二次創作小説(紙ほか)
- Re: 嬉野芒と鳥栖蜻蛉の勝手なる診断 《球磨川禊登場》 ( No.8 )
- 日時: 2013/01/05 21:08
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
第八針「球磨川禊という混沌」
「どうして、交換生に選ばれたの?」
「それは……。学校でちょっとした問題を起こしてしまって……」
「問題って何を?」
人が誰もいない廊下や昇降口を通って生徒会室へ向かう。何故か芒がなにもしゃべらない。確かに平日の学校で人気がないのは怖いだろうが、人それぞれだろう。
「立ち入り禁止の場所に入っちゃって……」
「…………」
須木奈佐木さんと軽くお話をしていると生徒会室にたどり着いた。
「ちょっと変な生徒会長だけど、よろしくね」
壁から飛び出ている螺子の先を見る限りまともとは思えない。
終始黙っている芒が呟いた。顔もいつもよりも暗く、モルモットでも見るような眼をしている。
壁から飛び出ている螺子を見る限り、力いっぱい叩きつけられたに違いない。そうじゃなかったら螺子が貫通することはできない。そして、この人がどんな人かわからないがよほどのアブノーマルかもしれない。まず【螺子】を使っていること。その時点で怪しく、危ない。
「球磨川君。例の人たちを呼んできたよ」
『ん、わかった。もうちょっと待ってて。今読みおわるから』
部屋の中から聞こえるのは怠そうな声だった。螺子を刺したのが別人のように感じるぐらい怠そうな声だった。
数分待たされて、芒と僕が苛立ち始めた頃。
『今終わったよ。咲ちゃん、連れてきて』
またもや怠そうな声が聞こえてきた。ここの生徒会長はこういう怠そうな生徒会長で、庶務が支えているのかもしれない。
「「失礼します」」
生徒会室は想像以上に悲惨だった。
左右の壁には無数の螺子が刺さっており、中央にドンと大きい螺子がまたもや刺さっている。その螺子の周りには人型の線が描かれており、まるでこの生徒会長が人を殺したようにも見える。
『球磨川禊です。よろしく』
「鳥栖蜻蛉です。こちらは嬉野芒です」
「………」
なんかやつれてそうな顔をしている生徒会長だなと思ったのだが、芒は違うところに目をつけていた。いや、目をつけるしかなかったのか。
「一体、そこらじゅうに刺さっている螺子はなんだ?」
『何か問題でも? 僕の自由だろ!? いったい何があるっていうんだ!?』
いきなり肩をすくめて生徒会長は力強く言った。その返事にますます悩みだす芒はいかにも怪しい。ここは一旦、教室に案内してもらった方がいいかもしれない。
「大丈夫です。こいつはちょっと変わった人なので気にしないでください」
芒の評判いや、芒と一緒にいる僕の評判を変えないためにもここはおとなしく教室に帰るとしよう。
「ところで今まで歩いてきた廊下で一度も水槽学園生に会っていないのだが。何故だが教えてくれないか?」
壁に刺さっていた螺子を一瞬思い出した。まさか…………
『僕は悪くない』
生徒会長、球磨川禊がどこからか螺子を取り出し投げつけてきた時、理解した。
この生徒会は何かをしてこの学校を廃校状態にした!!
『咲ちゃん。僕たちの抗争が転校生にわかっちゃったみたいだ。僕らの抗争を守るためにも戦わないといけない』
芒を引っ張り倒して引きずり、球磨川禊から間をとる。どうせ、芒は戦わないだろうし、僕が戦うしかない。
『大丈夫、君たちの記憶を無かったことにして家に帰してあげるから』
「蜻蛉君。相手の弱点は僕が掴むから君はあの螺子に気を付けて戦ってくれ」
水槽学園登校初日から振り回れるとは思っていなかった。