二次創作小説(紙ほか)

Re: [イナクロ]-想いは時空を超えて((オリキャラ募集締め切り ( No.41 )
日時: 2013/02/09 22:16
名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)

第14話 『尋問させてもらおうか』

新雲サッカー部の無事を確認し、放課後すぐに雷門に向かった。
部活は通院だのと適当に口実を作ってサボった。

チャリで商店街を通っていた時、右手側のゲーセンから改造制服の男子が出てくるのを見た。
その男子は緋色の髪を高い位置で結い上げ、両目は蜜色だった。
おれは0.01秒で剣城だと確信した。
声をかけようかと思ったが、やめた。
後ろから天馬が来ていたからだ。

「剣城!」
「あぁ…?誰だお前」

剣城さんよ、普通に怖いって…。
ラ・ピュセルのキャプテンだった時にむさ苦しい男どもをしごいてきたおれはびびらないが、普通の男子女子が見たら怯むレベルの眼光で天馬をにらみつけた。

「優一さんの…後輩だ」

かなり渋った答えだとすぐに分かった。
天馬は実質優一さんの後輩だが、優一さんと直接部活で関われる年の差じゃない。

「サッカー部か……。何の用だ」
「どうして優一さんの誘いを断ったんだ?」
「何…?」

会話の節々が理解できていないおれは、そのまま音楽のように2人が交わす言葉を聞き流している。

「関係ねぇだろ、お前には」
「優一さんはお前にサッカーを帰す……!!つもりで……」

———いや、何でもない

その先を行ってしまうとサッカーができなくなる、とでも言わんばかりに天馬は言葉を切った。

「何が言いてぇのか分かんねぇけどよ、おれはとっくにやめたんだ。もう飽きたんだよ」

ブチッ……
今の音は何が切れた音?  おれの理性?  悲しみ?

いいえそれは、噴火するような怒り。

考えるより先に体が動くのはいつものことだ。
だけど、これはちょっと考えなさすぎだと自分でも思う。
会話の最中にいきなり横からサッカーボールを蹴り込むなんて……。
おれはバカか。あ、バカだったよな。
しかも、おれはこの時、自分の決定率の悪さを忘れていた。
剣城の肩に当てるつもりが、照準がずれて、頭にぶつかろうとしていた。
だが、こういう時に限って奇跡は起こるもので、剣城は反射でチェストで受けた。
ボールが剣城の足と地面に挟まれた時、おれは「やってしまった!!」と内心めちゃくちゃテンパった。

「尊姉ェ………!?」
「おい、どこの世界に人が会話してるところにボールを蹴り込むバカがいるんだ?あぁ?」

ですよねーーー!!!
声にも顔にも皺にも出さずに、胸の内で大絶叫した。
おれのポーカーフェイスって世界最強か?
もし、世界中のポーカーフェイスな連中が集まって、いかに無表情でかっこよく居続けられるかを競う大会があったらおれは世界チャンピオンだ。
連続で優勝し続けて、殿堂入りかもしれないな。

「邪魔したのは悪かったよ」

はい、ちゃんと謝ったよ!!?非礼をわびるのは常識ですよね!!?
誰かおれをほめて頂戴!!
頭悪いし、サッカー好きだけど実力はいまいち、だけど社会性はあるよ!!?常識のある人間だよ!!?

「けどよ、おれちょっと気になることがあるんだわ」
「何だ……?」

おれが剣城の—おれの知ってる剣城じゃない方の剣城の—件で最も気になっていること。
それは………………

「サッカーに飽きたって言うなら、何で体は覚えてるんだよ?」
「んなっ………!!?」

蜂蜜色の両眼を見開き、驚愕する剣城。
さーて、何から尋問させてもらおうかねぇ。

左手の人差し指にはめていたサファイアが埋め込まれたシルバークォーツの指輪をすっと外した。