逃走』(更新中)〜 ( No.238 )
- 日時: 2015/04/11 17:35
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: NSxNy3Qq)
空きベッドを手本にして、掛け布団の元々の敷かれかたを再現するべく、掛け布団をを宙にはためかせると、あとは地に引かれるにまかせた。だが期待したように真っ直ぐにならない。太身の青年は、スライス前のハムのような手首にシーツの端を巻き込むと、同じ動作を繰り返した。
真冬以外は毛布1枚に適当にくるまり、パソコンのディスプレイの前で寝落ちする日々を送っている青年には、皺なく掛け布団を敷き直すのは至難の業だった。それが今の彼には丁度よかった。弟がメールを打つ傍らに立っていたであろう警察が来るまでの僅かな時間でさえも、静寂に我が身、我が心を落とし込みたくなかった。
己が端の病室に置かれている理由は、凡そ見当がついた。だがなぜ警察が自分を尋ねに来るのかがわからない。覚えがないし、もし己が何かの事件の容疑をかけられてしまうようなことがあったのだとすると、記憶を辿るのが怖い。今は傷病者として扱われるかもしれないが、果たして自分は糾弾されるべき悪人なのか、憐憫を給われるべき被害者なのか、一呼吸分体が動きを止めただけでも、瞼の裏で光と闇の光景が絡み合った二つの凧のように乱れ舞う有様だった。
やがて、それでも心を蝕む不安を抑え切れなくなってくると、新たな憂患が頭の右隅あたりに現れた。彼の弟はメールに警察のことしか書いていなかったが、両親や姉もここに来ているのだろうか。不意に、起きてから何も食べていないのに、下腹部のあたりで大腸が締め上げられ呻いているかのような、気色悪い音を発すると、間髪入れず光曳は強い便意を催した。
慌ててトイレに向かおうとすると、病室の入り口で、ダークスーツを着た、がたいのよさそうな男の二人組と鉢合わせした。テレビドラマによくある、ベテランと若手と言った組み合わせではなく、二人とも年齢が近そうで、どちらが目上なのか区別が付かない。少なくとも20代半ばの姉よりも年上を思わせる、脂の乗り始めた男の迫力があった。向かって右側の刑事は、さっぱりとした短めの黒髪を、流れに逆らわず撫でつけていた。背の高さは、頭の天辺が光曳の目の高さまであり、一種見やっただけでも肩も相当張っているように見えた。言葉を発しているのはこっちの刑事ばかりであった。もう一人は、光曳の挙動を観察しつつ、左手に持った手帳にメモを取りつつと、忙しく動いていた。少し長めの黒い髪を七三に分け、細長いレンズに薄い黒縁の眼鏡を掛けている。そして引き締まったシルエットのスーツを着て、きちっと直立不動の姿勢を保っていた。こちらの刑事も、右側の刑事ほどではないが、背が高く肩幅もあった。しゃべっている方の刑事とのやり取りに気を取られて、それ以上のことはわからなかった。ただ、二人の刑事に共通して、彼らのスーツの地色に負けず劣らず、その表情にも、名状しがたき悲壮感の影が堕ちているように見えた。
二人の後ろには藜と両親が横一列に並び、両親は憔悴しきった顔を光曳に向けていた。弟は一見、神妙そうに見えるが、矢庭に顔のうつむかせたかと思うと、ウールのコートのポケットに左右の手を突っ込んだまま口の端を異様に堅く結んでじっとしている。兄のことなど二の次で、これから起きる出来事に胸が踊るのを必死に堪えている感じだ。姉の姿は一見したところ見当たらなかった。たまたまその場を離れているだけなのか、それとも病院に運び込まれた弟の心配よりも、アルバイトを優先しているのか、姉の性格からしてどちらの可能性も十分にあることを思い出すと、一瞬光曳の表情に陰がかかった。
「警察の、方、ですか?」決まりきった言葉を、途切れさせて言った。
「栃木県警捜査一課の伍頭といいます」張りつめた佇まいからは思いも寄らぬ慇懃な言葉遣いに、思わず光曳は、目礼をしてきた二人に、深々と腰を折り曲げて礼を返していた。
体を戻すと、左側の警官が内ポケットから名刺代わりに警察手帳を取り出し、胸の前に掲げていた。上の空で名前も役職もろくに確認できずにいる光曳に、伍頭と名乗る警官が何か言おうとしたが、光曳がトイレに行こうとしていたのを思い出すと、手帳を掲げる警官に一言添えてその脇を抜けていってしまった。
だだっ広い背中が建物内に不規則に張り巡らされた廊下の向こうに隠れると、5人の視線がそれまで向き合っていた方向に戻った。息子が無事に目覚めたのを見て気が緩んだのか、両親の双眸が一瞬、開いているのが限界と訴えんばかりにやや閉じかけた。あの青年が病院に運びこまれたのは深更の2時頃、目の前に居並ぶ青年の家族等はきっと徹夜明けに違いなかった。
伍頭が、失礼にならない程度に、ゆっくりと言って聞かせるように、間をおきながら声を大きめにして、話しはじめた。病室の外の喧噪は相変わらずだったが、余談を許さぬ大気圧がかかる室内では、高く張りのある警官の声がやや耳に障るほど響いていた。両親はその語勢に、柳葉のごとく揺られていたが、話題が我が子の置かれている情況に及ぶと、二人の眼に俄に光が戻り、刑事の一言一句に至るまで、聞き漏らすまいとしていた。
両親が病院に来て、最初に状況を説明したのは、現場を目撃したという2名の制服警官だった。だが、彼らも一部始終を見ていたわけではないので、光曳の両親が納得できるような説明を受けられなかった。我が子が被害者なのか加害者なのかさえも、「調査中」の一言で片づけられてしまっていた。警察が迂闊に物事を断定できない事情は両親も分かってはいたつもりだったが、頭で理解するのと心が納得するのは別問題であった。本庁から来た刑事の発言に傾ける姿勢に気迫がのるのも当然であった。
今までの事件の推移を手短に話していた短髪の刑事が、一旦言葉を切り、光曳の去ったほうを改めて一瞥して、口を開いた。
「ご本人の現場立ち合いがまだですが、ご子息は被害者と見て、ほぼ間違いないでしょう」
その一言を聞いた途端、母親が全身の力が抜けたように、その場に頽れた。旦那が立つよう注意したが、立ち上がる様子は微塵もなかった。旦那の言葉が聞こえているのかさえも怪しかった。
とりあえず、伝えておくべきことを一気に喋りきる勢いで、喋り担当のほうが、現場の立ち合いの時期や連絡先について伝えた。冷静を保っている父親が、何度か首肯したのち、短髪の刑事から名刺を受取った。
「では、このことを息子に伝えておけばいいんですね?」
足もとの妻を気にしながら、父親が伍頭に訊く。
「はい。それで——」
ほんの一瞬、伍頭が間をおいた。息継ぎよりも短い間だったので、それが逡巡だと相手には悟られていないはずだ。
「息子さんに、何点か伺いたいことがあるのですが」
恐らく、伍頭が喋ろうとしたであろう言葉を、七三眼鏡の刑事が急に割り込んで話してきた。父親が刹那目を丸くし、怪訝そうな顔を斜め上の眼鏡に向けた。言葉遣いに問題はないのだが、伍頭の言葉が相当丁寧だったのと、唐突に割り込んだせいで、もう一人の態度が横柄に見えてしまっていた。
「わたしは十番と申します」
話に割り込んだことに微塵も仏頂面を崩すことなく、細長い右の中指の指先で眼鏡をブリッジを押し上げながら、言ってのける。
曲がり角の向こうから、スリッパのかかとを忙しく床面にはたきつける甲高い音が近づいてくる。その音の尾鰭のように、コンクリートの床材がかすかに震えて、刑事たちの体に低音を伝えてくる。
角から人影が現れた。絶妙なタイミングで、渦中の青年が用足しから戻ってきた。光曳が父から一言話しかけられると、明らさまに困惑の表情を浮かべて、十番の方を向いた。
「すみません。僕いまかなり混乱してて、あの時のことよく覚えてないんですが」
十番が落ち着き払った声で返す。「わたしの質問を受けていくうちに、思い出せるかも知れない」
そういうと、光曳を病室のベッドに掛けるように促した。
「それでは、ここからはしばらくご本人とだけでの確認となりますので、大変恐れ入りますが皆さまは暫くロビーの方でお待ちいただけますか」
唐突な締め出しに、両親が何か言いたげな素振りを見せたが、刑事の慇懃な言葉から滲み出る本庁の警察らしい高圧的な雰囲気を感じ、父親が妻を抱きかかえて向こうに行った。光曳の弟も、詰まらなさそうな顔をして、両親を追い抜いてロビーに向かっていった。
病室の出入り口の扉は開けたままになっていた。警察の二人は別にやましいことをするのではない。ただ、第一発見者の制服警官からあがってきた報告を受け、一点、確認したいことができただけのことだった。
病室のベッドに深く沈み込んでいる光曳のそばに十番が立ち、お面のように動かない表情で光曳を見下ろしていた。光曳は睨みつけられているようにも、微笑みかけられているようにも感じられた。これが本当の無表情、ポーカーフェイスなのかと、刹那己の情況を棚に上げて感心していた。しゃべり担当だった刑事は、少し距離を置いて窓際に立ち、窓の向こうの景色と、光曳とを交互に見ていた。そして、窓のベージュのカーテンを引いた。
光曳は潔癖な身であるのに、二人の刑事の行動に、否応なしに問いただされているような気持ちに陥っていた。
「リラックスして、あのときの光景を思い出してくれ」七三の刑事の言葉に、心の中で盛大に顔を顰めていた。できるわけないだろ。
「他の暴行事件でも言えることだが、何故そのような状況になったのか、経緯等確認しなくてはいけないことは色々ある。が、今は一つだけ答えてくれればいい」
- AsStory 〜第11話『逃走』(更新中)〜 ( No.239 )
- 日時: 2015/05/01 20:43
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: NSxNy3Qq)
- プロフ: https://www.youtube.com/watch?v=PFWedf_dmZE
十番の前置きに、光曳の目線が少し下方を向いた。一つの質問から、芋蔓式に根掘り葉掘り訊いてくるんだろう。何故あんな時間に外にいたのか、他に誰か居なかったか、日頃からそうなのか、交友関係は、とか。
「君は銃を持った二人組に襲われたんだ。一人は覆面のようなものを被っていたとのことだ」不覚にも、刑事の直球勝負の質問に記憶の隙を突かれ、光曳が思わず声を漏らして七三の刑事を見あげた。そして、すぐに顔の右半分に右手を当てて、考え込んだ。そういえば、そうだったような——。
「その後、深夜警邏中の巡査らが駆けつけ、銃で応戦した」
俯いていた光曳が再び斜め上を向いた。「応戦って、銃撃戦をやったってことですか?」
既にその時、アスファルトに臥して、意識が薄れていた光曳は、お巡りと犯人とのやり取りを思い出せるはずがなかった。だが出鼻から完全に警察に主導権を握られてしまった光曳は、頭で考えるより先に言葉を返していた。
「報告では、銃撃戦ではなく、一発撃っただけだと言っている」光曳は、けなげに必死に思い出そうとして、右に左に首を傾げている。
「わたしもそれは報告の通りだと思っている」光曳の動作が止まり、七三の刑事を睨み、無言の悪態をついた。だったら訊くなよ。
「警官が銃を撃った時、被疑者はバイクに乗って背中を向け、逃げようとしていた」
七三の刑事が、光曳の素振りなど微塵も気にすることも無く、一方的に話を進めた。視線があちらこちらに飛んでいた、もう一人の刑事が、いつの間にか光曳を一心に睨んでいた。
「よく思い出してほしい」
光曳がまた、声なき悪態をついた。犯人の乗ってたバイクがどんなだったかでも思い出せっていうの?無理に決まってるじゃん。
「銃撃をした警官——」
——へ?
「どこから、そのバイクを撃った?」
光曳は、自分が訊き間違いをしているのかと思った。
「何メートル先の目標を撃ったんだ?拳銃で——」
仮初めの世界に入り浸り、退化しきっていた野性の嗅覚が、珍しく体臭ではなくきな臭さを嗅ぎ付けていた。
光曳が、訝しげな表情で七三の警官の双眸を眺めていた。
巨躯のヲタクの目と鼻の先まで、運命の分岐点が迫っていた。
「僕を襲った奴が大柄で覆面を被ってたのは、うっすらと思い出せたんですが・・・」
二進も三進もいかなくなり、低いうなり声をあげた。それで二人の警官には察してもらいたかった。この場で思い出せなければ、何時間かけても思い出せるような気がしなかった。眼前の二人は、顔の筋肉をぴくりともさせず、一心に言葉の続きを待ち続けていた。
大男、覆面、僕を持ち上げた・・・。徒然に単語を挙げていくが、記憶を分断する壁を破るきっかけとなるものが見つからない。凄く恐ろしい夢も見たような気がする。しかし、具体的に何が恐怖だったのかも思い出せない。
急ぎではないと言いながら、二人の刑事は後を本人に任せて去ろうとはせず、4分・・・5分、そして10分経っても無言で佇んでいた。未だ嘗てこれほど静寂で強大なプレッシャーをかけられたことの無かった青年が顔面を蒼白にさせて記憶を掘り起こした甲斐もあり、肝心のお巡りが現れる場面までは程遠いものの、自宅のベランダから妖しい光を目撃し、外に飛び出し、大男に吊し上げられる瞬間までの記憶の断片が少しずつ埋められていった。同時に、今更なだが、もし警官が発見するのが遅れたら自分は死んでいたのかもしれないという実感が湧いてくると、唸るのをやめ、尻の下に敷いている掛け布団を左右の手で握りしめていた。
あの光を見て外に飛び出した時、いつもと違う何かが起きることは確信していが、まさかそれが、このような事態を招いてしまうとは。生死の分かれ目は、足下まで迫ってこないと、全く見えないものなのか。
ベッドの縁に腰掛け、己の膝頭を見下ろしたまま瞬き一つせず思案に耽っている光曳に、七三の警官がぞんざいに声を掛けてきた。「何か思い出したか」
声のする方にふらりと顔を向けた光曳の目に、レンズの鋭い煌めきが突き刺さると、慌てて我に返り、己が身の置かれている情況を思い出した。そして申し訳なさそうに目線を少し逸らして首を横に振った。
「たぶん、警察が来た時はもう気絶してたと思います。だから・・・・・・」
きつく結ばれた二人の刑事の唇が更にひきつる。光曳は一瞬逡巡したが、気合いを振り絞って残りを言い切った。「だから、駆けつけたお巡りさんの姿は思い出しようが無いです」
ビクつき過ぎて、思ったより声が大きくなってしまった。十間近でそれを聞いていた七三眼鏡の刑事は瞼を下ろし、暫し瞑想のごとく黙り込んだ後、重たく口を開いた。
「君が襲われたであろう場所から少し離れたところで、指先大のゴム片が幾つか見つかった」
人のあらゆる機微に猜疑の眼をもって受け止めることを生業とする捜査官らしい回りくどい言い回し。光曳が眉をひそめる。寒風に煽られた窓ガラスが苛立たしく軋んだ。
「調べてみると、バイクのタイヤの破片だった」
光曳が厳めしい表情のまま、粛々と刑事の言葉を聞いていた。まだ何を言いたいのかわからない。
「二人組のうち一人は覆面、バイクのタイヤの破片、ここまでは第1発見者の警官の証言通りだった」
だったら良いじゃないか。お巡りが正確に証言をしている。何が問題なのか。胸の奥で鼻を鳴らしたい気分だった。
「だがその警官の証言の通りだったとすると、どうしても腑に落ちないところがある」
様々なメディアにどっぷりと浸っている光曳は、警察は仲間意識が非常に強い組織というイメージを抱いていたが、目の前の刑事によってそんな浅薄な考えをことごとく粉砕されてしまった。それにしても、そんな危険な考えを外部の人間に話してしまっていいものなのだろうか。十番とかいう風変わりな名前の警官は七三の外見からして、インテリのステレオタイプと見ていたが、実のところそんなにスマートな人物では無いのかもしれない。
「あの巡査長は目標まで約270メートルと証言している」
ベッドの縁に腰掛け沈み込む青年の向かって左斜向かいに立っていた十番が、一歩右に回り込み、言葉を放った。窓際に佇む伍頭は、人が変わったように沈黙を守り、成り行きを見守っていた。
扉の向こうから響いてくる子供の患者達の喚き声が、3人に重くのしかかる沈黙を破ると、それに促されるように光曳が益々困惑の色を深めた顔つきで応えた。
「・・・・・・覚えてません。というか、見てない。・・・・・・と思います」
七三の刑事が視線を落とし、喉の奥で掠れ声をあげて呻いた。男の声は、不本意な回答を受けて苛立っているとうよりも、心の底から困り果てた響きに満ちていた。心配とも猜疑ともとれる目線を向ける青年と目が合うと、十番は慌てて顔を伏せた。長い前髪で色白な面貌が覆われた。
「これ以上訊いても埒があかない。十番、署に戻るぞ」
伍頭が、卒無く会話をこなしていた時とも、黙りを決め込んだ時とも似つかぬ太い声と緊迫した形相で、七三眼鏡の刑事に向けた。
十番が何か物言いたげに窓際の刑事を睨むと、伍頭が黙って向こうが病室の出入り口に向かって顎をしゃくった。日頃のおしゃべりな雰囲気とのギャップが、刑事の振る舞いに静かな迫力を与えていた。
十番が、バーベルを上げる重量挙げの選手のごとく、ゆっくりと腰を上げた。出入り口の方に向き直ると、光曳の方を見ぬままに一言詫びの言葉を入れ、大股で病室から出て行った。相方の刑事も光曳に簡単目礼をすると、足早にこの部屋から去っていった。
再びだだっ広い空間の窓際に、巨漢の青年が一人取り残されていた。1階の総合受付で待っていた両親と弟が病室の出入り口に姿を現すまでに、数分も要さなかったが、家族に刑事たちとの会話を伝えようと、あの時を振り返ってみると、彼らのいる光景が、遙か昔のアルバム写真のごとくぼやけ始めていた。
交番のお巡りではなく、捜査課の刑事と話していたんだ。今更ながら、一生に一度あるか無いかの経験に、光曳の胸がざわめいた。
心底心配そうな面持ちで根掘り葉掘り質問をする両親に、光曳は慎重に、何度も思い返しながら答えていった。
「二百、七十メートル?それ、ホントかよ」
光曳が二人の刑事とのやり取りの最後を話した時だった。両親の後ろで話の輪から外れて手持ちぶさたにしていた弟の矢庭な割り込みに、家族の視線を一身に受けた光曳家の長子が、斜め上の虚空を眺めたまま硬直した。確か、何の数値だったか。
「たぶん、犯人のバイクと警官との・・・・・・」
「ちょっと待てよ、あっくん」
弟が苦笑いを浮かべながら光曳の言葉を遮った。七三眼鏡の要望に殆どパニック状態で応えていた光曳も、弟の素振りに直ぐに刑事の言葉の不可解な点に気がついた。
外出でよく使う電車の車両が約25mなので、270mという距離は車両11両分近い距離だ。大学のグラウンドは陸上部が100mの直線を確保するために、敷地を斜めに突っ切るコースをつくるくらいだから、グラウンドの長辺の優に倍以上の距離がある計算だ。
厚ぼったい左右の瞼の裏で、深更の闇の奥から駆けつけてきたお巡りが両足をやや広めに広げ、バイクに向かって両手持ちで拳銃を構える姿を想像してみる。闇に埋もれそうな自動二輪とそれに跨がる巨漢の覆面男。青年の視界の中では、バイクと乗り手をあわせても、彼のむくんだ右手人差し指の第一関節程度の大きさしかない。
——遠過ぎる。
〜2015/03/08〜
拳銃を発砲した警官、覚えてますかぁ???(ゲス)
テストに出ますよ。。。。マジで(マジか?!)
光曳編の舞台は、栃木県ならしいです。。。。(他人事?)
昨日決めました。。。(ぉぃぉぃぉぃ )
いや、北関東ってのは決めてたんですけどねぇ。群馬か栃木かで悩みました。。。
で、ABたちが逃走に使った道路が、国道4号のつもりで書いてたのを思い出して、栃木に決定〜〜〜(いい加減過ぎる)(涙)
ちょっとこの話長くなりそうです。。。
〜2015/03/26〜
最近仕事が殺人的に忙しくて、全然更新できてない愚民です。。。。
ちょっと山場過ぎたから、もしかすると近々更新できるかも。
"この世界には、トナリがあって、時々混ざり合ってる……"
で、昨日発売された、我が崇拝する歌手naoのシングル『相対性VISION』のMusicVideoがちょっとAsのイメージに通じるところがあって、微妙に感動したので、URLあげてしまいます。。。。(宣伝宣伝)
歌詞では「次元」と表現されるところが、恐らくAsでは「時間軸」という言葉で現れてくると思います。。。(またまたテストに出るよ!!)
ただ、ネプテューヌっていうゲームのテーマソングなのが珠に瑕。。。
〜201/04/11〜
漸く仕事の(色んな意味で)終わりが見えてきたかもしれない昨今。。。。
今日か明日当たりに更新できるかも。。。。いや、なんとかして更新しようっっ。。。
来る参照10,000の記念短編とかも作りたいし。。。
じゃっ!
〜2015/04/11 その弐〜
相対性VISION 4月30日からJoySoundで配信開始〜〜〜!しゃぁぁぁ歌うぞぉぉ!!