二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.299 )
日時: 2013/01/30 10:07
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第54章の続き

(ストーリーモード:バン)

綺羅が催眠術を受けていたとしたら、リンに関する記憶は忘れてしまっている可能性が高い。
記憶力による問題もあるので、リンのためにもいろいろ話さなければならないことがあった。
俺は何も信じたくなかったが、記憶力のことも含めて考えるしかなかった。

「催眠術にかかって操られていたってことで良いんだよね?」
「ああ。でも、5年前の事件はカレンが仕組んだものだったんだ」
「カレンが仕組んだ!? それじゃあ、どういう・・・・・・・」

黄瀬は目を丸くして、カレンの方を見る。彼女の仕業であることは間違いない。
記憶力が低下してもおかしくない状況なら有り得る。カレンが全て企てたものであり、綺羅は使い物の一部に過ぎない。

「うん、そんなことが言えるのはカレンだからだと思うんだ。でも、綺羅は催眠術にかかったまま、虚ろな目で見続けてきた」

虚ろな目で見続けてきた綺羅だからこそ分かる劣等感。リンのことを思い出すのも時間がかかってしまうわけで。
リンは元の綺羅に戻って欲しいのだという思いが強まっているのだろう。幼馴染だということが判明したのは、志穂に聞いて知った時だった。

「志穂から聞いて、意外なことが判明したんだ」
「意外なことって何?」
「信じ難いかもしれんが、綺羅とリンは幼馴染だった」

その言葉を聞いて驚くはずがない。ハルたちは呆然として、リンを見る。
倒れ伏したまま、俺を見つめるリンの眼差しは『なぜ知っているのか』というような顔をして驚きを隠せないでいた。

「兄さん、何でその事を-------------------」
「リン、おまえはいつもお守りを手にして見つめていたよな?」
「うん、そうだけど・・・・・・・・」
「やっぱりな、いつも手にして見つめていたのには何か理由があると思ったんだ」
「もしかして、バレてた?」
「ああ、もうバレてんぞ。お守りを手にして見つめていたのは、幼馴染であることを知られたくなかったんだろ?」

自分と綺羅が幼馴染だったということを知られたくなかったのは、俺たちに気を使ってのことだと思う。
リンに聞きたい事なんかもあったりで、気を使わせてしまうのは嫌だった。5年前の事件に関わっていたとは思ってなかったからだ。

「うん、そうだよ」
「俺たちに余計なことを知られたくないのは分かってたぜ。でも、カレンは重大な過ちを犯してるんだよ?」
「重大な過ちって・・・・・・・何それ!?」
「バンさん、いったいどういうことですか?」

ハルとヒロが突っ込みを入れながら驚く。カレンが犯した重大の過ちとは何か。

「綺羅を誘拐するのに使った道具が落ちてたんだぜ。その道具は---------」

志穂が差し出してくれた重要な証拠を掴んでいたので、事件の謎はとっくに解いていたのだ。
その道具の正体を明かそう。その正体は、もう1つのスタンガンだった。

「これが何だか分かるか?」
「スタンガン!?」
「そう。カレンが綺羅を誘拐するときに慌てて逃げようとした時に残してあった証拠さ」
「もう1つのスタンガンが落ちてた根拠なんて-----------------」
「いや、あるさ! 綺羅を誘拐するのに使った手段は催眠術とスタンガンの2つだ」

綺羅を誘拐するのに使った手段は2つ。催眠術を施した後、綺羅の首にスタンガンを突きつけて気絶させた。
それしか方法がないというカレンの計画は、まさに完全な仕掛けだと思えない。

「催眠術を施した上でスタンガンを突きつけた。その証拠に、志穂ちゃんは不審な1台の車を目撃していたんだ」
「あっ、そういうことか。つまり、カレンは志穂さんに知られたくないので、気絶させた綺羅を連れ出して逃げるつもりだったってことですね!」

ヒロはようやく事情を飲み込めたらしくて、リンたちを見て納得する。
健太と直太は呆然として、変わり果てた姿の綺羅を見て言うことすらできない。
そりゃあ、リンの幼馴染だった少年がこんなに変わり果てた姿になっていたのだから無理もない。

「綺羅の記憶を戻すのに、時間をかけても良いならしょうがないけどな」
「小癪な真似をして、そこまで何がしたいんだ!」
「俺たちがここまで追い詰めたのに、リンは傷ついたままなんだよ。おまえらがキラード団の一味であることも分かってるんだ!」

カレンを指差しながら呟いて、キッと鋭い目で睨みつける。
アジトで起きた、もう1つの事件についても解き明かさなければならない。

「ぐっ・・・・・・」
「なら、もう1つの事件についても解き明かしてやろうか?」
「もう1つの事件って---------------------------------」
「そう、このアジトにある部屋で起きた事件さ。ヒロのおかげで何もかも分かってきたからな」
「バンさん、もしかして解けたんですか?」
「もうとっくに解いてるぜ、ヒロ。例のトリックも解き明かしたからね」

自信満々にヒロを見て、ニヤリと笑う。もう1つの誘拐事件も全て解き明かした。
その謎を解き明かすのに、時間がかかったわけで。トリックの謎も全て解けた!

「その謎は全て解けた! 今から解き明かしてやるよ」
「やれるもんならやってみな!」

もう1つの誘拐事件、これが最後の謎解きになる。
その謎とやらを解き明かして、カレンたちを追い詰めてやらないと気が済まない。
最後のトリック、誘拐事件に纏わる謎とはいったい? その仕掛けがついに明らかになろうとしているのだ。