二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.200 )
- 日時: 2013/01/13 15:10
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第49章 蘇る過去の記憶Ⅰ ハルが絡んでいたという1つの事件とは?
(ストーリーモード:バン)
1年前、健太と直太がミソラタウンに来てから少し経ったある日の夜。
たまたま、飲み会に参加して帰る途中に通りかかった河川敷で見覚えのある女性を見かけた。
「ハル?」
ヒックと呻きながら、幼馴染の人見晴香だということに気づくまでには時間がかからなかった。
そもそも、この時間にいるなんて・・・・・・どうも怪しいと思い込んだのか、フラフラと階段を下りていく。
すると、隣にいる青年を見て驚く。中学時代の同級生だった楢崎がいたので、どういうことなのか分からない。
「楢崎、あんたに構ってやれる余裕ないからね!」
「んだよ、俺のこと見てねーようで言ってるようなもんじゃん」
「ちょっと、その言い方が気に入らないんだけどっ!」
2人の会話からするとケンカしてるみたいだ。しょうがないから、空の缶ビールを持ったまま見つめる。
幼馴染と言えども、その気持ちは分からなくもない。仕方ないので、楢崎に向かって缶ビールを投げた。
「痛っ、誰だよ!」
「よぉ・・・久しぶりだな、楢崎?」
「山野、何でお前がこんなところにいるんだよ!?」
「こっちの台詞だ。ハルに絡んどいて、何してんだぁ?」
「うるせぇ、俺にケンカ吹っかける気か!」
「気にいらないってんなら、叩きのめせば?」
楢崎のヤツ、俺がいることも知らないで話し込んでたみたいだな。ハルに絡んでおいて、何がしたいのか。
「山野、テメェ-----------------------」
「おっと暴力はダメだぞ。腐れ縁で幼馴染って言うのが面倒なだけだろ?」
「ちっ、邪魔しやがって。覚えとけや!」
「ああ。覚えとくぜ、楢崎」
「じゃあな、山野・・・・・・せいぜい、2人で仲良くしてな!!」
なんだよ、その言い方はまるで俺たちをからかっているようなものだ。
ふと、ハルを見て思い出しながら、溜息をついて苦笑する。こんな時間にいるのが不思議としか言いようがない。
「ぉい、ハル--------------------」
「あっ、バン・・・・・・・・」
「こんなところで何やってんだぁ?」
「別に何もォ・・・・・・・・」
「ったく、ボケ言ってる場合じゃないぞ。ここにいたら、風邪引いちまうだろォー」
ウィーッと呻いてから、彼女を見ると何か落ち込んでいるようだった。
何かあったのかということだけは何となく分かったので、ハルの肩を叩いて言う。
「こんなところで突っ立ってたら、風邪引くぞ。俺んちで話を聞いてやるからさ、今日はもう遅いから泊まっていけよ」
「ぅん・・・・・・・」
「なんだ、今日はやけに素直だな」
「素直って言うか、その・・・・・・」
「急にどうしたんだよ、ハル?」
俺の胸に飛びついて来たかと思えば、泣きそうな顔で俺を見る。どうやら、何かあったようだ。
ハルの様子を見る限り、酒を飲んでないようで落ち込んでいることが伺えた。その背景に何が原因なのかも分からない。
彼女の話を聞いてやれるのは、幼馴染である俺しかいない。ここにいてもしょうがないので、泣かせるわけにもいかなかった。
「バンっ、助けて!」
「助けてって、何があったんだよ・・・・・・」
はぁ・・・・・・この様子だと話すのが怖いのだろう。それにしても、彼女が怯えたのを見たのは久しぶりだ。
急に怯えて泣き出すかと思えば、何らかの理由があると見ていいだろう。俺は溜息をついて、ハルの手を握って連れて行く。
「ちょっと、バン!?」
「手を握ってればいい、俺がいると思って安心しなよ」
「でも、本当に良いの?」
「良いんだよ、俺んちで聞くから行こうぜ」
幼馴染を連れて、自宅に戻った俺は母さんに咎められながらも仕方なく、ハルを2階に連れて行く。
家に戻っても、うなだれたまま落ち込んでいるハルを見て放っておけずにいた。
「俺の部屋で聞くから、何か飲もうぜ」
「でも・・・・・・」
「なーに、飲みすぎやしねぇって。俺、今日は飲み会だったから帰るの遅くなっちまったんだよ」
「そ、そう・・・・・・」
「悩み事があるなら言えよ、部屋に入ろうぜ」
「うっ、うん・・・・・・」
今日は珍しく素直になっていたので、首を傾げていた。その背景に何が原因なのかも聞きたいくらいだ。
酒を飲んで帰るのが日常の一部になっていた俺は、ハルと話すことも少なかった。最近になって、やっと話せるようになったということもあって聞くくらいならできる。
部屋に入り、そこにあった冷蔵庫から缶ビール2本を取り出す。ハルはソファに座り込んで、顔を顰めた。
「ほらよ、飲むか?」
「うん、ありがと・・・・・・」
片方の缶ビールを渡した後、隣に座って缶ビールのプルトップを開ける。その後、ハルが俺を見て言う。
「ねえ、バン・・・・・・」
「なんだぁ?」
「わわわ、私っ・・・・・・」
「何かあったのかぁ? 俺でよければ聞くぜ」
缶ビールを煽りながら、ハルの話を聞くことにする。彼女のことだ、何かしでかしたのかもしれない。
そう思って心構えて聞く体勢に入ろうとしたその時、ハルが右手で俺の服の裾を握りながら話し始める。
「あああ、あいつに会っちゃったよ・・・・・・」
「あいつ・・・・・・って、誰のことだよ?」
「楢崎だよ、覚えてる?」
「ああ、中学で一緒だった楢崎か。それで?」
「うん。実は、一週間前------------------」
ハルの話を要約すると、こんな感じだったという。
一週間前、部活の帰りに立ち寄ったシブヤタウン付近の居酒屋で酒を飲んだ帰りがけに見覚えのある青年を見て驚いた。
楢崎が女とつるんでいるのを見て驚きを隠せずにいたが、その時にいた女性が楢崎にそう言ったそうだ。
「女の子が私のこと見て、なんて言ったと思う?」
「よく分かんないけど、何か気に入らないことでも言われたのかぁ?」
「うん、『超ムカつくよね、あの子』って------------------------」
「その言い方、ちょっと酷くねぇ? 仮に楢崎のヤツが女とつるんでもおかしくないよ」
「うん・・・・・・でも、楢崎の様子がおかしかった」
「様子がおかしい?」
「何となくだけど、どうも引っかかるのよね・・・・・・」
ハルは、うーんと唸りながら首を傾げていた。健太ならケンカをやりかねないし、ある意味で楢崎に似ているのは確かだ。
健太もケンカに明け暮れていて、荒れる時期があったと直太が言っていたのを思い出す。
【兄ちゃん、荒れてる時期があってケンカしまくってたんだよ】
その言葉を聞いて、楢崎もある意味で不良になっていたのだろう。それでもケンカしまくり放題で先生に目をつけられたというのは間違いない。俺もケンカするのは好きじゃないけど、売られたケンカは必ず買う主義だ。
楢崎に突っかかるのも面倒なので、ハルの話を聞いてあげた方が良さそうだ。
「楢崎ならケンカしかねないよな。あれで大人しくしてればいいってもんじゃないだろォ---------------?」
「そりゃ、大人しくできるはずがないよね。でも、どういうことだろ?」
「んー・・・女とつるんでんのは自堕落な生活を送ってんじゃねーの?」
「そういえば、家庭環境が複雑って聞いたような・・・・・・」
「それだよ。まぁ、あんなヤツなんか放っとけよ」
「うん・・・・・・」
一気に缶ビールを煽ると、酔いが回ってきたのかどうでも良くなってきた。
ハルを抱えながら励ますことしかできないので、仕方なく溜息をついて言う。
「落ち込んでる暇があったら寝ちまえ。嫌なことなんか忘れちまえば良いんだよ!」
「えっ、ちょっ・・・・・・」
ハルを寝かして、さっさと抱きしめてしまいたいくらいだ。幼馴染って言うのが蟠りのない感情を浸っているようで上手く誤魔化すことができない。