二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.226 )
日時: 2013/01/16 14:19
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第50章 蘇る過去の記憶Ⅱ 奈良警部が言う、厄介な事件とは?

(ストーリーモード:バン)

奈良警部が俺の家に来て、そこで言い渡された言葉は【厄介なことになった】ということだった。
いったい、どういうことなのかも分からずにいた俺とハルは顔を見合わせて傾げる。

「奈良警部、楢崎が何かしでかしたんですか?」
「楢崎は・・・・・何か組織に入っているみたいなんだ」
「組織って・・・・・・いったい、どういうことですか?」

確かに楢崎ならやりかねないという感じだけど、いったい何があったのか?
その時、ハルが奈良警部を見て思わず気になったことを言い出す。

「奈良警部、楢崎がやったっていう証拠とかあるんですか?」
「いや、それはない。だが、ちょっと引っかかることがある」
「引っかかること?」
「ああ、楢崎は最近になって組織に入った可能性があるという話を聞いてな。君たちは楢崎とは、どんな関係なんだね?」

楢崎が何かの組織に入ったって言う噂なんて聞いた記憶がない。そういえば、酒を飲んでたときに誰かが話していたような気がする。
酒を飲みまくって寝てた俺のことだから、どうりで記憶に残ってないはずだ。

「保育園時代の幼馴染ですよ。腐れ縁っていうヤツ?」
「へぇ、つるんでたとかそういうのはあったか?」
「いやぁ、ないっすね。楢崎とはつるまないようにしてたから、不良として恐れられていたからなぁ」
「なるほどね、君たちが知り合いだというのは分かった。そういえば、ハルちゃん・・・・・・昨晩、楢崎と何か揉めてたそうだね?」

奈良警部に話を振られて、思わず驚くハル。確かに昨夜、楢崎と何か揉めてたな。
酒を飲んだ帰りに通りかかった俺も驚いたけれど、楢崎がハルに絡む理由なんてあるはずがない。
そう思ってたけど、絶対に何か理由があるに違いない。ハルの様子を見る限り、顔を顰めつつもうなだれていた。

「おい、ハル・・・・・・昨日、楢崎と何の話してたんだ?」
「ちょっとね、彼女になれって言われたんだけどさ・・・・・・」
「は、おまえが楢崎の彼女に? なんだよ、それ?」
「楢崎がね、私に片思いしていたらしいんだよね」
「片思いって、そんなになるまで惚れ込んでたのかぁー」
「ちょっと、バン! その言い方は良くないよ!!」
「うっせぇ、おまえに言われたくないよ」

2人で何やら語っていた俺たちの様子を見て、話を聞いていた奈良警部は腕を組んで納得する。
奈良警部、ちょっと納得するくらいなら何か言ってほしい・・・・・・そう思い込んだ矢先、奈良警部がハルを見て言い放つ。

「もしかして、付き合えって言われたのかね?」
「はい、そんな感じです。でも、付き合えってストレートに言うもんだから、本当に困ったもんですよ」
「ふーむ・・・・・・バン、昨日は何してたんだ?」
「あっ、俺は酒を飲んでました。って言っても、飲み会があるからって誘われて行ってたな」

飲みに行くことは好きだけど、気が済むまで飲まなきゃいけないっていうわけでもなかった。
それでも、ひたすら飲んで寝ることだけしか考えていなかった。飲み会からの帰り、ハルに出くわしたことを覚えている。

「おまえ、本当に酒を飲むのが好きだな」
「好きですよ。でも、12時頃に終わって帰る途中で河川敷に行こうと思ってたら・・・・・・」
「ほう、それで?」
「それで、河川敷に行ったら・・・・・・ハルと楢崎がいたから驚いたんですよ」

俺の話を聞いていたハルはコクリと頷いた。そりゃ、酔っ払って歩いてたら驚くよな。
ハルも俺が河川敷にやってくるとは想像していなかったようでビックリしていたに違いない。

「確かにバンが河川敷に来たことにはビックリしたけど、楢崎が組織に入ってるって聞いたことないし」
「そりゃ、確かにそうだ。俺だって、聞いたこともなかったし。付き合ってた女の子って、どんな人だったか覚えてる?」
「んーとね、外国人風の人だったかなぁ。流暢に日本語を話してたから、印象に残ってて・・・・・・」

その言葉を聞いて驚いた奈良警部はハルを見てビックリする。急にビックリしてどうしたんだろう?
そう思っていたその時、奈良警部が腕を組みながら考え込んでいた。楢崎と何か関係があることは確かだ。
奈良警部が腕を組んでいるところを見る限り、何やら思い浮かべて考え込んでいる。

「奈良警部、急に考え込んで・・・・・・」
「ハルちゃん、外国人風の女の子を見かけたとか言っていたな?」
「えっ、はい・・・・・・そうですけど、何か関係があるんですか?」
「ふむぅ、やっぱり引っかかるな。外国人風の女の子は、どこかにタトゥーのようなものを身につけてなかったか?」
「タトゥーね、確かにつけてたような覚えがあります」
「つけてたような覚えはあるんだな。どこにつけてたか覚えてるか?」
「右腕のあたりにバラのようなものがつけられていた記憶があります」
「バラのようなもの・・・・・・・って、まさか!」

奈良警部は鞄の中に入っている資料を漁り始めた。どうやら、何か理由がありそうだ。
数分後、テーブルの上に事件の資料が重なるようにして並べられていた。その1つの資料に目を通し始めたが、何か引っかかるというところがあった。

「これは女の子の過去に纏わる事件ですか?」
「あぁ、今も国際指名手配されていて逃亡を繰り返している」
「カレン・キャベルンねぇ、そいつが日本に身を潜めているとは思えない」
「どういうことだ、バン?」
「よーく考えてみろよ、仮に楢崎と一緒にいた彼女がカレン・キャベルンだとして犯人だったら殺される可能性も有り得るだろ?」

その可能性も少なくないので、事件を解決させる方法を見つけ出すしかない。
楢崎が、その女性と会っていたとしても考えられるのはただ1つ。カレンに誘われて、何らかの理由で組織に入ったということも有り得る。

「あっ、それも有り得るな」
「でしょ、そのカレン・キャベルンはどこの出身か分かる?」
「確か、イタリアだったかね。父親がマフィアに入ってたそうだ」
「マフィアか、どうりで娘さんなら何か企てていたとしてもおかしくないはずだぜ」
「あっ、確かにバンの言うとおりかもしれんな・・・・・・」
「うん、まだ日本にいたとしてもおかしくないってんなら有り得るぜ」
「はぁ・・・・・・っていうか、バンも推理力を発揮してるね」
「久しぶりに考え込んじゃったぜ。まぁ、それくらいなら分かって当然さ」

奈良警部も腕を組んで、事件の資料を漁っている。まぁ、俺も協力を惜しまないつもりだ。
楢崎が何らかの理由で事件に加わるという可能性は少ない。そうだとしても、彼が事件を起こすとは思えないのだ。

(それにしてもおかしいな・・・・・・・)

事件を起こす動機が見つからないのは、なぜなのか?
楢崎が組織に加わるなんてことも聞いていなかったし、何らかの理由で事件を起こすという感じではない。
それにしても、何か引っかかっていたので気になることもいくつかあった。ハルが事件に関与していてもおかしくないわけで、犯人だと疑いたくなってしまう。

「何か変だと思わないか?」
「変って、何が?」
「カレンって言う女の子、若いんじゃねぇか? 仮に俺たちと同じ年だったとしても話すことができんのが気になるぜ」
「あっ、確かにそうかも!」
「やっぱりな、おかしいところもあるけど・・・・・・彼女はどうやって日本語を習得したと思う?」
「まさか、テレビを見てたとか?」
「いや、それは有り得ないぜ。彼女には、親戚とかにハーフの子がいたっていうことも考えられないか?」
「あっ、それは一理あるかも! でも、奈良警部に言った方がいい?」
「いや、結論は後にしておいた方が良さそうだ。あれこれ考え込んでもしょうがねぇよ」

奈良警部には悪いけれど、後で結論を出した方が良さそうだ。よく考え込んでもしょうがない。
奈良警部も気を張って優しくしてくれているので、話しやすいというのもあるのだろう。

「奈良警部、そろそろ帰った方が良いんじゃないですか?」
「おお、朝早くに来て済まなかったな。俺はそろそろ帰るぜ」
「はい、今日は気をつけて帰ってください」

奈良警部が警視庁に戻った後、やっとの思いで居間に戻った俺は眠そうに欠伸した。
その様子を見ていたハルは無言で黙りこくっていたが、皿洗いをこなしていた。

「ぉい、ハル・・・・・・」
「ん、どうしたの?」
「何でもねぇよ、俺は2階に戻って寝るからな」
「眠くなるのも当然か」
「当然でもねぇよ、バカ言ってんじゃねーよ」

ガンッ!
軽く小突くと、ハルは顔を顰めながらも俺を見ていた。どうでも良いや、と思ってソファに寝転がる。
2階に戻るのも面倒になったので、居間のソファで寝ることにしよう。ハルが洗い終えるまでの間なら良いか、と思って目を閉じた。