二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.258 )
- 日時: 2013/01/22 17:30
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第51章の続き
(ストーリーモード:バン→リン)
そう考えたのと同時にトリックの仕掛けが分かってきた。蝶番に合わせて屈み込んだ。
その様子を見ていたハルを含むメンバーたちは首を傾げながら、何か捻っているようなしぐさを見せた。
「このトリックの謎が分かったぜ」
「ええっ、どういうことですか!?」
輝姫が突っ込みながら、ティアラたちと顔を見合わせる。その謎を解くキーワードは、ドアの役目を担う蝶番である。
「そのドアは多分、偽者だ」
「偽者って・・・・・・えええええ!?」
「輝姫、そこまで突っ込まなくてもいいよ」
「でも、偽者だって分かるんですか?」
「うん。このドアは似せて作られたものなんだけど、この蝶番の反対側に何か取っ手があるはずだ」
もう1つの蝶番に手をかけながら、体重を乗せて反対側を探す。すると、もう1つの蝶番が現れた。
反対側の取っ手を掴んで、みんなに向かって分かりやすいように解説する。
「この2つを、こうやってひっくり返すと・・・・・・」
咄嗟にひっくり返したのを見て確認するハルたち。輝姫がやっと、何かに気づいて驚く。
「あっ・・・・・・!?」
「本物のドアが現れた・・・・・・!?」
輝姫と黄瀬が目を丸くして驚きを隠せなかった。青峰たちも呆然として見つめている。
つまり、このトリックはフェイクに見せかけたものでカモフラージュしておいてあった。
それを見せかけることで、本物のドアが隠されていてもおかしくない状態になっていたのだ。
「本物のドアが現れたってことは、もしかして----------------------」
「そう、これはフェイクさ」
「フェイクって・・・・・・」
「さっきの蝶番を見ていて引っかかってたんだ。それで、この瓦礫を使って本物に見せかけたんだろう」
床に落ちていた瓦礫を拾いながら、みんなに見せて解説する。疑問に思ったヒロが俺に問い質す。
「ドアにカモフラージュが施してあったということは、誰かの仕業ですかね?」
「ああ、ヒロの思ったとおりだよ。誰かの仕業によって施したものさ」
「じゃあ、犯人が仕組んだっていうことも考えられるんですか?」
「そういうこと。つまり、このドアの存在を知られたくないために作られたものだろうな」
「なるほど、だから犯人が作ったということも考えたんですね」
本物のドアを発見したことで、トリックを解くことができた。その時、ハルが何かに気づいて歩み寄る。
机の上に写真立てのようなものが置かれていて、本棚なども見回した。ハルが写真を見て気づいたようで、俺を呼ぶ。
「ねえ、バン! この人、見覚えない?」
「あ?」
ハルのところに向かって歩み寄りながら、写真を見た。見覚えのある人物が映っている。
カレン・キャベルンという女性が映っており、よく見れば隣にいる人物が誰なのかも見当がつかない。
「カレンだよな・・・・・・この隣に居る男性は誰なんだ?」
「お父さんとかじゃない?」
「いや、あいつの親父さんは数年前に起きた事件で死んだはずだ」
「そうだよね、あはは・・・・・・」
「でも、ハル・・・・・・何か引っかかると思わないか?」
「引っかかるって、何が?」
「この事件の犯人が誰なのかも分からないんじゃ掴めないと思うんだよ」
「もしかして、諒平っていう人とか?」
小海諒平という青年の名前に聞き覚えがあった。小海諒平はリンの実兄であり、俺と同じ年だった。
諒平ではないとしたら、誰が犯人なのか。その見当を掴めない様子を見て、輝姫とティアラが会話していたところを聞き逃さなかった。
「リンちゃんが攫われた時点で小柄な子にやられるなんて有り得ないよね」
「そうだよね、ティアラ姉。犯人が誰なのかも分からないってことは、真の黒幕が居たりして!」
輝姫の台詞を聞いて、脳裏に何かが過ぎった。今までの事件は黒幕が起こしたものに過ぎない。
つまり、真犯人は3人以外に誰かがいる可能性も考えられる。俺たちの知っている人物ではない可能性も否めない。
「そういうことか、やっと見えてきたぜ!」
「えっ、事件の謎が解けたっていうの?」
「バンさん・・・・・・まさか、本気で事件の謎を解く気ですか?」
ハルとヒロは目を丸くして驚きを隠せなかった。今までの事件の謎がようやく解けてきた。
犯人をギャフンと言わせておけば、気が済まない。ただじゃおかないというつもりで謎解きに挑むしかない。
「ああ、謎は全て解けた!」
絶対に事件の謎を解き明かして見せる。犯人が誰なのかを突き止めるために挑む。
ドアを開けて、下を見ると地下に通じる階段があった。その下を見て、ゴクリと息を飲んだ。
「よし、覚悟は良いか?」
「うん・・・・・・いつでも行けるよ、ねっ!」
ハルの号令を聞いて、黄瀬たちもコクッと頷く。
俺はみんなを見据えて、先に踏み入れながら走り出す。
「行くぞ、みんな!」
同時にみんなの声が一斉に上がり、元気そうに階段を踏み切って追いかけるように走り出していった。
「「「「「「おおっ!」」」」」」
リンたちを絶対に助け出す。そのつもりで駆け出していくように、地下室に通じる階段を急いで降りていく。
その頃、リンは地下室にいたが・・・牢屋の外に放り出され、外国人の女性による暴力を受けていた。
息苦し紛れに耐え続けながら、床に倒れこんだまま顰めている。その様子を見かねた優たちはリンの様子を見て動揺を隠せない。
「止めろ、リンを虐めるのは!」
「黙れ、こいつを痛い目に合わせてやらないと気が済まないんだよ!!」
リンの腹を蹴りながら虐めていた。まるで、虐待としか思えない光景を見ているかのようだった。
過去に関する記憶を思い出したくないのか、暴力を受け続けてきたからこそ分かる憎しみ。
それを理解するのに時間はかからなかったが、意識が朦朧としてきて身動きが取れない。
(このままではやられてしまう・・・・・・・健太と直太に心配かけたくない)
たった1人の大切な兄・山野バンにも迷惑をかけてしまうし、いっそのこと逃げ切るしかなかった。
でも、逃げ切ろうと思っていても逃げる気になれない。この状況では、どうしようもない。
優たちの悲鳴が聞こえてきて、自分を励ましてくれるというような感じがしてならなかった。
「リンを虐めるの止めて! お願いだから-----------------」
「そうだ、リンちゃんを虐めたらタダじゃおかないぞ!!」
優と樋田優雅の声が聞こえてきたかと思えば、外国人女性が威嚇しながら睨みつける。
その様子を見て動揺を隠せない優たちは声を出せず、顔を顰めていた。彼女らの声も空しく届かず、僅かな望みにかけるしかない。
(バン兄さん、みんな・・・・・・・このままだと死んじゃうよ)
いきなり打ちのめされる日々に耐えられず、暴行を受け続ける日常を過ごしてきた。
辛くも耐え続け、兄のバンたちが助けに来てくれることを信じて待つしかない。その思いが届かないかもしれないと思ったその時-------
『ダンッ!』
勢いよく玄関のドアが開かれたのと同時に現れた。そこに来たのは、兄の山野バンとその仲間たちだった。
その様子を見て驚くリンたち。優雅がバンに向かって、牢屋から話しかける。
「バン、助けに来てくれたか!」
「みんな、無事か!?」
「無事なのはいいんだけど・・・・・・リンがっ!」
優の言葉を聞いて、顔を向いてみたバンは床に突っ伏して倒れているリンに気づいて驚く。
「えっ、何で・・・・・・嘘だろ?」
いったい、どういうことなのかという表情をしている。
バンだと悟った彼女はホッとした表情になって、緊張と不安が和らいでいくのを感じた。
ようやく、地下室に辿り着いたバンたちは目の前に映った光景を見て驚きを隠せずにいたのだった。