二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.19 )
日時: 2012/12/15 21:14
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第6章 由美が語る、25年前に起きた惨劇とは?

(ストーリーモード:バン)

警視庁の応接室で由美さんと話していたときにカレン・キャベルンに関する話を聞かされて驚いた。

「25年前の・・・・・・惨劇?」

25年前に何があったのか知りたい。
カレンはある事件で何か繋がりがあると見て、日本にやってきたということが分かってきた。

「ええ、イタリアのミラノで起きた事件ね」
「イタリアのミラノで起きたんですか、その事件?」

ハルが突っ込みながら言い切ったが、そこで何が起きたのか気になる。
由美さんは俺たちを見据えながら話してくれた。

「ええ、イタリアのマフィアが組織として動いている場所でカレンの父親が殺されて亡くなったの」
「亡くなったって・・・・・・じゃあ、その父親を殺した犯人を追いかけているってことになるんですか?」
「そうとも言えるわね・・・・・・ただ、その殺した犯人がちょっと厄介なのよ」

殺した犯人がちょっと厄介なのは分かるけれど、いったい何が起きたのか。
由美さんの話によると、犯人は爆弾を仕掛けるといったものに関して強いらしい。
つまり、犯人は爆弾を仕掛けることしか考えていないという人物だということが判明した。

「ば、爆弾!?」
「ええ、しかも難易度が高い爆弾を仕掛けていたの。その爆弾がマフィアの組織として動いている場所に仕掛けられていたことが判明して、イタリア警察が掴んだ手掛かりは父親の手に残されていたのよ」

難易度が高い爆弾を仕掛け、その父親の手に残されていたのが黒く焦げた電池だったという。

「ちょっと待って、由美さん」

話を聞いていて、ちょっと引っかかったことがある。
その爆弾が高度なものだとして、父親の手に残されていたというものは黒く漕げていた電池だった。

「もしかして、その爆弾は懐中電灯に入れておいたものじゃないんですか?」
「何で分かるの、バン君?」

由美さんが目を丸くして驚きを隠せなかった。
俺の推理が正しいのだとしたら、犯人は懐中電灯に爆弾を仕込んだのではないかと思っていたのだ。

「何となくだけど・・・・・・その犯人は、あらかじめ用意しておいた懐中電灯に電池を入れて起動させようとしたんじゃないかな」

そう考えれば、何もかも辻褄が合う。
犯人がもし、起動させるスイッチを仕掛けたとしてもおかしくない。
つまり、手の込んだ仕掛けを仕組んだことになるのだろうか。

「その父親が懐中電灯を見つけて、つけた瞬間に爆発が起きた。それで、その仕掛けに気付くことができなかったかもしれない・・・・・・だから、死ぬ前に黒い電池を掴んで握った可能性がある」

そこで起きた惨劇、つまりマフィアを巡る騒動によるものではないか。
イタリアではマフィアという組織がいくつもの存在しているのだから、騒ぎが起きてもおかしくないはずだ。

「つまり、イタリアで起きた惨劇はマフィアの組織の者による事件だった・・・・・・そういうことでしょ、由美さん?」

あんぐりと口を開いていた由美さんは呆然と見つめていた。
ハルも開いた口が塞がらなくて、ジッと見つめながらビックリしている。

「え、どうしたの?」
「バン、そこまで分かるなんて・・・・・・凄いじゃん!」

ハルは感嘆したように、俺の背中をバシッと叩く。
叩き方が相変わらず強いし、背中が痛くなってくる。

「いってぇ・・・・・・そんなことないって」
「バン君、そこまで分かるとは凄いね! その通りよ」

由美さんも満足そうに頷きながら、腕を組んだ。何か気になることでもあるのだろうか。
首を傾げながら見ていたその時、ガチャッと応接室のドアが開いた。そこに現れたのは、捜査一課で働いている刑事の直井健太だった。

「直井さん!?」
「あ、バンじゃないか。久しぶりだな、ハルちゃんまで来てたんだ」

ドアを閉め、由美さんの隣の席に座った。
直井さんはちょうど会議が終わったらしく、由美さんを探しに来たそうだ。

「そしたら、応接室にいるって言ってたからさ」
「直井くん、この人のこと知ってる?」

由美さんがハルのCCMに載っている写真を見せる。
その写真を見た瞬間、直井さんはビックリした。

「この写真、どこで撮ったの?」
「LBXバトル大会の会場にいたときに撮りました。俺たち、たまたま来てて・・・・・・」
「もしかして、ヒロが言ってた居酒屋か?」

直井さんはCCMに写っている女性を見て、顔を顰める。

「まさか、ヴィーナスがいたとはね」
「直井さんも知ってるの?」

ハルが直井さんに聞きながら質問する。どうやら、直井の方が詳しいと見ていいだろう。
さっそく、話を聞いてみた方が良いかもしれない。

「直井さん、何か知ってることがあるなら教えてください」
「うん、彼女はヴィーナスと呼ばれていたんだ」

直井の話によると、カレンは日本にやってきてすぐに事件を起こした。
その時に爆弾が仕掛けられ、高度なものを使った爆弾を爆発させたらしい。
これは復讐による狂気に駆られて、爆弾を仕掛けたと考えるのが妥当だろう。

「カレンはいつの間にか知らない間に高度な仕掛けを身につけるようになっていった。父親を殺した犯人に対しての復讐を募らせている可能性が高い」

高度な仕掛けを解除させるには、相当の技術をもっていないとできないそうだ。
警察ですら、少しだけでも解除しない限りは不可能だと見て考える。

「でも、連続爆弾事件を起こしてはまずい状況になっている。つまり、連続爆弾事件を食い止めないといけないからだ」
「じゃあ、その連続爆弾事件を食い止めるしかないんじゃないですか?」

連続爆弾事件で国際指名手配されているカレンのことを考えれば、危うくなるのは間違いない。
リンたちの身に何かあったら、絶対に困るかもしれない。

「食い止められたら・・・の話だけど、奈良警部はイタリア警察からの要望に応えて捜査しながら追っていたんだ」
「じゃあ、LBXバトル大会の会場にいたのはそういうことだったんですか?」
「ああ、奈良警部からバンに会ったと聞いて驚いたよ」

確かにそこで会ったら、本当にビックリしちゃうよな。
でも、連続爆弾事件を食い止めないといけないのは分かる。
どこまで追い詰めることができるかどうかも気になるくらいだから、何か事件を起こそうとしているのは間違いない。

「まあ、その事件の捜査も兼ねて手伝いますよ?」
「え、でも・・・・・・」

直井さんは焦りながら、苦笑しつつも溜息をつく。
その時、聞きなれた声が聞こえた。

「あれ、バンたちじゃないか」

そこに現れたのは、奈良警部だった。その様子を見る限り、会議は終わったらしい。

「こんにちは、奈良警部」

そう言って挨拶すると、奈良警部はコクリと頷いた。
直井の隣に座り、捜査資料の中に入っている写真を見せた。

「この男に見覚えはないか?」

写真に写っていたのは、1人の男だった。
身体がガッチリしていて、細身に近いといったところだろうか。
服装は黒ずくめになっていて、全体的に不気味な姿で行動しているように見える。

「いや、この男は見てないけど・・・・・・なあ?」

ハルに聞きながら質問して話しかけると、彼女は無言で頷いた。
奈良警部はそうかと言いながら、顔を顰めた。

「そうか、君たちも見てないか」
「はい。この男がどうかしたんですか?」
「カレンが追っているらしいんだ。その男の行方が日本のどこかに潜んでいる可能性が高いという情報を掴んだそうだ」

日本のどこかに潜んでいる可能性が高い。
つまり、日本といえば・・・・・・東京のミソラタウンしかない。

「もしかして、東京のどこかに潜んでいるってことですか?」
「ああ。カレンを追っていたんだが、もうちょっとで逃げられた」

奈良警部は昨夜のことを思い出しながら、顔を顰めて言う。
確かに言われてみれば、その場所で会うとは思っていなかった。
よく考えたら、そこで再会できなければ捕まえることができたかもしれない。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.20 )
日時: 2012/12/15 21:21
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

奈良警部は悔しがっていたので、捕まえることができないことに対して不満を持っていたのだろう。

「奈良警部、辛いのは分かるけど・・・・・・」
「まあ、犯人を掴まらない限りは無理かもしれないな」

それほどでも良いならと思って考える。
奈良警部たちにとって、なす術はないかもしれないが・・・俺たちもできることがあるなら捜査に協力するつもりだ。

「まあ、そこは仕方ないかもしれないけど・・・・・・俺たちも手伝いますよ」
「いや、大学生はレポートとかで忙しいんだろう。そこまで無理しなくていいぞ」

警部は苦笑しながら、俺たちに気遣って遠慮しておくと言って応えた。
直井さんたちも同感だったようで、ヒマな時は警視庁に来てもらうからと言ってくれた。

「ごめんね、私たちだけで捜査に集中したいのよ。できることなら、協力してほしいけどね」
「由美さん・・・・・・」

警視庁の捜査一課で仕事しているのだから、忙しいのは当然かもしれない。
それでも良いなら、ヒマな時に遊びに行くだけでも大丈夫だろう。

「まあ、そっちの都合もあるしね・・・・・・そこは仕方ないんじゃないですか」
「確かにそうね・・・・・・奈良警部もこの任務にかけてるから苦労してるわ」

由美さんのからかいを受けた警部はすかさず、突っ込んだ。

「大谷、余計なことを言ったら承知しないぞ!」
「はいはい、すみませんねぇー」

由美さんと奈良警部のツッコミやボケを聞いていると、何だか和やかな雰囲気に変わった。
警視庁に遊びに来ると、意外と落ち着くものなんだろうか。

「まあ、由美さんや警部には頑張ってもらわないとね」

直井さんは苦笑しながら、溜息をついた。





やがて、時間が経った頃には夜になっていた。
警視庁からの帰り道、ハルと一緒に肩を並べながら歩いた。

「奈良警部に会えて良かったね」
「ああ、そうだな」
「由美さんも、直井さんも元気そうだね。でも、リンちゃんのことは話さなくて良いの?」

山野リンのことを思い出す。
そういえば、家に来てから慣れてないこともあるだろう。
健太と直太の姉だからと言って、気遣うところがあるようだ。

「ああ。まだ話さないほうが良いかもしれないな。リンのこともあるだろうし、俺も気遣うことしかできないだろうけど」

リンはいつも元気な姿を見せては、俺に甘えてきて話しかけてくれる。
兄という存在が身近にいないというのもあるため、いきなり素直に甘えてくることが多くなった。
健太や直太はリンのことを覚えていないかもしれないだろうが、いつか記憶が戻ると思って信じるしかない。

「そうなんだ。リンは空手やってるもんね」
「ああ。結構、たくましいよな・・・あいつ、人懐っこそうには見えないけどさ」

苦笑しながら思い出してしまうが、リンは家族の一員だと思って可愛がっているつもりだ。
ハルに似てるところといえば、俺に突っかかってくるところかな。

「そうかな? でも、リンはバンのことをお兄さんだと思ってるかもよ?」

ハルは俺を見てからかいながら、ニヤリと笑う。
その笑い方を見て、ちょっと嫌な予感がした。

「なんだよ、ハル・・・・・・」
「リンも可愛いから許しちゃうけどね、バンはイケメンなくせにカッコいいんだから!!」

ハルは両手をブンブンと振り回しながら、俺を見て歩きながら笑った。
イケメンなのは相変わらずだけど、俺は別に気にしていないから大丈夫だ。

「バーカ、そんなこと言ってる暇があったらデコピンでもしてやろうか?」

そう言ってからかいながら、ハルのおでこにデコピンを食らわせてやった。
そのダメージを受けたハルはプウーッと顔を膨らませながら顰めた。

「いでっ、何すんのよ!」
「だって、おまえが余計なこと言うかもしれないだろォ?」

そう言いながら笑って、先を歩く。
俺を見て、ハルはその後を追いかける。

「ちょっと待ってよ、バン!」

俺の後を追いかけながら走り出す。
苦笑しつつも、ハルを見守る。

「ハハハ・・・・・・」

俺は幼馴染のハルと一緒にミソラタウンへと帰っていった。