二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.230 )
- 日時: 2013/01/16 21:04
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第50章の続き
(ストーリーモード:バン)
2時間後、ソファで転寝していた俺の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
「バンさん、よく寝てるよね」
「そりゃ、疲れてるんじゃないの?」
「ヒロ、それはないでしょ! ハルさんに呼ばれてきたのは良いけどさ」
「あはは、そうだね。バンさんが目覚めるまで待つしかないなぁ」
話を聞いているうちに意識が戻って、目を覚ますと見慣れた青年と女性がいることに気づいた。
眠気眼で2人を見つめながら、右手で垂らしてしまった涎を拭う。後輩の大空ヒロと小野奈緒美がソファの前に座り込んで、楽しそうに談笑している。
「ヒロ・・・・・・?」
「あっ、バンさん。目が覚めたんですね」
とにかくヒロとナオがここにいるのはどうして?
ハルに呼ばれたとか言っていたのを思い出す。そういえば、2人が楽しそうに会話していたのを聞き逃さなかった。
眠そうに上半身を起こし、だるそうにヒロを見て座り込んだまま問い質す。
「さっき、ハルに呼ばれたって言ってたけど・・・・・・」
「あ、もしかして僕らの会話を聞いてたんですか?」
「ああ、ちょっとな。ハルに呼ばれたってことは何かあるのかぁ?」
「何か楢崎さんのことで聞きたいことがあるって言ってたので、来てみたらバンさんが寝てたから・・・・・・」
「何で起こしてくれなかったんだよ、ヒロォ?」
「気持ち良さそうに寝てたから、ナオと相談して寝かせようかってなったんですよ」
ヒロは笑いながら、俺を見て答えながらも思わず苦笑する。その時、俺とヒロの会話を聞いていたナオが話に加わる。
ハルのことで呼ばれたのは間違いないらしく、2階にいる可能性も含めて探すしかなくなったと言う。
「ハルさん、どこに行ったんですかね・・・・・・」
「ナオ、ハルに突っ込む暇さえあったら俺の話し相手でもしろよ」
「ええー嫌ですよ、バンさん! ハル先輩の身に何かあったら困るでしょ!」
「それは一理あると思うけど・・・・・・うん?」
後ろから手を回されたかと思えば、振り返ると幼馴染の人見晴香がいた。
何やら上機嫌みたいだけど、良い事でもあったのか。それともヒロたちがやってきた事と関係があるのかも分からない。
ヒロたちがいる理由を聞いてみたいのも確かだし、俺も話してみたいくらいだ。ハルのことだから、何か企んでいそうだ。
「バン、やっと起きたのね」
「あっ、あぁ・・・・・・」
「そういえば、よく爆睡してたよね。起こしてみたけど、寝てたからソッとしといてやろうと思って」
「ふぁ、眠いからさ。何だかんだで付き合いの少ない俺を起こしてくれんのはハルだろォ?」
「寝惚けてないで、ちゃんと起きてよ。ヒロたちもいるんだから!」
「へいへい・・・・・・」
眠そうに背伸びしながら欠伸する俺を見たヒロとナオは思わず苦笑していた。
ふと、ハルが何か思い出したらしく、話題を持って振りかけた。どうやら、楢崎のことで話があったらしい。
「ヒロ、ナオは楢崎修吾のこと知ってる?」
「ああ、不良として恐れられている例の・・・・・・」
「確か、札付きの不良少年として有名だった人ですよね?」
2人とも楢崎のことは知っていたようで、ハルはようやく気になることを聞きだした。
俺の前で話すなんて、どういうことだと言いたいくらいに突っ込みたくなる。俺の大切な仲間がいるからだ。
「あんたたち、楢崎が組織に入ってたことについて聞いた?」
「そういえば、居酒屋で酒を飲んでた時に噂話で誰かが言っていたのを聞いたなぁ」
「そう、それよ! 私たちが聞いたのは、紛れもなく居酒屋での噂話ですよ」
「噂話って・・・・・・いったいどんな話だよ、おい」
俺が突っ込みながら話すと、ヒロが苦笑しながら落ち着くようにして宥める。
冷静に汲み取りながら、2人の話を聞くことにした。そこで、俺たちは意外な証言を聞いてしまった。
「楢崎さんが入り始めたのは、ここ最近のことなんだそうです」
「ここ最近で何かあったのかということだけは分かるか?」
「はい、最初は僕たちも疑ってたんです。だんだん話を聞くにつれて、意外なことが少しずつ分かってきました」
「意外なことってなんだよ?」
「ええ、現時点で判明しているのはキラード団という謎の組織で活動し始めたということです」
「キラード団?」
「聞いたこともない、謎の組織っていうよりもグレイト団と同様に手強いようです」
キラード団という謎の組織に入団して、楢崎はそこで活動し始めたということになる。
それなら、俺たちが疑っていてもおかしくはないはずだ。謎の組織に手を出すとは良い度胸だなって思う。
ナオがヒロの話を聞きながら、冷静にパソコンをいじって説明する。
「楢崎が不良少年として恐れられていたのは、ケンカに明け暮れていただけではないということが分かったんです」
「ふーん、なるほどな。でも、何か理由があってもおかしくないのに、家庭環境とかは分からないもんな」
「いえ、家庭環境は複雑だったらしいです。僕らが聞いた話だと父親が酒浸りで、母親は幼い頃に亡くなっているとのことでした」
楢崎の家庭環境を聞いて、思ったよりも複雑だったということが分かった。
ちょっと両親の関係も気になるが、複雑な家庭環境で育った彼はより一層にケンカに明け暮れていたのだろう。
俺もその気持ちが全く分からないまでもなかったので、ハルを見て思い出す。彼女も一時期、不登校になったことがある。
それを見かねた俺は帰りにハルんちに寄って、彼女の話を聞きながらも愚痴に付き合っていた。
「そこがちょっと複雑だな」
「はい。楢崎も結構複雑みたいですね」
「でも、あいつの行方が掴めないままじゃ分かんないな」
「いつか現れてくるんじゃないですか、その時に会えばいいってことで」
「ああ、そうだな。その時に会って、話がしたいっていうのもあるからな」
ヒロたちの話を聞き終えて、分かったことは楢崎の家庭環境やケンカに明け暮れていたということだった。
それに居酒屋で噂話を聞いたというのも気になるが、今はしょうがない。ケンカに明け暮れるっていうのはどうかと思うが、楢崎なりに生きてきたのだろう。
そして、現在に至る。過去の記憶を思い出していた俺を呼ぶ声が聞こえた。
「--------------ン、バンってば!」
「おっ、おおぅ・・・・・・なんだ、ハルか」
「さっきから呼びかけても考え込んでるみたいだし、急にどうしたの?」
「なぁ、ハル・・・・・・」
「ん、どうしたの?」
過去の記憶を思い出しながら考え込んでいた俺は腕を組みながら呟く。
その様子を見ていたハルは思わず首を傾げる。いったい、何を考え込んでたのかというような顔をしている。
「ハル、楢崎のこと覚えてるか?」
「何で楢崎ィ?」
「いや、ちょっと引っかかることがあるんだ。1年前に聞いただろ、ヒロたちの話を聞いて気にならないか?」
「あぁ、あれね・・・・・・確かに気になるよね」
「よく考えてみろよ、楢崎の身長は何cmだと思う?」
「そりゃ、190cmとか・・・・・・・有り得ないよね、あはは」
「いや、それも有り得るぜ」
「えっ?」
笑い事じゃない、これは本当に命がかかっている謎解きなんだ。
謎を解かなきゃ、気が済まないっていうのもあるので解きたい。事件の謎はあまりにも多すぎて引っかかることだらけだ。
「と、とにかくさぁ・・・・・・リンたちの居場所を掴まないとダメでしょ?」
「ああ、そうだな。でも、この事件の謎は・・・・・・俺が解き明かしてやるぜ!」
その勢いを生かして、リンたちの居場所を掴もうと決意する。その目に迷いはなく、果敢に挑んでいくことを決めていた。
自ら覚悟して、謎解きに挑戦しておかないと気が済まない。とことん、謎解きしてやろうという気持ちに駆られたのだった。