二次創作小説(紙ほか)
- Re: カゲロウデイズ 挿絵あり 【奔走アピア】執筆中 ( No.72 )
- 日時: 2013/06/14 19:29
- 名前: 麻香 (ID: qdhAso1A)
≫Story*Ⅰ 〜奔走アピア〜
07)無邪気な少年少女たち
「………!!!」
テログループの、生き残り。
先日、オレたちはとあるデパートで集団テロに巻き込まれた。
結局それはマリーやエネたちの活躍によって一件落着したはず————だったのだが。
「テロリストは全員捕まったんじゃなかったのか………っ」
「あぁ。俺たちは緊急事態に備えてデパートの外で待機していたからな。警察の目を逃れたんだ。」
中年男はナイフを握り直し、倒れたままの少女に近づいていく。
モモが飛び出そうとするのを必死で押さえるオレ。明らかに分が悪い。
どうする。何とかしなければ。何か突破口は……っ!
その時オレは、あることに気づいた。
あいつがいない。見当たらない。こんな時に。
だが、意味有り気に笑うカノを見て、あいつの、こいつらの、作戦がわかった。
小さい頃から一緒に遊んでいたであろう少年少女の、心の通じ合った密かな作戦。
上手くいけば。全てが、逆転する。
「で、人質として捕まってた奴等の噂話で、あることがわかった。俺たちの完壁だった作戦は、赤い目をしたガキ共に壊されたんだと、な。」
中年男以外、誰も、動かない。動けない。いつも騒がしいエネも。時間さえも、止まったようで。
自分の心臓の音が大きく響いてくる。
まだ、待つんだ。もう少し。もう少しだけ。あとちょっと。
「そんな時に、この赤い目の小娘を見つけたって訳だ。お前等さえ………お前等さえ、いなければ。俺たちの作戦は完壁だったのに………よっ!!」
怒りで顔を真っ赤にした中年男が、少女にナイフを振り下ろす。
ナイフの切っ先が、少女の身体に、胸に、突き刺さる——————
直前。オレは、普段出すことの無い大声で、叫んだ。呼んだ。
「キドっ!!!」
瞬間、突然現れた————否、それまで気配を消していたキドが、ナイフを持つ中年男の手を蹴り上げた。
ナイフが大きな弧を描いて吹っ飛び、乾いた音と共に地面に落ちる。
止まっていた時間が、動き始める。