二次創作小説(紙ほか)

Re: カゲロウデイズ 挿絵あり 【混濁リザルト】執筆中 ( No.112 )
日時: 2013/08/20 22:00
名前: 麻香 (ID: wZQkUVus)

≫Story*Ⅱ 〜混濁リザルト〜

03))人は時にわざとらしい才能を発揮する


というわけで、市街地。
先に手を繋いだマリーとナル、次にオレ、最後尾をツキヒが歩いていた。

ツキヒとは並んで歩くほど仲良くもない。というか会話すらほとんど交わさない。
一方マリーとナルは意気投合したらしく姉弟のような仲の良さだ。
いつも周りを警戒して怯えているマリーが、自分より幼い子供に笑いかけている。
…………なんだこの微笑ましい光景は。

と、オレが前の二人を若干微笑みながら(断じてロリコンではない)見つめていると、その二人が不意に立ち止まった。
視線の先には、派手にネオンを放つ看板。

「マリーおねえちゃん、あれなに?」

「えっとね、カノに聞いたことあるよ。ゲームセンターっていって、いろんなゲームができて景品も貰えるんだって。」

「それやってみたいっ!」

「え、でも………」

チラチラとオレを見るマリー。
そのまま、何故かオレに聞こえるような声でナルに言った。

「ごめんね。行けないの。」

「なんで?」

「ゲームセンターで遊ぶにはお金が要るんだって。私お金あんまり持ってなくて。誰か持ってる人がいるといいのになー………」

わざとらしい言い回しをしながら、マリーは今度はオレを凝視し始めた。気のせいか目がいつもよりキラキラしている。
そんなことしなくても、いつものようにねだられれば奢ってやっても全然構わないのだが(絶対にロリコンではない)、ナルに「おねえちゃん」と呼ばれて変なプライドが芽生えたらしい。
…………まあ、普段見ることができないレアなマリーが見られたことだし(ロリコンでは……なんか自信無くなってきた)。
内心ため息をつきながらオレはマリーに言ってやった。

「ゲーセンで遊ぶくらいの金ならあるよ………」

「ほんとっ!?ありがとう!ナルくん、いこっ!」

「うんっ」

途端に悲しそうだった顔を綺麗に消したマリーは、ナルの手を引いてゲーセンに走って行く。マリーはこれでいいらしい。
それを追いかけながら、今度こそオレは本当にため息をついた。