二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.387 )
日時: 2013/02/23 11:28
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第58章の続き

(ストーリーモード:黄瀬涼太)

呆然として見つめていた矢先、倒れている直野の様子を伺った。
直野はよろけながらもゆっくり立ち上がると、水蓮・優実・ナオの3人は思わず首を傾げていた。

「気絶してるようには見えないね」
「あれだけ食らっても、気絶しないのが不思議だよね」
「でも、何かヤバい気がする・・・・・・・」

直野の目が野性化としていたことに気づき、様子に異変を察した。その時、意味不明なことを言い出した。

「おまえらを潰す、邪魔者を排除してやる!」

その意味が何を示すのか、未だ分からない。青峰大輝が顔を顰めながら、溜息をついた。

「こいつは思ったより厄介だぞ」
「厄介ってことは--------------」

直野を見て、嫌な予感が過ぎった。どうすることもできないまま、諦めかけている。
ナオは身を挺して、2人の前に立ち塞がる。優実と水蓮は呆然として見つめた。

「そうはさせない!」

力強く言うナオの様子を見て驚く。辛抱強く言う彼女の言葉を聞いて、何が言いたいのかも分かった。

「水蓮と優実ちゃんに手を出したら、私が許さないからね!」
「うるせぇ、この生意気な女から叩き潰してやる!!」

直野は気が狂ったように暴れて、本性を見出したのか睨みつけながらも襲い掛かってくる。
すぐに異変を察したヒロがようやく、ありったけの力を振り絞って叫ぶ。

「ナオ--------------------------------!」

彼女がやられると分かっていても、すぐに助け出すことができない。
直野が襲い掛かってきたのと同時に目を瞑った。

「・・・・・・・」

シーンと静まり返った。恐る恐る、目を開くと見覚えのある青年を見て驚く。
その正体は・・・・・・リンの幼馴染である早間綺羅だった。ようやく、催眠術を解くことができたようで表情はスッキリしている。

「キラ!?」
「何もかも思い出したよ」
「思い出したって・・・・・・まさか!?」
「ああ。5年前の事件・・・・・・全ては、お前たちが仕組んだものだろう?」

綺羅は鋭い目つきを放ちながら、キッと睨みつけた。誰よりも犯人の正体に気づいていたのだと想像できる。
その様子を見たリンは呆然として見つめたが、本来の綺羅に戻ったのだと悟った。

「僕は、催眠の部屋で5年前の記憶を封印された。お前たちによって仕組んだものだと気づいてたけどね」
「--------------っ、催眠術から目覚めたというのか?」
「そうだ。バンさんの推理を聞いていて、僕の心の中を渦巻く何かが引っかかったんだ・・・・・・直野が黒幕だということも、カレンが僕を操って、リンを誘拐させたこともね!」

綺羅は力強く言い放つ。リンの幼馴染であることを思い出したのか、ついに心を開いた。
彼によって、力強く握られていた左腕を動かそうとするが・・・・・・綺羅はそのまま掴んで、体を仰け反りこむようにしたのと同時に背負い投げを決める。

「がっ!」

綺羅が豪快な背負い投げを繰り出したことで、主犯格である直野はうなだれたまま倒れ伏した。

「綺羅・・・・・・・」
「リン、今まで心配かけてごめんな。僕を気遣ってくれたんだろ?」

本来の自分を取り戻した早間綺羅は、心優しい青年に戻っていた。
さっきまで冷め切っていた瞳は、スッキリしているようで綺麗な感じだ。

「縄を解いてやるから待って・・・・・・」

綺羅がリンに向かって言いかけた瞬間、背後に影が近づいてきた。ハッと我を振り返った時は、既に遅し。
目の前まで迫っていたのは、カレン・キャベルンだった。リンを庇うようにして立ち塞がる。

「カレン、あんたが僕を唆して誘拐したことも分かってるんだよ!」
「そこまで気づいていたのなら、これで殺すしかないわね・・・・・・」

カレンが両手で銃を持って構えていることに気付く。その様子を見かねたのか、水蓮が思い切った行動を繰り出した。

「たぁぁぁぁっ!」

水蓮がパイプ棒を持ちながら構えて、銃を持っていたカレンの肩に向かって叫んだ。

「小手、メェェェン!」

バシィッ!
銃が弾き飛ばされたのと同時にカレンは気を失ったまま倒れ込んだ。
案の定、危機一髪だった綺羅とリンを救い出した。水蓮は本当に無茶な行動をするから、冷や冷やさせられた。

「大丈夫ですか!?」
「ああ、僕は平気だよ。それよりもリンを解放させないと・・・・・・」

チラリと見た後、牢屋に閉じ込められている優たちの様子を伺う。
物凄く心配そうに見つめていたから、リンのことが気になっている。
綺羅は気絶して倒れ伏したカレンのポケットから牢屋の鍵を取り出し、バンに向かって投げる。

「それを使って、牢屋を開けてください!」
「ああ、分かった!!」

その間に優たちが閉じ込められていた牢屋の鍵を使って開けた。
ようやく解放されたと思ったのか、怯えきっている優は兄の幸介に縋り付いて泣き出した。

「良かった・・・・・・」

リンは安堵したのか、綺羅に縄を解いてもらった。その時、呻き声が聞こえて振り返ると直野が顔を顰めたまま、伏せていた。

「何で、このガキに構うんだ?」

その台詞を聞いたバンはギュッと拳を握りながら、沸々と怒りが沸いてくる。
今まで溜まった、複雑な思いと気持ちを伝えるしかない。

「俺がどんな思いをして、リンを見守ってきたか気付いてないだろ?」

どんな思いをして生きてきたのかという思いを抱きながら、リンをサポートし続けた。
それでも、自分が感じた思いと気持ちを伝えたいと思っていたのだから----------------------