二次創作小説(紙ほか)

Re: カゲロウデイズ 挿絵あり 【奔走アピア】執筆中 ( No.61 )
日時: 2013/06/14 19:28
名前: 麻香 (ID: qdhAso1A)

≫Story*Ⅰ 〜奔走アピア〜

06)運命の再会とかは結構頻繁に起こる。


それは本当に一瞬の出来事だった。
線の細い少女の身体は簡単に吹っ飛び、通路の反対側に叩きつけられる。
受け身もなにもなく、固い物がぶつかり合う鈍い音が鼓膜を鳴らす。
頭を強く打ったのか少女は地面に落ちたままぴくりとも動かない。

それでも男たちは気が済まないのか、なおも少女に近寄っていく。
これは、ヤバい。さすがに見かねて声をかけようとすると——————

「ちょ、ちょっと!女の子に乱暴するとか最低ですっ!」

もともと正義感の強いモモが声を張り上げる。
どうやらキドの「気配を消す」能力は、先程少女と目が合った時にキドの集中力が切れてしまったらしく、効果を失っているようだ。
おかげでモモの「人目を引く」能力は只今絶賛だだ漏れ中で、男たちの足を止めるにはそれに充分だった。

男たちはのろのろと顔を上げ、初めてオレたちを認識する。
が、直後にリーダー格の中年の男がフンと鼻を鳴らす。

「なんだ、ただのガキ共か。お前たちには関係ないだろ。さっさと家に帰って宿題でも————」

「………ちょっと待ってください!このガキ等ひょっとして、“例のあいつら”じゃないっすか……?」

「なに……っ!?」

子分の男(?)に囁かれたリーダーの男————面倒くさいので中年男と呼ぼう————が、驚いた顔で俺たちを見る。
キド……マリー……モモ……と視線が滑り、最後にオレで止まる。
中年男が、ニヤリ、と嗤った。

「やっと仲間のお出ましって訳か。」

妙な言い方。
言葉の意味が分からず、オレは聞き返す。

「仲間…………?」

「とぼけるなって。お前ら、この生意気な小娘の仲間、なんだろ。同じ“赤い目”の変な能力を持つ連中よォ。」

中年男が少女の動かない身体を蹴転がし、モモがぴくっと反応する。
だがしかし、オレは男の言葉の方に反応していた。
この男は、今オレたちを「“赤い目”の能力を持つ連中」と呼んだ…………!!

「お前……何故それを知っている…………ッ!」

その少女ならともかく、オレたちはこの男たちの前でまだ能力を使っていない。
もちろんオレたちは能力のことを大々的に公表している訳ではないので、この男たちがオレたちの能力を知っているはずが——————

「フードの女、白い髪の子供、アイドルの茶髪の小娘、赤いジャージの男。間違いねェ。…………お前ら。最近あるデパートで起こった集団テロ事件を覚えてるか?」

中年男は世間話のような口調で話しながら、自然な動作でポケットに手を入れた。
…………暗闇でも鋭く光る、小さなナイフが握られている。


「俺たちの仲間が『“赤い目”の連中』に世話になったみたいでな……………俺たちは、そのテロリスト集団の残党なんだよ………ッ!!!」