二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.208 )
- 日時: 2013/01/14 08:38
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第49章の続き
(ストーリーモード:バン)
酒を飲んで寝るつもりだったのに、上手く誤魔化せないのはどうして?
それは幼馴染の人見晴香という存在があってこそ、悩みを聞いてやれるのは俺しかいない。
だから、酒を飲んでも気づかないって言うのはどうなのか。飲んだくれて寝てしまうのが当たり前の日常になっていた。
それでも、俺は酒場で夜遅くまで飲んで帰ることが多かった。ハルに会うのは久しぶりだったし、なぜか安堵しているのだろう。
「なぁ、ハル・・・・・・」
「なななっ、何!?」
「いや、そこまで噛まなくていいよ。悩みがあるなら、俺に言えっての!」
「えっ、ちょっとォ!?」
グイッとハルの右手を掴んで抱き寄せる。こいつは無茶していそうだから、いつも気にかけていた。
本当に心配かけてしまうヤツだから、寝ちゃうのも頷けるわけだよな。これから、夜はまだ長い。夜明けまで飲むのも遊ぶのも自由。ハルは俺の幼馴染だ。
「おまえなぁ、いつも無茶してばっかりしてると嫌われちまうぞォ?」
「いや、だって・・・・・・」
「だって、じゃない。そんなこと言ってる場合かよ、楢崎と絡んでたのには何か理由があるんだろ?」
「バン・・・・・・何で分かるのよ・・・・・・」
「なんだぁ、俺が気づかないとでも思い込んでたのかぁ?」
苦笑して、そう言うとハルは顔を赤らめながらも俺の胸に飛びついた。
仕方なく受け止めてやると、彼女は頬を赤く染めながらも顔を顰めた。
「楢崎とは、前の飲み会で会ったんだもん」
「へぇ、大学の飲み会で?」
「うん。その飲み会をやる居酒屋で偶然、バッタリ出くわしちゃってさ」
「飲み会で会ったんなら分かるけど、そこで何かしでかしたのか?」
「楢崎のヤツ、何か隠し込んでた。絶対に言えるようなものじゃないってことは分かってたつもりだけどね」
楢崎が隠しこんでたってことは、何か理由があるに違いない。俺もよく分かんないけど、それだけは察することができた。
ハルは俺を抱きしめながら、ギュッと掴んだ。ソファベッドで寝るのも良いよな。
「バン?」
「悩んでんなら、俺に直接話せよーヒック」
「・・・・・・あの、もしかしなくても酔ってる?」
「酔ってんの、俺はどうせ飲んだくれだよ----------っく・・・・・・」
見て分かるだろ、俺が酔ってんのに気づいてない。ハルは鈍感なところがあるから、本当にからかうのが楽しいと言っていいくらいだ。
ただ、流石に飲み過ぎちまったみたいで眠くなるのも納得できる。大きな欠伸をしてから、ハルの肩を抱き寄せた。
「バン、眠いの?」
「さっき、飲んだからな。楢崎のこと忘れちまえよ、さっさと寝ようぜ」
「・・・・・・ぅん・・・・・・・」
深い眠りに落ちて、目を閉じた。朝まで爆睡してればいいってことだ。
どうせ、ハルも寝てるに違いないから起こすのも面倒だ。だんだん、意識が遠のいていった。
翌朝、気持ちよさそうに寝ていた俺の肩を揺り起こす。紛れもなく、ハルの声だと分かる。
「-----------バン、いつまで寝てんの。朝御飯できてるよ」
「んー・・・・・・ぁと5分くらい・・・・・」
「いい加減に起きないと冷めちゃうよ。それでも良いの?」
「眠いんだよ、ふわぁー・・・・・・今、何時だぁ?」
「おはよ、寝てばっかだと頭がこんがらがっちゃうよ」
「おはよ・・・・・・んだよ、うっせぇな。眠いの分かってんだろォ?」
「文句言ってる暇があったら、朝御飯は食べさせてあげないよ?」
「ちっ、分かったよ。食べればいいよな」
だるそうに上半身を起こして、目の前にハルがいることに気づく。
酒浸りで飲んで帰ってきた俺のことは気づいていたらしいが、健太と直太は帰ってきていることも知らないで寝てたそうだ。
ハルが代わりに事情を話しておいたらしく、2人に話す手間が省けた。その時、直太が俺のところに駆け寄って言う。
「あっ、起きたの?」
「あぁ、直太かぁ・・・・・・おはよ、起きるの早いな」
「僕、学校あるから行く準備しなきゃ行けないしさ。バン兄ちゃん、帰るの遅かったみたいだね」
「おっ、おう・・・・・・うん、飲み会で遅くなっちまった。良い子にしてたか?」
直太の頭を撫でてやりながら笑う俺の様子を見たハルは半ば呆れていた。
弟のような存在で可愛がってるくらいだから、健太と直太も家族の一員だと言っていいだろう。
「うん、バン兄ちゃんが帰ってくるまで待ってた」
「けど、寝ちまってたんだろ? さっき、ハルに聞いたぞ」
「うん、兄ちゃんの帰りが遅いと思ってたんだよ。何度も電話したけど、繋がんなくて」
「えっ、電話?」
ポケットに入れてあるCCMを取り出して、すぐに確認すると確かに直太からの着信が入っていた。
そういえば、突っ伏して寝てたから気づいてなかったのかもしれない。直太に申し訳ないことしちゃったなって思った。
「うわ、本当に来てた。ごめん、俺寝てたから気づかなかった・・・・・・」
「飲み会で寝てたの、バン?」
「あぁ、酒を飲み始めてから3時間くらい経った頃には寝てた。んで、飲み会が終わったのが夜中の12時だった」
夜中の12時には起きて、フラフラ歩いて帰る途中でハルにでくわしたということになる。
直太がすかさずフォローして、俺を見て思わず苦笑した。
「ちょっと、どんだけ飲んだの・・・・・・兄ちゃん、流石に飲み過ぎでしょ!」
「うっせ、寝てたから気づいてなかっただけだよ。ホントにごめんな、直太」
「まぁ良いよ。あっ、そろそろ行くね」
「おう、行ってらっしゃい。気をつけて行けよ」
「は----い!」
直太は明るく笑顔を見せて、部屋を出た。大慌てで行くようなもんだから、遅刻確実だな。
その様子を見かねて、ハルが俺を見て思わず苦笑する。そろそろ起きて、朝飯を食べちまうか。
「下にいこーぜェ」
「うんっ!」
下に行くと、健太と直太がいないことに気づく。学校に行ったのか、どうりで慌てるわけだと納得する。
朝飯はご飯・味噌汁・スクランブルエッグの3つ。眠そうに頬張りながら食べる。
「あ、おいしい・・・・・・」
「でしょ、まあ私が作ったからね」
「そっか。ったく、だりぃな」
「こら、だるいなんて言わないでよ」
「だるくて当然。眠いのもあるから、さっさと済ませて食べちまおうぜ」
「そんなこと言って、また寝る気なの?」
「寝かせろよ、少しだけでも睡眠を貪りたいのー」
「はぁ、しょうがないな」
ハルも寝ることを認めていたようで、幼馴染として一緒に寝るのもいいかなって思っている。
睡眠を貪るのもいいけど、暇だから眠りこけるのもいいかなって考え込んでいた矢先のことだった。
その時、急に家のインターホンが鳴った。こんな朝早くに人が来るとは思えなかったので、だるそうに立ち上がって玄関のドアを開く。
「ふぁい・・・・・・って、あれ?」
警視庁の奈良警部が突っ立っていたので、何かあったということだけはすぐに察した。
「バン、こんな朝早くに来て悪かったな」
「奈良警部、何でここにいるんですか?」
「立ち話もなんだから、家の中に入れてもらって良いか?」
「別に良いっすよ、ハルも一緒に居るから大丈夫ですよ」
「ハルちゃんもいるってことは、ちょうど良い。話す手間が省けたな」
「へ? どういうことっすか、奈良警部?」
「詳しいことは、居間で話すよ。中に入れてくれ」
「はぁ、分かりました」
だるそうに欠伸してから、奈良警部を手招きして入れる。
居間に連れて行くと、ハルが奈良警部の登場に目を丸くして驚く。
「な、奈良警部?」
「おはよう、ハルちゃん。起きたばっかりで悪いけれど、話したいことがある。良いかな?」
「はっ、はぁ・・・・・・」
その様子を見かねた俺は眠そうに優しく話しかける。
「とりあえず、朝飯食ってる途中だけどさ。まぁ、後で聞くから」
「バンはゆっくり食べていいよ。私が代わりに聞くよ」
「おお、サンキュー」
「ちょっと待った、2人とも。朝御飯食べてからで良いよ」
「え、でも・・・・・・・」
「まぁ良いんじゃね、さっさと食べちゃおうか」
奈良警部の気遣いに感謝して、食卓に戻った俺たちはゆっくり食べながら過ごした。
しばらくして食べ終えた頃、奈良警部のところに行って聞くことにする。
「何があったんですか?」
「楢崎修吾のこと知ってるか?」
「楢崎? え、知ってるけど・・・・・・」
「ちょっと、何で楢崎なんですか?」
「・・・・・・ちょっと厄介なことになった」
奈良警部の言葉を聞いて驚く俺たち。楢崎のことで話って言うのは、いったい?
朝早くに来た理由がちょっと分かったような気がしたので、心構えして聞くことにする。
「「----------------え?」」
奈良警部が言う、厄介な事とはいったい何なのか?