二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.361 )
- 日時: 2013/02/21 11:48
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)
第58章 黄瀬水蓮&富士本優実、ついに登場!
(ストーリーモード:黄瀬涼太)
家で待っているはずの妹・水蓮が目の前に居る。なぜ、彼女がどうやって来たのか。
そこは俺も知りたいくらい、物凄く気になっていた。気の強い妹だからこそ、危機を察していたのだろう。
「水蓮、何でここに!?」
「涼兄が帰ってこないから心配してきたんだよ!?」
「だからって、俺らが大ピンチに立たされていること分かってて、それ言うつもりか?」
そこまで言ったところまでは良かったものの、水蓮の目が怒りを滾らせていることに気づいた時はもう既に遅し。
水蓮はボキボキと腕を鳴らしながら、俺を見て歩み寄る。その様子を見ていた青峰大輝・太陽は何かしでかすようだと分かったらしい。
「水蓮?」
「このバカ兄貴ィィィ-----------------------!」
水蓮による強烈なストレートパンチを食らって、仰け反りこむように倒れこんだ。
思ったよりも、肩を怒らせて顰める水蓮・・・その表情は晴れやかなものではなく、まさに冷酷な感情を見せているようで怒っているような感じだ。
「ちょ、何すんだよ!」
「家に帰ってこないから、何度も電話したのに----------------------」
水蓮は肩を怒らせたまま、両手で頬を引っ張りながらも文句を言い放つ。
顔を顰めながらも、必死で弁解をしようとする俺は思わず焦る。妹が心配しているのは何となく気づいていた。
「いででっ、気づいてやれなくてごめんな・・・・・・」
「ったく、このバカ兄貴は・・・・・・・」
「水蓮、何でここにいるの?」
「ここで話すと長いから、その前に犯人を叩きのめさないとね」
「叩きのめすって、どうやって----------------------------」
彼女は、背を向けたのと同時に隣に居る少女を見て呼び出す。すぐに呼ばれた少女はタタタッと歩み寄って頷く。
水蓮なりに考えたのだろうか、それとも何か作戦があるのかもしれない。その時、バンさんが話しかけて来た。
「黄瀬、おまえの妹なのか?」
「ええ、あいつは黄瀬水蓮って言います。顔は俺にそっくりなんだけど、運動神経がいいからね」
「運動神経がいいってことは、おまえも?」
「はい。俺も運動神経抜群なんでね。水蓮とは、たまにバスケやるくらいかな」
俺そっくりで可愛いけれど、運動神経がいいところは兄譲りなのかもしれない。
それとも、武者震いして戦っているのか。水蓮はそんなことも気にせず、ニヤリと笑った。
何か余裕たっぷりの表情をしているということは、すぐに納得できた。心を開いているけれど、ちょっとだけ恐怖心もある。
好奇心旺盛な彼女のことだ、調子に乗ってやらないこともないだろう。
「まぁ、ここは私に任せてもらっていいかな?」
そこに転がっていたバスケットボールを持ちながら、片手で回して呟く。
水蓮はどうやら、隣に居る少女と連携を組むようだ。2人で乗り切ってもおかしくない。
しかし、目の前に居るのは主犯格の直野健一。しかも、キラード団のボスとして、黒幕になっていたからだ。
「ああ、分かった。くれぐれも無茶なことはするなよ?」
「了解!」
水蓮はニヤリと笑いながら、直野の前に立った。優実は余裕をかましているのか、水蓮とアイコンタクトを取る。
(それじゃ、行きますか!)
優実が水蓮に目配せしてから、いきなりバスケットボールを蹴り上げた。
そう、上に蹴り上げたかと思った瞬間---------------------------
「水蓮!」
「OK、分かってるって!!」
水蓮は思いっきり走りこんだ後、右足で蹴ってジャンプする。その同時に左足で、上に浮かせているバスケットボールを強く蹴った。
「いっけええええ---------------------------!」
ボールは一気に物凄いスピードで落ちてきた。それを見た直野は両手でバスケットボールを受け止めようとする。
様子を見計らったのか、優実は物凄い集中力を高めていくことで素早く瞬間移動した。
「頼んだよ、優実!」
「うん、任せて!」
集中力を漲らせていくことで、怒りのボルテージが最高潮に上がった。
その瞬間、髪の色と目の色が赤になることで特定の技を出すことができるのだ。
「それじゃ行くよ--------------------------------------」
優実のオーラが最高潮に達したことで、何をするべきか分かっていた。
バンたちもその事実に気づいている。優実が何を仕掛けてくるのかも分かったような気がしてならない。
「私の衝撃波を受け止めてみろ!」
両手をかざしたのと同時に衝撃波を繰り出す。しかも物凄いスピードで走ってくるかのように見えた。
かなりスピードの速さについていけないと思ったのか、直野は恐怖を感じたのか怯えきった表情を表している。
「ぎゃああああ------------------------------------!」
ダメージを受けたのと同時にガクッと膝を躓いた。その様子を見た水蓮と優実は顔を見合わせつつも、ニヤリと笑った。
「よし、成功したか」
「やったね、優実!」
2人が喜ぶのは、まだ早い。直野は顔を顰めながら、ゆっくり立ち上がる。
直野の目が恐怖から憎しみに変わったかのように漲らせている。それに気づくのも時間がかからなかった。
水蓮と優実は立ちすくんだまま、何もすることができずにいた。その時、直野がポケットから何かを出す。
「あっ、あれは------------------------------------」
直野の右手に入っているのは、ナイフだった。しかも鋭いように見え、何かを漲らせているかのような感じで、2人の少女を睨みつける。
「ヤバい、2人とも逃げろ!」
2人に向かって叫んだ時はもう既に遅かった。直野が近づくにつれて、顔を顰めながら怯えきっている。
それでも、水蓮は周りに何かないか探し出す。そこにパイプ棒のようなものが落ちていたので、それを手に取って握る。
(どうする? 私なら剣道で叩きのめせば何とかなるかも・・・・・・)
だけど、犯人である直野は目の前まで近寄ろうとしている。距離を取って戦うしかないのか。
水蓮は両手で剣道の構えをして持つ。その間に優実は怯えきっているように見えた。
「優実、あんたは早く逃げて!」
「でも・・・・・・・」
「こいつで叩きのめす。私から離れるんじゃないよ!」
パイプ棒を持ちながら、直野に突っかかって立ち向う。しかし、すぐにかわされてしまった。
(かわした!?)
かわしたかと思えば、目の前に居る優実に向かっていた。直野は憎しみを漲らせながら叫んだ。
「ククク・・・・・・これで死ねぇぇぇ-------------------------!」
直野が振り回した瞬間、優実がやられると思ったその時だった。風を切ったかのように、ナイフの芯がいきなり折れて転がっていた。
芯が転がっていたのを見て思わず、呆然とする直野は目の前に居る人物を見る。
「はい、そこまでよ!」
ナオこと小野奈緒美が空手の蹴りをかまして、危機一髪を逃れたところだった。
彼女が居ないことに気づいたヒロとハルは呆然と見つめていた。後輩が助けに行くとは思ってなかったようで、目を丸くしている。
「ちょっと、ナオ!?」
「ハルさん、ここは私に任せてもらえませんか?」
「いいけど・・・どうするつもりなの?」
「まぁ、そんなに心配しないでください。気が済むまでやらせてもらえませんか?」
ナオは両手でボキボキと指を鳴らしている。ヒロがナオに向かって言う。
「ナオ、相手はキラード団のボスだぞ! 大丈夫なの?」
「ヒロ・・・・・・心配しなくていいよ。ここは私にやらせてもらえるかな?」
ナオはウインクしながら、ヒロに向かって笑う。ヒロはすぐに納得したような感じだったが、顔を顰めていた。
彼女のことだから、何かあったら困るだろう。それでも、余裕をかましているのか、ニヤリと笑う。
「ナオ?」
「2人に手を出したら、私が許さないよ!」
空手の構えをしたナオを見て怯んだ。直野は顔を顰めながら、ナイフを持ったまま呟く。
「おまえ、いったい・・・・・・」
「私の実力を甘く見ないでね?」
そう言って呟いたのと同時に直野の腹を何発か殴った後、右手でナイフを弾く。
直野が隙を突かれて、怯んだ隙にジャンプした。ナオは右足で顔に強烈な蹴りをぶちかました。
「ぐあっ!」
直野はゴロゴロと転がりながら倒れこんだ。その様子を見ていた俺たちは呆然と見つめていた。
空手で倒すのは本当に凄すぎるとしか言いようがない。彼女なりに状況を把握していたのだろう。