二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.37 )
- 日時: 2012/12/16 12:24
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第9章の続き
(ストーリーモード:バン)
その2日後の夜、いつものように居酒屋で酒を飲んでいた。
ヒロ&ハルと一緒に居酒屋を訪ね、日本酒を注文した。
「バン、飲み過ぎよ。何があったの?」
たまたま部活が休みになっていたこともあり、飲みに付き合ってくれたハルに窘められ、いつものように日本酒を飲んでいた。
お猪口に日本酒を注いで飲むと嫌なことを忘れられるような気がしてならなかった。
「おまえに話しても分かるかよォ・・・」
「バン・・・」
ハルは俺を見て、心配そうに呟きながらもヒロと顔を見合わせる。
そこにいたヒロは日本酒を飲みながら、ゆっくり見守っていた。
「バンさん・・・」
これじゃ、何があったのか分からないという状況だ。
ヒロは気になったのか、俺に質問した。
「バンさん、何があったんですか?」
「おまえらに俺の気持ちが分かるかぁ・・・」
ヒックと呻きながら、日本酒の入ったお猪口を飲み干す。
どうやら、リンとケンカした可能性が高いようだ。
ハルは俺を見て心配そうに見つめている。
「どうやら、悩んでいることは確かのようね・・・」
「あぁ?」
日本酒をお猪口に注ごうとした時、ハルを見た。
ヒロも頷き、日本酒を飲みながら煽った。
「でも、バンさん・・・リンちゃんのことは聞きました」
「えっ、何で知って・・・・・・」
ヒロは昨日、大学でハルに会って話を聞いたのだという。
その時にリンが高校の友人と一緒に廃墟ビル方面に向かったのを目撃したという話を聞いて知ったそうだ。
「その帰り道、リンちゃんに何か言ったんじゃないですか?」
ヒロに咎められ、何も言えないでいた。
ハルやヒロは直太のことを知っていたので、2人に話せば分かるかもしれない。
「いや、別に何も言ってないよ・・・」
そう言った後、グイッと飲み干した。
図星だと諭されたくないので、冷静に落ち着かなきゃいけない。
(こんなこと話しても分かるかよォ・・・・・・)
こればかりは言えない・・・でも、2人に相談しても言えるわけじゃないだろう。
リンのことを考えるあまり、どうしても飲み過ぎてしまう。
気を紛らわすために酒を飲んで泥酔するまで飲むしかなく、考え事をしていても思い出したくない。
「・・・・・・」
ハルはヒロと顔を見合わせる。
こりゃ、重症だと悟ったのか仕方ないと思ったのだろう。
そんな俺の気持ちが分かるかよ・・・まぁ、ひたすら酔い潰れるまで飲むしかなかった。
「酒浸りになって・・・大丈夫かな」
「うーん、重症のようですねぇ・・・」
ハルとヒロの会話が聞こえてきたのか、俺はキッと睨みつけた。
俺の視線に気付いた2人はビクッと怯えた。
「何が重症だってんだよ・・・俺はそんなになってないぞォ〜?」
「だって、酒浸りになってるからさぁ・・・こればっかりは重症だなっていうのが私らの感想なんだけど?」
ハルに突っ込まれ、仕方なく飲み干した。
酒浸りかぁ・・・確かによく考えたら、最近は殆ど酒を飲んで帰ってくることが多くなった。
それでも、ハルはたまたま付き合うと言ってくれたけど・・・大好きな酒を飲むと落ち着いていられるのだろう。
「別に良いじゃないか、俺のこと放っとけば?」
そう言い放つとハルはヒロと顔を見合わせた。
こりゃ、また重症だと思い込んだようだ。
2時間が経過した頃には酔い潰れ、テーブルに突っ伏して寝ていた。
そんな俺の肩を優しく揺すりながら起こしてくれた。
「バン、起きてよ」
ユサユサと肩を揺らしながら起こす声を聞く。きっとハルだろうか。
眠そうに身じろぎながら、声を発した。
「んぅ・・・もうちょっとぉ・・・」
テーブルに突っ伏したまま、気持ち良さそうに寝ていた俺の肩を強く揺らした。
それを感じたのか、俺は眠そうに目を開ける。
「・・・んー・・・・・・・?」
ボンヤリとした視界にハルの姿が映る。
ヒロも心配そうに覗きながら、俺を気遣っていた。
「バンさん、大丈夫ですか?」
「あぁ・・・・・・」
「バン、帰ろうよ」
目の前にいるハルが心配そうに覗き込みながら話しかけてくれた。
ヒロが手を差し出しながら、俺を起こしてくれる。
「バンさん、大丈夫ですか? 肩を貸してあげますよ」
「おぉ、サンキュ・・・ヒック」
ふらつきながら立ち上がり、ヒロの肩に左手を乗せて歩いた。
ハルが代わりにお金を払ってくれたので、俺たちは居酒屋を出た。
「ウィ・・・」
「バン、大丈夫?」
飲み過ぎたのか、ふらつくのは気のせいだろうか。
ヒロが心配そうに話しかける。
「バンさん、悩んだままじゃダメですよ」
「うるせぇ・・・」
ヒックと呻きながら歩く俺を支えながらサポートしてくれる後輩のヒロ、幼馴染のハルがいるから安心できたのだろう。
数分後、寝入ってしまった俺を起こす声が聞こえた。
「・・・ん、バンさん! 家に着きましたよ」
「うぅんー・・・・・・?」
ヒロの声が聞こえたのと同時に意識が戻った。
目の前に映った光景は紛れもなく自宅前だ。
「あぁ、俺んちだっけ・・・」
ヒロに担がれたまま、いつの間にか知らない間に寝入ってしまったようだ。
心配そうに様子を伺うハルは俺の身体を支えながら言った。
「バン、自力で歩ける?」
「へーきだって、大丈夫だからさぁ・・・」
ヒロから離れ、フラフラと千鳥足で歩き出す。
ハルは俺の後を追うようにして、玄関まで追いかけた。
「ねえ、バン」
「んー?」
「バンの家に泊まっていい?」
突然の申し出に目を見張った瞬間、ハルを見て驚く。
彼女のことだから、事の真相を聞きだすつもりでいたのだと察した。
「あー良いけどさぁ・・・・・・」
「えっ、良いの?」
「あぁ・・・ってわけだから、中に入るぞ」
そう言った後、ヒロと別れて玄関に向かう。
ハルと一緒に玄関のドアを開けて入った。
「ただいまぁ・・・」
「お帰り、遅かったね・・・あら、ハルちゃんじゃない」
俺の帰りを待っていてくれたのか、母さんがヒョコリと現れた。
ハルは母さんを見て挨拶した。
「今日はバンの部屋に泊まらせていただきます」
「そういうことならOKよ。バン、彼女を悲しませないでね」
母さんはウインクしながら、俺をからかうかのような目でニヤリと笑った。
なんだよ・・・いきなりからかってくるなよ。
「-------ったく、いつもからかうの止めろよな」
「あら、良いじゃない。バンのことだから惚れてるんでしょー」
「うるせーほっとけ、俺は2階に行くから」
靴を脱いで上がった瞬間、母親のからかい方が気に入らなかった。
いつも俺をからかいながら、笑って話しかけてくれる母さんだけど・・・・・・何となく気付いていたのだろうか。
「ハル、母さんは放っといて、2階に行こうぜ」
「うっ、うん・・・」
ハルを促し、2階に通じる階段を駆け上る。
フラフラしながら歩く俺の背中を支えながらサポートしてくれた。
「バン、しっかりしなさいよ!」
「へいへい・・・・・・・」
飲み過ぎたことを自覚しているのか、ふわぁーと欠伸が出てきた。
何だか眠くなってきたし、どうしても寝たい気分になっていた。
「バン、眠いの?」
「うっせぇ、おまえに言われる筋合いなんかねーよ」
ハルに指摘されていそうな予感がしたからか、先に歩き出す。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.38 )
- 日時: 2012/12/16 12:25
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
やがて、部屋に辿り着いたのと同時にドアを開ける。
隣の部屋で寝ているはずの健太と直太が待っていてくれたのだ。
「お帰り、遅かったな・・・・・・兄貴」
「お帰りなさい、バン兄ちゃん!!」
健太と直太は笑顔で温かく出迎えてくれて、珍しいことに帰ってくるまで待っていてくれたのだろう。
直太が俺に歩み寄り、甘えるようなしぐさをして抱きついてきた。
「直太ァ、俺は酔ってんだぞォー」
「うん、知ってるよー」
人懐っこい笑顔を見せた直太はニッコリと笑みを浮かべた。
健太は隣にいるハルを見て驚きながら、思わず苦笑した。
「・・・・・・っていうか、ハルさんが何でここにいるの?」
「バンの家に泊まるから、今夜はお世話になります♪」
お世話になりますって・・・・・・いくらなんでも、その言い方はないだろう。
そりゃ、いきなり泊まるって言ったんだから驚くよな。
「はぁ・・・・・・」
俺は溜息をつき、ショルダーバックを床に置く。
そういえば、リンの姿が見えない。それに気付いた俺は健太に問いかける。
「そういやぁ、リンは?」
「ああ、隣の部屋で寝てるけどな」
そうか、リンは隣の部屋で寝ているのか。
まあ、3人で住むことには違和感があるかもしれない。
(確か、3人部屋になったんだよなぁ・・・・・・)
2人が大きくなったから、自分の部屋くらい与えても良いって言って、父さんが用意してくれた。
俺の部屋は誰もいないから、ゆっくり過ごせるのは良い。ソファベットは友達が来た時用にセットしてあるのだ。
「バン・・・」
ハルが首を傾げながら話しかける。
健太はさっきまで読んでいた本を閉じ、俺を見据えた。
「リン姉さんと何があったの?」
ハルに諭され、何を話したら良いのか分からなくなっていた。
その様子を見かねた健太と直太は顔を見合わせながら、コクリと頷く。
「バン兄ちゃん、僕も話を聞いてあげるからさ」
「直太・・・・・・」
直太に何が分かるんだと言いたいくらい、キレそうになりかけた。
その怒りを抑えようとしたその時、健太がようやく口を開けた。
「姉さんに何か言われたんだろ?」
「・・・ああ」
うなだれながら、ベッドの前に座り込んだ俺は溜息をついた。
ハルは俺の視線に合わせるようにしてしゃがみ込み、話を聞く気になっているようだ。
(ハル、健太と直太・・・・・・)
リンのことで何か言われたのは初めてだった。
健太と直太、ハルも俺の変化に気付いていたのだろうか。
「バン兄さん、俺と直太が気付いていないとでも思ったのか?」
「・・・え? どういうことだ・・・・・・」
健太が放たれた言葉を聞いて驚く。
もしかして、前から気付いていたのか?
「最近、酒を飲んで帰ってくることが多いし・・・母さんも凄く心配してたよ」
「そうだよ、健太兄ちゃんの言うとおりさ。僕も少しずつ気付いたし、バン兄ちゃんの悩みを聞いておかないと気がすまないんだよ!」
健太と直太は溜息をつき、俺の視線に合わせるようにして座り込んだ。
様子を見かねたハルが視線に合わせるようにしてしゃがみ込む。
「私も気付いてた・・・これは何かあると思ってたんだよ」
「ハル・・・」
「バンのことだから、絶対に何かしでかしたなって思って気付いてた」
ハルも薄々、そのことに気付いていたのだろう。
健太が俺を見て思わず首を傾げた。
「最近はバン兄さんの様子がおかしかったからなぁ・・・酒を飲んで帰ってくることが多かったし、俺も何かありそうだなって思ってたんだよ」
どうやら、健太も気付いていたようで俺の様子がおかしいことを察したようだ。
ハルが俺の肩を叩いて言った。
「私たちで良かったら聞くよ」
ハルの言葉を聞いた健太と直太も強く頷いた。
ここには仲間がいるんだということを思い出させてくれそうだ。
3人に話を聞いてもらわないといけないなと思い、キッと見据えた。
「ハル・・・健太・・・サンキューな」
そうだったな・・・酒を飲んでて忘れかけていた。
俺の周りには幼馴染や弟がいるということを思い出させてくれた。
「分かった・・・話すよ」
観念したように言いながら、2人を見回した。
ハルと健太は顔を見合わせながら、満足そうに頷いた。
「じゃあ、何があったのか話してよ」
「うん・・・実は----------」
1週間前の夜、居酒屋で酒を飲んでいたことから始まる。その時にハルから電話が来て、リンがいないことを知った。
ミソラ学園高校前で友人と一緒にいるリンを目撃したことを聞いて知り、ジンと一緒に捜索していくことになった。
噂の地下室があるという廃墟ビルに向かったかもしれないと推測したことだけではなく、その廃墟ビルでジンがリンたちを見つけ、地下室まで追いかけて向かったことや地下室で男と戦って倒したことなどを話した。
「・・・というわけなんだ」
一通り、話し終えたのを見計らったハルは溜息をつく。
やっぱり、リンにそんなことを言われたのが気になったんだろう。
「俺が虐待について指摘しなきゃ済んだかもしれないのによォ・・・」
「いや、そんなことないさ」
健太が口を開いて、自信に満ち溢れた目で俺を見つめる。
そんなことないって・・・どういうことだ?
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.39 )
- 日時: 2012/12/16 12:27
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
そんな俺を見た健太は納得しながら、そういうことかと言って呟き始めた。
「ははあ・・・どうりで、姉さんの様子がおかしかったわけだ」
「・・・え?」
俺は健太を見て思わず首を傾げた。
すると、健太は直太を見て頷きながら、腕を組んだ。
「あの日、姉さんが急いで帰ってきた理由が分かったよ。あいつの様子がおかしかったのは・・・そんなことがあったからなんだ」
ハルも健太の言葉を聞いて頷いた。
ああ、なるほどな・・・まあ、直太は俺にとって大切な家族であるわけだしなぁ・・・
「でも・・・」
健太と直太、ハルを見て答えた。
3人は首を傾げながら、顔を見合わせる。
「「「・・・でも?」」」
リンがどんな風にして生きてきたかも知らなかったのに、どうして気付いてやれなかったんだろう。
その話を聞いていれば、こんなことにならないで済んだかもしれない。
「でも、あいつは辛い思いしたくなかったんじゃないのかなぁ・・・気持ちは痛いほど分かる。けど、あいつは・・・」
辛い思いをしたくなかった・・・その気持ちは痛いほど分かる。
そんな俺を見た健太は微笑みながらも溜息をついた。
「・・・いや、姉さんはそんなことを考えるようなヤツじゃないよ」
「・・・なんで、そう言えるんだよ?」
俺は健太を見て呟いた。
彼の言っている意味が分からない。
健太は自分なりに感じ取ったのか、ポツリポツリとゆっくり話し始めた。
「ここに来てから、何も考えなくなったような顔をするようになったし・・・バン兄さんのおかげで安心して生きてこれたと思ってるんじゃないか?」
その話を聞いた俺はハッと気づいた。
そういえば、そんな感じだったような気がする。
最近、彼女は1人でやってきた。その時は身長が160cmしかなかったから驚いたけど・・・彼女は俺を見るなり、かなり怯えきっていた。彼女に対し、優しく接するように心掛けた。
それを心掛けて接していくうちに少しずつ心を開いていった・・・そこまでは良かった。
(そういえば、リンの心の闇を見出せないでいたのかもしれないな・・・)
確かによく考えたら、彼女の心の闇を見出せずにいた。
過去の話を聞く機会を設けようとしなかったことが心残りだった。
なぜ、あの時・・・どうして気づいてやれなかったんだろうか?
「・・・俺、あいつの心の闇を見抜くことができなくてさぁ・・・あの時、どうして気づいてやれなかったのか」
そう言って呟きながら、溜息をつくと・・・そんな俺を見た健太は優しく話しかけた。
「ううん、そんなことないさ・・・いつものバン兄さんらしくないよ。ここ最近だけど、姉さんはバン兄さんのこと心配してたし・・・」
リンが俺のこと心配してた?
突然のことで、驚きを隠せない。健太の言葉を聞いていた直太が口を開いた。
「うん、健太兄ちゃんの言うとおりだよ。リン姉ちゃんはいつもバン兄ちゃんのことを気遣ってたし、それに心配してたからね」
最近になって、そんなこと言わなかったのに・・・あいつ、俺に話しかけられずにいたんだな。
「なんだよ・・・俺のことを心配してたなら言ってくれれば良かったのになぁ」
そう言いながら呟いていたその時、コンコンとドアのノック音が聞こえた。
こんな時間に誰だろうかと思いながら、部屋のドアを開ける。
「・・・・・・え?」
目の前にいたのは、隣の部屋で寝ていたはずのリンだった。
いつの間にか起きていたらしく、その場に佇んでいる。
「おまえ、いつから起きて・・・」
「最初から聞いてた・・・兄さん、ごめんなさい」
リンが謝っているのは、この前のことだろうか。
あの時は、流石に俺も言い過ぎたかなって思っている。
「いや、別に謝らなくても良いんだよ。謝るのは俺の方だ」
「・・・え?」
呆然と見つめているリンを思いっきり抱きしめた。
虐待されたことは何となく気付いていたのに、そこを指摘しようと思っていたんだよな。
今、思えば・・・俺の考え方が甘かったかもしれない。
(リンに辛い思いさせちまったのは、俺だからな)
流石に反省しているから、今頃になって謝っても仕方がない。
そんな俺を見たリンは首を傾げながら言った。
「・・・バン兄さん?」
「リン、本当に心配かけてごめんな。おまえの話を聞いてやれなくて・・・」
俺は苦笑しながらも、リンを見て呟いた。
そんな俺を見たリンはううん・・・と首を振りながら呟いた。
「別に兄さんのせいじゃないよ。私、バン兄さんと健太の話を聞いていて思ったことがあるんだ」
リンが俺たちの話を聞いていて思ったことがあるというのは何だろう?
そこが気になっていたので、リンの話を聞くことにした。
「・・・なんだ?」
「私、バン兄さんと出会えなかったら・・・どうなっていたかなぁって思うんだ。こうして、バン兄さんの優しさに触れていくことで少しずつ心を開いていけたよ」
リンは俺の優しさに触れていくことで、少しずつ心を開いていくことができた。
だから、リンは俺の大切な妹でありたいと思う。
そんな彼女の話を聞いた俺はああ・・・と言いかけて呟いた。
「・・・うん、そうだな」
「仲直りしようよ!」
リンは俺に歩み寄り、素直に甘えて抱きしめながら言った。
そんな彼女の様子を見たハルは苦笑していた。
「リン、バンがどんなに心配してたか分かってるの?」
「お、おい・・・ハル?」
ハルが何を言い出すのかと思えば・・・彼女はリンのことを思って言ってるのかもしれない。
ハルはリンの視線に合わせながら、ゆっくり歩み寄る。
「バンはリンのことを妹だと思っているし、周りに大切な家族がいることを忘れないようにね!」
リンは交互に俺とハルを見つめながら、キョトンとしていた。
健太と直太は顔を見合わせながら、苦笑しつつも頷いた。リンはいつもの明るい笑顔に戻った。
「うん! バン兄さんが大好きだから、これからも仲良くしようよ!!」
「あぁ、そうだな・・・俺もリンのことが大好きだし、これからもずっと仲良くしような」
そう言って、リンの頭を撫でた。
健太と直太、ハルは顔を見合わせながら、笑顔を見せた。
「良かったな、姉さん・・・バン兄さんと仲直りできて安心したろ?」
「うん! バン兄さん、大好き!!」
リンにギュッと抱きしめられた瞬間、俺は彼女の頭をクシャクシャ撫で回した。
こいつ、本当に可愛いヤツだなぁ・・・っていうか、俺の話を聞いてくれたハル、健太と直太には本当に感謝している。
「ハル、健太、直太・・・」
3人を見回しながら、顔を上げて言う。
「「「ん?」」」
ハル、健太と直太の3人は俺を見て思わず首を傾げる。
照れくさそうに溜息をつき、お礼を述べた。
「3人とも、俺の話を聞いてくれてありがとなぁ・・・」
ハルが笑顔を見せながら立ち上がる。
同時に俺のところに立ち寄ったかと思えば、頭を弄くり回した。
「バカね、こういう時は幼馴染を頼りなさい!」
「えっ・・・」
「だいたい、あんたはいつも強がって・・・おまけに酒を飲んだくれてるし、何を考えてんのよ!」
いつも強がっているかぁ・・・そう言われてみれば、確かに俺も気付いてたけど・・・ハルにそこまで指摘されるとは思っていなかった。
「ごめん・・・」
「まったく、もう・・・私たちに心配かけるようなことしないでよね」
ハルは苦笑しながら溜息をつく。
健太が欠伸して、隣の部屋に戻った。
直太も健太の後に続いて、おやすみなさいと言って挨拶してから出た。
「私、隣の部屋で寝るよ。おやすみ、兄さん」
「ああ、おやすみ」
そう言って、隣の部屋に戻ったリンと別れた。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.40 )
- 日時: 2012/12/16 12:28
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
人を見送った後、やれやれと思いながら溜息をつく。
こんな時に限って、ハルが泊まっているのか。
「ハル、おまえ・・・・・・」
ハルに向かって言いかけた瞬間、バチィッと派手に平手打ちする音がした。
そのダメージを食らったとき、俺は何が起こったのか分からなかった。
「バンのバカ・・・・・・いつも無茶ばっかりして、どれだけ心配かけたと思ってんの!」
「いってぇ・・・・・・何すんだよ、いきなり殴って」
不満そうな顔をして怒るハルの姿を見たのは、本当に久しぶりだ。
酒を飲んで寝ていた俺の気持ちを汲み取っていたこともあってか、ワナワナと手を震わせながらも怒りが込み上げてきたのだろう。
「毎日、酒を飲んでばかりでいるバンを見てたらさ・・・・・・何か心配でたまらなかった」
「心配って・・・・・・でも、俺は・・・・・・」
「だから、それがいけないの!!」
うーガルルル・・・・・・・と唸りながら怒っている。その怒りはいつもと違って、完全にキレている。
ハルのそんな姿を見たことがなかったので、流石になんて言えば良いのか分からない。
「バンはいつも、帰りに酒を飲んでることが多いでしょ!」
「うっ、そりゃあ・・・・・・確かにそうだけどさぁ」
「だから、飲み過ぎは良くないの! そこまで飲みまくったらキレるどころか、完全に呆れてると思うんだよ」
ハルは俺のことを心配して言ってくれているようだけど・・・・・・確かに飲み過ぎたらダメだよな。
よく言われてみると、飲み過ぎるのは良くないと分かっていても飲み過ぎてしまうことが多い。
「おまえな、その言い方は良くないぜ」
「あのね、バンはいつも飲んでて楽しいと思ってるかもしれないけどさ。あれだけ飲んだら、その場で寝てしまうのは間違いないと思うね」
そういわれてみれば、どこでも寝てしまうことが多いみたいだ。
この時点で気付かなかったけど、ハルに何度か起こされたこともあった。
それで説教を受けながら聞いていたけど、当時は眠かったから寝てしまったらしい。
(でも、かなり酔っ払っていたから爆睡してたかもしれないな)
その時の記憶が全くなかったし、ハルに聞いた時点で納得できた。
でも、幼馴染だから気付くことが多いかもしれない。ハルは幼馴染だということもあってか、いざという時は頼りになる。
「なんだ、そりゃ・・・・・・まるで俺が酔っ払ってるようにしか見えないじゃん〜?」
「あんたねぇ、そういうところは相変わらずだなぁ・・・・・・まったく、もう!」
呆れながら、遠い目で俺を見て溜息をつく。
それで呆れられることには慣れたし、俺にとってはどうでも良いことだった。
酒を飲んでいれば、気を紛らわすことができた。
「そんなことはどうでもいいじゃん・・・・・・」
フラフラと千鳥足で歩きながら、ベッドにダイブして倒れ込んだ。
まだ飲み過ぎているのか、眠くてたまらないのだろう。
「バン、話を聞いてんの?」
ハルが呆れながら、俺のベッドの上に乗って座る。
いきなり座り込んで、それを言うか。話はちゃんと聞いてるから大丈夫だ。
「あのなぁ、おまえが寝るところは俺のベッドじゃなくて、ソファベットだぞ」
「うるさいっ、バンのことが心配だから放っておけないの」
頬を赤らめながら、顔を顰めて言い出すハル。
俺のことが心配だって・・・・・・何を言い出すのかと思えば、そんなことか。
「なーに照れてんだよ、ハル?」
「別に照れてるわけじゃないよ、バンのことが心配なんだよ!」
「そんなこと言わなくても分かってるし、飲み過ぎてるのはいつものことだろォ?」
眠そうに横たわったまま、ハルを見上げて言う。
幼馴染がいないと不安になるものなんだろうかと気付く。
それでも、周りには俺のことを心配してくれる仲間、家族がいる。
「そりゃ、いつも飲み過ぎてるもんね。あんたが帰ってきたときは起こしてやってるけど、少しは私が苦労してることくらい分かってよ」
ハルは俺の頬を優しく撫でながら、いつも自分が起こしてやってる身なんだから分かってほしいと訴えている。
その話を聞くたびに少しずつ、自覚しているけれど・・・・・・つい、酒を飲み過ぎてしまったこともあったのを思い出す。
「なんだ、そんなことかぁー」
「のんきに言ってないで、少しは何か言ってよ!」
「うるせぇな・・・・・・酒を飲んでて、何が悪いんだよ」
「そりゃ、酒を飲むのは良いけどさ。あれだけ飲んだら、本当に困るよ」
介抱してあげているのに、少しだけでも感じてくれれば良いのに・・・・・・と言いながら溜息をついている。
本日、何度目の溜息をついてるんだか・・・・・・・ハルのヤツ、溜息をつくことが多すぎる。
「おまえ、何度も溜息をついて・・・・・・多すぎねぇ?」
「あんたのせいよ、何もかもメチャクチャになったの!」
イライラ度が上昇してくるにつれて、怒りが増してくる。
ハルの苛立ちは思ったよりも怖い。そんな彼女を見たら、何も言えないくらいに逆らえる状態ではない。
「メチャクチャになったって・・・・・・俺は別に悪口も言ってないし」
「いい加減にせんか、分かっとるわい!」
ハルは不満そうに立ち上がり、冷蔵庫に入っている焼酎の缶を開けて飲み干した。
いきなり唐突な行動をして、焼酎を開けて飲み干すって・・・・・・それは有り得ない。
「お、おい・・・・・・」
上半身を起こしながら、ゆっくり立ち上がる。
ハルのところに駆け寄り、空になった焼酎の缶を見て驚く。
「ちょっ・・・・・・」
「だ〜か〜らぁ〜・・・・・・飲み干していいでしょォ〜」
焼酎の缶を持ちながら、べべれけになっている彼女を見て呆れた。
どれだけ飲めば、気が済むんだと言いたいくらいだ。
「ハル、焼酎を飲むな!」
苛立っているのは、何となく分かっていた。
ハルから焼酎の缶を引ったくり、ゴミ箱に捨てた。
それを見て、不満そうに言い出して反論するハル。
「えー・・・・・・だって、飲んでもいいれしょ〜」
ダメだ、こりゃ・・・・・・完全に泥酔してしまっている。
とりあえず、ハルを介抱して寝かせてやるしかないのだろう。
「今日はこれくらいにして・・・・・・」
俺のベットで寝ようかと言い出した時には、深い眠りに入っていた。
「は、ハル?」
「すー・・・すかー・・・・・・」
ハルの寝息が聞こえてくる。
まるで穏やかな寝息を立てて、気持ち良さそうに丸まって爆睡している。
「飲み過ぎだぞ、ハル」
ハルのやることは毎回、唐突だしな・・・・・・今回は何をやらかすかと思えば、おまけに焼酎を飲み干してしまった。
なのに、怒りが収まらないことを理由にして飲み干すのはどうなのか。
「ったく、世話のやけるヤツだなぁ」
ハルの上半身を起こしながら、ソファベットに連れて行く。
翌日になれば、記憶がなくなっているかもしれない。
(こいつが目を覚ましたら、いきさつを話した方が良いかもしれないな)
苦笑しながら、ソファベットの毛布を剥がす。
ハルを寝かして、風邪を引かないようにして優しくかける。
「本当にしょうがないヤツだな」
溜息をつき、自分のベットに戻る。
ふと眠気が迫ってきたので、ゆっくり目を閉じる。
(おやすみ、ハル・・・・・・)
そう思いながら、意識がまどろんでくる。俺の意識はゆっくりと夢の中に入っていく。
何事もなかったかのように、深い眠りに落ちた。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.41 )
- 日時: 2012/12/16 12:32
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
(ストーリーモード:ハル)
翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。
その声を聞いて、ムクリとゆっくり起き上がった。
「んー・・・・・・」
ボンヤリと視界が写り、バンの部屋だと言うことに気付いた。
周りを見回すと、カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれている。
「あれ、何で私はここで寝てんの?」
ソファベッドで寝ていたことに気付き、何が起きたのか分からなかった。
昨夜の記憶を手繰り寄せながら思い出そうとする。
(確か、バンの話を聞いたんだ。その後、リンと仲直りしたところまでは覚えてるけど・・・・・・)
昨夜はバンに付き合って、ヒロと一緒に居酒屋で酒を飲んだ。
バンを起こして、ヒロと一緒に自宅まで送り届けたところまでは良かったけど・・・・・・バンの家に泊まりたいと言い出したのは覚えていた。
(そういえば、バンに承諾してもらって泊まりに来たんだ。バンの部屋で話を聞いて、リンたちと別れたところまでは良かった)
寝る前に何かブチキレて、バンを殴ったような気がする。
何かケンカしたような覚えがあるけど、その後の記憶が全くない。
「うーん・・・・・・」
寝る前後の記憶を探ろうとするにも心当たりがない。
何か飲んだような覚えはある・・・・・・でも、バンはまだ寝ているから起こそうか悩んだ。
「うーん・・・・・・何かしたっけ、私・・・・・っ!?」
二日酔いのダメージを受けたのか、頭痛が来た。
やっぱり飲み過ぎたのかなぁ・・・・・・っていうか、その記憶がなくて困っていた。
「痛っ!」
頭を抱えながら、顔を顰める。あまりの痛さに衝撃を受けた。
こんなになるまではなかったはずなのに、どういうことだ?
「くっそォ・・・・・・」
自分のベッドで寝ているバンを起こそうかと思いながら、上半身を起こした。
バンのベッドに近寄って、視線に合わせるようにしてしゃがみこむ。
「すー・・・・・すかー・・・・・」
気持ち良さそうに寝息を立てている。その寝顔を見ると和んでしまう。
それに涎を垂らしているし、眠くてたまらないのだろうか。
「しょうがないな、もう・・・・・・痛っ!」
頭痛がまだ響く・・・・・・私、何をしでかしたんだろうか?
とりあえず、バンを起こさないといけない。
「バン、起きてよ」
ユサユサと背中を起こしてみると、バンはまだ起きない。
目を覚ますのが面倒なのか、うーんと唸る。
「うぅ・・・・・んー・・・・・・」
そう言って唸りながら、眠そうに答えながら寝入ってしまった。
話を聞きたいのに、目を覚まさないのはどういうつもりだ。
「ったく、ぶん殴るよ!」
左手で殴って起こそうとしたとき、ガシッと掴まれた。
よく見てみたら、バンの右手だった。眠そうに目を開けて握っていた。
「えっ・・・・・・」
目を丸くして驚きながら、動揺を隠せない。
そんな私の姿を見て、溜息をつくバン。
「おはよ、何で殴って起こそうとしてんだよ?」
「あ、いや・・・・・その、おはよー」
強く握られていて、ちょっと話を聞けそうにもないのか。
そう思っていた矢先、バンが眠そうに上半身を起こして呟いた。
「ハル、酒を飲んで寝ちまったんだよ」
「は?」
いきなり唐突な発言を繰り出すかと思えば、酒を飲んで寝たことがあったのか?
「え、私・・・・・・何か飲んじゃったの?」
「あれ、ハル・・・・・・もしかして覚えてない?」
「うん、怒ったところまでは覚えてる。でも、何か飲んだような気がする」
何か飲んだような記憶が残っていたので、そこはうっすらとしか思い出せない。
そんな私を見たバンは苦笑しながら、ポリポリと頭を掻いた。
「そっかぁ・・・・・・やっぱり覚えてないんだな」
「え、バンは覚えてんの?」
「ああ、昨日は酔いが覚めてたからな・・・・・・その時、ハルに殴られたのが効いたみたいでさ」
バンは苦笑しながら、ポリポリと頬を掻きながら話してくれた。
昨夜、プッツンとキレて怒ったらしい。理由は何でか分からないけど、いきなり平手打ちで頬を殴ったそうだ。
「いきなり、平手打ちで殴ってくるからビックリしたぜ。その後、冷蔵庫に行ってさ」
「冷蔵庫って・・・・・・バンの部屋にあるアレ?」
バンの部屋にある冷蔵庫を指差しながら質問する。
その質問を聞いた彼はコクリと頷きながら、溜息をついた。
「ああ。その後、何をしでかしたと思う?」
「何をしでかしたって・・・・・・・私が?」
「うん。焼酎の缶を取り出してさ、その後に開けて飲んでたぞ」
バンから焼酎の缶を飲み干したことを聞いて驚いた。
ゴミ箱を覗きながら見てみると、確かに焼酎の缶が空になっている。
「嘘でしょ・・・・・・」
顔を青ざめながら、うなだれてしまった。
まさか、焼酎を飲んで寝てしまうなんて・・・・・・今までにない経験だったから、この時点では何とも言えない。
「本当だって。その様子だと飲み過ぎちまったみたいだからな」
「そんなことが・・・・・・本当にごめん!」
バンに土下座しながら謝り、流石に反省するしかなかった。
とんでもない展開になっちゃったのは確かだし、どうしようもない。
「別に良いって・・・・・・気にしてないからさ」
「でも・・・・・・っ!」
両手で頭を抱えながら、バンのベッドにダイブして倒れ込んだ。
私を支えながら、心配そうに覗きこんでいるバン。
「大丈夫か、ハル?」
「もーダメ・・・・・・完全に2日酔いだわ」
いたたた・・・・・・と言いながら蹲る。
その様子を見たバンは溜息をつき、退かしてくれた。
「しょうがないな、まったく・・・・・・今日は俺のベッドでゆっくり休んでな」
「うん・・・・・・」
バンが毛布をかけてくれたので、ゆっくり休むことにした。
その後に迷惑をかけたのは、言うまでもない。