二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.127 )
日時: 2012/12/17 19:42
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

隠し場所があるとしたら、裏通りしかない。
最近になって、新しくできた組織の1つで縄張りにしている場所は裏通りを中心とするところになっている。

(そのことから考えると何か引っかかる)

ボフンとベットに横たわりながら、地図を上げて見つめる。
月夜に照らす光が、紙を透き通そうとしているが--------------

(こんな仕掛け、どこにあるかも分からないのに---------------)

その謎を解き明かすには、時間がかかってしまうため限られる。

「んー・・・仕掛けがありゃおかしくねぇよな・・・」

そう言いながら呟いた瞬間、ハルが紙を引っ手繰って見つめる。
いきなり引っ手繰ってどうするのかと思いながら質問した。

「---------ハル、急にどうしたんだよ?」
「ねぇ、バン-----------------」

ハルが地図を持ったまま答えながら、見つめたのと同時に振り返る。
その様子だと何か言いたそうな感じがした。健太と直太も身を乗せて、紙を見た。

「あ? なんだよ---------------」
「仕掛けがあったとしてもおかしくないわけじゃないよね・・・そうだとしたら、アレかもしれないよ」

ハルはそう言いながら、紙にカキカキと何か書き始めた。
そこに記されていたのは、月の光が照らす明かりを何かに透き通しているかのような状態になっている。

「アレってなんだよ?」
「ほら、高校の時に天文台みたいなところで授業やったじゃん!」
「そういえば、こんなこともあったな。健太と直太に説明しとくか」

天文台みたいなところで授業をやったことは覚えている。
その時、俺は疲れて居眠りしていたので、先生の話をあまり聞いていなかった。
ハルが起こしてくれたので、ノートを貸してもらって書き写すことができた。

「その太陽の光が屈折した時に何か起きるようなトリックとかあるじゃない?」

ハルのヒントを聞いて、ようやく気付いた。
もしかしたら、何らかのトリックが仕組んである可能性が高まってきた。

(太陽の光・・・屈折・・・)

太陽の光と月の光に関係する屈折という言葉を活用して考えると、光度計のようなものが仕組まれていることになる。
何かに照らすものがあれば、仕掛けを容易に解くことができるのだ。

「そうか! もしかして---------------」

ハルを見て、何か閃いた。仕掛けは太陽の光に関係することが分かった。
そう、このトリックは仕掛けてあった・・・つまり、これは何らかのトリックを仕込んだということになる。

「多分、光度計のようなものが仕組まれていそうだぜ」
「バン、分かったの?」

ハルが目を丸くして驚きを隠せなかった。
彼女のおかげで少しずつ、希望が見えてきた。

「あぁ、おまえのおかげで少しずつ解けてきそうだ」
「ホント!? それなら良かったァ------------」

大喜びで笑顔を見せた瞬間、ニッコリと微笑み返した。
少しずつ解けてきそうな予感がしてならなかった。その時、健太が首を傾げる。

「なぁ、兄貴。光度計って・・・・・・何?」
「ああ、光度計っていうのは、照度や放射照度を測定する機械さ」
「例えば、どんな風に仕掛けができるって言うの?」
「仮に太陽の光がこのカーテンの間に差し込まれたとする。その間に屈折が起きるんだ」

そう、太陽の光がカーテンの隙間から差し込まれているときに屈折が起きる。
風呂に入った時も屈折みたいなものが起きているけれど、これとは別。

「屈折・・・・・・あっ、そうか!」

直太がポンと叩いて笑う。直太はやっと分かったみたいだ。
それに比べて、健太は少しだけでも分かったような顔をしていた。

「兄ちゃん、僕も思ったんだけど・・・・・・光度計はその光の角度によって、屈折が起きるんだね!」
「ああ、そういうことだ。直太は物分りが良いな」
「えへへっ、僕の方が分かっちゃったもんね」

直太は照れくさそうに仕掛けの謎を解くことができたようだと思って満足しているのだろう。
健太は腕を組みながら考え込んで、俺を見た。

「でもさ、兄貴・・・・・・光度計って言っても、どこに仕掛けが施されてんだよ?」
「それは後で調べて解くしかなさそうだ」

しかし、謎解きはまだ終わらない。
トリックを暴くには、その場所を訪ねて調べるしかないというのが現状だ。
よく考えれば、仕掛けがあってもおかしくないはず・・・なのに、裏通りに建てたのはなぜ?

「このトリックの謎は明日の夜に行って、捜査してみようか」
「捜査って言っても、どうやって?」

ハルは肩を竦めながら、首を傾げて問う。
捜査する方法は1つだけある・・・その場所に行って調べることだけしか考えられない。

「懐中電灯を持ってきてくれれば、2人で調べることも可能なんだがな」
「でも、どうすんの? トリックを暴くには時間がかかるよね」

ハルに指摘され、溜息をついて寝転がる。容易に謎を解き明かすのは想像以上に難しい。
その謎を解明するにも時間がかかってしまう。

(問題は光度計・・・その入り口に何か仕掛けがあるかもしれない)

これはあくまでも推測だが、どうやって調べていくか・・・・・・立向居や直紀も誘って調べてみるのもありだよな。

「うーん・・・立向居や直紀たちも一緒に誘ってみるか?」
「あ、それ良いかも!」

ハルが賛成してくれたので、立向居や直紀たちも一緒に誘って捜査してみることになった。
あとは電話して聞くだけだが、どうにかなるもんじゃないと思い込んだ。

「-------------ん?」

ガバッと上半身を起こし、窓を見上げる。
夜空が澄み渡るかのような風景に見とれながら考え込んだ。

(確か、輝姫もそんな感じで虐待を受けてたんだよな)

直紀の幼馴染に白炎輝姫という少女がいた・・・彼女もドイツにいた頃は叔父から虐待を受けていたとも聞いている。
そういうところは共感できるし、リンの心を癒すことができるかもしれない。

「----------ハル、直紀に言っといてくれ」
「え? 何を・・・・・・」

ハルは呆然としたまま、CCMを持って問いかけた。
輝姫とティアラなら、俺たちの捜査に協力してくれるかもしれない。

「輝姫とティアラを連れてくるように言っといてくれ」

ハルは怪訝そうに見つめていたが、コクリと頷いた。
直紀に連絡すれば、明日の夜は捜査に集中できる。

「そろそろ寝るかぁ-------------」

ベッドに寝転がったまま、眠そうに彼女を見つめる。
謎解きすんの疲れるけど、結構楽しくてたまらないからだ。

「そうだね・・・でも-------------」
「んー?」
「バン、あまり飲み過ぎないでよ! 何度も言ってんのに、私の言うこと聞かないんだから!」

ハルは俺の頭を撫でながら、ベッドにダイブした。
彼女がいると、なぜか和みやすくなる・・・いつも俺の話を聞いてくれるし、謎解きに協力してくれたりもするから助かっている。

「うん、ありがとな・・・ハル」
「--------------っ!」

ハルはカアーッと頬を赤らめながら、俺の胸に顔を伏せて抱きしめる。
そんな彼女を見て思わず苦笑したのか、眠そうにハルの身体を寄せながら見つめた。

「おまえ、可愛くなったね」
「なっ、何言ってんのォ-------------!?」

ハルはガバッと顔を上げながら驚く。
幼馴染だからか、気を緩めずに接してくれる----------・・・そんな彼女のことが大好きだった。

「おまえもしばらく見ないうちに女らしくなったよな」
「そういうバンこそ、イケメンになったしね・・・そういうところがカッコよくて憧れるよ」

ハルはそう言って笑いながら、俺の頬に手をつける。
その手を受け止めながら、ゆっくり離す。

「そうかぁー?」
「うん! だって、バンはいつ見てもカッコいいもん!」
「俺がイケメンになったからって、いきなり惚れるんじゃないぜ?」

ハルのキラキラした目を見て呆れながら答える。
幼い頃からずっと育んできた彼女との友情や絆は永遠に深まっていく。
自然に仲良くしてもらっていたし、俺もハルと関わっていて楽しいと思うこともあった。

「本当によく言うよ。そんなこと言って、私から逃れたいって思いたいんじゃないの?」
「あ? 俺は別にそんなこと言ってないって-----------」

そう言いながら答えようとした瞬間、ハルにデコピンを食らった。
指で弾かれるとは思っていなかったが、幼馴染だから心を許せる仲間を手に入れたんだと気付いた。

「いってぇ----------・・・・・・いきなり何すんだよ」
「今回も酒飲んだ罰♪」

ハルは笑いながらもからかいつつ、俺には何だかんだで接してくれた。
そういうところがあって嬉しかったのを覚えている。

「・・・ま、しょうがないよな」

寝転がりながら、ハルを抱えたまま呟く。
彼女は首を傾げていたが、すぐに頷いた。

「じゃあ、そろそろ寝ようか」

そう言った後、ハルは目を閉じた。
気持ち良さそうに寝ている彼女を見ていると、こっちも眠くなってきた。

「おやすみ、ハル----------」

まどろんだ意識の中、目を閉じた。だんだん、深い眠りに引きずり込まれていって落ちた。
今日も良い夢が見られますように-------------------

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.128 )
日時: 2012/12/17 19:45
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

(ストーリーモード:ハル)

翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえてくる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれていた。
もう既に朝が来ているらしく、眠いのを堪えて目を覚ました。

「-----------------ぅん・・・・・・?」

眠そうに上半身を起こし、隣で気持ち良さそうに寝ているバンを見つめる。
こんな幼馴染が隣にいるとはいえ、彼は穏やかな寝息を立てている。
しかも涎を垂らして寝ている・・・昔と比べて変わらないところがあったりするのだ。

「バンもリンのことが心配なんだろうな」

リンがいないことに対して、寂しさを見せていた。なのに、酒浸りの日々を送って寝てばかりいたのだから-------------
飲んだくれて寝ていることの多い幼馴染を見ていると、こっちが不安になってくる。

(それでも、バンは何か調べ続けていたんだね)

昨日、バンは酒を飲んで寝ていたのにも関わらず・・・・・・私を受け入れ、謎解きに協力してほしいということさえあったのだろう。

(バンはきっと後悔しているだろうな、家で飲んでたからなぁー)

そのことで自分を責めていて、さんざん悩んだのだろう。
最近は家に引きこもって、学校に行かなかったのか分からなかった。
そんなバンのことが心配で放っておけなかったし、気分転換に行くついでに話を聞いてやろうと思ったのだ。

(そこで、リンの本当の過去が明かされた。まさか、本当に虐待を受けていたとは思わなかったけど・・・・・・)

何もかも信じられない、あまりにも衝撃的な出来事だったと言えよう。
だが、バンは2人の記憶がすり替えられていたことに納得できない・・・・・・記憶喪失とも近い状態で実の姉のことも覚えていないことに疑問を抱く。

(私も同感だった・・・・・・でも、私の記憶が正しければ----------)

ヒロの幼馴染の小野奈緒美(通称ナオ)は【過去の追憶】事件で記憶喪失になっていた。
しかし、ヒロと一緒にいることで少しずつ記憶を取り戻していった。
幼馴染と一緒にいることで記憶を取り戻すことができたのだ。

(今は完全に記憶が戻っているし、大丈夫だけど・・・・・・)

問題はナオを呼び寄せて、事情を説明するかというところだ。
そのことで悩んでいた・・・・・・私はバンに相談しようと思ったが、起きてからにした方が良いかなと思いながらも寝顔を見つめる。

「す-----------すか--------------」

寝息を立てながら、向こう側へ寝返りを打った。
気持ち良さそうに寝ている様子を見ていると、まるで弟のように見えた。

(バン--------------------)

ふと、バンの髪を弄りたくなってきた。ちょっとした悪戯心が芽生えるので、彼に気づかれないようにしつつも笑う。
ヒラリと髪の中に手を入れて弄ってみる。その時、ピクッと眠そうに顔を顰めて唸る。

「・・・・・・・ぅん・・・・・・」

バンの眠そうな声がしたかと思いきや、ビクッとした。
身じろぎながら、髪をポリポリ掻いていたバンはまた寝息を立て始めた。

「あーハラハラしちゃった・・・・・・」

寝息を立てて寝ているバンを見ると和やかなムードになっちゃいそうで怖い。
まぁ、仕方ないから起こそうと思ったその時-------------------

「うわっ!」

バンがいきなり私の方に向いて、寝返りを打ってきた。
眠そうに目を擦り、私を見つめた眼差しは真剣そのもの。

「おはよ、何やってんだよー」
「おっ、おはよう・・・・・・・」

一瞬、無言で黙りこくってしまう。バンは眠そうな目で見つめた後、欠伸して起きる。
そんな私の頭をゆっくり撫でながら話しかけてくれた。

「さっき、髪を弄り回してたろ?」
「えっ・・・・・・いつから気付いてたの?」

いつの間にか知らない間に気付かれていたとは思っていなかった。
バンは眠そうに上半身を起こし、垂らしてしまった涎を拭いながら言う。

「寝てたときに何か触ってきたような気がしたからさ。こんなときに限って、髪を弄りながら遊ぶの止めてくれねぇ?」

しまった、不意を突かれた・・・・・・バンさん、怖いんだけど!!
でも、優しいから良いんだけど・・・・・・・こういう時のバンは意外にも鋭いのだ。

「ご、ごめん--------------」

そう言って謝ると、バンは私の頭をクシャクシャ弄りながら撫でた。
その様子だと怒ってないらしく、許してくれるのだろう。

「別に良いって---------・・・・・・起きなかった俺も悪いし」

バンはそう言って眠そうに笑った。
そんな彼の眠そうな顔を見るのが好きだったのを思い出す。
幼馴染がいるし、氷介がいなくても寂しくないのだから-------------

(バンはいつも優しいし、私の話を聞いてくれた。兄さんが死んでからは幼馴染として支えてくれるし、大好きだけど----------)

そうやって、大好きな幼馴染のバンとつるんで遊ぶことが多かった。
家にくる度、バンは優しそうな眼差しで温かく迎えてくれた。
何か誘いがあった時は断れないバンのことだから、帰りに私の家に立ち寄ることもある。

「どうしたんだ、ハル?」

バンが眠そうに目を擦りながら、私を見て問いかける。やっぱり、バンは兄貴みたいで優しいから相談しやすかった。
そんな彼が大好きでたまらなかったのか、バンの腕にしがみつく。

「バン・・・・・・っ!」

いきなりしがみつかれたかと思いきや、バンは目を丸くする。
幼馴染だから言いたいこともたくさんある----------・・・・・・なのに、何で悩みを抱える時は1人で身ごもって飲んでることが何度かあった。

「あんたねぇ、酒の飲み過ぎ! いつも私に心配かけてばっかりで---------・・・・・・だから、私を頼りなさい!!」

あんぐりと口を開けていたが、すぐに私の手をとって握り返す。
何か忘れかけていたものがあったのだろうか------------------

「ハル・・・・・・」
「1人で勝手に悩んで飲みながら寝てるって言うのは、どうなの?」

キツく据えてやらないこともない・・・・・・幼馴染が悩んでるのに、相談に乗らなきゃいけないこともある。
直太のことで悩んだ時だってそうだ。居酒屋で酒を飲んで寝ていたし、何かあったことは何となく察していたのだ。

「うん・・・・・・いつも飲んだくれてて、本当にごめん。ハルがいたこと忘れてたから相談できなかった」
「-----------え?」

バンはうなだれたが、すぐに顔を上げて見つめる。
その眼差しが・・・・・・まるで、私を捉えているかのようだった。

「俺が酔い潰れて寝てたときは起こしてくれたよな-------------・・・・・・本当に申し訳ないことしちゃったなって思うくらい、反省してたんだ」

バンの一言を聞いて、何か納得することができない。
幼馴染だからって、別に頼らなくてもいい・・・・・・彼がそう言いたいのは、こういうことではないか。

「でも、酒浸りになるのはやめるよ」
「----------は?」

酒浸りになるの止めるってどういうことだ?
バンは苦笑しつつも、頬をポリポリ掻きながら笑って答えてくれた。

「ついでに言うと、リンたちを助け出すまでは我慢しとこうかなって思って考えてたんだ」

我慢ですか・・・・・・まぁ、バンがそう決めたのなら、私はそれでも構わない。
リンに対するバンの思いを大切にして、謎解きに挑むしかない。
それで立ち直ってくれたら良いと思っていたのだから---------------

「うん、そうだね!」

バンに向かって、明るく笑顔を見せた。
揺るぎない決意を胸に入れ、私たちはトキオ大学に向かうことにした。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.129 )
日時: 2012/12/17 19:47
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

(ストーリーモード:バン)

やがて、時間が経ち・・・・・・夜8時ちょうど。ミソラタウン駅前で待ち合わせしていた。

「バンさーん!」

ヒロがナオたちを連れてやってきた。見覚えのあるキョウヘイたちもいた。
その背後には見知らぬ少年たちがいる。

「おい、そこのガキども。小学生だろ?」
「はい、そうっす。俺は無頼シントって言います。そっちの2人はフジとテツヤです」

2人の少年はフジとテツヤという。ヒロのことは知っていたらしく、知り合いらしい。
ヒロは溜息をつきながら、3人組を見て呟く。

「僕はこいつらを連れて行くつもりじゃなかったんですよ」
「へぇ、懇願されたのか?」
「そうです。事件があるなら、俺らも一緒に行くと言い出して・・・・・・仕方ないから連れて行くことにしました」

ヒロの話を聞いて納得する。キョウヘイたち、シントたちがいれば大丈夫だ。
後は輝姫とティアラが来るのを待つだけ。ハルが呼び出しておいたので、そろそろ来るはずだ。

「おーい、バン!」

聞きなれた声がして振り返ると、幼馴染の船津直紀だった。その背後にいたのはティアラと輝姫、もう1人の女性。

「あれ、この人・・・・・・」
「あぁ、紹介してなかったわね。一ノ瀬心愛って言うの」

ティアラが苦笑しながら、ここさんを見て笑う。
一ノ瀬心愛は俺に向かって、笑顔で挨拶する。

「一ノ瀬心愛って言います。私のことは『ここ』って呼んでね」
「俺は山野バン、よろしくお願いします」

さて、残るは青峰太陽か。黄瀬も来るって聞いたけど、どうしたのやら。
そう思いながら考え込んでいたその時、CCMの着信音が鳴った。それを取り出し、確認すると太陽からだった。

「太陽、来るの遅いぞ」
『すんません。みんな、先に行ってください。俺たち、後から追いますんで!!』
「・・・・・・分かった。いいか、場所は-----------------」

太陽に向かって、場所の位置を詳しく説明する。その後、電話を終えた俺はみんなを見て振り返る。

「健太と直太も捜査に加わるけど、これから俺たちが捜査するのは、リンたちが囚われている場所だ」
「リンちゃんが攫われたって、どういうことなの?」
「詳しくは何とも言えない。でも、言えることはただ1つ・・・・・・早間綺羅という少年と深い繋がりがあるということさ」

早間綺羅という少年との関係が深まりつつあるリン。
幼馴染である可能性も高まっていることから、催眠術を解かないといけない。
ここからが最大の問題・・・・・・リンたちがいる場所の位置を掴むにはどうすれば良いのか。

「リンたちが囚われている場所を特定するにしても、どこにいるのか分からないんだ」
「じゃあ、どうやって解けば良いの?」
「ハル、その手は1つだけある。昨日の夜に書いておいたアレ持ってきてるか?」
「うん、持ってるよ」

光度計の謎に関する問題が出ていたので、それを捉えた上で捜査することになるのだ。
よく考えたら、謎解きするに越したことはない。それでも、輝姫たちにも協力を仰いでもらうしかなかった。

「みんな、この紙を見てくれ」

光度計に関する問題を見せた。輝姫がすぐに気づいて叫ぶ。

「あっ、これって・・・・・・光度計に関する問題ですよね?」
「そう。輝姫、よく分かったな。この仕組みが何で起こるか分かる?」
「えっと、光と屈折によって起きるんですよね。ということは懐中電灯を使うわけだと思います」
「その通りだ。輝姫にしては勘が鋭いな」

その言葉を聞いた輝姫は照れくさそうに笑って頷いた。
ティアラが俺とハルを見て突っ込んで言う。

「光度計って、機械?」

ドシーン!
その言葉を聞いて、俺たちは滑って呆れつつもティアラを見る。
輝姫はどれだけ分かってないのかというような顔をしているし、ここさんはクスクス笑っている。

「相変わらず、天然なところがあるなぁー」
「ええ、酷いっ! ここ、そこまで言わなくて良いのにー」
「ティアラがそんなこと言うから、こうなっちゃったんじゃない」

ティアラとここさんの話を聞いて納得することができた。
その様子を見ていたハルも笑いながら、コクリと頷く。

「あー何か面白いよね」
「ティアラのヤツ、どれだけボケてんだよ」
「まぁ、面白いから許すけどね。輝姫、ティアラって天然なの?」

ハルが輝姫に向かって問いかける。輝姫は呆れつつ、ティアラを見て答える。

「ティアラ姉はこう見えてバカなんですよ。勉強は苦手で授業中に抜け駆けしたことのある有名人ですから」
「抜け駆け? 俺はそんなことしたことないから分かんないけど、居眠りした時によく怒鳴られてたぜ」

中学、高校の時はよく居眠りしていたので、何度か先生に怒鳴られては寝てしまう・・・・・・の繰り返しだった。
ハルは中3の時からずっと一緒だったので、俺が居眠りしていることは分かっていたのだろう。

「そりゃあ、バンはよく寝てたからね」
「いつも起こしてもらって悪かったな。でも、クイズは楽しかったな」
「クイズ? 何でそんなことやってたんですか?」

輝姫が興味深そうに聞いてくる。俺は高校時代の記憶を探りながら、懐かしそうに語った。

「高校の時、世界史の授業とっててさ。居眠りしては起こされて、その先生にクイズを出されたんだよ」
「バンは記憶力が良かったから、他の授業でもクイズ出るようになって・・・・・・それからもやってたわ」

世界史の他に生物の授業でもクイズが出されたことは今も覚えている。
ハルたちもビックリして、声が出ないくらい驚いていた。それが懐かしく感じられて思い出せた。

「凄いです、バンさん!」
「まぁ、大したことしてねーから良いけどさ」
「よく言うよ。あれだけ寝てて起きるのが面倒って言うのはどうなの?」

ハルに頬を抓られて、顔を顰めた。幼馴染だから分かるのだが、飽きられているのは確かだった。
そう、よく居眠りしては起こしてくれたり、席が離れている時はCCMでメールを送ってくれた。

「いてて、何すんだよ。寝てたからいいじゃんー」
「ダメだよ! 寝てたこと、少しでも良いから後悔しなさいよ」
「悪かったって思ってんだから、良いじゃんか!!」
「まったく、もう・・・・・・ところで、そろそろ行った方が良くない?」

みんなを見回すと、いつでも行ける準備ができているようだ。
輝姫とハルもコクリと頷いて、そろそろ本格的に捜査した方が良いだろう。

「よし、それじゃあ・・・・・・」

そろそろ行こうかと言おうとしたところで、後ろから聞き覚えのない声がした。

「ちょっと待った! 僕も一緒に連れてってください」

振り返ると、見覚えのない青年がいた。15歳くらいの少年だろうか。
それにしても、冷静沈着なところが見受けられていて大人しいと感じてしまうのは気のせいか。

「おまえ、いったい何者なんだ?」
「別に何者でもないですよ。事件が起きたってことは確かですよね?」
「あっ、あぁ・・・・・・そうだけどさ」

俺はそいつを見て、顔を顰めながら躊躇う。
いきなり、目の前に現れた少年はいったい何者なのか?