二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.390 )
日時: 2013/02/23 11:56
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第59章 決着、リンに対するバンの思いとは?

(ストーリーモード:バン)

直野たちとの推理対決を終えた瞬間、バンは複雑な思いと気持ちに駆られていた。
リンのことをどう思って生きてきたか・・・・・・それを感じることができたのは、自分しかいない。
辛い思いをしてきて、ここまで生き抜くことができたのは誰のおかげだと思っているのか?

「俺がどんな思いをして、リンを見守ってきたか気付いてないだろ?」

直野がリンのことをどう思っているのか、俺は知らない。
でも、ただ1つだけ言えることはあるのだから------------------
1人だけ相手にするにしても、それを突破できる方法がないとまずい。

「ククク・・・・・・俺がどんな風に感じて生きてきたか、おまえらには分かるはずがない」

どんな風にして生きてきたかどうかは分からない。直野の生き方は天涯孤独の身としか思えなかった。
確かによく考えてみれば、何もかも分かるはずがないのだと思っているのだろう。

「・・・何だと?」

直野の言ったことがイマイチ理解できなかった。いったい、どういうことだと言わんばかりに見つめる。
まるで憎しみを募らせているようで、恐怖と恨みを抱えていたことが容易に分かっていたからだ。

「全ては、復讐から生まれたものだ・・・・・・実を言うと、俺は憎しみを抱いていたからだ」
「リンがそんなに憎いのか?」

俺は床にうつ伏せで倒れているリンを見て、顔を顰める。
リンはそんなことで憎まれるようなヤツではなかった。彼女は俺に似て素直で心優しい子なんだから、それほど憎いと思ったことはない。

「もう1度だけ言うよ・・・・・・リンはそんなヤツじゃない」
「なぜ、そこまで言える? 普通なら雑魚だと思うだろ?」

直野は俺を見て言いながら問いかける。
雑魚だと思うかもしれないが、俺はそんなことを思っていない。
リンは俺の大切な家族でありたいと思っているのだから---------------

「雑魚ならな・・・けど、リンは違う。あいつは-----------」

直野を見据え、鋭い目でキッと睨みつけた。

「バン・・・・・・」

そんな俺を見たハルたちは何か言おうとしていることが分かったようで、心配そうに見守っていたのだった。
今までリンのいろんな姿を見てきたから、少なからずとも彼女の気持ちが痛いほど分かっていた。
どんなに辛い思いをして生きてきたか、それを感じ取った俺の強い思いを伝えなきゃいけない。

「あいつは俺が認めた大切な家族だ・・・いつも明るく元気そうに振舞っているわりには、辛い思いを背負って生きてきた」

両親を失い、辛い思いを背負いながら生きてきたリンの姿----------------
それを物語っているのは、いろんな姿をたくさん見てきたからこそ感じ取ったものだ。

「あいつは人の心の苦しみが分かる・・・・・・だからこそ、リンのいろんな姿を見て学んだ。今もあいつの気持ちが痛いほど理解できるからさ」

そう言って呟いた後、リンは呆然として見つめていた。自分の存在を認めてくれた兄を信頼できずにいたことを思い出す。
時間が経たないうちに、今まで溜まった涙が一気に溢れ出した。

「ば、バン兄さん・・・・・・っ!」

リンは今まで感じ取ることができなかった嬉し涙を流して号泣した。
その証拠に俺が自分のことを認めてくれたのがよっぽど嬉しかったのだろう。

「リン、おまえは俺の大切な妹だ。これ以上、家族を失いたくない」

そんな彼女の姿を見て、辛い思いを感じてきたのだろうと悟った。
リンの気持ちが分からなくもなかったし、俺は大切な存在を失いたくないと思っていたからだ。

「だから、俺はリンがどれだけ辛い思いしてきたか分かるんだよ」
「ぐううっ・・・・・・」

直野はうなだれたまま、黙りこくりながら俯く。
ガキの扱いに気付いてないかもしれないが、俺は別にガキだと思ってない。
最初にやってきた頃は馴染もうとしなかったが、少しずつ心を開いていった。
勇気を振り絞れず、過去のことを話せなかった姿を見てきたこともあったし、あいつがどんな思いをして生きてきたのかも分かってきたような気がする。

「俺さ、一瞬思ったんだよ・・・あいつの背中を見てきて、心を閉ざしていたんだなって思って感じてた」

最初は心を閉ざしたまま、俺の家にやってきた。心の中にわだかまりが入っていたのは確かだ。
それでも、リンと接していくうちに心を開いてくれれば・・・・・・と思いながら願うしかなかった。

「心のわだかまりを和らいでくれれば、あいつらは少しずつ開いていってくれるはずだと思って信じてたんだ」

心のわだかまりを和らいでいくことによって、少しずつ癒していけたらと思いながら接してきた。
それでも、酒を飲んで帰ってくることもあったけど・・・・・・そんな俺のことを慕って、彼女は素直に懐いてくれた。

「あいつの心を開いてやれるのは、俺しかいないと思ったんだろう。でも、あんたたちが犯した犯行は絶対に許せない」

彼女の心を開いていくことができたのは、俺(山野バン)だという存在。
それでも、キラード団が犯した犯行は絶対に許さない。どんな理由であれ、恐怖を感じさせたくなかった。

「リンがどんな思いで心を閉ざしたか・・・・・・深く傷ついた心の傷を癒してあげられる存在が周りにいなかったからだ」

最初は、リンが心を閉ざしていったことに気付いていなかった。
だが、彼女と接していくうちに少しずつ分かってきたことがある。
心の傷を深く負ったリンを癒してあげられる人が周りに居なかったのだから---------------------

「心の傷は深く傷ついたままじゃ治せない。だから、家族としての信頼を築いていくためにゆっくり過ごしていくことで治らせるしかなかったんだ」

心の傷を深く負いながら、生きてきたリンの姿が目に余るかのようだった。
それでも、家族がどういうものかを分からせるために少しずつ兄弟としての絆を深めるしかなかった。

「今は少しずつ癒えるようになってきたけど・・・・・・今回の事件で暴力を受けたことによって、より一層に心の傷が深くなっている可能性が高いんだよ」

心の傷を負いながら、虐待に耐え続けた。その暴力に支配されながらも何とか頑張って生きてきた。
そんな彼女のことが心配でたまらなかったことを思い出す。無事でよかったから、すぐに安心した。

「リンが誘拐された時は正直にハッキリ言って焦ったね。最初は謎解きしながら調べるのが精一杯だったけど、ハルたちがいたから頑張れたんだよ」

背後にいるハルたちを見て、リンたちが誘拐された時のことを思い出していた。
それでも、直野たちには自首してほしかった。罪を償って欲しいと願うしかないのだ。

「もう2度としないと誓うか?」
「ああ、もう2度としない・・・・・・・」

その言葉が放たれた瞬間、直野はうなだれたままの状態で涙を流していた。
過去に綺羅を誘拐されたことで、約5年にわたる逃亡を続けたという残酷なものを冒した。
その複雑な思いを抱きながら生きてきたリンに対して、反省せざるを得なかったのだろう。