二次創作小説(紙ほか)

Re: 嬉野芒と鳥栖蜻蛉の勝手なる診断 《めだかボックス》 ( No.5 )
日時: 2012/12/26 23:18
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
プロフ: コメントがない!? 哀しいな

第五針「高千穂仕種の初診」
 エレベーターを素通りして階段を下ると、予想通り嬉野芒が待っていた。
「よし……僕の考えが正しかった」
芒がぼそりと何か喋ったが、聞こえなかった。まるでモルモットを見ているような眼をしていて怖い。
「なんかいったか?」
「ん? なんでもないさ! さぁ行こう」
地下一階の階段へ通り抜けるとそこは———
「君が川端康成の『雪国』を真似して、この場を表そうとしているのなら僕は怒るよ」
「…………すまん」
迷路だった。二つ分かれ道があると思ったら、その先でも分かれ道がある。地下にある分どれほど大きい迷路だろうか。普通の人なら悩むかもしれないが、ここには『嬉野芒』がいる。
「一分待ってくれ、出口を見つける」
何も言わなくても、もうじっとして異常性を表していた。このまま一分間静かにテクテクと右左と歩いていると——
「右行って左行って直進二つの右に一つ……」
と出口を見つけることができる。これだけが芒の異常性ではないが、やはりここは『嬉しい嬉しいガイド君』と呼ぶことにしよう。いづれかは人間カーナビと呼ばれるようになるだろう。
「君だけ、この迷宮に置いてくよ?」
「……悪かった」
「今の迷宮はこの地下一階がクレタの迷宮に似ているから迷宮って言った。クレタ島には人間と牛のハーフの怪物ミノタウルスが居て————」

タッタッタッ……

「一瞬、人が歩く音がしたと思ったのだが……まさか……」
芒の方を見ると芒も焦った顔をしている。めったに見ることができない表情だ。
「蜻蛉君、そこの右の角から来るぞ。覚悟しろ」
徐々に歩く音が大きくなっていく。その分、僕の鼓動も早くなっていく。敵が出てきた時、後頭部狙って蹴り飛ばそう。
 歩いてきた相手の顔が見えた時、僕の足は素早く動いていた。体育の成績はいつも五段階のうちの三だった分、筋肉が伸びた足は綺麗かつスマートに後頭部を抉り取ったように見えたが————
「ん? お!?」
確かに、自分の足蹴りは思った以上に速くそして強かった。だが、違う方向を向きながらその攻撃を避けた目の前にいる男は一体なにものだろうか。
「お、お前は——」
「俺か? 俺の名は——」
「ミノタウルスか!?」
ミノタウルスと言ったとたん、芒に襟元をつかまれて地面にたたきつけられた。
「君は、なんで人のことを怪物扱いにするんだ?」
「だって、芒が怪物の話をするからつい……」
二人でこそこそと話しているといつの間にかに目の前にさっきの男が立っていた。
「お前ら、一体誰だ? 俺たち並みのアブノーマルか?」
その男は筋肉質のキックボクサーだった。
☆高千穂仕種☆
クラス三年一三組
血液型AB型
役職一三組の一三人
検体名『棘絨毯ハードラッピング