二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.115 )
- 日時: 2012/12/17 10:22
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第40章 ついに明かされる、リンの本当の過去・・・壮絶な出来事とは?
(ストーリーモード:バン)
数時間前、俺は奈良警部に言われて警視庁に来ていた。
警視庁の応接室に通してもらい、椅子に座る。
(俺に話したいことっていうのは・・・いったい?)
奈良警部が俺に話があるということはリンのことだろうか。
いや、それとも・・・警部が呼び出したのには、何らかの理由があってもおかしくないはず。
(なのに、こんな時間に呼び出しておいて・・・どうするつもりだ?)
連絡を受けた時に健太と直太を連れてきてもいいかと聞いたが、1人で来るようにと言われた。
その理由が分からなかったが、自分だけしか言えないことでもあるのだろうか。
(それにしても、なぜ・・・俺をここに呼ぶのか?)
疑いながら考え込むが、リンの様子がおかしかったのは確かだった。
廃墟ビルを探検した日の夜、帰りに話した時に気づいたことがあった。
リンの首筋に暴力にやられた後なのかも分からない傷跡が残っていたので、鮮明に覚えている。
「待たせたな」
聞き慣れた声がして振り返ると、警視庁の捜査一課で働いている奈良警部と直井健太さんの2人がやってきた。
ふと、由美さんがいないことに気付く。もしかして、事件の資料を取りに行っているのだろうか。
「奈良警部、由美さんは?」
「後から来るってさ・・・大谷が来たら、話そうかと思っているんだ」
由美さんは過去の事件の資料を取りに行っているそうだ。その話を聞いて納得するが、過去の事件とはいったい何なのか?
それとも健太と直太の身に何があったのか知りたい・・・このままでは、その真相に辿り着くことができないと思ったからだ。
「お待たせ!」
応接室のドアが開かれたのと同時に由美さんが息を切らして、中に入ってきた。
かなり集めているようだが・・・いろいろ調べていたのだろうか。
「大谷、やっと来たか・・・例の資料は用意できたか?」
「はい! ここにあります」
由美さんはそう言いながら、奈良警部の手元にファイルらしきものを置く。
事件ファイルみたいなものに資料がギッシリと積まれていて、何かと大変な作業をしていたかのように感じた。
「さて、話す前にいくつか質問する」
「質問ですか?」
いきなり質問が来るとは思わなかったので、心構えしながら聞く。
奈良警部はコホンと咳払いしてから、俺を見つめる。
「君はどのような経緯でリンちゃんを引き取ったのかね?」
「1ヶ月くらい前ですかね。母さんが俺の部屋にやってきて、ミソラ駅まで迎えに行けって言われたのがきっかけですね」
当時の記憶を振り返りながら思い出す。リンとの出会いは母さんに頼まれたのがきっかけだった。
それを機に迎えに行ったけど、可愛らしくて、大人しいという印象だったのを覚えている。
「お母さんになんて言われたか覚えてるか?」
「木曜日くらいに親戚の方がいらして、女の子を引き取ってもらえないかと申し込んできたそうです」
「親戚・・・・・・だと? そんな人がいたのか」
「はい。詳しいことは分かりませんが、健太と直太の親戚って言ってました」
間違いなく聞いていたので、母親の真理絵はそんなことを言っていた。
「なるほどねぇ・・・・・・」
奈良警部は腕を組みながら考え込んだ。どうやら、過去の事件と何らかの関連があると見て間違いない。
長兄である山野バンしかいなかったため、目撃証言を得られる人物が彼しかいなかったということになる。
「リンちゃんはその日から君の家で暮らすようになったんだね?」
「はい。隣の部屋で健太と直太の2人と一緒に暮らしてますが、リンは2人のことを可愛がっているし・・・結構仲良くしているので」
リンは俺にとっても大切な存在であり、家族の一員といっても過言ではない。
俺の大切な妹が目の前からいなくなるのは嫌だったので、警視庁の奈良警部に頼んで調べてもらうことにしたのだ。
「うむ、それなら良かった。あの子の心の傷を癒してあげられるのは君しかいないんだからな」
奈良警部は溜息をつき、事件資料を取り出す。直井さんと由美さんは訝しげに顔を見合わせた。
奈良警部は腕を組みながら、再び考え込んだが・・・すぐに頷き、決意したかのように捉えた。
どうやら、何か話してくれる気になったらしい。
「今からリンちゃんの過去について話そうか」
「えっ!? 話してくれるんですか?」
「あぁ、だが・・・その前に写真を見てほしい」
差し出された数枚の写真を受け取り、ジッと見つめる。
「---------ん?」
ふと、あることに気付く・・・リンの背中にタバコを押し付けられたような痕が残っていた。
しかも禍々しく、台風の目を見ているかのようだ。彼女に何かあったのかもしれない。
「なんだよ、これ・・・」
驚きのあまり絶句する。突然のことで動揺を隠せなかった。
想像以上に虐待された痕がいくつか残っていて、背中を含む上半身や下半身にいくつかの痣ができていた。
「いったい、リンの身に何があったんですか?」
「リンちゃん・・・・・・彼女は両親を失ってから、親戚に引き取られたんだ」
「親戚に引き取られたなら、仲良くしてるはずじゃあ・・・・・・」
「そこが問題なんだ。写真を見ても分かるように、これは明らかに虐待を受けている」
確かによく言われてみると、虐待を受けているのは間違いない。
じゃあ、いったい・・・・・・誰がリンに暴力を加えたのか?
「確かにそうですねぇ、これはおかしい」
「そうだろ? バンもそう思うよな」
「はい。リンに何があったのか知りたいし、俺は目の前で大切な家族を失いたくないんです」
「うむ。今から本当の過去のことを話そう、心して聞けよ」
奈良警部はポツリポツリと語り始めた。
その出来事は5年前に遡る。当時、リンは12歳だった。
不慮の事故で実の両親を失ったリンは父親の親戚に当たる家族に引き取られた。
近所に住んでいたのが、幼馴染の早間綺羅と宇津野志穂だった。2人はリンにとっても大切な友達とも言える存在。
「ただいまー!」
「お帰り、リン」
リンの従兄弟に当たる、小海直登という青年が現れた。直登はいつも母親に似て優しいところがある。
直登のそういうところが大好きだったリンの背後に忍び寄る影が迫ろうとしていた。
「リン、親父が荒れてるから気にすんなよ」
「うん、大丈夫! おじさんって、酒浸りだもんね」
「そういう兄貴も似たような感じだな。でも、何か様子がおかしい」
直登はある違和感を感じながら呟く。直登の兄・諒平は毎晩、酒場で入り浸りつつも遊びまくっていた。
リンと直登は兄貴的存在の諒平が大好きだった。心優しい兄だけど、たまにキレやすいところがある。
「リン、ちょっとこっちへ来い」
直登と諒平の父親・小海修一に呼び出されたリンは直登と別れて向かった。
しかし、そこで待ち受ける壮絶な出来事が起こってしまうことになろうとは思っていなかった。
和室のような場所に閉じ込められ、リンは修一による暴力を受けていた。
「がっ!」
衝撃的なダメージを受け、意識が朦朧としてくる。その時、父親がリンに向かって、冷たく言い放つ。
「リン、おまえが来てからは何もかも崩れ去った。何が直史の子供だ!」
「父さんのこと忘れるはずない・・・・・・」
「おまえがいるとムカつくんだよ!!」
そう、冷めた目で見ているかのように呟いているようにしか見えなかった。
リンはそんなことを気にしていられるはずもなかった。直登や諒平に知られたら、大きな騒ぎになるのは間違いない。
それでも、酒に酔っていた修一の暴力を受けながら耐えるしかなくなっていたのだ。
「生意気なガキがいるしな、ったく・・・・・・」
「やめてよ、おじさん。暴力は良くないよ!!」
「あぁ? うるせえ!!」
修一が暴力を振るうのには何か理由があるはずだ。それさえ分かれば、虐待を受け続けずに済んだかもしれない。
そう思いながら、痛みに耐えていた時。和室のドアが開かれ、光が差し込まれたかと思えば----------
「リン!?」
直登が姿を現した。酒によって暴れている父親を見て驚くが、リンが怪我していることに気づいた。
とっさの機転でリンを抱えながら、父親が酒瓶を持って振るう攻撃をかわす。
「直登ォ、俺に手を出す気かぁー?」
「父さん、リンに暴力すんの止めろよ!!」
「うるせえ、リンを離せ!!」
直登は意識を失う前のリンを寝かせ、父親から酒瓶を取り上げた。
リンは虚ろな目つきで見守ることだけしかなかった。直登の機転で警察に連絡して、父親の修一は逮捕された。
「リン、もう大丈夫だからな」
警察に連絡し、意識を失ったリンは救急車に乗せられて運ばれたのだった。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.116 )
- 日時: 2012/12/17 10:25
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
現在に至る。その過去の話を聞き終えたのと同時に呆気に取られていた。
リンがそこまで暴力を振るわれていたとは想像できないほどのダメージを深く負っていたのだということを感じた。
「そんなことがあったとは・・・・・・」
「うむ。まぁ、それで終わったかに見えたんだがな」
「それって、まさか・・・・・・再発しちゃったんですか?」
嫌な予感がしてならなかった。虐待が終わらないのが問題になっているのだという。
奈良警部によると、1年後に再び彼女を待ち受ける出来事が起きてしまったらしい。
「起きてしまったって・・・・・・じゃあ、父親は懲りてなかったんですか?」
「懲りてないというより、反省していないようだったな」
「反省してない? じゃあ、また起きちゃったってことですよね」
「ああ。その直登君は・・・・・・1年後に亡くなっているんだ」
直登が1年後に亡くなったってどういうことだろう。
奈良警部の話によると、1年後に事件が再発。その時に直登が父親の暴力によって、重体を負うまでになっていたのだ。
様子を見ていたリンは呆然として突っ立っていることしかできなかったらしい。
諒平も気づいていたが、自身も酔っていて寝ていたという。諒平とリンは直登が亡くなった後も仲良くしていたが、直登が死んだのを機に大人しくなったのだとか。
「諒平というヤツって、俺と同じ年ですか?」
「ああ。トキオ大学に通ってるって聞いてたが、会ってないか?」
「会ってませんね。学部が同じなら、コースが違っても知り合えるはずですよね」
「そうか。諒平に会ったら、よろしく言っておいてくれるか」
「そのつもりです。リンが大人しいのは、そういうことだったのか」
どうりでリンが大人しいわけだと納得できた。心の傷を癒えることができないのか。
できることなら、リンの心の傷を癒してあげたい。失われた過去の時間を取り戻して、ゆっくり過ごしたいという気持ちが沸いてきた。
「俺、リンのこと放っておけないんですよ。健太と直太のお姉さんがリンなら、その失われた記憶を取り戻すしかない」
「バン、健太と直太の記憶が戻らなければどうするつもりだ?」
2人の記憶は今も封印され、閉ざされかけたものを戻したいところだ。
しかし、記憶はすりかえられていると言っていた。リンは2人のことを覚えていると言っていたし、記憶のない健太たちを連れて行くのは無理かもしれないと思った。
「俺、あいつらに本当の記憶を取り戻してあげたいんです。あいつら、辛い顔して言うこともなかったけど・・・・・・」
「健太たちのことがそんなに心配なのか?」
「はい! 本気で心配してます。だって、俺の大切な家族だから!!」
なぜ、そう言えるのかは分からない。ただ、何となく分かるような気がするのだ。
記憶が失われている健太たちのサポートをするべく、俺も何かできることがあればいいと思っていた。
「そうか。それで、3人は家にいるのか?」
「いえ、それが・・・・・・・」
リンがキラード団に連れ去られてしまったことを話す。
俺はキラード団という謎の組織のことを詳しく話した。その話を聞いた奈良警部は腕を組みながら考え込んで呟く。
「キラード団・・・どこかで聞いたことがある」
「知っているんですか!?」
キラード団という謎の組織について知っているようだ。
奈良警部の話によると・・・ここ最近になって、新しく作られた組織。
謎の組織というよりは暴力団に近い可能性が高いということが分かっている。
「何か分かったら・・・すぐに連絡するよ」
「お願いします」
奈良警部たちを信頼しているし、リンや2人の身に何かあったら困る。
それを考えたら、代わりに俺が事件解決しなきゃいけない。
「うむ、今日は帰っていいぞ」
「はぁ・・・」
そう言って立ち上がり、応接室のドアを開けて廊下に出た。
リンが虐待されていたなんて信じられなかった。健太と直太の記憶がすりかえられていたとも聞いているし、実際に取り戻すことができるかどうかも分からない。
(できる範囲で俺もサポートしなきゃいけないな)
複雑な思いを抱きながら、健太と直太のことを思い出して心配する。まさか、2人が記憶をなくしていたとは思えない。
記憶を取り戻させるには、どうしたらいいか考えることにして、自宅に戻った。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.117 )
- 日時: 2012/12/17 10:28
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
そして、現在に至る。自宅にやってきたハルと対峙しながら話していた。
その経緯を聞いて知ったハルは目を丸くして驚きを隠せなかった。
「ちょ、リンが虐待されていたのォ-----------!!?」
「あぁ・・・俺も聞いたときは信じられなかったぜ」
左手で缶ビールを持ちながら、答えるのがやっとだった。
リンの気持ちを分かっていなかった。どうして、心の闇に気づくことができなかったのか。
健太と直太の記憶がすりかえられていたことは確かなようで、リンのことを思い出せないでいるのかもしれない。
写真を見せることで記憶を取り戻してくれればと願うしかなかった。
「でも、リンがそのことについて言わなかったのかも気になるね」
「確かにそうだな・・・」
そう言いながら、缶ビールを煽る。
フーッと言いながら、右手で口の周りを拭う。
「ヒック、リンのことを心配してんだよ、本気で! 健太たちも!!」
「バン・・・」
ハルは心配そうに俺を見て呟きながら、溜息をつく。
リンがいてもおかしくないはず・・・なのに、2人は記憶をすりかえられていたことになっていたとも知らずにいたのだから--------
「でも、どうやって手掛かりを掴むの?」
「そこが問題なんだよなぁ・・・」
そう言いながら呟いたその時、ハルがあっと叫びながら思い出す。
何か思い出したのだろうか、バッグを漁りながら取り出した。
「そういえば、すっかり忘れてた・・・」
「もしかして・・・ここに来たのは、俺に何か用でもあったのかぁ?」
ハルを見て、眠そうに呟きながら問いかける。
彼女は両手に何か持っていたので、その2つを受け取る。
「はい、この2つなんだけど・・・」
「スタンガンとCCM?」
差し出されたのは、スタンガンとCCMだった。
もう1つのスタンガンは見覚えがあったので、同じようなものを保管していた。
CCMは優雅のもので落ちていたことは確かだったらしく、その時に楓が駐車場で見つけたのだという。
「これを見つけたのが、勇気と楓よ」
「立向居と月島が見つけたのかぁ?」
そこで差し出されたスタンガンとCCMを取り出して見つめる。
楓が見つけたということは、駐車場にあったところに落ちていたということになる。
「まさか、スタンガンが残っていたなんてなぁ・・・」
「どういうこと?」
ハルが問いかけながら、スタンガンを見つめる。
このスタンガン、俺んちの前には落ちていなかった。
どう見ても明らかに犯行を示す証拠の手掛かりになると思っていいだろう。
「俺んちの前にはなかったな」
「ええええええ!?」
ハルが絶叫して驚きを隠せないかのように、呆然と見つめながら捉えた。
そもそも、このスタンガンが落ちていたのは、どういうことなのか?
犯人はどうやって仕組んだのかというところが気になって、調査を進めていたのだが・・・なかなか見出せない。
「俺んちの前に落ちていなかったのは良いとして、このスタンガンはどこに置かれていたかだ」
「あっ・・・!」
スタンガンがあったとして、どこかに置かれていたかだ。
酒を飲んでいた時にはなかったもので、問題はなぜ落ちていたのか。
「このスタンガンはリンたちを気絶させるためだけに使用した可能性が高い」
「じゃあ、どこに置かれていたかを調査した方が良いってこと?」
「ああ、そういうことだ。とりあえず、捜査したいけど・・・・・・夜だしなぁ」
夜に捜査することは不可能。できるなら、午後に捜査して探すしかない。
スタンガンが落ちているのを見つければ分かるはずだ。
「それじゃあ、探すのは明日の午後になるってこと?」
「ああ。でも、のんびりしてられるか! 見つけ出すぞ」
「でも、みんなが攫われた以上・・・どうやって助け出すのよ!」
ハルが突っ込みながら言う。確かに4人が攫われてしまった以上、どうやって助け出すか。
その前にトキオシティのどこかにあるキラード団のアジトを探すしかない。
「くそっ・・・アジトの場所さえ分かれば良いのによォ-------------」
ダンッと手を叩く。悔しいが、謎解きを諦めるわけにはいかない。
リンたちのためにも救出するべく、一刻も早く謎解きしてやる!!