二次創作小説(紙ほか)
- Re: カゲロウデイズ 挿絵あり 【奔走アピア】執筆中 ( No.9 )
- 日時: 2013/06/09 14:58
- 名前: 麻香 (ID: BlQh8qP9)
≫Story*Ⅰ 〜奔走アピア〜
O1)始まりは誰かさんの妄想で。
「皆さん!近所に美味しいケーキ屋さんができたんですよっ!」
始まりは、我が妹、モモのそんな言葉だったような気がする。
その日は珍しくメカクシ団全員が拠点であるこの路地裏の一室に集合していた記念すべき日であり、オレの携帯電話を拠点にしているコンピューターウイルスが「どこかに行きたい」などと騒いでいた運の悪い日でもあった。
……まあ、このウイルスが騒ぐのはもはや必然であり、携帯電話が沈黙している時は雨が降るどころか人類が滅亡しそうな予感さえするので、これはこれで安心する。
「おぉっ!妹さん、それは面白そうですね!ご主人、さっそく行きましょう!!」
「行ってもお前は何も食えないだろ。」
コンピューターウイルスことエネは、オレの言葉を聞いて、ぷっと顔を膨らませた。この顔がなんとも可愛いのが憎らしい。
エネは数ヵ月前から俺の携帯電話に住みついている電脳体で、エネの正体が何なのかはオレにも分からない。
その様子を見てモモがキッと俺を睨み、
「お兄ちゃんは黙ってて。見てるだけでも楽しいんだよ。ウィンドーショッピング的な感じで。」
と突き放した。
前から思っていたのだが、モモは実兄と正体不明電脳体少女に対しての態度に差がありすぎないか?
オレは一体何なんだ。
「………いやだって、他の奴が食べてるのを見てるだけって悲しすぎるし。」
オレの、兄としての威厳を賭けたささやかな反抗も、
「どんな味か想像するのが楽しいんじゃん。お兄ちゃんだって、ホラー映画の主人公をカッコ良いとは思っても、実際になりたいとは思わないでしょ。同じだよ。ね、エネちゃん。」
「はいっ!時には想像する側の方が楽しい時もありますからね!」
玉砕された。
なんでこの2人は変な所で気が合うのだろう。
と、ここでハーブティーを飲んでいたメカクシ団団長、キドがぼそぼそと質間した。
「あの………そのケーキ屋は本当に、本当に美味しいのか?」