二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.109 )
日時: 2012/12/17 10:04
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第37章 リン&キラの幼馴染・宇津野志穂、登場!(後編)・・・知り合った経緯とは?

(ストーリーモード:ハル)

場所を変え、プライベートルームに移った。中は落ち着いた雰囲気になっていて、割と綺麗だ。
ソファに座り、隣に座っているバンを見た。うなだれていたようで、私たちに居場所を知られたみたいな表情を表している。

「俺が言いたいのは、おまえらがこんなところにいるのかってことだ」
「だから、バンの後を追ってきたって言ってんの! 聞いてる?」
「あぁ、聞いてるよ。ヒロたちまでついてきて、何がしたいんだよ・・・・・・」
「それ言う? 私たちが気遣って話してるんだから、どういうことか聞かせてもらうわ!」

バンは顔を顰めながら、私を見てうなだれる。その様子を見て聞いた女性が私に言った。

「すいませんでした・・・・・・」
「あっ、君は謝らなくてもいいから! 用があるのは、こいつだから」

女性を見て、慌てながら大丈夫だと言い張る。バンは不満そうに私を見た。
その様子を見る限り、何か落ち込んでいるようだった。

「ちょっと、出てくる。志穂はここで待ってろ」
「えっ、ちょっ・・・・・・・」

席を立って、プライベートルームのドアを開けて出て行くバン。
その背中を見送りながら、呆然として突っ立っていた。

「ったく、あのバカ・・・・・・何を考えてるのよ!」
「ハルさん、落ち着いて。この人の話を聞いた方が良いんじゃないですか?」

ヒロが私の怒りを抑えながら気遣って、女性の方に振り向く。
女性は私たちを見て、すぐに自己紹介してくれた。

「私は宇津野志穂と言います。トキオ大学の教育学部に通う大学2年生ですけど、よろしくお願いします」

大学2年生って・・・・・・ヒロとナオの同級生か。
トキオ大学で知り合ったのかどうかは定かではないが、ここで知り合った可能性が高い。

「私は人見晴香。バンの幼馴染だけど、よろしくね! ハルって呼んで」
「僕は大空ヒロ。大学2年だけど、トキオ大学の社会学部に通ってます。よろしく!」
「私は小野奈緒美! ヒロと同じく。学部も一緒だけど、ヒロの幼馴染なんだ。これからもよろしくね!!」

お互いに自己紹介しあった時点で志穂は素直に頷いて、ドアの向こうにいるバンを見て思いながら考え込んだ。

「バンさんに会ったという経緯から話した方が良いでしょうか?」
「そうだね。まずはその話を聞かせてくれるかな?」
「はい。バンさんと出会ったのは----------------」

志穂はポツリポツリと語りながら、少しずつ話し始めた。




バンとの出会いは2週間前の夜、【Detective bar】の2階にある立ち飲みバーでゆっくり飲んでいた時のことだった。

「おい、そこの女。俺と一緒に酒を飲まないか?」

柄の悪い男性を見て、すかさず後ずさりして顰める。気づいた時は階段の前まで迫られていた。
その時、派手に男性の背中を蹴る音が聞こえた。男はずり落ちるようにして、仰向けに伏せて倒れ込んでいる。

「ったく、ゴチャゴチャと騒いでうるせーなぁ」

クセ毛のある青年を見て驚く。イケメンになっていて、容姿もスラリと背が高く、カッコイイくらいに思えたのだ。

「あ、大丈夫? 俺と一緒に下で飲もうぜ」
「は、はい・・・・・・・」

青年と一緒に階段を降りて、プライベートルームに向かった。
プライベートルームを借りて、その青年に自己紹介した。

「私は宇津野志穂と言います」
「俺は山野バン。まぁ、よろしくな」

酒の入ったグラスを持って、ゆっくり飲むバン。
そんな彼を見て、志穂はニッコリ笑った。すると、バンが意外なことを言い出す。

「君を見た時、ハルかと思っちゃったよ」
「知り合いがいるんですか?」
「うん・・・・・・俺の知り合いって言うか、幼馴染だな。っていうか、何でこんなところにいたの?」
「たまに来ることが多いんですよね。その時に飲むこともあります」
「へぇ、そうなんだ・・・・・・今日は俺と話しながら飲もうぜ」

グラスを持ちながら、バンは志穂を見つめた。初めて見た時はハルではないかと思い込んでしまい、人違いだと認識した。

「はい。バンさんはどこの大学に行ってるんですか?」
「俺はトキオ大学だよ。教育学部に通ってる」
「えっ、私もトキオ大学ですよ! 教育学部ですけど、コースは?」
「特別支援教育コース。君は?」
「私は社会科コースですよ。うわー違うなぁ・・・・・・」
「まぁ、そういうこと言うなよ。俺は大学に行ってないからサボリだけどね」

サボってんのか、この人はと思いながら、志穂はチラリと見る。
楽しそうに酒を飲みながら語るバンの姿を見ていて、何か調べこんでいるのかなって思い込んでしまう。
いや、それほどでもないだろうが・・・・・・バンの優しさに惹かれてしまうのも時間の問題だ。
ふと、バンの左手に握られているものを見て驚愕した。見覚えのあるものが握られていたのだ。

「バンさん、そのお守りは?」
「あぁ、これか。俺の妹だよ」
「でも、これは見覚えがありますねぇ・・・・・・」

赤い布巾着を見て、記憶を手繰り寄せる。リンという名前の少女が持っていたのを思い出す。
間違いない、リンのものだと確信した。それでは、リンがいる場所が分かったようなものだ。

「バンさん、そのお守りのことですけど・・・・・・もしかして、あの子のものでしょうか?」
「あの子ォ?」
「はい。リンっていう子なんですけど・・・・・・」

その言葉が放たれたのと同時にバンの目が大きく見開かれる。
リンの知り合いだという女性は宇津野志穂だったのではないか。

「リンのこと知ってんのか?」
「やっぱり知ってたんですね。旧姓は小海だったと思います」
「ああ、そういえば・・・・・・・あいつ、そんなこと言ってたな」

バンは何かを思い出しながら考え込んだ。リンの知り合いが志穂だとして、このお守りはリンの物だと分かる。
しかし、リンの行方は今も分からぬままだ。どこに潜んでいるのかすらも掴めない状態になっていた。

「リンの過去さえ知ってれば良かったかもしれないな」
「バンさん・・・・・・?」
「まぁ、気にすんな。今日は忘れて飲み明かそうか」

その後は楽しく飲みながら、騒ぎつつも話しながら夜を明かしていくのだった。



現在に至り、全てを話し終えた志穂は私たちを見て纏める。

「・・・・・・というわけで知り合いました」
「でも、バンの浮かない表情が気になるわ」

バンの浮かない表情・・・・・・あと、リンの過去も知りたい。
ヒロとナオも興味深そうに聞いていたが、リンの過去を聞かされていなかったというのが現状だ。

「さっき、バンに話をきいてもらってたとか言ってたよね。何の話をしていたの?」
「リンのことですよ。あと、早間綺羅という少年のことも」

山野リンと早間綺羅という少年の関係が気になってきた。
5年前、行方不明になった早間綺羅という少年は生きているのか分からぬままだ。

「そういえば、キョウヘイがキラと対戦したとか・・・・・・」

ヒロが思い出しながら、記憶を手繰り寄せる。立向居から聞いたという。
キョウヘイたちが対戦した時、キラの表情が気がかりになっていたと言っていたそうだ。

「その時は何か虚ろな目つきをしていたらしいとも聞いてました」
「虚ろな目つきねぇ・・・・・・」

キラの表情が急に気になったのか、志穂はうなだれたまま顰める。

「まさか、キラが生きていたとは・・・・・・」
「でも、何かにかかってるみたいだとか言ってたな」

ヒロの言葉を聞いた瞬間、1つの結論に辿り着いた。
もしかして、キラは催眠術にかかってしまっているのではないか。

「ちょっと待った、ヒロ!」
「え、ハルさん?」
「もしかするとアレかもよ」

私はあることを思い出しながら、記憶を手繰り寄せた。
カレンが催眠術師だとして、催眠を使うことのできる人物は1人だけ。
つまり、カレンは何らかの理由で催眠術を会得したと見られる。そうだとすると、キラはそれにかかったということになってしまう。

「催眠術にかかったかもしれない」
「どういうことですか、ハルさん」
「うん、この手を生かさないことには気がすまないのね。だから、カレンが犯人であることも考えられるわ」

そう言いながら、腕を組んだ。その時、ドアを開けて入る音がした。
振り返ると、ウイスキーの瓶を持ちながら立っているバンの姿が目に入った。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.110 )
日時: 2012/12/17 10:07
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

ウイスキーを手に持っているバンの姿を見て思わず絶句。
酒浸りになって、あんなに飲んだくれるバンの姿を見るのは久しぶりだ。

「バン、飲み過ぎだよ!」
「うるせぇ、飲まずにいられるかってんだよ」
「飲んでるのはいいけど、どれだけ飲んでるの」
「あー飲み過ぎて、何が悪いんだ。オレは悪くないぞォー」

ウイスキーの瓶を手に持って、ソファーに座り込む。
その様子を見かねたのか、志穂は腕時計を見た。時間は深夜2時ちょうどになっていた。

「あっ、そろそろ帰らないと」
「そっか、長引かせてごめんね。バンがあんなに飲むから」
「大丈夫ですよ。バンさんには優しくしてもらってますから」
「そっか、本当にごめんね。バン、志穂ちゃん帰るってー」

ウイスキーの瓶が空になって転がり込んでいた。その先に映ったのは酔い潰れて眠っているバンの姿。
その様子を見て溜息をつく私たち。酒を飲まなければ良い人なのは分かるが、あれだけ飲んで寝るのも久しぶりに見た。

「はぁ・・・・・・ったく、人の気も知らないで。のん気に寝てやがる」
「まぁまぁ、ハルさん。バンさんは酒が好きみたいですしね。じゃ、バンさんによろしく言っといて下さい」
「うん、分かった。志穂ちゃん、気をつけて帰ってねー!」

そう言いながら、志穂を見送った。後は、酔い潰れて寝ているバンをどうやって起こすか。
べろんべろんに酔っ払って、正体をなくすまでに飲み干すのは良くない。
そんなこと分かっていても、飲み過ぎて寝ちゃうのがバンらしい。

「しょうがないなぁ、バンを起こそうか」
「そうですね。僕も付き添いますから。女の子だと背負うの大変でしょ?」

ヒロが提案してくれたので、2人で送っていくことになった。
気持ち良さそうに伏せて寝ていたバンを起こし、声をかけてみる。

「バン、起きて。私が誰だか分かる?」
「んぅ・・・・・・ハル?」

ぼんやりと目を開け、眠気眼で私を見る。意識はあるみたいだけど、今にも寝てしまいそうだ。
ヒロがバンの右手を引っ張り、肩を貸す。バンは眠そうに唸りながら、目を閉じた。

「とりあえず、こいつを送ってからにしよっか。説教してやらんと気が済まんわ!」
「そうですね。どっちの方にします?」

久しぶりにバンの家に行くことにした。お母さんは出かけているのかもしれないので、健太と直太の2人がいるのだろう。

「じゃあ、バンの家に行こう」
「そうですね。ナオ、おまえは先に帰ってて。バンさんを送っていくから」

ヒロはナオに言いながら、優しく悟る。ナオは素直に言うことを聞いて、先にプライベートルームを出た。
私たちもその後に続いて、【Detective bar】を後にした。




数分後、やっとの思いで山野家に到着した。家の明かりはつけられていなく、寝ているのだろう。
玄関の前に突っ立って、バンのズボンのポケットを手探りする。

「・・・・・・あった!」

家の鍵を取り出し、玄関のドアを開ける。

『ガチャ』

ドアを開け、廊下の電気をつける。ヒロとバンを入れて閉めた。
ヒロはバンを下ろして、床に寝かせた。バンはムニャムニャと寝言を言っている。

「起きないね。とりあえず、2階に連れて行こう」
「はい!」

バンの靴を脱がせた後、ヒロがバンを背負いながらも2階の階段を上る。
私はバンを押しながら、ヒロを励ます。やっとの思いで2階に辿り着いたかと思えば、バンは今にもずり落ちそうだ。

「バンさん、もうすぐ部屋に着くから。起きてください」
「んぁ・・・・・・・」

眠そうに目を開け、周りを見回す。自宅だと分かると眠そうに目を擦りながら、ヒロの手を放して歩く。
フラフラとおぼつかない足取りで歩いているバンの後を追い、部屋に入るのを見届けた。

「大丈夫か、バンのヤツ・・・・・・」
「かなり酔ってますねぇー」

バンが部屋に入ったのを見て、中を覗く。床に伏せたまま、気持ち良さそうに寝てしまっていた。
さっきの行動は寝惚けながら歩いていたということか。バンの前まで歩み寄り、優しく起こす。

「バン、起きてよ。床で寝るなー!」
「ぅうん・・・・・・」

夢の世界に旅立って眠っているのを見て、ヒロが問う。

「とりあえず、ベッドに移動させますか」
「そうね。よっと・・・・・・」

バンを連れて、ベッドの上に寝かせた。ヒロは溜息をつきながら、部屋を出る。
私は玄関でヒロを見送ろうとしたが、何かに掴まれた。

「ん?」

バンの右手が服の裾を掴んでいる。離さないでくれという意図なのかどうか分からない。
ヒロは私を気遣いながら、部屋を出た。

「じゃあ、バンさんによろしく言っといて下さいね」
「ちょ、ヒロォー!」

呆然として座り込んだまま、掴んで離さないバンの方を振り向く。
いつの間にか起きていたのか、眠そうに上半身を起こした。何か様子がおかしいことに気づく。
かなり酔っているようで、どれだけ飲んだのかは知らない。

「どわっ、バン!?」
「ハル、ごめんなぁ・・・・・・」

寝惚けているようではないと分かり、水を持っていった方がいいのかと質問した。

「バン、水飲む?」
「あっ、あぁ・・・・・・」
「じゃあ、持ってくるから待ってて」

部屋を出て、洗面所にあるコップを取り出して水を入れる。
それを入れて戻った後、眠そうなバンに水の入ったコップを差し出す。

「はい、水」
「サンキュ・・・・・・」

ゴクゴク飲んだ後、机にコップを置いた。バンはベッドに倒れ込んで伏せた。
私はベッドの前に体を預けて座りながら、足を跨いだ。

「バン、志穂ちゃんに聞いたわよ」
「ああ・・・・・・オレも聞いてたよ」

今、なんて言った?
ちゃんと聞いてたって・・・・・・どういうこと?

「ちょ、聞いてたって・・・・・・・」
「水をさすようで悪いけど、柄の悪いヤツが絡んでたのは確かだぜ」
「そりゃ、そうだけど・・・大学が一緒なのは分かったけどさ、事件の調査の方はどうなの?」
「んーまあまあかな? オレが調べてたのはリンとキラの関係だけじゃないんだよ」
「ええ、2人の関係が分かったとでも言いたいわけ?」
「ああ、だいたいな。その話は後でいいよなぁー」

あの時と同じだ。1年前の事件でもそんな感じだったのを思い出す。
バンは健太と直太が誘拐されたことを気にしていた。それで、私がわざわざ家まで来て話すのを躊躇ったことは覚えている。

「今回はダメ! 聞かせてくれなきゃ困るよ」
「ハル・・・・・・」
「まぁ、バンが浮気してるわけじゃないって分かってたからさ」
「オレはそこまでするつもりじゃなかったんだけどさぁー」
「うん、酔ってるもんね・・・・・・って」

バンに押し倒されて、目を丸くしつつも見て驚く。
まさか、そこまでするとは思ってなかった。いや、それは有り得ないと思っていたのだが。

「なななっ、何すんのー!?」
「何って、別にしてねえよ。さっさと寝ようぜ」
「えっ・・・・・・何で?」
「オレ、ハルに心配かけちまったからさ。そのお詫びだよ」

そう言って、ゴロンと横たわったかと思えば爆睡している。
穏やかな寝息を立てるバンの腕の中に入り、温かさを感じた。
睡魔が襲ってきて、目を閉じた。意識がまどろんでいく中、深い眠りに落ちた。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.111 )
日時: 2012/12/17 10:09
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

(ストーリーモード:バン)

翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれている。
窓側に向けて寝ていた俺は眩しさを避けるためにベッドの内側へ寝返りを打ったのだが、あるはずの感触がないことに気づく。

「んぅ・・・・・・」

眠そうにゆっくりと瞼を開く。眠気眼にボンヤリと映るハルの背中は同じベッドで寝ているのにも関わらず、全容がよく見える。

(ったく、そんな端っこで寝てたら・・・・・・)

どうやら、ギリギリで落ちそうになっているので寝る体制が危うく見えた。
オレは無意識にハルの肩を掴んで、抱き込む要領でズリズリと引き寄せた。

「ふわっ!? ・・・・・・えぇ、バン!?」
「ハル、そんな端っこで寝てたら落っこちる・・・・・・」

仕上げとばかりに足を絡ませて引き寄せる姿は体格差もあり、俺の方がベッドから落ちないようにしている。
まるで、ハルにすがりついているかのようだ。

「バン、何で私を・・・・・・」
「昨日はごめんな・・・・・・・寝ちまって、おまえの話を聞いてやれなくてさ」
「いや、別に怒ってないよ」

ハルはフルフルと首を振りながら、オレの方に向いた。
昨日は飲み過ぎたようなもんだけど、ウイスキーを飲んだ後の記憶が全くない。
何かしでかしたかもっていう記憶はうっすらとしか残ってるが、なかなか思い出せない。

「なぁ、ハル・・・・・・」
「んー何よ?」
「オレ、何かしたっけ?」
「何も・・・・・・」

ハルの顔を見て、ふにゃりと笑いながら返す。寝惚けたまま、ハルの頬を抓る。
顔を顰めながら、オレの手を掴んで呆れつつも見る。

「いてっ、何すんのよ!」
「なにって・・・・・・オレ、のんだあとのきおくがねえよ」

低血圧からなのか、普段より呂律が不安定で喋り方が幼い。多分、寝惚けているためだろう。
それでも、幼馴染であることに変わりはない。いつも文句を言いながら接してくれるハルがいるから頑張れた。

「本当にウイスキーを飲んだ後の記憶がないの?」
「ぅん・・・・・・オレのきおくじゃあ、ハルたちがバーにやってきたところまでしかおぼえてないー」

確かにハルたちがやってきたところまでは覚えているが、その後の記憶が全くない。
いわゆる、飲み過ぎの影響で記憶を失ったのだろうか。記憶を維持するのがやっとだったオレはハルに聞きたいことがあった。

「ハル、あのバーにやってきたのはさぁー」
「志穂ちゃんとはどういう関係?」
「しほー? あいつとは大学の後輩だよ、ともだちみたいなもんだからー」

志穂のことは話してなかったが、オレの友達。あいつはオレにある話を聞かせてくれた。
その話は起きている時にでもしようと思っている。

「友達なのは分かったから。あんた、浮かない表情してたって言ってたよ」
「オレがぁ?」
「うん、志穂ちゃんが言ってた」
「ああ、リンのおまもり・・・・・・もってたから、あれを見せたのかもー」
「何で浮かない顔してたの?」
「あー言うの面倒くせぇ、後でするから寝かしてー」

そう言って、目を閉じた。2度寝しながら転寝しつつ、深い眠りに落ちた。