二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.35 )
- 日時: 2012/12/16 12:10
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第9章 リンの様子に違和感を感じたバン・・・その複雑な心境とは?
(ストーリーモード:バン)
1週間前に起こった出来事を境にバンは悩みを抱えるようになってしまった。
リンに対する悩みを抱えるようになり、俺はその悩みによるストレスを解消するために毎晩、居酒屋で酒を飲むようになった。
「バン、飲み過ぎ!」
幼馴染の船津直紀に咎められてしまい、カウンター席に座って飲んでいる。
飲み過ぎだと言えるし、酔っ払ってばかりじゃいられない。
「うるせえ、何をしようが・・・・・・俺の勝手だろォー!」
「バン・・・・・・」
こりゃ重症だと思いながら気遣ったのだろうか、直紀の考えは分かっていた。
直紀は俺に優しく話しかけながら、酒を煽る。
「悩み事があるなら、僕に話してよ」
「おまえに話してさぁ・・・・・・何が分かるんだよ」
ヒックと呻きながら、酒を煽る。直紀は溜息をつきながら呆れた。
俺の気持ちを汲み取っているつもりかもしれないけど、直紀は幼馴染だから仲が良い方だ。
「バン・・・・・・」
「まあ、良いさ・・・・・・飲み明かそうぜ」
「酔い潰れるまで? 僕は無理だよ」
「おーそうか、だったら俺は飲みまくる」
「はぁ・・・・・・」
直紀は呆れながら、俺を見て溜息をついた。
これが飲まずにいられるか、飲んでなきゃダメなんだ。
分かっていても、飲んでも飲まれるなということを肝に銘じていた。
「さあ、飲むぞォ〜」
ヒックと呻きながら、酒を飲みまくった。
一方、直紀は心配そうにゆっくり飲みながら、温かく見守っている。
(どうにかならんのか、バンの酒癖・・・・・・)
直紀は怪訝そうに見つめながら、溜息をついていた。
酒癖の悪さは有名だと言っていいくらいだが、幼馴染が荒れて飲みまくってる姿を見守るしかない。
そんな幼馴染の様子を見て、こんなになるまで荒れたのは初めてだった。いったい、何があったのか知る由もなかった。
その帰り道、いつものように飲んだくれた俺は千鳥足でふらつきながら歩いていた。
「ちょっと飲み過ぎたかな・・・」
そう言って呟いた俺はヒックと呻いた後、千鳥足で歩きながら、ヨロッとふらつくのを感じた。
それで、バランスを崩さないようにして保ったまま、何とか自力で歩けるようになるのがやっとだった。
(リンのヤツ、どうしちまったんだよ・・・)
リンのヤツ、あの出来事が起きたその日から様子がおかしい。そんな彼女を見て放っとくことができなかった。
俺は心配そうに優しく話しかけてみたが・・・相変わらず、黙りこくりながらもうなだれたままだった。
その一方で弟の健太や直太と話す時はいつものように明るく元気そうに楽しくふざけながら遊んでいた・・・けど、何か気になっていて仕方がない。
(何か言いたいことがあるんなら言えば良いのにな・・・)
それを思うと・・・正直、はっきり言っても不安でならなかった。
毎晩、俺が酒を飲んで帰ってくるたびに弟の健太が夜遅くまで待っていてくれることが多く、嫌な顔をせずに温かく出迎えてくれた。
(健太には心配かけてばっかりだったな・・・)
ここ最近はリンとの会話が少なくなってきたせいか、どうしても話す気になれなかった。
リンは俺にとって大切な家族でありたいと思っている・・・妹のような存在感を示しているかのような感じだった。
「ちっ、何が言いたいんだよ」
コンビニで買ってきた缶ビールを煽って飲んだ。その時、後ろからポンと肩を叩かれた。
振り返ると、幼馴染の人見晴香だった。空手部の練習が終わって帰るところだろう。
「飲み歩いてるの見てたから、後をついてきちゃった」
「んだよ、それ・・・・・・飲んでんだよ、俺は」
「うん、分かってる。何で飲んでんの?」
「知るか、そんなこと。ハル、1人で帰るの多くねぇ?」
「そうね、部活の練習で遅くなってるのよね」
ハルは苦笑しながら、俺と肩を並べるようにして歩きつつも答えてくれた。
女の子が出歩いていい時間ではないだろうし、1人で帰るのが嫌なのかもしれない。
「俺が飲んでること分かってて、言ってるつもりか?」
「え、何のこと?」
「惚けんな、俺が飲んでんの気づいてたんだろォー?」
「あはっ、バレた?」
「バレたとか言ってんじゃねぇよ。おまえさぁ、俺の後をついてきてどうすんだぁ?」
幼馴染のハルを見て呆れながら、缶ビールを飲み干す。空になったのを見て、スーパー袋に入れた。
ハルの様子を見ていて、何となく気づいていたけれど・・・俺の後を追いかけてくるとは思っていなかった。
とりあえず、連れて帰るわけには行かないので、ハルの家の前まで送ることにした。
「おまえんちまで送ってやるからよ、その代わり内緒だぞ?」
「えー何でよ、バン! 聞きたいこととかあるのにさー」
「文句言ってる暇があったら、後でも聞けるだろ。だいたいなぁ、こんな時間まで練習してるからだよ」
「だって、しょうがないじゃん! 空手の大会が近づいてんだから」
「そりゃ、確かにそうだよな。あんなによく頑張って、何のためにやってんだよ?」
歩きながら思ったことがある。ハルはいつでも優しく接してくれた。
俺のことを気遣いながら、面倒を見てくれる彼女が大好きだった。酒場に入りびたりで飲んでいる俺のことを心配している。
だから、余計に気遣ってしまうのが嫌なのだが。幼馴染であれ、悩みを聞いてくれるのはハルだけだ。
「うっ、優勝するためだって!」
「へー優勝ねぇ、頑張れよ」
「バンのバカッ、からかってんの?」
「からかってるけど? おまえさぁ、俺に突っかかってくるの止めろよ」
「嫌です! だって、バンのことが心配なんだもん」
「心配って・・・・・・」
「健太から聞いたわよ。リンの様子がおかしいって・・・・・・あんた、リンに何かした?」
ついに聞かれるだろうと思っていた。リンの様子がおかしいのは、俺のせいでもある。
ただ、リンのことはいつも心配していて悩んだこともあった。ハルに話しても分かるはずがない。
「別に何もしてねぇよ・・・・・・」
「そうやって、上手く誤魔化す! あんたって人はだいたい、逃げることが多いんじゃないの?」
「何で分かるんだよ・・・・・・おまえに言われる筋合いなんかねぇって」
ヒックと呻きながら、フラフラ歩く俺の隣で喚きたてているハルを見ていて思った。
確かに俺はいつも誤魔化して逃げてしまうことが多い。彼女ならではの勘だと思って信じることすらできない。
ハルがピタッと俺の前に立ち止まる。いきなり止まったことに驚いていると、右手がワナワナと震わせていた。
「ハル・・・・・・?」
バシッ!
右手で頬を叩かれ、何が起きたのかと呆然として見つめる。
ハルの怒りが最高潮に達していると気づいた時には、もう既に遅し。
「バカ、いつも強がってんじゃないよ! そこまで無理して飲まなくたって良いじゃない!!」
「痛っ、何すんだよ・・・・・・痛いじゃないかぁー」
「そりゃ、痛くて当然! あんた、リンちゃんに何したの?」
「・・・・・・ハルに言っても分かるわけないぜ。どうしても知りたいか?」
「そりゃあ、気になるんだから! どういうことか教えてもらおうじゃないの!!」
腕を組みながら、怒りを堪えているのに必死で言うハル。流石にそこまで言ったら、殺されてしまいそうになると思った。
とりあえず、明後日にでも話しておいた方が良さそうだ。俺はハルの肩を叩いて、声をかける。
「知りたいなら、明後日でも良い?」
「えっ、明後日?」
「あぁ、部活ないんだろォ?」
「うん、ないけど・・・・・・なんでッ?」
「ヒロも一緒に誘うから。いいよな?」
ハルを見やりながら言ってみる。彼女は訝しそうに見つめていたが、すぐに溜息をついた。
俺の言うことに文句があるようだったが、今回は止めておくことにしたようだ。
「分かった。そういうことならしょうがないな」
「よし、そうと決まれば帰ろうぜ」
そう言いながら、先を歩く。ハルも後を追うようにして歩いた。
俺たちは肩を並べながら、自宅に向かって帰路についたのだった。